水やりはいつも深夜だけど (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041054956

作品紹介・あらすじ

ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえぐり出した、 珠玉の連作集。

『ふがいない僕は空を見た』『よるのふくらみ』の実力派が贈る、珠玉の連作集

セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。
仕事が忙しく子育てに参加できず、妻や義理の両親からうとまれる夫。
自分の娘の発達障害を疑い、自己嫌悪に陥る主婦。
出産を経て変貌した妻に違和感を覚え、若い女に傾いてしまう男。
父の再婚により突然やってきた義母に戸惑う、高一女子。

文庫化に際し、オリジナル短編、一編追加収録。

感想・レビュー・書評

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  • なぜかいつも手に取ってしまう窪美澄さんの本。
    ぐっと引き寄せられる本のタイトル。
    今回は 「水やりはいつも深夜だけど」

    わたしはセレブママに見られたい主婦でもないし
    妻や義理の両親から責められる夫でもないし
    若い女に傾いてしまう男でもないし
    義母を受け入れられない女子高生でもないんだけれど。

    どの主人公とも境遇は違うけれども
    きっと誰もが今まで生きてきた中で
    言えなかったこと思っていたこと
    嫌だったこと辛かったこと

    それをしっくりくる真っ直ぐな言葉で
    絶妙な心理描写を交えながら書いてくれるから
    あのときのあの自分に共感してあげられて
    そして救ってあげられる。
    そんな素敵な小説でした。


    窪美澄さんの本は、やっぱりいいなあ。

  • セレブママとしてブログを更新しながら周囲の評価に怯える主婦。仕事で子育てになかなか参加できず、妻や義理の両親から責められる夫。出産を経て変貌した妻にさびしさを覚え、若い女に傾いてしまう男。父の再婚により突然やってきた義母を受け入れきれない女子高生…。思い通りにならない毎日。募る不満。言葉にできない本音。それでも前を向いて懸命に生きようとする人たちの姿を鮮烈に描いた、胸につき刺さる6つの物語。

  • それぞれにそのお話を象徴するような植物の名前がタイトルに入ったお話しが6つ。
    私には二つ目から四つ目の話が身に沁みた。

    二つ目の話は、仕事で子育てになかなか参加できず、育児に壊れた妻と近くに住む義父義母から責められる男が、四つ目の話は、出産を経て変貌した妻に寂しさを覚え、若い女に傾いてしまう男が主人公。
    こうしてみると、私が幸せな夫婦生活を送れてきたのは全くもって嫁さんのお陰だな。昔はあまり分かってなかったけど、今になって本当にそう思う。
    彼女の我慢と献身がなければ、私のような人間が普通に社会生活を送れるわけがなかったのだ。
    サボテンの目に見えない棘がチクリと刺さるような痛みもある一方、苔テラリウムがゆっくりとその命を伸ばしていくように過ごしてきた夫婦での年月をしみじみ思う。

    三つ目の話は、我が子の成長の遅さに、知的障がいの妹の思い出を引き摺り疑心暗鬼になる女。
    私の子育て、どこで間違ってしまったのかなぁ…。
    長男も次男も30歳にもなろうとするのにそれぞれに問題を抱え、しかし、親として何もしてやれない。
    この話を読んでいて、幼い子が母に妹をねだる姿に、次男が生まれた時の長男の様子や二人が一緒に並んでいる写真などが思い出されてきて、朝の通勤電車の中で涙が出そうになった。
    どこかで間違えたのか、いや、最初から違っていたのか、どうしたらいいんだろう、今からでも修正できるのか。
    小さい頃に注いでいた筈の愛情を、もう一度、時間を遡って注ぎ直してみたい気に駆られる。

    巻末の対談で『どんな人でもふつうに暮らしていると言葉が足りないと思うんです』と語る作者は、『私はいつも小説で、本当はこう思っているんだよ、ということを書いているところがある』と続ける。
    夫婦、父、息子、仕事、近所の人、友人…、色んな人間関係の中で、言いたいこと、聞きたいこと、聞いてはいけないと思って言いかけて止めること…。
    どの話も息苦しくなるような話だが、最後には分かり合える端緒が垣間見え救われる。
    私の家庭もいつか少しの光が見えるようになるのかな…。

    息子と親の私たちに対する愚痴を言いに一人で家にやって来た長男の嫁に、読んでみたらとこの本を渡してやろうかと思ったが、到底同じ感性を持つとは思えず却って誤解されるリスクを考え、止めておいた。
    そんなことを気にせず、気に入った本を薦める関係になりたいな。まあ、まず息子からだけどな。

  • 「言わなわからん」が私の持論です。
    この短編集の主人公たちは、察してもらえないからといっていらついているわけじゃないけれど、言えなくてつらい思いをしていたり、言ってもらえなくてもやもやしていたり。

    表題作はなく、各短編のタイトルには話中に登場する植物の名前が付いています。それを上手くまとめているのがこの表題。

    毎日におびえ、自己嫌悪しながら暮らす主人公たちが、心のうちを思いきって言葉にしてみることでちょっとだけ前を向けるようになる。

    窪美澄の紡ぐ物語は、苦しくても絶望的ではなくて好き。やっぱり、言うてみなわからん。

  • どんなに幸福に見えても本当の気持ちは誰にもわからない。
    傷つかないことも、傷つけないことも多分不可能だけれど、そうしなければ得られない何かも確かにあるのだとおもう。
    そして、好きと大切は多分違う。

  • この作家さんは初めてだけどすごく読みやすかった。
    オムニバス形式で、どの話も程よく余韻を残してくれる。
    他の作品も読みたくなった。

  • 窪 美澄さんの作品を読むのは「よるのふくらみ」に続いて2作目。
    今回も表紙が素敵で思わず手に取りました。

    さまざまな夫婦の物語。
    独身の私でも、その気持ちわかるなあって思ったり、
    夫にイライラしたり、思わず感情移入して読めてしまうのが不思議。
    文章がとても繊細できれいで、胸が苦しくなりました。

  • 綺麗な中古があったのでよく知らないけど購入。
    夫婦や家族にまつわる短編集。
    思ったほどは泣けなかったけど、ほっこりした。
    機会があればまた別の作品も読む。かも。

  • 植物がひっそりと存在する6つの短編集

    息が詰まりそうな金魚鉢のような低層マンションで、裕福なママとして芸能人のようなブログを書く女性
    夢でみる実家での生活、実家に入り浸る妻、いつからかちぐはぐになった夫婦
    障害のあった妹の思い出と、娘の成長に不安を感じる女性
    子供ができ妻だけどんどん母親になっていくと感じる男性
    父とふたり暮らしからお義母さんと妹のいる生活へ、そしてそれぞれの家族の形

    まとまりがあり、そしてそれぞれ進んでいくと感じられる爽やかな物語たち
    とてもよかった

  • 窪さんの小説はほんと好きだな。
    人が隠してる心の内を覗き見してるような、そんな感覚になる。
    サボテンの咆哮が特に好きだった。
    砂のないテラリウムの男は大嫌い。
    でも気持ちはわかる。わかるけど嫌い。

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