肉弾

著者 :
  • KADOKAWA
3.74
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本棚登録 : 106
レビュー : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053829

作品紹介・あらすじ

豪放でワンマンな父親のもとで育った貴美也は大学を休学中のニート。親に反発しながらも庇護下から抜け出せずにいる。そんな彼を父親は、北海道での狩猟に連れ出した。地元ガイドの話を無視し、大物の雄鹿を仕留めるために、父子はカルデラ地帯の奥深く分け入っていく。そこに突然熊が襲ってきた。なすすべなく腹を裂かれて死ぬ父親。ひとり取り残された貴美也。後ろから気持ちの悪い唸り声が追ってきた。情けなく涙と涎を垂らし、悪態をつきながら、貴美也は逃げる。ただ、死なないために。
自分の傲岸なまでに強靭なエゴに支配される人間。人間に従属する歴史を繰り返した犬。人間の営みにより生活をおびやかされた熊。残酷だが美しい、それぞれの生――そして青年は覚醒する。

感想・レビュー・書評

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  • 『颶風の王』の花島(ユルリ島がモデル)の馬の姿が忘れられず、河﨑さんの二作目をすぐに予約しました。

    舞台は北海道。原生林開墾・開拓の末のイナゴ襲来と冷夏。容赦のない自然の厳しさを突きつけられる。『羆嵐』のような怒涛な展開に圧倒されました。途中で心の整理が出来ないまま話が進んでいくので「ちょっと待って。ちょっと待って」と動揺してしまいました。だけどよくよく考えてみれば(表紙がすべてを語っている)主役は人間ではなく、物言えぬ野生動物たちなのだ…と気がつき、その目線で読んでみると様々なことが見えてきた。

    増えすぎた鹿に対するオオカミの再導入案。融雪剤と野生動物の関係をググりながら読みました。自然のバランスを崩し壊し続けてきた人間の身勝手さに胸が苦しくなりました。調べていくうちに[風連湖でエゾシカを襲った野犬]の記事を知り、河﨑さんが伝えたかったことは、きっとこれだ…と感じた。ラウダたちの悲痛な訴えが聞こえてきたように思う。



    【カドブン】  
    平松 洋子さん(エッセイスト)のレビュー
     https://kadobun.jp/reviews/153/3e7c1c03 ←さらに深くすごすぎる感想。

    • vilureefさん
      こんにちは。ご無沙汰してます(*^_^*)

      「颶風の王」、良かったですよね!
      スランプ中だったのもあってただただ圧倒されたままレビュ...
      こんにちは。ご無沙汰してます(*^_^*)

      「颶風の王」、良かったですよね!
      スランプ中だったのもあってただただ圧倒されたままレビューも書いていない私・・・(^_^;)

      2作目が出ていたのですね。
      これは読まねばなりません。
      いい本のご紹介、ありがとうございます!
      2018/01/30
    • まっき~♪さん
      vilureefさん、お久しぶりです。
      お元気ですか?

      『颶風の王』とても好きです。
      圧倒されてのめり込んで徹夜に近い感じで読んだ...
      vilureefさん、お久しぶりです。
      お元気ですか?

      『颶風の王』とても好きです。
      圧倒されてのめり込んで徹夜に近い感じで読んだのを思い出します。
      今も読みたいな~と思うけど、気力がなくて…(>_<)

      二作目は『肉弾』です。
      『颶風~』とは毛色が違っていて、むむむむ…と、うなりながら読みました。
      いろいろあるけど……
      (真っ白な気持ちで読んでほしいのでこれ以上書きません)

      私は河﨑さんの作品が好き、とハッキリ感じました。
      vilureefさんのレビュー楽しみにしています♪



      私はvilureefさんが星4をつけた島本さんの
      『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』を楽しみに待っているところです。
      (只今予約中です)

