芋虫 江戸川乱歩ベストセレクション2 (角川ホラー文庫)

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  • 角川グループパブリッシング
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レビュー : 110
  • Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053294

作品紹介・あらすじ

両手両足を失い、話すことも聞くこともできない帰還軍人の夫。時子は一見献身的に支えながら、実は夫を無力な生き物扱いをし、楽しんでいた。ある日時子の感情が爆発し……表題作をはじめ9作を収録。

感想・レビュー・書評

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  • キャタピラーの原作。ユルス、のとこでちょっと泣ける。とても短い話なのに胸が詰まる。短いのに恐ろしく深い。

  • 短編集。
    「芋虫」はおどろおどろしさよりも深い愛すら感じホロリと涙が出た。
    個人的には最後の「人でなしの恋」が一番好きだった。
    耽美とはまさにコレである。

  • 凄い話。
    はっきり言えばグロイ。 グロい話であるのは間違いない。

    戦争で四肢と触覚と視覚以外を失った須永中尉とその妻時子。
    二人しか存在しない世界・どうしようもない、やるせない世界。
    そこから逃げることが出来ないし、逃げようともある意味してない世界。
    その窒息しそうな世界で繰り広げられる残虐性を孕んだ快楽。
    嗜虐性を誘う夫の姿。それにどんどんのめりこんでいく妻。

    相手を滅茶苦茶にしてやりたいと言う時子の歪んだ気持ちは一種の純粋な愛情の現われなのだろうか。

    相手を滅茶苦茶にしてやりたいという欲望に駆られて、負けて
    夫に唯一残っていた外界に対する直接的な架け橋である視覚をい奪ってしまった時子。

    そしてその後我に返り「ユルシテ」と夫の触覚に訴える時子。

    夫はどういう気持ちだったのか。
    自分のせいで妻が狂っていってしまったことを知って、自分の命を自ら絶つために芋虫のごとく這っていき、古井戸に投身自殺を図る。「ユルス」という言葉を残して。


    相手を滅茶苦茶にしてしまいたいと思ってしまうってのは、
    「愛」と「憎しみ」が紙一重の状態になっているのだろうか。
    「愛」ではなくてただの「欲望」なのだろうか。それとも「執着」なのだろうか。

  • 乱歩の怪奇幻想小説集。大変おすすめな巻。表題作芋虫が有名ですが人でなしの恋が乱歩では一番好き。それは単なる夫のピグマリオンコンプレックスではなく、妻すらも嫉妬に狂って打ち殺してしまうほど美しい女性であったのである。

    「人でなしの恋、この世の外の恋でございます。」

  • 江戸川乱歩ベストセレクション第二弾『芋虫』です。
    芋虫 他8編収録。

    個人的におススメは標題の『芋虫』、『赤い部屋』、『人でなしの恋』ですね。
    どんなホラーよりも一番怖いのは人間の狂気。
    江戸川乱歩の作品を読んでいるとそんな思います。

  • やはり標題の「芋虫」が素晴らしい。
    妻の倒錯した心理がヒシヒシと伝わる。
    何気にこんな世界に憧れている自分もいる。

  • 湿ってそうな話だった
    ゾックゾク

  • グロテスク

  • 芋虫・指・火星の運河・白昼夢・踊る一寸法師・夢遊病者の死・双生児・赤い部屋・人でなしの恋

    再読。
    妖怪を見ている気分になる。奇妙で、時に嫌になるくらい気持ち悪い描写があるにも関わらず、それでも怖いもの見たさで惹き込まれる。
    芋虫は「・・・」が多いのはもともとそういう仕様なのかと思っていたら、伏せ字だったとは知らなかった。伏せ字なしで読んでみたい。

  • 主人公の時子は、戦争で両腕両足を失くした上、話すこと、聞くことさえもできなくなった夫を、歪んだ情欲で支配する。ある日、情欲と憐れみと自己嫌悪の入り混じった昂りから、夫へ取り返しのつかない仕打ちをしてしまう。我に帰り許しを乞うた妻に、夫が遺したメッセージ。。。
    怖ろしくもあり、愛とはなんなのか、夫婦とは何なのか、を考えさせられた。

