鹿の王 4 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
4.18
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本棚登録 : 1642
レビュー : 159
  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055106

作品紹介・あらすじ

ついに生き残った男――ヴァンと対面したホッサルは、人類を脅かす病のある秘密に気づく。一方、火馬の民のオーファンは故郷をとり戻すために最後の勝負をしかけていた。生命を巡る壮大な冒険小説、完結!

感想・レビュー・書評

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  • 主役はヴァンであるが、ホッサルの物語でもある。
    物語は最後、混沌の中に小さな光を見出す。それは希望であることを願う。
    ホッサルの信念が最後までブレないのはあっぱれ!
    ヴァンは過去のことを引きずり、自分の生きる意味や、成すべきことを模索し続けている。

    命を投げうってまで守るべきものとは一体。
    自分にそれが出来るのか。
    仲間の危機を命を懸けて救う存在。人々は、その一頭を鹿の王と呼んだ。
    作中には、その死を賛美する価値観を問う場面も出てくる。生き残った弱者の英雄思想が鼻につくのだ。

    守るべきものを守るために、ヴァンは飛鹿と共に命を懸けた。一人だった彼は、ついに家族を手にしていたのだ。
    ホッサルは巻末にて、治療薬の手がかりを掴み、確信に近い感情を抱いている。

    飛鹿の活躍がちょっと地味に描かれているので、もっとアクション要素が欲しかった。
    世界の危うい均衡に、人の駆け引きや策略。
    複雑に絡む事情は、くだらないと言いたいものも沢山あるが、人の世の常であることで納得する。

    とにかく登場人物が魅力的だ。
    ホッサルとマコウカンの二人が好きです。
    ヴァンは闇が深く、主人公であるが、最後まで掴みどころが無い感覚だ。逆に言うとそれが魅力でもある。

    さすがにこのボリューム。フーっと一息。
    良い読書ができました。

    読了。

  • タイトルの〈鹿の王〉は、ヴァンの語るところによれば「飛鹿の群れの中には、群れが危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿」がいて、「たいていは、かつては頑健であった牡で、いまはもう盛りを過ぎ、しかし、なお敵と戦う力を充分に残してい」て、「群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を尊むべき者」のこと。自己犠牲精神に溢れた老兵ということであり、物語ラストで〈欠け角のヴァン〉がその役を演じることとなる。

    第4巻の前半、ホッサルやミラルが黒狼熱の由来やヴァンの身に起こった変化についてヴァンに仮説を語る部分が一つのクライマックス。ただ、仮説の域を出ず、以降深堀りはされない(もう少し医術の部分に焦点を当てて欲しかった気も…)。その後、火馬の民の長オーファンやシカンの〈キンマの犬〉を用いた襲撃の企てを阻止すべくヴァンが行動するサスペンスとなって一気にラストを迎える。

    本作、一部に不思議な現象は描かれているものの、派手な魔法や超能力の類いは出てこない。異世界の物語であるにも関わらず、リアリティーを追求しているところが良かった。変にドキドキ感を煽ることがなく、淡々と読み進められるストーリー展開も、自分に合っていると思った。

    著者の他の作品も読んでみようかな。

  • すごく久しぶりにファンタジーの長編小説を読んだ気がします。
    最初は、この壮大な世界観についていけるかなーと少し不安でしたが、2巻の後半あたりから物語に入り込み、ぐんぐん読み進めることができました。

    物語の主軸となるのは、
    黒狼に噛まれ病素を体に宿したヴァンと
    魔術使いの天才医術師と謳われるホッサルの二人。


    激動の人生を歩む二人は、幾度となく自分自身に問いかけます。

    病とは何か。人とは何か。民族とは何か。
    そして、国とは何か。


    大きな大きなテーマを掲げた小説だと思いますが、幼子のユナの描写等に癒されながら、気負うことなく読むことができました。

    続編もつい先日発売されたようなので、ぜひ読んでみたいです。

  • 鹿の王4読了、できず挫折!!あと残り100ページでもういいやーと思ってしまった。皆さん感想をみると大絶賛しているので、それを共有できず極めて残念。このようなファンタジーは性に合わないのかなぁ?色々考えてたら、自分にとって登場人物が多すぎた、地理的関係性が複雑だった、現代の話ではないので実際のイメージができなかった等、敗因は色々ある。でも一番は私の理解力・イメージ力の欠如かな。妻の足元にも及ばないこの馬鹿さ加減は少しずつ克服していこう。何せ妻は当時センター試験、国語の成績は満点なんだよね、悔しい!!

