パノラマ島綺譚 江戸川乱歩ベストセレクション (6) (角川ホラー文庫)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店
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レビュー : 49
  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053331

作品紹介・あらすじ

売れないもの書きの人見は、極貧生活を送っていたのだが、日がな彼独特の理想郷を夢想していた。ある日、学生時代の同窓生、自分とうり二つの億万長者が死んだことを聞き、恐ろしい企みを思いつく。

感想・レビュー・書評

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  • アートって、きっと人間の業とか、そういうどろどろしたどす黒いもんから発せられる表現なんだと、江戸川乱歩の作品を読むと感じる。
    作品中で描かれる狂人や偏った性癖のある人などの特徴は、探せば僕らのこころの中にもきっとあるのだろうと思う。

    この本には

    「パノラマ島奇譚」
    「石榴」

    の二作品が収録されている。
    そのどちうらもが、類稀な、江戸川乱歩作品ならではの風合いと感触を持っている。
    まるで見てくれがとても綺麗で小さくてとてもかわいいが、口に入れて咀嚼するとなんとも醜悪な味や匂いを発するお菓子か何かのような感じがするのだ。

    世にも恐ろしい犯罪や兇行は、たった一人の人間のこころのなかに潜む美意識や欲望であったりするのだろう、とそういうことをまざまざと覚えさせられる。

    江戸川乱歩はやっぱり天才だ。
    そして狂人であると思う。
    そういう意味で唯一無二の才能だ。

    更に恐ろしいのは、言葉選びや、感じや、劇中の人物の喋り方や服がやはりどことなく古めかしいのにも関わらず、ストーリーの内容が新鮮であると言うことだ。
    驚くなかれ、この「パノラマ島奇譚」は大正時代に発表された文章なのだ。
    更にまるで美しいタイムカプセルか何かのような感じもある。

    本当に江戸川乱歩は美しい小説家であると思う。

  • 初めて読みましたがこれまでの江戸川乱歩とは少し違う世界観に酔いしれました。
    「パノラマ島綺譚」は正に理想郷を舞台に一攫千金と楽園の為に犯罪を起こす男の話ですが、
    トリックと言えば終盤の死体の隠し場所の謎解きくらいで
    (それも目星を付けれるくらいの謎解き)ほぼ犯人目線で物語が進んでいくので、
    逆に「一体この物語の終着点はどこだろう?」と乱歩の掌で転がされている感覚が強かったです。
    乱歩本人が解説にもあるようにこのような夢想物語を描くことを恥ずかしいと思っていたようですが、
    島に上陸してからの描写は耽美的で浮世離れしていて、
    到底理解できぬ程の狂気なのに恐ろしく美しいと思ってしまう。
    まるで宗教画や西洋絵画を眺めているような美しさで、
    特に海中と最後の花火の描写は自分が「事件」を読んでいるにも関わらず、あまりの極彩色の暴力的な美しさに事件を忘れてしまう程でした。
    「芋虫」や「人間椅子」とはまた違う狂気で、乱歩の才能に驚かされました。

  • 『パノラマ島綺譚』はパノラマ島の描写がすごく細かくて、想像するだけですごく美しい場所なんだろうなぁ。と思った。でも、最後があまりにもあっけなくて残念…それとも最初から廣介は決めてたんだろうか?
    もう一つの『柘榴』はミステリーなんだけど、その内容より硫酸で溶けた顔を柘榴に見立てるのにすごく惹かれました。美しいなぁ…

  • 終わりは意外と呆気ない。

  • 少し長いけど全く飽きずにどんどん読めた。同時収録の『柘榴』も面白かった。

  • 前前前世系

  • えー嘘だ、嘘〜、そんな〜えっ、おー、おお、やばっ、ありえねー、ぜっていありえねぇーよ、そんなー、気持ち悪、そんな〜、おー、あはは、そりゃねぇよ、馬鹿馬鹿しいわ、見てらんねーよ、そりゃやばい、おーー、あーーそんなオチ、そりゃヤベェな、そのオチはやべぇよ、もう一度そのオチはやべぇよ、異端すぎ、奇譚すぎだろ、そこで、俺も裸体を拝みたいわ〜

  • 主人公の人見廣介は、自分とうりふたつの富豪・菰田になりすまし、莫大な資産を投入して絶海の孤島を奇抜な芸術の島に造り変える。それが「パノラマ島」。冒頭の頁に、M県ちかくI湾にある島、という記述がある。そのため私は、以前伊勢湾を渡るフェリー航路から遠望したことのある「神島」の風景が目に浮かんだ。
    さて、逝去した富豪にする変わるトリックや下準備も詳述され、これも主題のひとつ。なのだが、奇想の建設実現に邁進する人見の暴走ぶりが痛快。この奇想こそ乱歩の描きたかった本当のテーマのように思える。きてれつな人口風景の意匠も面白いのだが、やがて登場する「キャスト」たちの存在が笑える。どうやら踊り子みたいな娘を大勢雇用しているらしい。彼女たちはどういう気持ちで島の「アトラクション」を運営しているのかな、と考えるとおかしかった。
    そして終盤、探偵・北見小五郎なる人物が登場。謎解きを始める。いつしか人見が行き突くところまで暴走し、奇想を極めることを期待していただけに「小五郎、余計なこと無粋なことしないで!」という心持ちになったのであった。

