敗者たちの季節 (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054796

作品紹介・あらすじ

夏の甲子園地方大会、決勝戦9回の攻防。あと、一人打ち取れば延長にもつれ込む……と、その瞬間、サヨナラホームラン。敗者となった海藤高校の投手直登は、試合後も悔しさから立ち直れないでいた。そこに、思わぬ報せが届く。優勝した東祥学園が、出場を辞退したというのだ。繰り上がり甲子園出場が決まるが、それはどちらのチームにとっても重い結果だった。「敗者のままでは、終われないんだ!」少年たちの熱い思いに、思わず胸が高鳴る、著者真骨頂の青春野球小説!

感想・レビュー・書評

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  • バッテリーを読んでいたので、似たようなクールなピッチャーの主人公を想定していたが、色々な登場人物が敗者としての背景や想い出が描かれた小説。どの登場人物も敗者であり、その面では重いテーマになりがちだが、淡々と描かれているので深刻にならずに読めた。
    県予選での決勝戦。サヨナラ負けのホームランを打たれた海藤高校が相手校の不祥事で代わりに甲子園に行く。海藤高校のキャプテンはレギュラーでは無いが、全員の推薦でキャプテンとなる。他にもレギュラーにならなかった選手が何人も出てくる。不祥事の高校の内部の選手達の想いであったり、代わりに出る海藤高校の一人ひとりの想いとか、児童文芸を得意とするあさのあつこ先生が丹念に描いてくれている。大昔の青春を甘酸っぱく思い出させてくれる。

  • 私も部活動の大会などで敗北を経験したことはあるが、「これほどの悔しさを感じたことはあっただろうか」と考えさせられた。
    選手だけではなく、家族や恋人、新聞記者などの様々な視点から物語が語られていくことで、内容がより深いものになったと思う。
    「眼差しの向こう側」には、少しキュンとしてしまった。


  • いい言葉がたくさん出てきて、しみた。負けこそが、青春だと思う。その苦味がずっと私を支える。負けるもんかと、もっと伸びようとする自分の力になる。

  • とにかく今までとは違う青春ストーリーでした。
    基本的な主人公は決まっていますが、章毎に視点が変わります。それぞれの登場人物が、"何か"の敗者で、それを受け入れて生きています。

    そこに野球、そして甲子園という夢の舞台が現れることで、全員がそのマウンドに自分達の想いをぶつけていきます。

    悔しい、悲しいという負けることへの気持ちを素直なままに、それでもその先にあるものを見つめている。
    大人も主人公たちと同年代の高校生にも刺さる1冊です。
    野球がわからなくても十分に楽しめます!

  • 途中、多くの登場人物が出てきて話や人物がごっちゃになり分からなくなってしまうことが多かった。

    甲子園に繰り上げ出場だから、選手達が甲子園で勝たないと本当の甲子園出場にはならないと思っているのが切なく、そのまま負けてしまうことが苦しかった。

    最後、また海藤と東祥で戦うところで終わるのがめっちゃエモい。オガくんかっこよすぎる。

  • 甲子園出場をかけた一戦に、惜しくも敗北。しかしひょんなきっかけから、甲子園出場できることになり…と言う青春野球小説です。

    久しぶりに読んだあさのあつこさんの小説でした。作者の作品は好きで、バッテリーやTHe MANZAIなども全巻読みました。
    やっぱり思春期の少年の微妙な心を描くのは上手いと感じます。生意気で、素直じゃない少年の姿は読んでいて懐かしい気持ちになりました。

    それに文章の流れも巧みだと思います。突然、過去の話に戻ったり、ある人物を深掘りしたり、話が飛ぶことがあるのですが、違和感なく読めます。上手いなぁと思いました。

    ただ、やっぱり話が散りすぎだと思います。主人公の投手、敵チームの投手、キャプテンの彼女、監督、主人公の母親などなど、本当に色んな人に視点が変わります。一つ一つのエピソードはつまらないわけではないですが、あっさりしていて深く感情移入はできませんでした。
    あと登場人物が多いので誰が誰かわからなくなります。

    思うに、ひょんなことから甲子園出場を決めた主人公というテーマが、それほど強くないために、色々なエピソードを出さざるを得なかったんじゃないかなぁと。

    主人公だけに視点を絞って短編なら楽しく読めた気がしました。

  • 野球の世界の最高峰は、イチローさん?大谷翔平さん?
    競技スポーツである以上、努力さえ重ねれば誰もが彼らのレベルに達することができるわけじゃない。
    どんなに頑張っても、あいつのああいうのには絶対かなわない・・・そんな気持ちを抱く瞬間がやってくる。
    それでも、もう少しその競技を続けてみる?それとも、きっぱりやめて違う道を探してみる?競技に真剣であればあるほど、悩みも思いも深くなる。それでも、きっと、その人その人の答えがあるのだろう。

    何かに真剣に向かい合うことのすごさ、美しさ。
    真剣であるということは、全力でぶつかって負けることを知ることなのだろうか。

    きっとこの物語は敗者への賛歌、生きることへの賛歌なのだ。

  • あさのあつこさんのスポーツ小説。胸があつくなること間違いないだろうと手にとりました。

    予想を裏切らない。
    もっと長編で読みたかったーーーと思うほど。

    敗者という定義は難しいな、と思った。
    ただ、試合に負けるっていうだけのことでは、ないんだな、と感じた。
    野球チームで、志を一緒にする仲間がいるのは、輝いていていい。

  • 2019.11.18~11.24
    「遠い閃光」が一番好き。監督の「好きだから野球をやっている。勝手なことを言ってくれるな」ということば。そうだよね。でも、人間って勝手だから、そんな風に思っちゃうんだよね。「がんばれ!彼らの分も!」みたいに。ダメだよね。
    ラスト、本当は違うのを期待していたのに。ま、仕方ないか。「敗者」だもんね。

  • 夏の甲子園地方大会でサヨナラホームランを打たれ、敗者となった海藤高校の投手直登は、試合後も悔しさから立ち直れないでいた。しかし優勝した東祥学園が出場を辞退し、繰り上がり甲子園出場が決まった。エース、キャプテン、監督や選手の家族、記者、過去に甲子園を目指した者など、いろいろな視点から物語が進みます。高校野球が好きな人におすすめしたい一冊です。

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著者プロフィール

あさの あつこ:1954(昭和29)年、岡山県生れ。青山学院大学文学部卒業。小学校講師ののち、作家デビュー。『バッテリー』で野間児童文芸賞、『バッテリーII』で日本児童文学者協会賞、『バッテリーI~VI』で小学館児童出版文化賞、『たまゆら』で島清恋愛文学賞を受賞。著書は『福音の少年』『No.6』シリーズ、『弥勒の月』『アーセナルにおいでよ』など多数。

「2025年 『あなただけの物語のために』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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