水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

著者 : 窪美澄
  • KADOKAWA (2017年5月25日発売)
3.92
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054956

作品紹介

ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえぐり出した、 珠玉の連作集。

『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』の実力派が贈る、珠玉の連作集

セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

文庫化に際し、オリジナル短編、一編追加収録。

水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)の感想・レビュー・書評

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  • なぜかいつも手に取ってしまう窪美澄さんの本。
    ぐっと引き寄せられる本のタイトル。
    今回は 「水やりはいつも深夜だけど」

    わたしはセレブママに見られたい主婦でもないし
    妻や義理の両親から責められる夫でもないし
    若い女に傾いてしまう男でもないし
    義母を受け入れられない女子高生でもないんだけれど。

    どの主人公とも境遇は違うけれども
    きっと誰もが今まで生きてきた中で
    言えなかったこと思っていたこと
    嫌だったこと辛かったこと

    それをしっくりくる真っ直ぐな言葉で
    絶妙な心理描写を交えながら書いてくれるから
    あのときのあの自分に共感してあげられて
    そして救ってあげられる。
    そんな素敵な小説でした。


    窪美澄さんの本は、やっぱりいいなあ。

  • セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。仕事で子育てになかなか参加できず、妻や義理の両親から責められる夫。出産を経て変貌した妻にさびしさを覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母を受け入れきれない女子高生…。思い通りにならない毎日。募る不満。言葉にできない本音。それでも前を向いて懸命に生きようとする人たちの姿を鮮烈に描いた、胸につき刺さる6つの物語。

  • それぞれにそのお話を象徴するような植物の名前がタイトルに入ったお話しが6つ。
    私には二つ目から四つ目の話が身に沁みた。

    二つ目の話は、仕事で子育てになかなか参加できず、育児に壊れた妻と近くに住む義父義母から責められる男が、四つ目の話は、出産を経て変貌した妻に寂しさを覚え、若い女に傾いてしまう男が主人公。
    こうしてみると、私が幸せな夫婦生活を送れてきたのは全くもって嫁さんのお陰だな。昔はあまり分かってなかったけど、今になって本当にそう思う。
    彼女の我慢と献身がなければ、私のような人間が普通に社会生活を送れるわけがなかったのだ。
    サボテンの目に見えない棘がチクリと刺さるような痛みもある一方、苔テラリウムがゆっくりとその命を伸ばしていくように過ごしてきた夫婦での年月をしみじみ思う。

    三つ目の話は、我が子の成長の遅さに、知的障がいの妹の思い出を引き摺り疑心暗鬼になる女。
    私の子育て、どこで間違ってしまったのかなぁ…。
    長男も次男も30歳にもなろうとするのにそれぞれに問題を抱え、しかし、親として何もしてやれない。
    この話を読んでいて、幼い子が母に妹をねだる姿に、次男が生まれた時の長男の様子や二人が一緒に並んでいる写真などが思い出されてきて、朝の通勤電車の中で涙が出そうになった。
    どこかで間違えたのか、いや、最初から違っていたのか、どうしたらいいんだろう、今からでも修正できるのか。
    小さい頃に注いでいた筈の愛情を、もう一度、時間を遡って注ぎ直してみたい気に駆られる。

    巻末の対談で『どんな人でもふつうに暮らしていると言葉が足りないと思うんです』と語る作者は、『私はいつも小説で、本当はこう思っているんだよ、ということを書いているところがある』と続ける。
    夫婦、父、息子、仕事、近所の人、友人…、色んな人間関係の中で、言いたいこと、聞きたいこと、聞いてはいけないと思って言いかけて止めること…。
    どの話も息苦しくなるような話だが、最後には分かり合える端緒が垣間見え救われる。
    私の家庭もいつか少しの光が見えるようになるのかな…。

    息子と親の私たちに対する愚痴を言いに一人で家にやって来た長男の嫁に、読んでみたらとこの本を渡してやろうかと思ったが、到底同じ感性を持つとは思えず却って誤解されるリスクを考え、止めておいた。
    そんなことを気にせず、気に入った本を薦める関係になりたいな。まあ、まず息子からだけどな。

  • 「言わなわからん」が私の持論です。
    この短編集の主人公たちは、察してもらえないからといっていらついているわけじゃないけれど、言えなくてつらい思いをしていたり、言ってもらえなくてもやもやしていたり。

    表題作はなく、各短編のタイトルには話中に登場する植物の名前が付いています。それを上手くまとめているのがこの表題。

    毎日におびえ、自己嫌悪しながら暮らす主人公たちが、心のうちを思いきって言葉にしてみることでちょっとだけ前を向けるようになる。

    窪美澄の紡ぐ物語は、苦しくても絶望的ではなくて好き。やっぱり、言うてみなわからん。

  • どんなに幸福に見えても本当の気持ちは誰にもわからない。
    傷つかないことも、傷つけないことも多分不可能だけれど、そうしなければ得られない何かも確かにあるのだとおもう。
    そして、好きと大切は多分違う。

  • 結婚直後の夫婦、子供ができてからの夫婦の関係って確実に変わると思う。言葉にせず、相手のせいにしたり、見て見ぬ振りをすることが浮気やら不倫に走らせるのは少なからずあると思う。所詮は他人同士だから思いやり、気遣いが必要。お互い、それができればきっといい夫婦になれると思ったし、そうなりたいと強く思う。

  • [墨田区図書館]

    正確には最初のショートストーリーのみ立ち読みで。
    今回、「装丁フェア」と題して本が集められていた。いくつかには、その本の「装丁者」の名前を表紙にポストイットしてあったけれど、この本には特にその情報はなく、表紙写真も多少のインパクトはあるが特に取り立てて思うほどの独自性や奇抜さもなく、「本当にこのフェアの一冊かな?」と最初に興味をひき、「よくある現代小説の一つだよな、最近のは表題から中が窺い知れないよなー、この表題はどこから来てるんだ?」と、次に表題の掴みも気になって手に取ってみた。

    すると思った通り?恐らく現代小説?の短編集。最初の短編集が、空虚なママ友付き合いに疲れ、ブログで半ば仮想の現実を投じ続ける母親の話だったのでどう話が終わるのかと興味を持ってそれだけ読んでみた。自分には実感がなくてもある種理解と共感を持てる題材。女(性)としての人付き合いの悩み、母親としての微妙な距離感の人間関係、どれもとても身近な話題。

    一応ハッピーエンド?だったし読後感は悪くはなかったけれど、全部読んでみたいと思うほどではなく、この表題がどこからとられたかはこの話だけでは分からず。でも恐らく、どの話からとった、というよりは、「忙しく働きづくめで友達やともすると家族もいない寂しい自宅に夜遅く帰り、癒しのためと一人育てている植物?に深夜水やりをする」という、現代社会の疲れた日々を象徴して付けた題名なんじゃないかな。だとすると残りも日々の人間関係話かな。

  • 6作品による短編集。
    難しい内容ではないのに、手間かかってしまった…と、反省。
    あぁ、わかるわ〜って作品があった。
    でも、帯に有るよに「泣ける」では無かった。
    心理描写は、良かった…ね〜
    '18.01.20読書完了

  • 暗い部屋に一筋の光が差し込んでくるような読了感。
    悩みは尽きないけれど、ささやかな幸せを噛み締めて生きていこうと思いました。

  • 家族の間って毎日が同じような繰り返しで単調で、変化もわかりづらいのかもしれないけど。曖昧な光で、救いがわかりにくいかなあと思った。ただ実際にはその通りだとは思うから、誇張はしてなくて良いのかもしれないけど。

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