鹿の王 4 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 3774
感想 : 307
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055106

感想・レビュー・書評

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  • 鹿の王4読了、できず挫折!!あと残り100ページでもういいやーと思ってしまった。皆さん感想をみると大絶賛しているので、それを共有できず極めて残念。このようなファンタジーは性に合わないのかなぁ?色々考えてたら、自分にとって登場人物が多すぎた、地理的関係性が複雑だった、現代の話ではないので実際のイメージができなかった等、敗因は色々ある。でも一番は私の理解力・イメージ力の欠如かな。妻の足元にも及ばないこの馬鹿さ加減は少しずつ克服していこう。何せ妻は当時センター試験、国語の成績は満点なんだよね、悔しい!!

  • 読み終わってしまいました。
    最後は涙なしでは読めなかったです。苦笑

    この物語は、ユナがいてくれるから、
    辛い場面でも救われました。

    たくさんの偶然、奇跡が重なり
    人の想いや愛が命をつないでいく。

    「鹿の王」という言葉の意味も、
    やっと明かされました。

    それにしても上橋先生の作品は、
    難しい言葉は使わず、
    アホな私でも情景が思い浮かび、
    登場人物たちが動き出す。
    そして、物語の内容は深くて重い。

    武器にされた動物、
    人間と共に戦場に駆り出される動物、
    読んでいて胸が痛い場面もたくさんありました。
    人間の業というか、
    本当に現代の私たちに迫ってくるものがります。

    緑の中で深呼吸したときの匂いや空気、
    誰かの温かい気持ち、悲しい気持ち、
    いろんなものが押し寄せてきて、
    読み終わったあとは、放心状態でした。苦笑

    願わくば、ヴァンが心穏やかに、生きていてほしい。
    そしてそのそばには、大切な人や動物たちがいてほしい。

    こんな気持ちになれるから、読書はやめられません。苦笑

  • ファンタジーでありながら、医学や植物学、文化人類学などのバックボーンがしっかり土台となっているため、物語としての説得力が高い。

    「鹿の王」と言うタイトルの真の意味を示す主人公ヴァンの行動が胸を打つ。未来に希望を示すラストも心地よい。

  • 最終巻、とうとう終わってしまった。もっとこの世界に浸っていたかった。終盤からは泣きながら読んだ。

    かつて死に場所を探していたヴァンはもう独りじゃない。一緒に希望へ向かっていきたい。

    壮大なファンタジーなのに、現実味が感じられ、すぐに物語の中に引き摺りこまれるのかなぜか⁈ 解説を読んで納得「ファンタジーでも魔法も超常現象もない」なるほど。

    医療小説でもあり、ウィルスや感染症の話もわかりやすく盛り込まれ、コロナ禍にタイムリー。映画化は年明け、実写はやはりムリですね。

  • 人間が自然に介入して新種のウイルスが蔓延する…今の御時世に通じる話だと感じました。最後は希望が見えたので良かったです。

  • 未知の感染症との闘いを描いているということで、このコロナ禍で再注目された今作。
    架空の国の架空の物語と言うことで、普段ファンタジー系を読まない人間にはなかなか読み進めるのが大変だが、何とか最終巻まで読み終えた。
    第1巻で狼のような動物に襲われ、生き延びたヴァン。囚われの身であったヴァンは、同じく囚われていた施設の中で生き残った幼子であるユナを連れ、逃げる途中で知り合った飛鹿を育てるトマの世話になるが、岩塩坑を調査していた人間に追われる立場にもなっていた。
    一方、ヴァンもいた岩塩坑で多くの人々が死んだ原因を調べる医術師のホッサルは黒狼熱の秘密に迫りつつ、原因となる犬やノミに噛まれた人々を救っていた。
    ヴァンとホッサル。
    二人の違う視点が一つになると、黒狼熱を操る存在が明らかに…果たして、その本来の目的は?
    と言う展開。
    1巻目を読んだ時は、まさしく未知の感染症の物語だと思ったが、話が進むにつれ、もともとの民族の争いの話になっていく。
    本来がそういう話であるところを、無理やりコロナに結びつけて、売り出しているのだからしようがないが、個人的に期待していた展開からは大きく逸れてしまい、ラストは何だか拍子抜け。
    もう少し、ホッサルのその後まで描いて欲しかった。

  • 最初の静かな始まりから徐々に話が壮大になってきて、謎要素も出てきて非常に探究心をくすぐられた。

    各章ごとに語り手が交互に入れ替わる方式で、章の引きが凄く続きが気になる終わり方をするので、まるで週刊漫画誌のようなお預けを食らわされる気持ちになった。

    ただ、物語全般で盛り上がりに欠ける印象を持った。
    終始静かに事が進むので読みどころが分からない。要所要所では熱い部分もあったけど、全体を通すと平坦な道をずっと歩いていた感じがした。
    ファンタジー世界のイメージをしきれていないのも原因かもしれない。
    もうちょっとバトル要素が欲しかったかな。