  • 物語は終わっても、物語の中の世界は終わらない
    明るい期待をもたせて締めくくってくれた。
    ユナという存在が最初から最後までこの物語の光だった。


    正直、読み始めた時は泥臭いおっさんが主人公か、、、
    と思ったけれど、
    ヴァンと寄り添っていく中で
    彼の人間的な魅力にすっかりやられてしまった。


    ヴァンと、ユナの言葉を必要としないつながりに
    胸が熱くなった。


    もう一度、「獣の奏者」の外伝を読みたい。
    この著者の描く親子が好きなんだな、と気づかされた。


    生まれおち、一度だけの生を生きていく。
    ヴァンも、ユナも、サエも、ホッサルも、ミラルも
    身の内で起こる事、外で起こる事を事象として受け止めつつ
    賢くも愚かにも生きていく。


    できる力を持つヴァンが半仔たちを率いて去って行き
    迎えに行ける力を持つユナたちが迎えに行く
    鹿の王をたらしめるのは、他者という事で
    ユナという存在がヴァンを救ってくれる事を信じ
    暖かい気持ちで本を閉じる事ができた。

  • ヴァンの行動が自己犠牲の方向に向かっているように感じた時から、もしかして悲しい終わり方なのじゃないかと気を揉みながら読み進めたけど、結局読者の想像に任せられるような結末だった。
    ハッピーエンド好きとしては少し物足りない終わり方だったけど、きっとこの先にも本には収まりきらない物語があるのだと思うことにする。

  • 【岩塩鉱を生き残った男・ヴァンと、ついに対面したホッサル。人はなぜ病み、なぜ治る者と治らぬ者がいるのか…。投げかけられた問いに応えようとする中で、ホッサルは黒狼熱の秘密に気づく。その頃仲間を失った〈火馬の民〉のオーファンは、故郷を取り戻すべく最後の勝負を仕掛けていた。病む者の哀しみを見過ごせなかったヴァンが、愛する者たちが生きる世界のために下した決断とは!?】

    「…行こう、暁」
    最愛の妻と子を失い生きることに絶望した男が、新たな愛する者たちのために己をかけて"鹿の王"となることを決断する。

    命、死、病、人、人種、家族、国家、政治、宗教、思想、暮らし…
    一冊の小説に多彩なテーマが描かれている。
    決して散らからず、一つ一つが密接に絡み合い深く描かれている。
    著者 上橋菜穂子さんは"きちんと作中の世界が作り込まれているもの"が好きだそうです(^^)
    そんな著者が作る異世界だからこそ、何度でもヴァンやホッサル達と冒険したくなるのだと思いました!!

    第十章 「人の中の森」でホッサルやヴァン達が人の身体、病いについて語り明かす場面が大好きです!!

    「鹿の王 水底の橋」を絶賛購読中です!!
    この世界を、まだ冒険できることにワクワクしています(^^)

  • 読了!

    一回読んだくせに、そうか、こういう終わり方だったか、としみじみ。
    以下、ネタバレ含むので、注意。



    ヴァンがキンマの犬を引き連れ、それをユナたちが追いかけるという範囲で、話が終わる。
    東乎瑠、アカファ、ムコニアの勢力図が変わるような結末ではなかった。
    この話を読んで、ナウシカを思い出す。
    王蟲の子を使って、大海嘯を引き起こすペジテの男衆と、王蟲の子を群れに返すナウシカの図。あれもまた、何か勢力図が変わるような結末ではない。

    けれど、たった一人が生きていることに、意味を見出す結末で良かったと思う。
    亡くなったことに意味を見出す結末ではなく。

    あっ!個人的には、サエさんのモルファ離脱の結末も、大好きでした。
    もちろん、モルファであるから得た技術や情報もあっての活躍なんだけど、最後は一人の人であることを選び取った、その決意が素敵だ。

    また、四巻は本編だけではなく。
    上橋菜穂子のあとがきにも、グッとくる。
    これまでの「解説」に触れ、東乎瑠とオタワル医療の諦念と全能を対比させて、「ある種の暗い諦観」を取り上げている。
    実母の最期が、『鹿の王』の物語の彩りを少し変えたのだな、と思うと、変化ってやはり生きているんだなと感じた。

    再読が出来て良かったー。

  • 最後は、一気読みでした。
    色々な家族の繋がりが、キューンってなります。

  • 医療小説的な面もあり、興味深く読んだ。でも、なんだか風の谷のナウシカを読んだ後のような、モヤモヤ感。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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