- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041054895
作品紹介・あらすじ
強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団“独角”。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!? たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる――!
感想・レビュー・書評
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良い、良いぞ!
『精霊の守り人』が好印象で、上橋菜穂子氏の作品を読みたいと思っていたので、読書の皆さんから高評価の本作を手に取った。
追うもの、追われるもの。
其々が描かれ、世界の勢力図に加えて、民族の違い等、世界に生きる人々の営みが活き活きと魅せる生活が魅力的だ。
ここから大きな物語が始まるであろう予感に心が躍る。
人の繋がりが魅せる暖かさと、国や民族が生み出した現実がミックスされ、読者として喜ばしい世界観を演出している。
期待せずにはいられない展開。
強いて言うならば、建物や村、町の描写がもっと細やかならば、個人的にはありがたいと感じた。
読了。2巻へ。
※以下ネタバレ
かつてツオル帝国と戦った戦士、ヴァン。
『独角』の頭として帝国に捉えられ、奴隷として生かされていた。
奴隷として労働させられていた岩塩鉱に、ある日突然、黒い犬の群れが襲いかかった。
人々は噛まれたことにより病に倒れ、帝国の岩塩鉱はヴァンと女に抱かれた幼子を残して全滅。
帝国の人間も、囚われた奴隷も皆死んだのだ。
逃れた先で出会った家族たちと、鹿を育てる事に従事し心休まる生活をしていたヴァン。ユナと名付けた幼子を我が子のように愛し暮らしている。
一方、謎の病で全滅したはずの、岩塩鉱から一人の奴隷がいなくなったことを知った帝国側はヴァンを追う。
聡明な医者であるホッサル。病の治療薬を作ることをヨタルという帝国の王子に任される。
ヴァンを追うのに抜擢された女性、サエ。
旅路で黒い犬に襲われ谷に落ち行方不明に。
帝国で開催された鷹狩の御前祭にて、突如として黒い犬が現れたところで1巻は終わる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「黒狼熱」という疫病との戦いを描いたファンタジー。2015年の本屋大賞受賞作。
黒狼熱は、黒狼や山犬に噛まれることで発症し、病んだ獣や人を噛んだノミやダニからも感染する。発疹等の症状が急激に現れ、致死率が高く、予防薬や治療薬は無いという。
主人公は二人。一人は、反東乎瑠(ツオル)ゲリラ〈独角〉の頭目のヴァン。戦いに敗れ、岩塩鉱で奴隷として働かされていたところを黒狼の大群に襲われ、黒狼熱に罹患するが、重症化せず生き残った。もう一人の生き残りの幼女を伴って現場から逃亡し、途中で出会ったトマの縁で、アカファの最北、オキ地方の山あいの盆地で暮らす放牧民一家に合流した。
もう一人は「二百五十年前に滅びたオタワル王国の末裔で天才的な医術師」のホッサル。岩塩鉱の惨状を見て黒狼熱であることを看破し、遺体を入手して早速〈弱毒薬〉(=ワクチン)、〈抗病素薬〉(=治療薬)、〈血漿体薬〉(=血清療法)の開発に着手した。黒狼熱を跳ね返したヴァンの体(抗体?)にも興味を抱いている。
ヴァンを追跡中に黒狼に襲われて谷底に転落した跡追い狩人サエの命はどうなったのか? ホッサルは黒狼熱の治療法・治療薬の開発に成功するのか? 病気を撒き散らす黒狼の出現は果たして人為的なものなのか?(隣国からの策略?) タイトルとも関係する飛鹿(ピユイカ)(鹿の一種だが、かなり特殊な気性を持つ生き物)の存在も気になる。今後の展開が楽しみ。
新型コロナウイルスの脅威に曝されている今こそ読むべき小説なのかも知れない。 -
【強大な帝国・東乎瑠から故郷を守るため、死兵の役目を引き受けた戦士団"独角"。妻と子を病で失い絶望の底にあったヴァンはその頭として戦うが、奴隷に落とされ岩塩鉱に囚われていた。ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生。生き延びたヴァンは、同じく病から逃れた幼子にユナと名前を付けて育てるが!?たったふたりだけ生き残った父と子が、未曾有の危機に立ち向かう。壮大な冒険が、いまはじまる!】
上橋菜穂子さんが描く異世界は本当にワクワクします(^^)
世界が生きてるって感じがします!!
