トウェイン完訳コレクション 人間とは何か (角川文庫)

制作 : 大久保 博 
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 34
レビュー : 1
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053621

作品紹介・あらすじ

「人間が自分で生み出すものは、何ひとつない――ひとつの意見でさえも、ひとつの考えでさえも、生み出すことはできないのだ」
人間は機械であると主張する老人と、人間の良心を信じる若者。
自己犠牲や母の愛などを例にあげて反駁する若者に、老人は人間の行動はすべて自己満足の結果に過ぎないと巧みな説話で導いてゆく。
アメリカ文学の巨匠トウェインならではのユーモアと鋭い洞察で人間の真理を暴く、最晩年の傑作。
解説・金原瑞人

感想・レビュー・書評

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  • 若者 それなら明らかに、人間というものはすべて、善人にしろ悪人にしろ、どちらも、その身を捧げるのは自分の良心を満足させるためなのですね?
    老人 そうだ。それが一番ふさわしい名前だろうな、それを呼ぶのには。「良心」ーーあの自主独立した「主権者」、あの傲慢なる絶対の「君主」。人間の内部にあって、人間の「主人」なるものだ。良心にも、ありとあらゆる種類のものがあるからだ。暗殺者の良心だっ場合によっては満足させられるし、博愛主義者の良心だって、守銭奴の良心だって、押し込み強盗の良心だって、やはり満足させることができる。一つの指針ないしは動機として、それが厳然と規定されたどんな道徳や品行(ただし鍛錬は別だが)にたいしても役立つかと考えた場合、人間の良心などというものはまったく価値のないものなのだ。

    老人 だが、彼らを鍛錬するんだ。そして戦闘を一つや二つやらせてみるのだ。そうすれば、彼らだって兵隊になるはずだ。そう、兵隊だ。兵隊としての誇り、兵隊としての自尊心、兵隊としての理想をもったものにな。そうなれば、彼らは兵隊としての精神を満足させなければならなくなるはずだ。事務員としての精神でもなく、整備工としての精神でもないのだ。その精神を満足させるのに、兵隊としての義務を避けていたのではとてもできることではない。そうだろう?

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プロフィール

Mark Twain, 1835―1910
アメリカ合衆国の小説家。ミズーリ州フロリダ生まれ、同州ハンニバルで育つ。本名サミュエル・ラングホーン・クレメンズ(Samuel Langhorne Clemens)。西部・南部・中西部の庶民が使う口語を駆使した作品によってその後のアメリカ文学に大きな影響を与えた。『トム・ソーヤーの冒険』(1876年)のほか数多くの小説や随筆を発表、世界各地で講演も行ない、当時最大の著名人の一人となる。無学の少年ハックルベリー・フィン自身の言葉で語られる『ハックルベリー・フィンの冒けん』(イギリス版1884年、アメリカ版1885年)はなかでも傑作とされ、アーネスト・ヘミングウェイは『アフリカの緑の丘』で「今日のアメリカ文学はすべてマーク・トウェインのハックルベリー・フィンという一冊の本から出ている」と評した。

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