暗黒星 (角川ホラー文庫 24-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053201

作品紹介・あらすじ

奇人資産家・伊志田鉄造の一家を血の惨劇が襲う。物屋敷のような洋館で、一人また一人と犠牲者は増え、遂には犯人を追う明智小五郎も凶弾に倒れてしまう。事件の裏に秘められた一家の真実とは?怪奇ロマンあふれる表題作「暗黒星」他、4編を収録。

感想・レビュー・書評

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  • (収録作品)暗黒星/お勢登場/目羅博士/木馬は廻る/幽鬼の塔

  • 短編集。というか中編+掌編集?
    暗黒星。明智小五郎はこの話だけ。途中からうすうす犯人がわかってしまうのは昔なのでご愛敬。ホラータッチは流石。
    お勢登場。胸糞。
    目羅博士。作者が出てる。不思議な話。
    木馬は廻る。犯罪がない珍しい話らしい。
    幽鬼の塔。
    素人探偵河津三郎の異常とも呼べる好奇心と悪戯心に最初は不快さを感じたが、途中殺されかけたこともあり、だんだん気に入った。
    最後にあっさりと手を引くのもよかった。

  • さて、読評の2冊目は、江戸川乱歩の『暗黒星』。角川ホラー文庫より発行されているもので、表題の作品を合わせて、5編が収録されていました。今回はその中から、表題の『暗黒星』と、『幽鬼の塔』という作品についてを記します。
    ちなみに、なぜ江戸川乱歩なのかというと、自分の原点がここにあると思っているから。今回の目標を立てるにあたり、やはり原点から振り返るのがいいだろうということで、小学生の頃に読み漁り、僕の中のエンタメの原点となった作家をチョイスした次第です。少年探偵団シリーズ、面白いですよねー。

    まずは『暗黒星』。ちらっと少年探偵団シリーズの主人公、小林少年の名前もでてきますが、この話の探偵役はかの有名な明智小五郎先生。資産家の家族を襲う奇怪な連続殺人事件に巻き込まれた明智探偵が、自らもその標的となりながらも、事件の裏に隠された真実を追求する……、ってな感じです。
    結論。面白い。いやいや、それではなんの評価にもなっていない気がしますが、やはり昨今の流行りのエンタメの原点であり、しかしそれらは所詮混じり物で、ここにこそカルピスの原液があるのだと思い知りました。
    もちろんトリックであったりとか、真犯人が実は……というあたりのネタ自体は、現代ではすでに着回されてしまっているので、目新しさはありませんが、読ませる文章力、そして人物の感情の流れというのは本当に秀逸。勉強になります。
    今の30歳前後のエンタメ作家って、やっぱりこの方の影響を受けまくってるんだろうなぁ、と思いました。

    次に『幽鬼の塔』。こちらは素人探偵である河津という主人公が、興味本位で覗き込んだある男性の自殺をきっかけに、二十五年前に静岡の片田舎で起きた殺人事件の真相に行き着く、というお話。明智小五郎は名探偵ですが、河津は趣味で探偵をやっているだけなので、実際は真実は犯人の口から語られるわけですが。
    こちらもやはり、かなり読み応えのある作品です。主人公に感情移入がしやすい作りになっている分、次第に明らかになっていく真実に、読者が没頭していける感じ。
    ただ、これを読んだ時に思ったのですが、この作品では河津は真犯人の口から真実を語られた直後、一瞬にしてこの事件への興味と情熱を失い、捨て台詞を吐いて、真犯人のもとを去っていくんですね。その間わずか40字×18行。1ページにも満たない時間で、真実を知った彼は舞台から降りるのです(ちなみに物語自体もそこで終了)。
    これって、果たしてどうなんですかね。個人的には、基本的に小説の語り手たちって、何らかの結論を読者に提示する必要があると思っているのですが。
    前回の読評で『試射室』の結論でも思ったのですが、そこまで物語を盛り上げていった以上、然るべき着地の方法があるのではないか、と思うわけです。
    ただまぁ、本文中にも河津自身は真実を盗み見ることに喜びを覚えて趣味の探偵を続けている、という描写があるので、不自然ではないですし、江戸川先生ともなれば、相当数の作品を書いているわけなので、こういった急降下の結末を書いてみよう、と思い立っただけかも知れませんが。
    いろいろと考えさせられる結末でした。

    今回は読んでみて非常に甲斐があったので、江戸川先生の作品を再度読んでみようと思います。少年探偵団シリーズは読み漁りましたけど、エログロなんかも混ざってくる、大人向けの作品は、まだまだ未読も多いので。

  • 中身は中編、短編合わせた5作。
    タイトルになっている「暗黒星」は明智探偵が主人公の話である。資産家伊志田家を襲う連続殺人なのですが、犯人はなんとなく読める人には読めてしまうのではないかなぁと思います。
    個人的には「幽鬼の塔」のほうが、なぜ事件が起こったのかが気になって面白かった。

  • 表題作よりも収録作品の「幽鬼の塔」が良い。
    傑作だ!

  • 「暗黒星」「お勢登場」「目羅博士」「木馬は廻る」「幽鬼の塔」

  • 江戸川作品の中で一番好き。
    トリックは決して派手ってわけじゃないけど、だからこそスムーズでスマートでかっこいい。
    事件背景や設定も何となく怪しくて、おどろおどろしい雰囲気を漂わせているのがいい。
    小学生の時にドラマ版を見たけど、映像やセリフや演出を今でも鮮明に覚えているぐらいの傑作だった。
    実写が原作を超えた珍しい作品かも。

  • 「ヤ、失敬失敬」とかこの頃の日本語が好き。

  • 080914(n 081102)

  • 『目羅博士』という短編は、月の光の妖しい美しさが端的に表されていて月が好きな私は大変共感が持てた。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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