      =少し脱線しますね=

      昔、(確か…)アンソロジーで島本作品ホットロード論を展開していたvilureefさんに
      ほれぼれしたのを今でも思い出すのです。
      (キャンディキャンディ論もあったような………違っていたらゴメンなさい)

      スコーン…と私の中に落ちてきて
      私の心の底にあるものに目を向けさせてくれたというか、気がつかせてくれた
      vilureefさんに感謝してるんです。(あ、告白みたいで恥ずかしいです。照)
      でも本当にそうで、vilureefさんからしてみると、何だコイツ、トンチンカンなこと言って
      こわいって感じるかもしれないけど、過去にそういうことが起こったんです。
      この場を借りてお礼を言わせてください。ありがとうございます。

      こういうことがたくさんあって
      目をそむけていたことに気がつかされてブクログやってて良かった…と思うのです。

      色々な人の感想が見ることが出来て考えさせられて
      自分だと絶対に選ばない本にも出会えて、本当にあたたかい居場所だな…と
      しみじみ思うんですよ。

      こんな私ですが…
      これからもどうぞ、よろしくお願いします(^^)

      2018/01/31
    • vilureefさん
      まっき~♪さん、こんにちは(*^_^*)
      私は元気です!
      ここのところ子供関係の役員の仕事に忙殺され、人生で一番忙しいのではないか?と思...
      まっき~♪さん、こんにちは(*^_^*)
      私は元気です!
      ここのところ子供関係の役員の仕事に忙殺され、人生で一番忙しいのではないか?と思う日々でございます(←おおげさ笑)
      忙しさにかまけて本も全く読めず、おのずとブクログからも遠ざかってしまい面目ない・・・。

      いやー、まっき~♪さんさんからの告白、嬉しすぎて涙が出そうになりました。
      私のレビューの中身うんぬんではなく、レビューを読んで覚えてくれている人がいるってだけで、胸がいっぱいになりました。

      私、島本作品、ホットロードだとか、キャンディキャンディだとか、良いんでしょうか?こんなレビューで・・・(^_^;)
      まっき~♪さんさんをはじめ、お仲間さんのレビューってすっごい深いんですよ!
      ちゃんと読みこんでいて、それを表現する力がすごい。
      私なんて浅い浅い(笑)
      思った事を書くのが精いっぱいで・・・。
      恥ずかしながら書いているのですが、読んでいる人がいると思うと勇気百倍です!(笑)

      私こそ、感謝感謝ですよ。
      まっき~♪さんのおかげで出会えた本、たくさんありますもの。「蛍の森」なんて良かったな~。
      いつもまっき~♪さんさんの読書量とジャンルの広さに驚かされています。
      たくさん気になる本があって困ってしまうほどですよ(*^_^*)

      円軌道の外さんの復帰もあちこちで盛り上がっていたようですが、私もちょっとばかり間が空いても温かく迎えてくれるここが好きだーって思いますよ。
      いなくなっちゃった人もたくさんいますが、また会いたいですね・・・。

      こちらこそこれからもよろしくお願いします(*^_^*)
      2018/02/01
  • 「颶風の王」で根室ユルリ島の野生馬たちを描いた作者が、次に何を描くのか、興味を持って待ち望んでいました。
    今回はより野生に肉薄した物語です。

    北海道では開拓民と動物たちのせめぎ合の中で歴史が作られてきました。森林を開拓して10年経っても立ち行かない暮らし。そこで起こる悲劇。小説「羆嵐」を思わせました。狼を絶滅させた後に増えた鹿。食べ物が足りない山の中。人の味を覚えた羆。さらには人間の都合で捨てられた犬たち。美貴也は父に半ば強制のうちに羆棲む森の中へ連れてこられ、異様な体験をします。
    息をつけないほどの緊張感。冷徹なまでに描かれる死、死、死・・・。

    本作では人間のエゴが描かれ、前作よりもさらに自然と人の生き方を突きつけられる思いでした。残酷だけれど、真実がここにある。異世界の体験をした美貴也が、これからどんな人生を送るのか・・・それは全て読者に委ねられます。