色々な風呂敷を広げた1巻!
次巻が気になりすぎる(^^)
私の中では…
主人公の一人"ヴァン"は「守り人シリーズ」の"ジン"
飛鹿は「もののけ姫」の"ヤックル"
のイメージです(^^)
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以前から読みたいと思っていましたが、やっとよみはじめました。ひとまず第1巻、読了です。
ファンタジックな架空世界ですが、細部までしっかり世界が構築されていて、リアリティがありますね。
自然や社会、文化の描写も細かくて、ストーリーのみならず、この世界観を感じるだけでもたのしめます。
コロナ禍の中、偶然にもこの物語が、疫病とそれに立ち向かう医師が登場している点も、今読むにあたり考えさせられるところかもしれません。
ともあれ、第2巻以降も楽しみに読んで行きたいと思います。 -
(1,2,3,4あわせての感想)
さすが上橋さん、文句なく面白いです。僕は好き。
物語の地図は手元においておいたほうがよいです。
政治・民族・動植物・風土・地理・歴史、みんな説明が濃いので、
地図を片手に想像していく必要があります。
そこまでたどりつくのがしんどいかもしれない。
たどりついた先の面白さは保証しますよ~。
20170731 -
今とは違う別の世界のファンタジー小説。物語は強国相手に戦ったが敗れ、今は奴隷となっているヴァンから始まる。ファンタジーであるのだが、人々の生活の様子や鹿の生態などが詳細に描かれていて、リアリティがあって面白い。続編がすぐに読みたくなる。
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複数の登場人物の視点で物語が進んでいく。ヴァン、マコウカン、それぞれも世の中を見る視点も立場も違うから、彼らぞれぞれの主観で描くことで、鹿の王の世界観や暮らしや政治の複雑さを読者も苦労なく根付かせてくれる構成で書かれている。
複数の伏線が読み進めれば、繋がるのだろう。とても物語に引き込まれる。すぐに二巻に手を伸ばした。 -
もちろんハードカバー版は既に読み終えているのだけど、随分前のこと。
「水底の橋」を新鮮に味わうべく、文庫版で再読を試みる。
自分のレビューは、出来るだけ後で読み返しても分かるようにと思って書くんだけど、以前書いたものを読んでも、何が言いたいのか全然分からない(苦笑)未熟すぎて、恥ずかしい。
さて、「飛鹿」「黒狼」など、単語だけは頭に残っていたのだけど、改めてこの広い世界に入り込むのが、ああ、なんと楽しい。
東乎瑠(ツォル)帝国が、アカファ王国を属領とし、ムコニア王国にほど近いトガ山地まで、その手を伸ばしていく。
トガ山地には、「独角」という飛鹿乗りの戦士たちがおり、そのリーダーであるヴァンは今、抵抗虚しく奴隷として岩塩窟で働かされているのだった。
そして、その洞窟を黒狼が襲う。
後に残ったのは、病だった。奴隷たちは次々に倒れ、ヴァンは竃に隠されていた子、ユナを助け出して、脱出する。
そこから、飛鹿の繁殖に携わるまでが一巻のあらすじ。
東乎瑠が飛鹿の繁殖を奨励する反面、そちらに経済のバランスが傾くと、トナカイが手放されてゆく。
トナカイが手放されることで、郷土料理にトナカイが出てこなくなり、そのことをもう一人の主人公、ホッサルがふと気に留めるシーンが出てくる。
こうした「変化」は瞬時に起きるものではない。
時間と共に、徐々に変わっていく様子を、こんなにも上手く描けることに、ただ驚愕する。
まさに、生きている。
人物だけでなく、動物も、植物も、言葉も、思考も。しかし、その変化をはっきりと大きく、時に歪めてしまうのは、戦乱なんだな。
上橋菜穂子も、ヴァンのように五感を鋭くする何かを得てしまったじゃないか、と思わされる。
まだ、未読の方は是非読んでみて欲しい。
著者プロフィール
上橋菜穂子の作品






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