    もう1編「石榴」を所収。乱歩作品には、変装、なり替わりが頻出するように思う。自身にもその願望が根強いのかもしれない。

  • 昔のカルト映画を思わせる作品。
    ただし、オチが「そんなんでいいの?!」というような
    呆気ないもの。

    それで、いいのかもしれない。
    狂人の夢、それを具現化した奇妙な島。
    そういったものを楽しむための娯楽作品として、完成しています。

    どの作品でも同じことですが、
    病的な美しさの表現は、乱歩自身が実際にそういった類の偏執者なんじゃないかと思うくらい、
    油絵のように立体的で、粘っこく書かれていました。


    あくまでもサイコであって、推理小説ではない。
    それが乱歩の魅力であると思いました。

  • 自分と瓜二つの他人になりきって楽園を作るなんて、設定がぶっ飛びすぎている。でもそこが面白い。

  • 人見廣介が悪事に手を染めるまではドキドキひやひやしてすっごく面白いんだけどパノラマ島の描写は想像力がないとあんまりイメージできないところもあるし海底トンネルのところとかくどいような気もするし…取って付けたような推理も好きじゃないんだけどラストは本当に本当に乱歩の小説の中でも一二を争うくらいにすき
    残酷でグロテスクで目も当てられないような惨劇が鮮やかに美しく夢物語の景色のように描かれてると思う
    すごいすき

    柘榴の方は顔のない死体がテーマのミステリ
    おもしろいんだけど探偵役が鼻に付く

  • 「パノラマ島綺譚」気持ちが悪いながらも美しい作品。壮大。
    「石榴」所謂ミステリーという感じ。どんでん返し(?)も好き。

  • パノラマ島奇譚 石榴の2本

    石榴の方が印象深かった。裏を読んでそのまた裏を読んで。。ジャンケンでそれを瞬時に判断できる人物。。凄いな。。
    そして、美人だから惚れられるわけでもないのか、手に入れたからこそ他へいくのか。。。

    パノラマは、主人公の創造する世界観を表現するには
    他人の力が大分必要なわけだが、従った理由が気になった。。単純なお金なのか、説得しうるほどの魅力がその世界観にあったのか。。。
    色々想像してしまう。

  • 最後そう来るかと>パノラマ島。こどものころから大好きだが、乱歩は怖さよりなぜか笑いが勝ってしまう(笑)

  • 解説でも書かれている通り、犯罪そのものより
    パノラマ島の描写が半分を占めるのが特徴的だった

    そして同時収録の石榴はごくスタンダードな推理小説だった
    発売された当時は評判が芳しくなかったらしいが、個人的にこちらの石榴のほうが好きだった

    オチはどちらもあっさりした印象

  • ◎パノラマ島奇譚
    思っていたよりミステリー要素が薄かった。
    解説での引用で乱歩自身も言っているように、まさしく冒頭の入れ替わりは面白かったが、島そのものの描写はやや退屈だった。
    しかし終わり方にほどよく薄気味悪い余韻があって良かった。
    ようやく乱歩の方を読み終わったので、丸尾版に手を付けてみたい。

    ◎石榴
    表題からして酷い殺され方なんだろうと思ったら正しくだった。
    裏の裏の裏をかく小説だが、比較的見当の付きやすい内容でプチ探偵気分を味わえて楽しかった。
    テンポも良くて読みやすく、先が気になる展開でスルッと読めた。
    最後のどんでん返しも面白い。

  • 【本の内容】
    売れないもの書きの廣介は、極貧生活ながら、独特の理想郷を夢想し続けていた。

    彼はある日、学生時代の同窓生で自分と容姿が酷似していた大富豪・菰田が病死したことを知り、自分がその菰田になりすまして理想郷を作ることを思いつく。

    荒唐無稽な企みは、意外にも順調に進んでいったのだったが…。

    ほかに「石榴」を収録。

    妄想への飽くなき執念を描くベストセレクション第6弾。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    大富豪菰田源三郎を墓から掘り起こし、源三郎になりすました人見廣介。

    疑う人たちを富の力で騙し、彼は夢想していた地上の楽園美の国夢の国を沖合の島に建設した。

    そしてただ一人騙し通すことの出来ない千代子夫人を島に連れ出して殺害することにした。

    美とグロテスクのハザマにあるパノラマ島で繰り広げられる悪夢。

    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

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    [ 参考となる書評 ]

  • パノラマ島に行ってみたい。
    こういった不気味で美しい描写は個人的には好み。
    独特な世界観だと思う。

  • パノラマ島の情景がクレイジー過ぎて脳内で想像できなかった…(笑)上級者向けだ…。
    乱歩先生の頭の中もクレイジーなんだなって思ったのでした。素晴らしいです

