黒蜥蜴 江戸川乱歩ベストセレクション (5) (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053324

感想・レビュー・書評

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  • 学生時代、江戸川乱歩作品の初読みがこれでした。
    江戸川乱歩作品の中で1番好きです( ´∀`)
    子供の頃に少年探偵シリーズ、怪人二十面相を読んだ記憶はありますが。
    高校時代、京極夏彦先生の京極堂シリーズにはまったことから、横溝正史と江戸川乱歩を読み漁りました。
    人が死んでも、恋愛要素が入っても、総じて耽美な世界観が崩れないのがすごい。
    そして、文中からでも漂う黒蜥蜴の妖しい美しさ!
    こんなヒロイン(?)、なかなかいません!
    殺人犯なのに!泥棒なのに!犯罪者なのに!!
    この小説が発表された頃って、まだ読者が統一して想像できる妖艶美女のイメージがある女優さんとかもいないと思うんです。
    でも、多分読んだ読者が皆々、極似した美女を想像できたと思います。それくらい、文字だけでイメージがはっきり伝わってくる!すごいです。
    艶黒の髪、少し吊り気味に大きく魅惑的な瞳、真っ白な肌、真っ赤な唇。さらりと衣擦れの音がして、しっとりと女性にしては重厚感のある声音。。みたいな。
    プライドが極高いのに、時折り覗かせる乙女感。
    そして、恋愛ごとがあまりないイメージだった明智小五郎本人との、はっきり分かる恋愛描写。
    黒蜥蜴は続編が欲しかったし、はっきりがっちり結ばれて欲しかった!!そういう章が読みたかった!
    他の話の殺人者が持つ欲望や情愛感にはまったく共感も続編希望も出ないんですが、黒蜥蜴だけは愛しい犯罪者なんですよね。
    激しい自己愛と変態性、残虐性の強さは、他の犯人とも同等レベルなんだけどなぁ。
    江戸川乱歩を読んでみたいって人がいたら、私はこの本からお薦めします(о´∀`о)

  • わたしが購入したものは、装丁が和風なタッチの百合のイラストで美しいです。
    百合というのも、官能的で話に合っていると思います。
    お話の中での表記は「黒トカゲ」ですが、タイトルは「黒蜥蜴」なのですね~。

    タイトルと美輪明宏が演じているということは知っていたのですが、読んだことはなかったので、わくわくしながら読みました。

    もともとスパイや怪盗ものが好きなこともあり、とても楽しく読めました。
    何といっても黒トカゲのキャラクターが素敵です。
    スタイルがよく、素晴らしい美貌を持つ女性、なのに一人称は僕で、盗賊。
    美しいものが好きで、宝石や絵画だけでなく人まで盗み、自分の嗜好のために殺してしまう。
    話の中の賭けだけでなく、キャラクターとしての魅力や存在感も明智探偵に勝っていると思います。
    盗みの手腕はそうでもないですが、盗んできた人間を剥製にしたり、溺れさせてみたり、なかなか非道なことをしていますが、それでも擁護というか、応援したくなる魅力を感じました。
    (基本的にわたしは割と何でも悪役を応援する傾向にはありますが…)
    単に悪い部分だけでなく、鮮やかな手腕や魅力的なキャラクター、たまに人間くさいところも描かれているからこそ好きになってしまうのでしょう。
    彼らに対する江戸川乱歩のやさしい眼差しというか父性というか、生み出したキャラクターへの愛を感じました。

    そのスタイルと美貌で、その盗みによって得た資産力で、大抵のことは思い通りにできる彼女が、どうして明智探偵に惚れてしまったのでしょうか!
    アイリーンがライバル視していたシャーロックホームズに自分と同等、それ以上の知性と魅力を感じ惚れてしまったように、彼女もある意味唯一自分を理解してくれる明智探偵を愛おしく思うようになったのでしょうか…。
    そうでなければ、顔と推理力、変装だけが取り柄の明智探偵ごときにマダムの心を盗まれてしまうなんて、許せません(笑)

