本日も教官なり

  • 86人登録
  • 3.56評価
    • (2)
    • (18)
    • (8)
    • (4)
    • (0)
  • 14レビュー
著者 : 小野寺史宜
  • KADOKAWA (2017年9月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041053904

作品紹介

S字、クランク、ロックンロール!

豊士の教習車には今日もさまざまな人が乗り込む。カレシに飲酒運転をさせまいと教習所に通う佳世。就職先で免許が必要な大学四年の七八。孫娘の幼稚園送迎のため69歳で免許取得を目指すしの。彼ら教習生に対し紳士的に接することを心掛ける豊士。だが、それどころではなかった。17歳の娘が妊娠したというのだ。若い男女の教習生は、ついつい娘とその相手に見えてしまう。加えて現カノジョ・万由とは徐々に疎遠に。元妻・美鈴との再会がそれを加速させる!? どうなる、ロック中年・豊士!!

本日も教官なりの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 自動車学校の教官、益子。
    妻と別れ、転職し、職場と自宅と行きつけのバーを回遊するような生活を送る45歳。

    ある日、別れた妻から電話がかかってくる。
    「美月が、娘が妊娠した」

    相手は誰?産むつもり?学校は?


    別れた元夫である自分に相談してくれた事実を嬉しく思いつつ、そして再び娘に会えたことを喜びつつ、少しでも娘を支えたい、守りたいと奮闘する益子。
    さらに、自動車学校には様々な弱点を抱える生徒が益子を指名してくる。
    カーブで膨らむ35歳女性。
    孫のために免許に挑む69歳の女性。
    サッカーにかける男子大学生(就職間近)。


    完璧な人間ではない益子ですが、娘に対して、そして元妻に対して真摯に向き合っている姿に感動しました。
    自分が悪かった、と思えば子供相手にもしっかり頭を下げて謝罪できる度量の広さや、言い難いことも誤魔化さずに伝える強さは、この作品の大きな魅力だと思います。

    ただ、欲を言えば、もう少し「教習」のシーンを掘り下げ、じっくりと描いて欲しかったな、とも思います。

  • さくさくさくっと読めました。
    高校2年の娘に子供ができたという
    なかなか大事件で始まったにもかかわらず、
    そこはすすすーっといくのです。

    それ以外も全部すすすーっといくのです。
    年末、読むにはもってこいでした。
    重い話はできれば読みたくないので。

    でも、しのさんという高齢者の方とのやりとりは
    なかなか考えさせられました。
    教習所の教官という立場を超えて、
    相手を思って言う男気、ロックですね。
    私もそうありたいものです。

  • さっくり読め面白かった。
    娘(離婚した妻と暮らす)の妊娠から始まり教習所での生徒さんとのやりとりなどなど。
    わりと希望を持てる感じで終わって良かった。

  • ほっこりするような感じですね。
    暖かい気持ちになります。
    女の人母親は強いですね。

  • 小野寺史宜 著「本日も教官なり」、2017.9発行。蜜葉市四葉自動車教習所の教官をしている益子豊士(ますこ とよし)45才の物語。S字やクランクの感覚、運転で特に注意することや心構えを教習者と同じ気持ちで聞きながら読み進めました。しかして、本題は、11年前に離婚した元妻美鈴、そして娘美月との関係が中心テーマ、美月が高校2年で妊娠したことから父親としての役割が生まれ、始めはぎこちない関係から徐々に父と娘の心が通い合うといったハートフルな物語。そして、それに呼応するかのように元妻との復縁の兆しも~。

  • 2017.10

  •  NHK『銀河テレビ小説』を見たかのような、ゆるめのほっこり、毒にも薬にもならない良くも悪くもいい暇つぶしになる作品。

     主人公はバツイチ独身、ガラケーを使い、60-70年台のロックを愛する昭和臭をプンプンさせた45歳の自動車教習所教官。日々教習車に乗り込んでくる様々な人との交流を描くのかと思えば、冒頭いきなり、別れた妻と同居する17歳の娘が妊娠したという報せから物語はスタートする。教習所なら即刻注意されそうな急発進だ。 まぁ、まどろっこしくなくて話の本筋がすぐに把握できてよい。

     以降は高校生の娘の妊娠問題を軸に、別れた家族との絆を少しずつ回復する主人公と、彼を取り巻く教習所の同僚と教習生の絡みがゆるく描かれる。

     章立てが月毎に7月から翌3月まで。これは教習所の規程にある1時間目を受講してから、第2段階後の技能講習(卒検)を終えるまでの期限が9ヵ月であることを示している。娘の妊娠が発覚するのが冒頭なのも、その期間を経て出産に至ることを暗示させる。
     この教習所の期限と妊娠期間の符合は本作品の肝で、そこに思い至ったのは作者の功績というか、構想する時点で「やったね!」とでも思ったのではなかろうかと想像する。

     著者の作品ははじめて。悪くはないが良くもない。気の利いた台詞、言い回しもあるが、膝を打つほどのものでもない。総じて、男がダメで、女性がしっかり者として描かれ、まぁ、世の中もそんなもんだろう。渦中の娘の毅然とした態度は胸を打つ。
     妊娠を理由に学校も辞めることになる娘(美月)。母親との会話で、

    「やめる」と美月。
    「本気?」
    「本気」
    「後悔しない?」
    「してもいい」

     おお、強いな。すかさず主人公の父親も

    「やられた。いい答えだと思う。しない、じゃない。してもいい。後悔はするのだ。することはわかっている。だが受け入れる。いい。ちゃんと見えている感じがする。」

     と心の中でエールを送る。11年の間ずっと離れていた娘と”事件”をきっかけに再会を果たし、少しずつ心を通わせていく物語進行はちょっぴりホロっとさせるね。

     作者の年代も近いことから、主人公の感性や子供に対する思いは著者自身のものに近いのだろう。その他、昭和な想い出、感慨も作者自信のものだろうなと思わせる。自分の感慨にも近いものだからなおさらそう思う。非常によく判るところだ。

    「S字、クランク、ロックンロール!」は、本書のキャッチコピーだが、本文の中にも出てくる。60年代、ヒッピー文化の三種の神器?「SEX,ドラッグ、ロックンロール」をもじったものだが、ロックも本書ひとつのキーアイテム。とは言え、各章ごとのタイトルでもあるが、BGM程度の使われ方で、最終章の「When I paint My Masterpiece」(The Band)くらいかな、ピタリと内容ともハマっているのは。
     ともあれ、60、70年台のロックの(というよりカントリーに近い)BGMは、読んでいる間、YouTubeで流しておくには心地好かった(このあたりも同世代的共感?!)。 ロックがかかる主人公が通う地元のバー「So and」関連の人たちも、程よい脇役っぷりを発揮している。

     教習所に通う生徒たちも、それぞれ個性があって面白い。が、クセ者やアクの強い人物がひとりもおらず平均的。悪くないんだけど、総じてNHK『銀河テレビ小説』的なんだよな~。
     嗚呼、昭和。

  • 小野寺さんらしいほっこりした物語でした。これは敗退じゃねえぞ、撤退だ。佳世さんがいい。「高ぇよ」

  • こうゆうのをロックな生き方って言うんだろうな。
    ギネスが飲みたい!

全14件中 1 - 10件を表示

本日も教官なりのその他の作品

小野寺史宜の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

ツイートする