ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 150
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054734

作品紹介・あらすじ

 「われわれがそれ(角栄潰し)をやった」。K長官が漏らした真意とは!?
「自主外交」で角栄はアメリカに潰された。
国際ジャーナリストが15年に及ぶ取材で掴んだ、数多くの決定的新事実!!

田中角栄はなぜ逮捕されたのか? その理由は「角栄の外交」に隠されていた。
アメリカは「日中国交正常化」などの「角栄の外交」をひどく嫌っていたのだ。
その後発覚した、戦後最悪の国際的疑獄となったロッキード事件。そこでアメリカは、密かに角栄の訴追を可能にする「ある細工」をした。
外交の対立も、角栄訴追に関わる秘密も、米機密文書には記されていたが、日米の根幹に絡む『巨悪』の深い闇は文書が公開されず、解明されなかった。

本書は「陰謀説」の真偽を徹底検証し、初めて証拠を挙げて解明する!
ロッキード事件の全容は、上記のように長らく解明されてこなかった。
結果、数多くの陰謀説が流布する事となる。「誤配説」、「ニクソンの陰謀」、「三木の陰謀」、「資源外交説」、「Kの陰謀」……。
米国立公文書館、ニクソン・フォード両大統領図書館、CIA、日本側資料、日米関係者らを取材・調査。
インテリジェンスの機微を知り尽くした国際ジャーナリストが15年に及ぶ取材から、初めて真の「巨悪」の正体を描き、巨悪の訴追が阻まれた理由に迫る!!
なぜ、首相の犯罪は繰り返されるのか? その構造までが浮かび上がる――。


【目次】

まえがき
田中がアメリカに嫌われた真の理由を明らかにする/Tanaka文書の経緯を逐一追う/巨悪の正体/陰謀説の真贋

第一部 追い詰められる角栄
序 章
第一章 発覚の真相
第二章 三木の怨念と執念
第三章 ロッキード事件はなぜ浮上した
第四章 キッシンジャーの「秘密兵器」
第五章 角栄の運命を決めた日
第六章 L資料の秘密

第二部 なぜ田中を葬ったのか
序 章
第一章 日中国交正常化に困惑した米国
第二章 北方領土で米ソが密約
第三章 田中文書を渡した真意

第三部 巨悪の正体
序章
第一章 児玉の先に広がる闇
第二章 日米安保体制を揺るがす

感想・レビュー・書評

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  • 分厚くてかなり読み応えがありますが、真相が理解できました。

  • 『ロッキード疑獄』を中心に据えた戦後日本とアメリカの政治の裏舞台を見事に調べ上げた作品。

    “ロッキード疑獄”をその事件に閉じて書かれたものではなく、その背景となるあの時代のアメリカ、日本、そして冷戦体制下で見据えたアメリカの姿が描かれている。
     それは、自由、民主主義を表面にかざしてわれわれ戦後日本人に憧れを感じさせた憧れのアメリカの裏に潜む『巨悪』を十分に伝えるものでもあった。  
     
     日本の政界においても同様で、佐藤栄作→田中角栄→(三木武夫)→福田赳夫→(大平正芳)→中曽根康弘と続く自民党政権の中でも脈々と受け継がれていたのだ。
     
     田中は、アメリカに嫌われていた。(米政権のコントロールが効かなかったから)
     
     インテリジェンス出身のキッシンジャーの狡猾さと性格の歪み具合。

     児玉誉士夫のことをもっとリアルにしりたくなった。出生や世に出て身をなした経歴は書かれてはいるが彼自身のリアルな言動は闇に包まれた部分が深く大きい。なぜ、ロッキード社は21億円もの金をポンと渡すことにしたのか、そんな大金をどうしたのか?

     中曽根の児玉誉士夫との昵懇さと、正義派の三木武夫のもとで幹事長を務めながら、『裏で揉み消し』工作を図っていたしたたかさが、表の言動と裏腹に中曽根政治姿勢の不気味さを感じさせられる。

     岸信介をはじてめ戦後囚われた戦争犯罪者たちが、アメリカの政策変換で見事に復活し、『反共の砦としての日本』作りのためにアメリカに操られながら、国民の血税をかっさらっていく姿が恐ろしく描かれている。


     
     

