鶏小説集

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 293
レビュー : 67
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041055755

作品紹介・あらすじ

トリドリな物語。旨さあふれる「鶏」小説を召し上がれ。
「トリとチキン」…似てるけど似てない俺たち。思春期のゆらぎと成長を描く/あげチキ
「地鶏のひよこ」…地方出身の父親と、都会生まれの息子/地鶏の炭火焼
「丸ごとコンビニエント」…コンビニバイトの僕が遭遇したクリスマスの惨劇とは/ローストチキン
「羽のある肉」…高校受験を控えた夏。彼女と二人で出かける/鶏手羽の照り煮
「とべ エンド」…死にたがりだった漫画家。そのエピソードゼロとは/鶏ハム

感想・レビュー・書評

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  • 豚が表紙の「肉小説集」に続いて、今度は鶏。
    5作からなる短編集だが、皆、どこかでつながっている。
    中心にあるのは…コンビニじゃないかなあ~?
    夜の住宅街に、ポッとともる灯りは気持ちをほぐしてくれる。
    しかし、そこでクリスマスの惨劇が!!
    インパクト強し。
    そしてなんといっても、『あげチキ』
    貧乏神なるあだ名の店長の、才能に気づいているのは孤独な漫画家。
    やっぱり揚げ方で味が違うのでしょうか。

    忘れてはならないのは、鶏(肉?)は、翼を持った生きものであったということだそう。
    5つの作品にも、どこかに「飛びたい、飛び立ちたい」という気持ちが込められているように思いました。


    『トリとチキン』
    子ども時代、友達の家がうらやましかったことって、ある。

    『地鶏のひよこ』
    父親から見た息子。
    結構思い切ったことが書かれている。

    『丸ごとコンビニエント』
    広く浅く便利に生きて何が悪い。

    『羽のある肉』
    誤解から始まる、ピュアなラブコメ。
    気持ちが飛んでいくところ、よかった。

    『とべ エンド』
    バキも、秘めたる翼があるのだろうな。
    「わからない」の先にあるものを追いかけていきたい。
    その言葉は、人生そのものかも。

  •  『肉小説集』という奇妙な短編集が刊行されたのが、約3年前。坂木司さんの新刊は、『鶏小説集』だそうである。肉の中でも、今回は鶏に特化?

     最初の2編は密接な関係にある。「トリとチキン」。見た目は瓜二つだが、まったく違う家庭で育った2人。お互い、相手の家庭に居心地の良さを感じる。こういうミスマッチは珍しくないだろう。しかし、贅沢な悩みであることもわかっている。

     「地鶏のひよこ」。今度は父親目線である。嗜好が合わない息子との関係に悩む父。瓜二つの息子の友人と過ごす方が、楽しい。それでも息子を理解したい。だから、あんな父は許せない。大人の対応を崩さないこのお父さんは、偉いと思う。

     「丸ごとコンビニエント」。年末年始にコンビニのバイトに勤しむ青年。こだわりの薄さを自認している彼が、強くこだわったこととは? そのこだわりのおかげで、命拾いしたとだけ書いておこう。ホラーのような心温まるような…。

     「羽のある肉」。こちらもあまりこだわりがなさそうな、中学3年生。流れで新聞委員を押し付けられた結果、思わぬ展開に。彼自身が気づいていない魅力とは。ああ夏休み。ああ花火大会。ああ青春だねえとだけ書いておこう。

     「とべ エンド」。引きこもり寸前の青年にとって、それは転機だったと言えるのだろうか? どんなに嘘がなくても、そんな知り合いは勘弁してくれ。表現のあり方にうるさい昨今である。彼を応援したい気もするし、でも読みたくはないかな。

     読んでみればわかる通り、最初の2編以外でも、登場人物がリンクしているのが特徴と言える。彼ら自身の与り知らないところで、それぞれの生き方に、影響を与えているのだった。坂木作品らしい優しさも光る、好編揃いの短編集だ。

     でもやっぱり、「鶏」が共通のキーワードである必然性はないような…。

  • 肉がこわめだったので、どうかな?と思ったが、これは怖くなくて良かった。
    ゆるく繋がる連作短編集。
    とべ えんど が坂木さんらしくて好きかも。
    親子の関係は親側として身につまされた。
    親を捨てていくもの、健康に育ってくれることが恩返し

  • ゆるい連作短編集。
    しかし鶏はかなりこじつけ。
    キーになるコンビニチキン、
    脂くどいし不味いから
    想像して後味悪かった。
    話の感じは嫌いじゃないんだけど…

  • 肉小説の豚肉に続く第2弾は鶏肉
    今回はそれぞれの話がちょっとづつ関連してます。
    高校生から父親、コンビニ店員、漫画家など
    幅広い主人公で楽しめます。
    父親の話が個人的には好きです。
    次は牛肉か?

  • 図書館より。

    豚肉に続き、鶏肉も読破。
    私的に鉈サンタVS血まみれ貧乏神。死闘の結果に吹いた。文才すごい。
    鶏肉はさらりとさっぱり食べれるのがイイと思う(でも、あげチキは食べてみたい)。ご馳走さまでした。

  • 鶏料理にそれぞれの悩みなどが絡みあい面白いです。
    また脇役が思わぬ形でそれぞれの話につながっているのも楽しめます。

  • 「肉小説集」に続く、肉の部位ごとに人生の困難に降りかかっても前向きに生きる人々の話を描いている。クリスマスのコンビニを舞台にした、奇妙な事件の謎をコンビニ店員らが解いていく話は今の時期にピッタリであり、クリスマス商戦の舞台裏とミステリーにヒヤヒヤしたが、最後に無事事件が解決し無事クリスマス商戦を乗り切った安堵感を感じる。親子の話では思春期の友人の繊細な心や父子関係の繊細さをうまく表現され、親子間の葛藤の中に二人仲良くチキンを食べる姿が微笑ましく、困難の先に光明も感じられて良い。チキンが食べたくなる気分。

  • 家庭を疎む高三男子の家交換、子供を好きになれずでもぶれない父親、キャンセルされたコンビニの丸焼きチキン、成り行き委員な甘酸っぱい高校生男女と花火、元いじめっ子と彼に急襲され続きを請われプロになった漫画家のコミュニケーションがむしろ成立している関係。何気なくも凝縮された魅力の連作。鶏料理も美味しそう。

  • 肉小説集に続き、鶏肉に特化した短編集。肉小説集に出てきた人がちょっと出てきたりして、やっぱ再読して良かったと思う。前出てきた人やコンビニが出てきて連作短編集でもあった。全部わかるというか、共感しやすい。読みやすい。さすが坂木司って感じ。子供が好きになれない親、というのも斬新というか、いやー、いるだろうな、と思う。最後の「とべ エンド」は一番スカッと感があって面白かったかな。嘘が嫌い、吐いちゃう、って大変だよなー。コンビニのチキンも食べたくなった。鶏肉最近食べてないなー。

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著者プロフィール

1969年東京都生まれ。2002年『青空の卵』で<覆面作家>としてデビュー。続く「ひきこもり探偵」シリーズとして人気を得る。ナイーヴで魅力的な人間像、緻密に描かれ、爽快に解かれる日常の不思議とこころの謎が圧倒的な支持を集めている。13年『和菓子のアン』で第2回静岡書店大賞・映像化したい文庫部門大賞を受賞。他の著作に『ワーキング・ホリデー』『ホテルジューシー』『大きな音が聞こえるか』『僕と先生』『肉小説集』『女子的生活』などがある。

「2017年 『鶏小説集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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