    ☆3.3

  • ヴァンは、ホッサルとの長い対話の中で、「生まれながらの貴人はいない」理由として、以下のことを話し始める。

    「飛鹿の群れの中には、群れが危機に陥ったとき、己の命を張って群れを逃がす鹿が現れるのです。長でもなく、仔も持たぬ鹿であっても、危機に逸早く気づき我が身を賭して群れを助ける鹿が。たいていは、かつて頑健であった牡で、いまはもう盛りを過ぎ、しかし、なお敵と戦う力を充分に残しているようなものが、そういうことをします。私たちは、こういう鹿を尊び〈鹿の王〉と呼んでいます。群れを支配する者、という意味ではなく、本当の意味で群れの存続を支える尊むべき者として。貴方がたは、そういう者を〈王〉とは呼ばないかもしれませんが」(19p)

    ここに至って、初めて作品の表題の意味が姿を現す。表題が〈犬の王〉とならなかった理由が、ここでやっとわかり始める。もっとも、ラストにならないと真の意味はわからないのではあるが。私は一方の主人公ヴァンをめぐる物語の輪郭をここで掴んだ。

    こういう〈王〉の在り方は、もしかしたら珍しくはないかもしれない。日本でも身分制が確立しなかった縄文時代や弥生時代後期ぐらいまでは、このような〈王の伝説〉はあったかもしれない。上橋菜穂子は長いことオーストラリアのアボリジニの調査研究をした。いままでは、不思議なほどにその調査研究の影響が作品上にみられなかったが、今回は濃ゆく出た気がする。アボリジニは、英国人の実質上侵略を受けた。長い迫害をどのように耐えて来たのか。現在は、どのように英国人と共存しているのか。それを観て来たのが上橋菜穂子である。ヴァンはラストはどうなったのか、誰もが想像できる。その寸止めの描き方が素晴らしい。

    もう一人の主人公ホッサルからは、人の身体を国に譬えた話が飛び出した。医療をテーマにして、やはり大きな物語が動いていた。しかしそれは多くの人が解説しているので、ここでは述べない。ただ、文庫版あとがきでは、著者はこの2年間の御母堂の癌との戦いの日々を告白している。さぞかし、決断と忍耐と癒しと悲しみの日々だったろうと推測する。「守り人シリーズ」の文庫本化の時にはまるで最終章に合わすかのように大津波が起きた(最終巻が2011年夏の発行)。「獣の奏者」の時にはISの台頭、そして本作ではこのようなことが起きる。決して時代に合わせて書いているとも思えないが、やはり「何か」あるのかもしれない。
    2017年9月読了

  •  ついに完結。壮大なストーリーと、しっかり体温が感じられる登場人物、匂いや光さえもその場にいる様に伝わる風景描写、素晴らしかったです。黒狼病という恐ろしい病気が広まってしまう怖さは、コロナ禍の現在に深く通じるものがあって考えさせられることが多かったです。“鹿の王”というタイトルも、読む前と読んだ後ではだいぶ印象が変わります!
     本当に細部までしっかり設定されていて、登場人物達にもすごく愛着が湧きます。ヴァンやホッサルの背負った物の重さ、様々な立場の人達がそれぞれの思惑で行動する複雑さ、そんな中でユナの存在が癒しになっていて、ユナの行動で登場人物が思わず微笑んでしまう場面では自分の頬も共に緩むのを感じました。
     失った人や物がたくさんある人達が出会うことでお互いの傷を再生し、いつか必ず一つの輪の中で温かい暮らしをしていく事を祈っていますし、この目でそれを見たいなと思いました。

  • 鹿の王について語られるとき、物語の結末をうっすらと予感し、掻き立てられるままにページをめくった。ヴァンの亡き妻と息子を想いながらの決意に涙さえ滲んだ。だからこそ、ユナという存在にただただ救われる。

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著者プロフィール

作家、川村学園女子大学特任教授。1989年『精霊の木』でデビュー。著書に野間児童文芸新人賞、産経児童出版文化賞ニッポン放送賞を受賞した『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、野間児童文芸賞を受賞した『狐笛のかなた』、「獣の奏者」シリーズなどがある。海外での評価も高く、2009年に英語版『精霊の守り人』で米国バチェルダー賞を受賞。14年には「小さなノーベル賞」ともいわれる国際アンデルセン賞〈作家賞〉を受賞。2015年『鹿の王』で本屋大賞、第四回日本医療小説大賞を受賞。

「2020年 『鹿の王 4』 で使われていた紹介文から引用しています。」

上橋菜穂子の作品

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