ししりばの家

著者 :
  • KADOKAWA
3.61
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本棚登録 : 535
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054826

作品紹介・あらすじ

夫の転勤先の東京で幼馴染の平岩と再会した果歩。しかし招かれた平岩家は、不気味な砂が散る家だった。怪異の存在を訴える果歩に異常はないと断言する平岩。はたして本当に、この家に「怪異」は存在するのか――。

感想・レビュー・書評

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  • 比嘉姉妹長編三作目は最強の霊能力者比嘉琴子がメイン。夫の転勤で東京に来たがずっと孤独な日々を送っていた笹倉果歩はある日幼馴染の平岩敏明と再会し、平岩夫妻と祖母との交流が始まった。しかし平岩家は何かがおかしい。初めに起きた生霊の怪異は認めたのに家中に溢れる謎の砂等の怪異は幾ら訴えてもこれが普通だと取り合わない。まずこれが不気味。そして正体が判らないまま着々と砂の怪異に絡め取られていく果歩の描写がじわじわ怖い。冒頭の小学生時代の琴子が同級生と遭遇した「幽霊屋敷」のエピソードが平岩家と繋がってからの対決展開はスピーディーだが怪異の正体が不条理過ぎてこれ勝てるのか?とハラハラする。が、意外な切り札ににやり。締めは明るめだが裏に不穏さが滲み出ている所に何故か人の限界を感じる…。

  • 比嘉姉妹シリーズ第三弾。ぼぎわん➡︎ずうのめ➡︎そして、ししりば。琴子の幼少の様子もわかり繋がりが見えてきました。
    砂の表現がとにかく怖かった...異常なことが当たり前になってしまうのが本当に怖い。続きが気になって一気読みしてしまいました。
    見開き 1ページに同じ文字数でズラズラ書いている所は、ゾクゾクしてしまうのと同時によくこんな風に書けるなぁと感心してしまいました。
    銀の活躍にはうちのワンコを抱えて読んでました。

    • アールグレイさん
      こんにちは(*^ー゜)
      ・・・・ししりば?変わった名ですね。シリーズもののような。
      私はやっと、読書再開です。・・・・夏風邪を引いてしまいま...
      こんにちは(*^ー゜)
      ・・・・ししりば?変わった名ですね。シリーズもののような。
      私はやっと、読書再開です。・・・・夏風邪を引いてしまいました。
      最高38、7℃、頭痛がひどくて、あんなにひどくて寝込んだのは、何年ぶりか。
      治ったと思ったら、梅雨明け・・・今度は普通に暑い!
      ま~ったく(。*∃*、)
      愚痴ってm(__)m
      今度はどんな本を読むのでしょう?
      2021/07/19
    • yuka♡さん
      霊感!?のある比嘉姉妹シリーズ第三弾なんです。ゾクゾクする感じは、これからの時期オススメかも!?

      夏風邪ですか...大変でしたね。
      私も6...
      霊感!?のある比嘉姉妹シリーズ第三弾なんです。ゾクゾクする感じは、これからの時期オススメかも!?

      夏風邪ですか...大変でしたね。
      私も6月、7月は読書ペースが落ちてるかも。
      今は、お初の作家さん石持浅海さんの殺し屋、やってます。を読んでます。
      2021/07/19
  • うわぁしまった、これはシリーズものだって、ほんとにラスト2ページで突然気付きました。比嘉姉妹って聞いたことあったのに、気になってたシリーズだったのに。目次だけ見て短編集かなーと読み始めましたがちがいました。
    私は3作目を1番に読んでしまったけど、前作を知らなくてもおもしろかったです。こわくて。
    砂があふれるししりばの家、異常が普通になっていくこと、ホラーだけじゃないこわさがあります。
    犬の銀がきたときは、銀ーーー!ってなりました。

  • 時系列では第1作目にあたる比嘉琴子覚醒にまつわる話。
    同級生が住んでいたが、夜逃げをして幽霊屋敷と言われようになった家に探検に行く子供たち。
    そこは、ししりば が守る家だった。
    と言った話。相変わらず良く練られていて面白かった。

  • 「比嘉姉妹シリーズ」の第3作。
    前作『ずうのめ人形』は、よくできてはいたが、いちばんキャラの立った姉・比嘉琴子が登場しない分だけ物足りなかった。

    対照的に、本作は琴子が出ずっぱりである。
    しかも、琴子がまだ霊能者として活動し始める前の小学生時代も、かなりの紙数を割いて描かれている。「琴子推し」の私としては、それだけで点が甘くなる。

    〝覚醒前〟の琴子は、霊が見えることにいつもビクビクしている気弱で根暗な女の子だった。それが、「ししりば」と遭遇する体験を通じて変わる。
    つまりこれは、最強の霊媒師・比嘉琴子の〝誕生〟を描く物語でもあるのだ。

    キングやクーンツらのモダン・ホラーの骨法を踏襲しながらも、澤村伊智は〝日本人にしか書けないホラー〟を書くことにこだわりつづけている。
    本作もしかり。
    「呪われた家」という、ホラーとしては手垢にまみれきった題材を扱いながらも、ジャパネスクな味わいが絶妙なスパイスになっている。

    前2作もそうであったように、得体の知れない化け物の恐怖を主軸に据えながらも、終盤でその化け物の正体について、整合性ある謎解きがなされる。「なるほど。そういうことだったのか」という納得感がある。ホラーであると同時にミステリでもあるのだ。

    澤村伊智は技巧的な構成を得意とする人だが、本作も異なる視点の物語が同時並行で進行する凝った構成。

    また、「流れる砂」の描写が本作の鍵となるのだが、一行の文字数を厳密にコントロールすることによって、視覚的にも砂が流れていくような感覚を味わわせる箇所があるなど、文章も凝りに凝っている。

    加えて、本作はストーリー上、犬が重要な役割を果たすので、犬好きの私としてはそこも加点ポイント。

  • 一作目の「ぼぎわんが、来る」が映画化されるそうですね。
    おめでとうございます!

