トウェイン完訳コレクション 人間とは何か (1) (角川文庫)
- KADOKAWA (2017年4月25日発売)
本棚登録 : 189人
感想 : 14件
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784041053621
作品紹介・あらすじ
「人間が自分で生み出すものは、何ひとつない――ひとつの意見でさえも、ひとつの考えでさえも、生み出すことはできないのだ」
人間は機械であると主張する老人と、人間の良心を信じる若者。
自己犠牲や母の愛などを例にあげて反駁する若者に、老人は人間の行動はすべて自己満足の結果に過ぎないと巧みな説話で導いてゆく。
アメリカ文学の巨匠トウェインならではのユーモアと鋭い洞察で人間の真理を暴く、最晩年の傑作。
解説・金原瑞人
みんなの感想まとめ
人間の本質を探求する本作では、外部からの影響によってのみ行動が生まれるという挑戦的な論が展開されています。特に善行についての議論は興味深く、人間が行動する際には自己満足や他者の目を意識しているという視...
感想・レビュー・書評
-
人間は外部からの影響でしか何かを生み出すことができないという刺激的かつ挑戦的な論が展開され、非常に興味深かった。
特に、善行の話は凄く面白かった。人が善行するとき、その人は外からの目線や、自分の良心に耐えられないなど結局は自分自身を第一に考えているというのは凄く納得してしまった。
人間は機械だとするこの論は一見酷いものだと思うかもしれないが、勇気づけられる人もいるのではないかと思った。とある選択をずっと後悔して悩んでいる人や、自分の勇気の無さに嘆いている人などには救いとなるような気がする。ともかく、これが良い悪いではなく、一つの考えとして吸収できて良かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
耄碌した人間の主張を飲み込みの悪い若者が聞いてるだけ。100年前の本に文句つけても仕方ないが。
“人の行動は自分の精神を満足させるように決定される”というのも、人の善性につけ込んだような詭弁。ある程度成熟した人間なら、上の主張を完全に否定はできない。そもそもこの主張自体に魅力がない。わざわざ労力を割いて否定も肯定もしたくならない
「困っている人を助けたい」という感情と、「困ってる人を助けることで満足したい」という感情を比べた時、何の根拠があって後者を第一とするのか。所詮は著者がそう思っているだけ。
中盤あたりで、人と動物を比べ出した時は閉口した。何を基準に比較しているのか、その基準を恣意的に選んであーだこーだ言われても何も感じない。 -
脱西洋的なのかな、反近代的なのかな、と色々と考えていた。どうも整わない。だけど自由に対する態度がリバタリアン的自由を指していると思った。ようは両立論的自由に疑問を持っている。
今の僕らから見ると、戦前の思想と前後の思想で大きく分けられる。戦後の思想は戦争の反省が込められている。戦前の思想はそこが見落とされている。戦前:ハイデガー実存、戦後:レヴィナスと言える。この時のマークトウェインは、戦後的だなと思った。
コミットなど外部に目的をもつと、目標達成のための自由行使になる。諸刃で、今の露のようにもなる。それは戦争に対する反省が外れていると思う。コミットそのものが悪いのではなく、戦争などを召喚するリスクがあり、それを承知していなければ破滅に向かってしまうこともあるだろうと。マークトウェインはそのリスキーな状態に疑問を呈したのだろう。新しい戦前というのは、コミット時代ということでもあると思う。
対談型の文は苦手だなぁとやはり思った。 -
人間を機械として描写。人間は創造的な存在ではなく、外からの刺激に反応するだけの機械で、その動力は自己満足に過ぎないと。この見解は一見寂しいものですが、割り切って考えれば、生き方が気楽になるかと。外部の影響に対する反応を受け入れることで、心の負担が軽くなるのです。トウェインの洞察は新たな視点を提供してくれました。刺激的な読書体験。
-
■評価
★★★★☆
■感想
◯人間とは機械であると主張する老人と、それを否定しようとする青年の対話。
◯「自己の精神を満足させることが、行動原理の全て」とする考え方は、かなり納得感があった。
◯サイコパスの考え方は、実は本質的なのかもと考えさせられる作品だった。
◯鉄を精錬・加工していくアナロジー(鋼鉄・銑鉄・鋼で、不要な成分を除いて性質を向上させていく)は、非常にわかりやすく、面白く読無事ができた。
◯金の延べ棒に水蒸気を吹きつけても変化しないけど、気化水銀を吹きかけると溶け出てしまう話や、鉄の精錬の話のアナロジーも面白い。外部からの影響力でいかに左右されるかというのと、それを受けうる気質があるかというたとえとして使われている。 -
自分の直感と合ってた
-
本編も面白いが、訳者あとがきにドキッとさせられた。『反応しない練習』(草薙龍瞬)を思い出しながら読んだ。
-
明治維新以降濃厚な関係を持つようになった米国
この米国と古くからの関係国中国との関係で憎らしいほど複雑化した、第二次世界大戦。僕の時代認識は最近の事象含みで嫌悪米国へと及ぶ、そのような時節に本書と出会い心が解き解された◎米国は政府と人民をある程度分離して考える必要がある。と。そのような書き出しで始めた本書感想は、濃厚な禅問答と良質な瞑想レクチャーを受けたかのような内容により一層のトゥエイン作品への興味関心を引き立てた。と言うものである。訳者大久保博氏、解説金原瑞人氏に感謝◎ -
あらゆる価値観、なにより人間の存在や尊厳に対する挑戦的な主張が展開される。
「人間はただの機械である」
鋭い洞察により人間の真理を悲観的に捉えているけれど、きっとトウェインが人間に希望をもっていたからこその結論なんだろうな…。
著者プロフィール
マーク・トウェインの作品