  • きらびやかな宝石に囲まれた美しく孤高で知的で大胆で残忍な女怪盗。そして探偵と繰り広げる騙しあいの果てにいつしか芽生える探偵への恋情。ジャンルのマスターピースと言われるのは、しっかりしたプロット(要点)とアイデアに富んだディテール(素材)が提示されていて、後から読んだ人が自分のポイントでいろいろ深掘りして脚色したくなるようなシンプルな作りにあるからかも知れない。三島由紀夫がこれをバレエにしたいと思ったり、映画よりは舞台で有名なのは、やはり最後の探偵と女盗賊の場面がもともと舞台映えするような描写だからだろう。「定型の美」はやはり動画やアニメより、額縁に飾ってみるように舞台が似合うということかも。

  • 文章も、その物語の世界も
    まるで黒蜥蜴の集めた宝石のように
    キラキラとしていて読んでいて
    思わずうっとりとしてしまいました。
    この感覚は森茉莉さんの「恋人たちの森」を
    読んだときに似た感覚。
    映画を見たり、美しい写真や絵をみたときに感じる
    ロマンティックだなぁとおもう感覚を読書でも
    感じることができるなんて、
    こういう本をもっと読んでいきたいなと思いました。
    美輪さんが舞台で黒蜥蜴の役をやってらっしゃるそうですが、確かに読んでいて、これは美輪さん以外は有り得ないなぁと思わずうんうんとうなってしまいました。

  • 新年1作目!
    恥ずかしながら江戸川乱歩作品を初めて読んだ。
    こんなことを言うのはおこがましいこと極まりないけれど、文豪と呼ばれる所以を見せつけられたというか、名作はやはり名作なんだな〜と思った。
    スリル満点で、読み進めながらドキドキする文章。漫画だったらこのシーンで絶対集中線が入ってる!とかドラマだったらここでBGMが盛り上がる!とかそういうことを考えて映像をはっきりと脳内に浮かべながら読むことができた。本当に凄い。読み始めたら止まらなかった。

    黒蜥蜴と明智小五郎、大怪盗と名探偵という対立関係を描きつつも、お互いの技量へのリスペクト、黒蜥蜴側の恋心(と呼んでいいのかな)も描いていて面白かった。まさに好敵手っていう言葉が相応しい関係。変装対決、ドキドキした!特に通天閣から変装して車まで逃げるシーン。あそこが正直ピークってくらい面白かったかも。あ、でもそのあとの船の上での人間椅子シーンもよかった。

    黒蜥蜴の女賊としてのプライドから、かなり大胆な言動を明智小五郎の目の前で行ってたのは、ちょっと可愛らしく思えた笑
    あと、現代だったら監視カメラとかあって絶対すぐバレちゃうよな...とかも考えてた笑
    現代でミステリー小説書くの難しそう。あんまり読んだことないジャンルだったけど楽しかったので他のも読んでみようかな。

    あと、やっぱり自身の小説「人間椅子」を登場させてるの凄いよね、、!

  • 黒蜥蜴がかっこいい

  • 美しく残酷な変装の名人、ボクっ娘属性持ちの女盗賊 黒蜥蜴。彼女が起こす誘拐事件と立ちはだかる名探偵 明智小五郎 。別作品の人間椅子が登場する等、江戸川乱歩作品が好きな方には嬉しい要素もあります。

  • 耽美なドキドキ

  • 913-E
    文庫

  • 京極夏彦曰く、江戸川乱歩は文豪ではない。
    文体が流麗な訳でもない。
    しかし、生前から全集が何種類も出版されるほど人気であり、今も読み継がれている。
    その魅力は何か?ということで、久しぶりに乱歩を読んでみた。
    昔読んだ時に、あまり好きではなかったんだよね‥。
    さて今回は、面白く読めた。
    次々と展開してゆくストーリー、仄かにグロテスク、確かに面白い。
    でもそれはドラマを見るような面白さであって、小説じゃなくてもいいんだよなあー。
    ということで、今後も読むかは不明。読めば面白いんだろうけど。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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