    で…完全にシリーズ化?
    そうなるとやっぱり「ぼぎわん」と「ずうのめ」と比較してしまいますが
    今作は不気味さや恐怖感は若干薄めでした。

    今回は(も?)比嘉姉妹の長女、琴子さんが活躍するお話。
    家が舞台でそこが砂にまみれているっていう…。
    この世のものではない何者かと砂がタッグを組んで住人と関係者を邪魔します。
    砂が怖いっていう概念がないので、奇妙な家だなという印象。
    口の中がじゃりじゃりするのは嫌だし、砂に足をからめとられて歩きにくそうでうっとうしいだろうな、とは思うものの、怖くは…ないなぁ…。
    嫌悪感は存分にあります。

    琴子さんは除霊できるってわかっているし、窮地に陥ってもどうにかなるんでしょ、と邪推しながら読んでしまいました。
    比嘉姉妹のお決まりのパターンはもういいかな~。
    ストーリーはとても面白いのだけど、やっぱり比較したり予想ついちゃったりするので。
    でも次回作も期待を込めて楽しみにしてます!

  • この家は、そもそもおかしい。(64頁)

    あの家には何かいる。
    序章、一章では円満な家庭、そして悲しみが描かれる。
    別々の家庭の、それぞれの幸せが。
    しかし、既に空気はもうもうと立ち込める砂で覆われ始めている。

    孤独な果歩と偶然であった幼馴染の敏明。
    廃屋探検を共にした比嘉さんと、「僕」こと哲也。
    この一件関係のないように思える他人同士が「ししりば」で繋がる。
    ししりばとは一体なんだ?
    あの砂はなんだ。
    生き霊との関係はなんだ。

    家に住み着いている何か。
    それは守り神か祟り神か。
    しかし一番恐ろしいのは神ではなかった。
    終章、ししりばから離れた果歩の独白章。
    それはししりばとは関係のないところに、確かに存在する狂気。
    速射はもう一度はじめに戻って振り返らざるを得ない。
    ああ、普通でないことが普通になっている、と。

    私たちが普通だ、常識だと考えていることの中には、他人には全くもって理解し難い異常さが往々にしてある。
    おばけならば退治も出来よう、神ならば鎮めることも出来よう。
    だが人間の狂気は一体誰が抑えてくれるというのだろう?

  • 比嘉姉妹の琴子が活躍する話。
    一家が夜逃げして何年も放置された家に、肝試し半分で訪れた少年たちと琴子は怪異に遭う。
    それがきっかけとなり、全員の人生は変化してしまう。

    一方、神戸から引っ越してきた果穂は、幼馴染の平岩と再会。
    平岩邸に訪れたところ、怪異を目にするようになる。
    そしてその家こそが、琴子たちが怪異と遭遇した家でもあった。

    「ししりば」という何かが家を家族を守っている。
    そして、外部からの敵は排除するという霊的セキュリティーに守られた異質な家に、
    琴子たちは立ち向かうことになる。

    小学生の頃の琴子は今まで読んできたような、頼もしく冷静な人物像とはかけ離れており、
    そこに違和感を覚えるが、この話には現在の琴子が作られるきっかけとなった話でもあり、
    「ししりば」の怖さと共に、琴子の成長の一部が垣間見ることができる。

    東村山のどこかに、今もこの家がありそうな臨場感があった。

  • この作者さんは長編が面白いと思う。長さを感じず、どんどん先に読み進めてしまう。

    今回も、恐怖描写が本当に怖くて、夜中に読みながらぞわぞわしてしまった。
    何をしたわけではないのに、理不尽に襲ってくる怖さは相変わらず。

    前作前前作とちょっと違うのは、人が狂ってしまう過程を見せられる恐怖感。

    最後の、こどもへの感情がつらく、ちょっと後味が悪かった。

  • シリーズ3作目。
    1,2作目より前の、琴子が特殊な能力を持つきっかけとなった事について触れられている。真琴は登場しない。
    最後明かされる橋口家の秘密についてはうまく読み解けず消化不良。

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著者プロフィール

1979年、大阪府生まれ。東京都在住。幼少時より怪談/ホラー作品に慣れ親しみ、岡本綺堂を敬愛する。2015年に「ぼぎわんが、来る」(受賞時のタイトルは「ぼぎわん」)で第22回ホラー小説大賞<大賞>を受賞しデビュー。2019年、「学校は死の匂い」(角川ホラー文庫『などらきの首』所収)で、第72回日本推理作家協会賞【短編部門】受賞。他の著作に『ずうのめ人形』『などらきの首』『ひとんち』『予言の島』などがある。巧妙な語り口と物語構成が高く評価されており、新たなホラーブームを巻き起こす旗手として期待されている。

「2023年 『七人怪談』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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