  • 『パノラマ島綺譚』、『石榴』収録。

    パノラマ島綺譚
    江戸川乱歩独特の不気味さと美しさが一際目立つ作品。
    ただ、自分の想像力の足りなさでイメージがうまくできない場面がいくつかあったのが残念。

    石榴
    個人的にすごく好き。
    最後の大どんでん返しには衝撃でした。

  • ミステリーというより幻想小説といった感じの作品です。
    人見の妄想を実現した「パノラマ島」の描写が素晴らしいです。美しさと狂気が入り交じった何とも言えない雰囲気が堪りません。非常に乱歩らしい作品だと思います。

    「石榴」はラストのどんでん返しは想定内でしたが、切れ味は抜群。良作だと思います。

  • ・パノラマ島奇譚
    独特の世界観やその美しさに惹き込まれる。
    最後の様な光景を見たら、自分はどうなってしまうんだろう。


    ・石榴
    どんでん返しが繰り返されて多少混乱した。
    タイトルが重い意味を持っていていい。

  • 「パノラマ島綺譚」
    自分と瓜二つな人物になりすまし、思い描いていた理想郷を現実につくり上げた男の話。パノラマ島の描写が長く、まるで夢のようで現実味のない話だけど、読み終わったあとにはその異様な光景が頭に残り続ける。江戸川乱歩の強い美意識が感じられる作品。

    「石榴」(ざくろ)
    乱歩の短編「二癈人」に設定が似ているけど、事件のトリック中心で、私はこちらの方がおもしろく読めた。
    硫酸をかけられて真っ赤になった顔を、まるではぜた石榴のようだと描写するそのセンス…すごい。

  • 江戸川乱歩の作品は、結構好きで以前にも「人間椅子」や「芋虫」などの有名な作品は読んでいた。人間の持つ悪の部分をじわじわと表現するうまさがあり、どんどん作品に引き込まれる。ただし、乱歩の描くパノラマ島の描写に自分の想像がついていけているか、他の人はどんな想像をするのだろうと興味が沸き、絵になっているものがあったら観てみたいと思った。

  • 今更ながら読了。

    表題作のパノラマ島奇譚もさることながら、石榴が私的にはすごくよかったです。
    この間読んだ『死体を買う男』は確実にこの作品を底においているんだろう、と思いました。

    パノラマ島奇譚
    …いうまでもなく、島の描写が美しい。日本人の「ぞっとするような美しさ」を、正面から突き詰めたら、きっとこんな風に恐れを抱かせる美が実現されるのだろうと思います。
    ミステリ部分(事件とその露見、そして告発と幕切れ)ももちろん秀逸で同じ美しさが貫かれているのですが、それすらも、この島の物語を完結させるための仕掛けのひとつと思われます。


    石榴
    …常軌を逸した殺人事件と、それを巡る人たち。重要人物が、探偵役である主人公の知古であるのが、生々しくけれど温かくて好きな空気でした。
    ミステリといえば探偵がいて、主人公はちょっぴり考えの足りないワトソン役というのが常道ですが、私はこの、主人公が探偵役で、主人公と一緒に悩んだり解決したり、解決したと思ったのにどんでん返しにあったり、というのが好き。

    二作とも大満足な作品でした。
    さすが乱歩!現代文学には多くない、巨匠の作品に触れました。

  • 結末が見えているのに中々進まない物語。そこに魅力が詰まった作品であった。

  • 売れないもの書きの廣介は極貧生活ながら独特の理想郷を夢想し続けていました。
    彼はある日、学生時代の同窓生で自分と容姿が酷似していた大富豪の菰田が病死した事を知り、自分がその菰田になりすまして理想郷を作る事を思いつきます。
    荒唐無稽な企みは意外にも順調に進んでいくのですが、妻には彼が偽物である事を感付かれてしまいます。
    廣介の妄想への飽くなき執念が怖いです。
    本書の結末は強烈です。

  • 先に丸尾末次のまんが版を読んでしまってから積読状態

  • 奇妙な美しさが病みつきになる一冊。

  • 赤池君のその後が気になる

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著者プロフィール

江戸川乱歩(えどがわ らんぽ)
1894年10月21日 - 1965年7月28日
日本を代表する小説家・推理作家。三重県生まれ。ペンネームの江戸川乱歩は、小説家エドガー・アラン・ポーに由来。早稲田大学で経済学を学びながらポーやドイルを読む。様々な職業を経験した後、大正12年、雑誌「新青年」に「二銭銅貨」でデビュー。昭和22年、探偵作家クラブ結成、初代会長に就任。昭和29年、乱歩賞を制定。昭和32年から雑誌「宝石」の編集に携わる。昭和38年、日本推理作家協会が認可され理事長に就任した。代表作に『D坂の殺人事件』、『陰獣』、『孤島の鬼』、『怪人二十面相』、『幻影城』、『探偵小説四十年』など。少年探偵団シリーズは絶大な人気を博した。

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