- Amazon.co.jp ・本 (176ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041054765
作品紹介・あらすじ
なぜ出版社であり、IT企業であるカドカワが高校を? 新設の通信制高校として2016年4月の開校初年度から2000人を超える生徒が入学し、そのインパクトは「日経ビジネス」誌をはじめ多くの媒体で取り上げられた。中高生の不登校が社会問題化し、学びの多様化が叫ばれる中、既存の教育業界に一石を投じるN高が目指す教育革命とは?
感想・レビュー・書評
-
1386
崎谷実穂
フリーランスライター。人材系企業の制作部で企業パンフレット等のコピーライティングを経験した後、広告制作会社に転職。新聞の記事広告の仕事を専属で担当し、100名以上の著名人に取材。独立後はビジネス系の記事、書籍の執筆・編集を中心に活動。著書に『Twitter カンバセーション・マーケティング ビジネスを成功に導く“会話”の正体』(日本経済新聞出版社)、共著に『混ぜる教育 80ヵ国の学生が学ぶ立命館アジア太平洋大学APUの秘密』(日経BP社)、構成協力に『ニコニコ哲学 川上量生の胸のうち』(日経BP社)がある。
2015年 10 月、カドカワ株式会社が「N高等学校」を翌年4月に開校するとして、詳細を発表した。カドカワは、2014年 10 月1日に、出版・メディア事業をメインとするKADOKAWAと、ニコニコ動画などのサービスで知られるIT企業ドワンゴが経営統合して設立された会社だ。経営統合の記者会見時には、 角 川 歴 彦 会長が、ドワンゴの川上量生会長を高く評価し「ようやく私は、川上さんという若い経営者を手にしたんだと思う」と語ったことも話題を呼んだ。
「昔のひ弱だったあの子はどこに行ったのか、という感じ。N高みたいな学校をよくぞつくってくださった、と感謝したいですね。しかも、娘は第1期生。高校生になるタイミングに間に合わせてくれて、本当によかった(笑)。今度は、大学もつくってもらいたいな」(塩屋さん母) この言葉を聞いた立ち上げから関わる運営スタッフの目には、涙が浮かんでいた。
N高生は子どもばかりではない。N高「大人会」を率いるのが、吉村陽子さん、通称「よっこママ」だ。現在 39 歳、4人の子を持つれっきとした現役女子高生である。吉村さんは、中学、高校と進学校に通っていたが、高校2年の2学期に中退した。「いい大学に入れ、いい会社に就職しろ」と言われ続けるのにうんざりしたのだ。 20 代から 30 代は子育てに費やし、 40 にならんとする今、なぜ高校に入ろうと思ったのか。
「どんな人がN高に合っているのか」と聞くと、多かった答えが「目的意識のある人」だった。とある女子学生は、「N高で夢を見つけるんじゃなくて、もともと夢を持っている人が入学して、それをかなえる礎をN高にいるあいだに築くのがいいんじゃないかなと思います」と答えた。
N高は、カドカワという教育事業が主体ではない大企業がつくった高校である。これまでも、株式会社がつくった学校はあったが、ITとメディア事業がメインの会社が学校をつくったことはなかった。だからこそ、前例にとらわれない 斬新 な発想ができる。その挑戦に設立当初から、さまざまな有識者や著名人が注目してきた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
興味深いですね。ノビノビとITを学べる。
僕が10代なら親に懇願したかもしれない。
田舎モノでPC好きだった身としては憧れる学校ですね。 -
面白そう
行きたくなった -
立ち上げ当初の様子が少しわかっておもろかった。ここから5年くらい経って、今どんな感じなんだろうな。
主要KPI?においている、就業と大学実績ってのはまあ日本で高校生を育てる上では結局ここになるってことなんだろうな。 -
これが本当なら息子の進学先に考えたい。
-
コロナ禍で、ネットによる教育が急速に進んだが、ある意味では、従来の授業の補助手段として、考えられているような気がする。教育の景色が急激に変わってきているような気もする。
現在のyoutubeを見ても、大学の授業よりも面白いものがかなりある。
中田敦彦のyoutube大学は、実に考え抜かれたコンパクトな講義内容。こういう時代が来たのかと思った。さて、N校である。最初から、従来の学校方式でなく、ネットで通信教育をするという発想がいいなぁ。角川とドワンゴの協力で作ったのも、おもしろい。
ニコニコ動画というのがあるらしいが、よくわからない。引きこもりの学生たちに人気があるとか。
確かに、引きこもりの生徒に、その技術を使えば正規の教育を受けられるというのもおもしろい。
通信高校に通う生徒が、18万人(2015年)と書いてあって、驚いた。多いのだ。
個性に合わせた教育というのが、これから始まるのだろうが、この本を読んでいる限りは、あまり斬新さが感じられなかった。簡単にいうと哲学がない感じだ。最近興味持っているデザイン思考も欠如している。北海道の酪農体験、広島での刀鍛冶体験、山形県のマタギ体験、三重県の船大工体験、高野山の僧侶体験、沖縄のパティシエ体験、湯布院の温泉宿運営体験とあげられているが、どうも脈絡がなく、一貫性がない。「社会で使える武器を身につける」と言っているが、それで?という感じだ。ネットのコミュニケーション能力、協調性、目的意識のある人など、課題は見えている。発想力や創造性を育むためにはどうするのか?
そのことが、この本には、書かれておらず、表層的に流れているのが残念。
多分 N高等学校は、もっとおもしろいことやっているのではないかと思うが、本書では表面的すぎて、それで?という感じだった。もう少し、期待したのだが。言葉が希釈されている。 -
最近評判になっている高校の創立物語。
ものすごく良さそうで興味深いけれど本編にあるように、明確な目的意識を持っていないと楽しめなさそう。選択肢としてこういう高校があることを知っているのは大事。先生方が一生懸命なのとそれがちゃんと生徒に伝わってるのが素晴らしいと思う。 -
新しい教育だけでなく、ビジネス、起業において大事な「熱」も学べる。
-
ネットを使って双方向的に学ぶ、一斉授業だけど、個々人のペースに合わせることができるというのはネットの強みかなと思った。通信制高校やフリースクールが全日制高校に行けない人のためのネガティブな選択肢になっていて、それを同率の選択肢としたいというN高のビジョンにはとても共感した。もちろん全日制の学校のシステムで輝ける子供もいるだろうけど、そうじゃない子もいる。でも選択肢が全日制の学校しか用意されてないのはおかしいと思った。今までは全日制の学校をみんなのニーズに合うように変えようと思っていたけど、今の学校も選択肢の一つとしては十分に良いもので、ただ多様な選択肢がなかっただけなのかもしれない。他の選択肢を作ること、それをメジャーにすることがより多くの子供が輝ける社会に繋がるのかもしれないと感じた。もちろん今の学校も先生の労働環境をはじめとして改善すべき点はあるけれど、それをどんなニーズにも合うようにする必要はないのかもしれない。