鹿の王 3 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.14
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  • (9)
  • (3)
本棚登録 : 2829
感想 : 150
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055090

作品紹介・あらすじ

攫われたユナを追い、火馬の民の族長・オーファンのもとに辿り着いたヴァン。オーファンは移住民に奪われた故郷を取り返すという妄執に囚われていた。一方、岩塩鉱で生き残った男を追うホッサルは……!?

感想・レビュー・書評

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  • 点と点が繋がり始めた。
    各国、民族の思惑が交錯する様が生々しい。彼らは自らの行いを信じて、己の民族を守る為に策を講じる。
    ヴァンとユナを含めた登場人物たちが、運命であるかのように同じ渦に巻き込まれてゆく。
    混沌とした人間の感情が、混ぜ物になり複雑な物語へと読者を導く。
    誰もが愛する者を守るために戦っていた。

    ツオル帝国に支配された国々に、根深く残る民族主義。それぞれの民族が抱えるツオルへの恨み、自由を求める思想は、何もおかしなものは無く、人としてごく自然な活動である。
    それとは裏腹に、各民族はツオルの政治の下に生き長らえてきた事実がある。もう後戻りできないほどに帝国に依存していることが窺える。

    ここから飛鹿の活躍に期待。

    以下、ネタバレあり。

    火馬の民は、民族の解放を願い、勝てない戦に散った。
    残したものは、ヴァンという独角の男に獣の知覚を植え付けたことかもしれない。
    体を離脱して、獣を操りツオル人を襲う能力は今後どう使われるのか。果たして能力は、その身を滅ぼすことはないのだろうか。

    ヴァン、ユナ、サエ、ホッサル、マコウカン。
    愛する者を守るため。彼らは国や民族の垣根を超えて、交わろうとしている。

    読了。

  • どんどんと盛り上がってきた!
    病の原因や、犬たちの謎、それぞれの思惑が時明かされていく3巻。
    ようやく彼らが顔を合わせる…!

    征服された国や部族たちの悲哀に苦しくなった…
    全員悪く思えない。
    単純な善悪はなく、人々が辛い想いを抱えて選択して動いていることがよく伝わってくる文章だった。
    加速度的に面白くなっていく。
    次は最終巻。
    どんな終わりを迎えるのか楽しみ。

  • 第3巻で、事態のあらましが判明する。

    キンマの犬(黒狼と山犬の半仔)を操りアカファ辺境に住む東乎瑠人を襲わせているのは、東乎瑠人に恨みを持つ火馬の民の過激派と判明する。火馬の民の過激派を殲滅し、彼らの策略を未然に防げるのか、そして黒狼熱の治療薬の開発に成功することはできるのか。物語の焦点はこの2点に絞られていく。

    さて、本物語に登場する勢力はおおざっぱに5つ。すなわち征服民である東乎瑠人(王幡侯ら支配階層、そして移民政策により東乎瑠王国辺境からアカファに移り住んだ人々)、被征服民であるアカファ人(旧アカファ王国の支配階級及び庶民)、アカファの地をかつて(アカファ王に譲るまで)支配していたオタワルの貴人達、各部族単位でアカファ辺境に暮らす辺境の民(居住地を追われた火馬の民、その従僕的な沼地の民、隣国ムコニア王国兵の侵入に悩まされている山の民等)。

    これらの勢力の利害が錯綜しているので、ちょっと複雑だが、物語に厚みというかリアリティーが出ていると思う。

    本作でなかなかいいなと思うのは、これらの勢力それぞれに立場があり、それなりの理があり、思いがある点。邪悪な者が登場しないので安心して読める。

    例えば、キンマの犬(黒狼と山犬の半仔)を使って東乎瑠人に対してテロを起こそうとしている火馬の民の過激派には、同情すべき過去(居住地を追われ生活や文化を奪われてしまったこと)があるし、東乎瑠人の征服政策・領地経営にさえも、領地を無難に治め、経済を活性化させ、隣国の侵攻から領地を守るという点で功績がある。旧アカファの支配層にも、日和見なところはあっても征服者(東乎瑠人支配階級)とアカファ人の間を取り持ち社会の安定に寄与しようとしているし、オタワルの貴人達は医術を始めとする科学技術において独自の地位を築き、尊敬を集めている。

    最終巻でどのような結末を迎えるのかだろうか。

  • 3巻。
    辺境の民、ケノイらの動きと、アカファ王の思惑。

    ラスト4巻にむけて一気に進みます。

  • 様々な思惑でヴァンに迫る彼ら彼女ら...。スピリチュアルペインに分かりやすい理屈なんてないのだ...。意外なところで繋がっている人物相関図を書き足しながら読み進める。読み進めたいけど読み終わりたくない気分で第4巻に突入します!

  • 物語は大きく前進。
    新たな登場人物 オーファン、ケノイも加わり、世界もさらに広がっていく。

    第3巻のテーマは望郷。
    そして、大義のための正義は本当に正しいのか?
    そのための犠牲は仕方ないのか?
    また「自分の身体の中には、意識の及ばないところでたくさんの活動が絶え間なく働いている」という医療文学でもある本書らしい記述も印象的。

    ヴァンが飛鹿《暁》と再会するシーンにはグッときた。さて、最終巻へ!

  • ヴァンと飛鹿の対面のシーンはほんの少し見ものでした。ヴァンとユナの再会、ヴァンとホッサルの対面、ミラルの感染、まだまだ色々ありそう。複雑な人間関係はネタバレを見ながら確認。未だ落としどころが分かりません。鹿の王はまだ登場していないよね?う~ん、だんだん辛くなってきた。何故辛い思いをして読んでいる?妻に言わせると、最後が面白いんじゃない!という言葉で、うん、頑張る!と最後の気力を振り絞る。でも~姫川玲子のハイキック、右ストレートを今すぐ見たいよ。姫川、今すぐ一発ぶん殴って、目を覚まさせてくれないか?

  • 攫われたユナを追うヴァンと、謎の伝染病である黒狼熱の治療法を必死で研究するホッサル。さまざまな国や民族の思惑が交錯する中、二人の人生の線が初めて交錯する。

    自然と人間が共生する世界でのファンタジーなのだが、しっかりと背景が作り込まれており、リアリティを感じられて面白い。最終巻が楽しみだ。

  • たくさんの疑問や、隠された陰謀、想い、人と人との繋がりが、するすると解けていくようでおもわず息を詰めるようにして読んでしまいました。ヴァンやサエ、ホッサルやミラルの運命がどうなるのか、4巻がとても楽しみです。

  • アカファ王やアカファの複数の氏族の想いが明かされて行く。
    ヴァンは、ずいぶんと複雑な事情の渦に知らぬ間に巻き込まれているようだということが、この巻で見えてきた。
    マコウカンの出身氏族と近隣氏族の歴史や暮らしが、どう変化して来たのかも明かされる。
    そして新薬開発に大きなヒントをホッサルが得る。
    非常に展開が早いが、物語の構成がしっかりしていて、細部まで手抜かりなく描かれているので、映画を観ているように映像が浮かびながら一気に読むことが出来た。面白い。
    そしてこの作者はやっぱり凄いと痛感する。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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