  • 江戸川乱歩の天才性がよくわかる
    解説がよかった

  • ホラーなのに観音感。

    自分なりの美しさを描いているようで話に吸い込まれていく。

  • いつも酒を飲みながら本を読んでいると言われそうですが、はい、たいていそうです(笑)。だって酒を飲みながら読書するのは至福の時間。アルコールが入っても覚醒するタイプの本もありますが、これは幻想世界に誘われて時おり眠気を催すタイプ。しかし夢うつつの状態で読むのにもまたピッタリ。鮮やかなる狂気、美しき変態とでも言いましょうか。

    装丁に惹かれて揃えた江戸川乱歩ベストセレクション。2巻目に当たる本作の表題作は『芋虫』。これをモチーフとした映画『キャタピラー』が強烈で、いまだに大西信満を見るとあの芋虫のような映像が頭に浮かび、眉間に皺が寄ってしまいます。しかし映画ではどうしようもない人柄に描かれていた「軍神様」が、この本では妻のおもちゃになっているかのよう。まるで異なるイメージに驚愕。

    今の時代のホラー作家にも乱歩を読みあさった人は多いのかも。古めかしいのに、いつまで経っても新しい。

  • 江戸川乱歩の中で一番好きな作品「芋虫」。匂い立つような陰湿な感じと卑猥さがギリギリのバランスで成り立っていると思う。

  • 表題作「芋虫」が読みたくて手に取りました。
    元々探偵小説はあまり読まないのでなんとなく江戸川乱歩も手を出して来なかったのですが、このシリーズは怪奇小説の短篇集で面白いです。
    「芋虫」は戦争で五体不満足となった夫を表現していて、腕も脚もなく這いずり回る様子がなんとも不気味でありつつ、その夫を愛でる妻が生々しく妖艶でした。
    個人的に「赤い部屋」の狂気に満ち満ちて陰鬱としていながらも幻想的な描写が、最後のトリックでパッと光を浴びる瞬間の潔さが好きです。
    また「芋虫」「人でなしの恋」など江戸川乱歩は女性の描写が上手くて、怪奇話でありながらも決して所謂心霊現象などではなく生々しい狂気の話で、その中にも幻想的耽美的な表現が多く、不気味な美しさを魅せるのが上手いと改めて感じました。

  • 陰鬱でドロッとした赤黒い感じの話ばかりで面白かった。「芋虫」はずっと読みたかったからやっと読めて良かった。

  • みんな気持ち悪いとかグロいとか言うけど、私はどっちかっていうと切なくて辛かった…。「ユルス」で涙腺がやられた。

  • 昔読んだ芋虫がどうしても読みたくなりまた読みました。
    芋虫って題名が好きすぎる・・・
    あの状態を芋虫と表現するとは・・・。
    赤い部屋の感じ結構好きだな!
    あのちょっとクトゥルフっぽい感じww

    全体的にやっぱりこの人の文章はなんか気持ち悪いww
    やっぱりポーさんぽい!

  • シリーズ2冊目。
    表題の『芋虫』から始まり、怪奇的な短編が9編。
    『芋虫』は伏字が多く、肝心のシーンが文字で追えなかったのは少々残念だった。伏字が気になる方は、他の出版社の『芋虫』を購入した方がいいかもしれない。
    本冊では『芋虫』と『人でなしの恋』に伏字がある。

    現実に起こりうるような巧妙な心理描写と犯罪技法には読んでいて背筋をゾクリとさせられた。特に『赤い部屋』の構成は素晴らしく、最後の最後まで魅せられてしまった。

  • 江戸川乱歩は小学生の頃少年探偵団シリーズを夢中で読みあさって以来で何となく懐かしく読みました。
    イメージ的にはエログロなイメージだったんですが表題作の芋虫には正直心臓をわしづかみにされた位衝撃を受けました。
    須永中尉のとてつもない優しさとユルスの文字。
    それを書いた時の須永中尉の気持ちを考えるととてもやりきれない気持ちになりました。
    また人でなしの恋はとても切ない悲しい物語でした。
    乱歩の懐の深さを伺い知れる短編集だと思います。