  • p48 誤配はなかった

    p61 砂防会館のエレベータに乗り込むとき、大勢の警視庁SPがいる前で、「おい、朝賀、トライスターってなんのことだ」 朝賀 飛行機の種類らしいですね

    このようにして田中は無関係という話が広がっていった。または、田中自身が意図的にそんなうわさを広げたとみていい

    p154 キッシンジャーは、いかに姑息なことをしても、我が身を振り返って反省するような人物ではない

    p177 現実の結果を先取りして言えば、田中角栄の名前を記した文書を日本側に渡している。それは、日米関係に過度のダメージを与えないという判断を国務省がしたからだ、ということになる。その反面、日米関係に回復不能なダメージを与えると想定された文書は渡さなかった、ということになる

    p214 日本側に提供されなかった資料の中に、「有償軍事援助(FMS)」による軍用機の対日輸出関係の文書が多数含まれていてもおかしくない

    巨額のFMS代金。その一部が右翼の児玉誉士夫や、政治家の懐に入っていたことが証拠付けられれば、日米安保体制は危機に瀕する、と国務省が恐れた可能性がある
    チャーチ小委の主席顧問ジェロームロビンソンは筆者に「小委の調査がインテリジェンスの領域に入ったので、調査は終了した。」と明言していた


    p268 どんな陰謀も動悸なしに企むことはない。動機があるから企みを実行する。動機はしばしば、怒りから生じる。怒りは突発的なものであり、時とともに鎮まって、忘れてしまえば、雲散霧消することもありえる
    だが、怒りは度重なると憎しみとなり、さらに復讐の動機を生む。復讐のための陰謀を企むと、純粋性を失い、さまざまな計略を考える 哲学者の三木清は、そんな人間の業を教えてくれる

    p271 キッシンジャーとニクソン大統領が、政治家田中の外交政策を嫌悪していた  アラブ寄りと独自の日ソ外交も

    p374 田中は、キッシンジャーの要求をはねのけて、「米国の戦略に従わず、親アラブの中東政策を発表、自主外構を貫いた

    p431 キッシンジャー 正義と混乱より不正義と秩序を重視する人物

    p452 キッシンジャーの田中邸訪問 ちょうど現場にもどる犯人のような心理状態で

    p468 刎頸の友 首を切られても悔いのないほどの、生死を共にする親しい友

    p503 佐々木秀世 ロッキード事件の永遠に明るみに出ない部分での深い関与があり、そのへんを検察につかまれて、因果をふくめられたのではないか

    p518 ロッキード事件は、3ルートで強制捜査が行われた。田中角栄を頂点とする民間用旅客機売り込みこう先の贈賄事件が断罪されたのは、そのうちの2ルート、「丸紅ルートと全日空ルートである。3つ目の児玉ルートとダグラスグラマン事件はまさに、未解明の安保利権の争奪戦だった

    p519 国産化を白紙撤回した理由は、田中の政治判断とする立場の再確認であり、日本政府はP3Cの購入を求めたニクソンからの圧力を認めたことになる

    p538 児玉誉士夫のネットワークと、米中央情報局(CIA)の対日工作が重なり合う部分がチャーチ小委のとっきー度事件調査で露出し始めたら、調査終了

    p549 ロッキー事件の脇役 シグ片山、鬼俊良、福田太郎、川辺美智雄

    p563 中曽根は巨悪側の人

  • 面白くよんだ。読みやすい構成と思う。キッシンジャーの陰謀から児玉ルートへと話は白熱していく。あの頃の時代がよみがえる。巨悪によって現代日本が形作られているわけだな。角栄は巨悪でもなく、単に利権にまみれて葬られてしまった。

  • 怒涛の600ページ。大事件の真相を抉り出すための15年に及ぶ取材。読み手すらも気が遠くなる…。政治、権力、利権、名誉、巨悪。この魔物と本気で対峙せねば日本の真の独立など望むべくも無い。ライフワークとしての戦後政治史探究は続く。

  • ロッキード事件には数々の謀略説があり、いまだにTVのドキュメンタリーや本の出版が続く。
    根強い角栄人気ということもあろうが、首相の犯罪という結論では、とても全容を解明できたわけではない、と多くの人が感じているからだろう。
    本書は、米国の公文書や公開・未公開文書への徹底的な調査を基にしたノンフィクション。35年の月日を経なければ分からないことがある一方、時間が経過すればわからなくなってしまうこともある。それを思えば、ロッキード事件でこれ以上の調査に出会うことはないのかも知れない。

