パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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本棚登録 : 482
レビュー : 48
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053331

感想・レビュー・書評

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  • 初めて読みましたがこれまでの江戸川乱歩とは少し違う世界観に酔いしれました。
    「パノラマ島綺譚」は正に理想郷を舞台に一攫千金と楽園の為に犯罪を起こす男の話ですが、
    トリックと言えば終盤の死体の隠し場所の謎解きくらいで
    (それも目星を付けれるくらいの謎解き)ほぼ犯人目線で物語が進んでいくので、
    逆に「一体この物語の終着点はどこだろう?」と乱歩の掌で転がされている感覚が強かったです。
    乱歩本人が解説にもあるようにこのような夢想物語を描くことを恥ずかしいと思っていたようですが、
    島に上陸してからの描写は耽美的で浮世離れしていて、
    到底理解できぬ程の狂気なのに恐ろしく美しいと思ってしまう。
    まるで宗教画や西洋絵画を眺めているような美しさで、
    特に海中と最後の花火の描写は自分が「事件」を読んでいるにも関わらず、あまりの極彩色の暴力的な美しさに事件を忘れてしまう程でした。
    「芋虫」や「人間椅子」とはまた違う狂気で、乱歩の才能に驚かされました。

  • アートって、きっと人間の業とか、そういうどろどろしたどす黒いもんから発せられる表現なんだと、江戸川乱歩の作品を読むと感じる。
    作品中で描かれる狂人や偏った性癖のある人などの特徴は、探せば僕らのこころの中にもきっとあるのだろうと思う。

    この本には

    「パノラマ島奇譚」
    「石榴」

    の二作品が収録されている。
    そのどちうらもが、類稀な、江戸川乱歩作品ならではの風合いと感触を持っている。
    まるで見てくれがとても綺麗で小さくてとてもかわいいが、口に入れて咀嚼するとなんとも醜悪な味や匂いを発するお菓子か何かのような感じがするのだ。

    世にも恐ろしい犯罪や兇行は、たった一人の人間のこころのなかに潜む美意識や欲望であったりするのだろう、とそういうことをまざまざと覚えさせられる。

    江戸川乱歩はやっぱり天才だ。
    そして狂人であると思う。
    そういう意味で唯一無二の才能だ。

    更に恐ろしいのは、言葉選びや、感じや、劇中の人物の喋り方や服がやはりどことなく古めかしいのにも関わらず、ストーリーの内容が新鮮であると言うことだ。
    驚くなかれ、この「パノラマ島奇譚」は大正時代に発表された文章なのだ。
    更にまるで美しいタイムカプセルか何かのような感じもある。

    本当に江戸川乱歩は美しい小説家であると思う。

  • 『パノラマ島綺譚』はパノラマ島の描写がすごく細かくて、想像するだけですごく美しい場所なんだろうなぁ。と思った。でも、最後があまりにもあっけなくて残念…それとも最初から廣介は決めてたんだろうか?
    もう一つの『柘榴』はミステリーなんだけど、その内容より硫酸で溶けた顔を柘榴に見立てるのにすごく惹かれました。美しいなぁ…

  • 少し長いけど全く飽きずにどんどん読めた。同時収録の『柘榴』も面白かった。

  • 前前前世系

  • えー嘘だ、嘘〜、そんな〜えっ、おー、おお、やばっ、ありえねー、ぜっていありえねぇーよ、そんなー、気持ち悪、そんな〜、おー、あはは、そりゃねぇよ、馬鹿馬鹿しいわ、見てらんねーよ、そりゃやばい、おーー、あーーそんなオチ、そりゃヤベェな、そのオチはやべぇよ、もう一度そのオチはやべぇよ、異端すぎ、奇譚すぎだろ、そこで、俺も裸体を拝みたいわ〜

  • 主人公の人見廣介は、自分とうりふたつの富豪・菰田になりすまし、莫大な資産を投入して絶海の孤島を奇抜な芸術の島に造り変える。それが「パノラマ島」。冒頭の頁に、M県ちかくI湾にある島、という記述がある。そのため私は、以前伊勢湾を渡るフェリー航路から遠望したことのある「神島」の風景が目に浮かんだ。
    さて、逝去した富豪にする変わるトリックや下準備も詳述され、これも主題のひとつ。なのだが、奇想の建設実現に邁進する人見の暴走ぶりが痛快。この奇想こそ乱歩の描きたかった本当のテーマのように思える。きてれつな人口風景の意匠も面白いのだが、やがて登場する「キャスト」たちの存在が笑える。どうやら踊り子みたいな娘を大勢雇用しているらしい。彼女たちはどういう気持ちで島の「アトラクション」を運営しているのかな、と考えるとおかしかった。
    そして終盤、探偵・北見小五郎なる人物が登場。謎解きを始める。いつしか人見が行き突くところまで暴走し、奇想を極めることを期待していただけに「小五郎、余計なこと無粋なことしないで!」という心持ちになったのであった。

    もう1編「石榴」を所収。乱歩作品には、変装、なり替わりが頻出するように思う。自身にもその願望が根強いのかもしれない。

  • 昔のカルト映画を思わせる作品。
    ただし、オチが「そんなんでいいの?!」というような
    呆気ないもの。

    それで、いいのかもしれない。
    狂人の夢、それを具現化した奇妙な島。
    そういったものを楽しむための娯楽作品として、完成しています。

    どの作品でも同じことですが、
    病的な美しさの表現は、乱歩自身が実際にそういった類の偏執者なんじゃないかと思うくらい、
    油絵のように立体的で、粘っこく書かれていました。


    あくまでもサイコであって、推理小説ではない。
    それが乱歩の魅力であると思いました。

  • 自分と瓜二つの他人になりきって楽園を作るなんて、設定がぶっ飛びすぎている。でもそこが面白い。

  • 人見廣介が悪事に手を染めるまではドキドキひやひやしてすっごく面白いんだけどパノラマ島の描写は想像力がないとあんまりイメージできないところもあるし海底トンネルのところとかくどいような気もするし…取って付けたような推理も好きじゃないんだけどラストは本当に本当に乱歩の小説の中でも一二を争うくらいにすき
    残酷でグロテスクで目も当てられないような惨劇が鮮やかに美しく夢物語の景色のように描かれてると思う
    すごいすき

    柘榴の方は顔のない死体がテーマのミステリ
    おもしろいんだけど探偵役が鼻に付く

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著者プロフィール

1894‐1965。明治27年10月21日三重県に生まれる。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任。昭和40年7月28日死去

「2018年 『人間豹』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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