  • どの話も不気味な笑い声が轟きわたっていた。登場人物が皆世の中から逸脱したような人ばかりで、だけど自分と決して交り合わない隔絶された人とも思えなくて、悪趣味とは思いながらも好奇心が止まらなかった。「赤い部屋」と「人でなしの恋」がいいなと思った。解説にもあったように、滅茶苦茶なようでいて理知的な側面もあるのが、読みやすさの理由なのかなと思った。「芋虫」を愛の話と読み解くにはまだ私には早い。

  • 乱歩を初めて読んだのは「人間椅子」。明智小五郎とか推理小説のイメージが強かったので、ん!?思ってたのと違うけどめっちゃ面白い!ってなって、次くらいに読んだのがこの「芋虫」。完全に大ファンになって、そこから乱歩のエログロ系作品を読み漁るようになった。それから10年くらい、「芋虫」は定期的に読み返してる。その度にやっぱ乱歩やべぇ~、となるし、ゾクゾクしちゃう。

    「ユルス。。。」

    究極だわー。

  • 読む前から妄想膨らんでいたから(笑)

    割とあっさりだなと思った(^_^;)


    でも、他の短編もレベル高い!

  • 怖かった…
    芋虫よりも、めくらの男が次々とキレイな女をさらって殺していく『盲獣』が怖かった。

  • 何度でも読みたくなる。それが乱歩。

  • ベストセレクション2。表紙が違うけれど。
    手に取ったのは結構直接的なイラストでした。
    いくつかの短編集。

    解説 三津田信三氏
    『ほとんど超常的な現象が扱われず…いわゆるサイコ・ホラーである。』
    ソレダ!!ホラー(日常系?)とか、自分の語彙力の無さに凹む…。

    だからこそ物語が終わってもその後を色々考えてしまい、じわじわとしたものが残る。実際起こり得そうな話だからこその怖さがある。

  • 初めての江戸川乱歩。表題作のどろどろしたえぐみにたじろいで、しばらく続きを読まずに放置していたのだけど、知人の「『芋虫』は乱歩の中でも特別えぐいので仕方ない」との助言(?)を受け、特別えぐいものはもう読み切ったのだから、あとに怖いものは何もない! と読書再開、それから先は割と一気だった。
    文章は小気味よくて気持ちいいのに、映し出す世界はやっぱりえげつない……。しかしその華のある毒に惹きつけられる。物語自体は先の展開の読みやすいもので意外性は無く、寧ろ安心感を覚えるほど。それがまた毒を和らげて、舌がぴりぴりするなあ、なとと笑いながらもぺろりと平らげられるような作品に仕上がっているのかも。
    面白かった。江戸川乱歩、これから少しずつ読んでいこう。

  • ゴシックなホラーっていう印象ですね。

    この時代だからこそ書ける作品な気がします。
    いまじゃアホみたいに言葉や表現の規制ばかりしてる愚かな人がふえましたから。

    このままでは、こんな雰囲気の作品は二度と世に生み出されなくなりますよ。

  • 【本の内容】
    時子の夫は、奇跡的に命が助かった元軍人。

    両手両足を失い、聞くことも話すこともできず、風呂敷包みから傷痕だらけの顔だけ出したようないでたちだ。

    外では献身的な妻を演じながら、時子は夫を“無力な生きもの”として扱い、弄んでいた。

    ある夜、夫を見ているうちに、時子は秘めた暗い感情を爆発させ…。

    表題作「芋虫」ほか、怪奇趣味と芸術性を極限まで追求したベストセレクション第2弾。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    美しいのか恐いのか、やっぱり…恐い話だと思います。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 江戸川乱歩の小説を読むのは初めてだったけど、思いの外読みやすくて驚いた。もっと難解なのかと完全に思い込んでいた。

    ホラーで耽美で哀しくてちょっと皮肉めいていて、人間の根底にある醜さが表されてる物語が多いのに、なぜか美しい。
    表題作「芋虫」のじっとり湿った気味の悪さと哀しさ。
    たった3ページしかない「指」という物語がものすごく印象に残った。
    映像が頭に浮かんでくるような描写が美しくて、その世界に引き込まれる。

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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