    ますます楽しみな作家さんですが、本業は羊飼いでいらっしゃるので、そちらの方も応援したいです。

  • ちょっぴり現実離れしていますが、なかなか読
    み応えがありました。文体がいいですね。

  • 期せずしてまた犬!こういうシンクロがあるから楽しい。
    とはいえまったく違う犬!エスパー魔美を思い出す。
    ハラハラと一気に読んだ。デビュー作も読みたい。

  • 人間の弱さと愚かさと。覚醒したとは言っても結局犬の助けがなければ勝てなかった野生との戦い。その犬は愚かな人間が捨てた産物。そんなんなら飼わないで。本当のそう思う。戦いのシーンは圧倒的な筆力、表現力であまりの生々しさに眉をひそめたくなるほどでしたが、キミヤもその父も愚かで。ただ、父は父なりにキミヤを愛しているんだ、愛していたんだ、と文章のそこかしこから感じることができました。ただ間違っていた。不器用じゃなくて、間違っていたと私は思います。救出されたあとのキミヤとラウダのその後を知りたい。続編出ればいいなぁ。

  • 主人公のキミヤは何をする訳でもなく、家に引きこもっている。
    豪放で強引な父親に反発するが、勧められるままに狩猟免許を取得。
    2人で北海道の釧路へ鹿撃ちに出かける。宿泊先のオーナーがキミヤに語る開拓者たちの歴史も胸に迫るものがあった。

    全体を通して、北海道に住み羊を飼って生活をしている河﨑さんだからこそ書けることだと思う。
    森の中の描写は、獣の匂いと咆哮を身近に感じさせる。
    そのため、本を持つ手に力が入った。
    「颶風の王」に続き、今回も読み応えありの作品。

  • まあたまにはこういう妄想小説もいいだろう。

  • 前作のデビュー作も凄いのがきたと思ったら、またも…「電車で立って読んだら危ないやつ」。羊飼いを生業としている筆者。いつもどんな景色を見て、自然と動物達と人間たちのことを考えているんだろう。次作も楽しみ。
    2018/1/1読了 2018年の1作目

  • デビュー作の「颶風の王」が骨太な話で好きだったので、2作目の本作も期待して読みましたがいまいちでした。引きこもりの少年が犬と力を合わせて熊と素手で戦うという、、、。リアリティがなさすぎました。生きるか死ぬか、殺すか殺されるかの自然の過酷さを伝える描写が多くてお腹いっぱい。

  •  猟が禁じられた摩周湖周辺の森林の中に、密かにヒグマ狩りを狙った父子が入り込んだ。父子が遭遇したのは、予定?通りどう猛なヒグマだ。早々に父親はヒグマに食されてしまう。想定外は、そこに野犬の群れが現れたことだ。飼い犬が捨てられ、野犬化した、言わば棄犬の群れだ。一時は自死さえ考えた主人公は、犬の群れの頭目となり、ヒグマと対峙する。
     父子関係の軋轢がもたらす人生の無力感から家に引きこもっていた主人公は、意外なほどの生命力を取り戻していく。『野生の呼び声』のような動物小説を期待していたので、軽い期待外れ感がある。少年の成長譚としても少し期待外れだったかな。

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プロフィール

羊飼い。1979年北海道別海町生まれ。北海学園大学経済学部卒。大学卒業後、ニュージーランドにて緬羊飼育技術を1年間学んだ後、自宅で酪農従業員をしつつ緬羊を飼育・出荷。2012年「東陬遺事」で北海道新聞文学賞(創作・評論部門)受賞。2014年に三浦綾子文学賞を受賞した『颶風の王』を15年KADOKAWAより単行本として刊行。同書で2015年度JRA賞馬事文学賞を受賞した。

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肉弾 (角川書店単行本) Kindle版 肉弾 (角川書店単行本) 河崎秋子

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