  • ロッキードのコーチャンと田中角栄、躓きのきっかけは当人からすれば寝耳に水のような話だった。
    外国での不正な販売工作を行なっていると追求されていたのは実は別の米会社で、その会社の会長が何を思ったのか公聴会で突然「この商法のモデルはロッキード」と口走ったのが、疑獄事件の始まりだった。
    この会社(ノースロップ社)も元々はニクソンへの違法献金から問題が発覚し、つまりはウォーターゲート事件の調査から端を発している。

    事件が発覚し、外国政府高官の名前を含んだ資料の提出を求められ弱ったコーチャンは、社の顧問弁護士に相談する。
    弁護士は彼に、国務省を説得する材料として、この名前が漏れたら公表禁止の保護命令を出してもらえるような決定的な資料はないかと問い、コーチャンはよせばいいのにわざわざ高官の実名入りの金の支払いを示すメモを探してくる。
    それを提出して、キッシンジャーは司法長官あてに意見書を提出し、「これでわれわれは保護された」気持ちで一杯でいたのだ。
    確かに国務省は公表禁止の意見書を提出した。
    ただしその禁止対象に角栄は含まれていなかった。

    角栄が、キッシンジャーから蛇蝎のごとく嫌われたきっかけも、本人からすれば些末なものだった。
    角栄の第一印象はそれほど悪くなかった。
    特にニクソンは、角栄の娘のエピソードを引き合いに出して、むしろ好印象を持っていた。
    それが会談を重ねるごとに悪化する。
    その端緒は、キッシンジャーが求めた交渉の密使を立てる提案を、田中が拒んだことだった。
    別に彼からすれば何も含むところはなく、アメリカとの意思疎通は良好にしておきたいと考えていた。
    ただそれに仲介役はいらないと考えただけだ。
    しかしこれは失敗だった。
    一対一の会談で常にお互いの真意を交わせるというのは幻想だった。
    事実この後、日米双方とも思いの行き違いが頻発することになる。

    田中にアメリカの意向を無視した独自の外交を志向する気はさらさらなかった。
    ただ彼は、直面する諸問題に対して、他の政治家よりは機敏に、前例にとらわれず動いただけだった。
    しかもいちいち事前にキッシンジャーに伺いをたてているのだが、了解とも取れるような曖昧な回答しか返ってこない。
    この面ではキッシンジャー自身の陰湿な狡猾さが関係していて、どちらかと言うと、日本人全般をバカにしている印象。
    石油危機では日本に、米国の中東戦略に協力しろと言うが、その裏で何の手当も講じていないのだから、まさに「同情するなら、油をくれ」だった。

    果たして、ロッキードでの田中逮捕の裏に、キッシンジャーの陰謀があったのか?
    著者はその見立てだが、どうかな。角栄を公表禁止の対象者に含めなかったこと、そして彼を嫌い復権を望まなかったというのは、資料から確かなのだろうが、確実に政治的に抹殺したかと言われると違うだろう。
    そもそもキッシンジャー自身が、逮捕後の角栄に三度も会いに行っていて、最後などは病に倒れる直前だった事実は見過ごせない。
    著者はキッシンジャーが追い込んだ男の末路をただ眺めに来たと書いているが、むしろ政治的な必要があったからと考える方が自然だ。

  • キッシンジャーによる謀略によって角栄は葬られたが、日米安保に関わる戦争犯罪容疑者であり、逆コースの中で釈放され、CIAと共に今の日本を作った”愛国者”である児玉誉士夫、岸、中曽根=巨悪に迫れなかったその顛末に迫る。

    日商岩井や丸紅など、商社もその責任は重い。最近は兵器を扱ったフェアをやったりでまた話題になっているのを見かけるが、歴史に学ぶ必要をまた強く感じた。

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/H34r//K

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著者プロフィール

国際ジャーナリスト。1946年、京都市生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学)卒業。共同通信社入社。ニューヨーク特派員、ワシントン特派員と支局長、特別編集委員などを歴任。在米報道12年。1994年度ボーン・上田記念国際記者賞、2004年度日本記者クラブ賞受賞。07~12年名古屋大学大学院教授・特任教授、10~17年早稲田大学大学院客員教授。外務省「いわゆる『密約』問題に関する有識者委員会」委員を務めた。専門は日米関係、インテリジェンス、核問題。『米中冷戦と日本』『仮面の日米同盟』など著書多数。

「2020年 『ロッキード疑獄 角栄ヲ葬リ巨悪ヲ逃ス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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