凶宅 (角川ホラー文庫)

  • KADOKAWA (2017年11月25日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784041056110

作品紹介・あらすじ

山の中腹に建つ家に引っ越してきた、小学四年生の日々乃翔太。周りの家がどれも未完成でうち棄てられていることに厭な感覚を抱くと、暮らし始めて数日後、幼い妹が妙なことを口にする。この山に棲んでいるモノが、部屋に来たというのだ。それ以降、翔太は家の中で真っ黒な影を目撃するようになる。怪異から逃れるため、過去になにが起きたかを調べ始めた翔太は、前の住人の残した忌まわしい日記を見つけ――。“最凶”の家ホラー。

感想・レビュー・書評

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  • 主人公が小学男子で広い年齢層が読めるような平易な文章だと思う。

    深い嫌な感じを出さないままにラストに向かうけれど結果はかなり恐ろしかった。
    特にまさかと思いながら読んだ最後の一行で絶望の淵に落とされる感じ。

    やはりベースになっているのは土地とそこに宿るものというのはいつもの三津田作品の流れだけれど割と読みやすく書かれているのでうっかりしてしまった。

    日本の神様はキリスト教とは違ってアニミズム的なものだと思う。だからこういうホラーを自然に受け入れられるっていうか、DNAにそういうのが組み込まれているのかな。
    原始的とか迷信とも言えるけれど、それは自然の中で暮らしてきた人間の当然の考え方でもある。
    太刀打ちできない自然に畏れを抱くのは当然であって、むしろ自然を敬わないような今の人間の在り方の方が恐ろしい。

    私はスピリチュアルなものに傾倒しすぎるのはあまり好まないし、私の中の警報が鳴るけれど、自然に身を委ねるしかない人間の力なさはよく理解している。

  • ちょうどいい怖さだった。主人公は小学生の少年だが、頭がよく怪異に対して積極的に調査していく。友人と共闘して立ち向かうのも良い。
    田舎の閉鎖的な感じや、村の言い伝えなど、これぞ民俗学ホラーという感じで好みだった。
    最後の一行までぞっとさせてくれる。

  • 怪異についてはほぼ真相はわからず。すっきり解決していない部分とラストの1文とが相まって、いい感じに気持ち悪さが残ります。

  • 怖かった。ホラー小説。
    ちょっと現実離れしているけれど、次から次へと奇怪なことが起こり、テンポ良く、妙に引き込まれた。
    結局妖怪の正体が何だったのかスッキリしなかったところはあるが、家族に妖怪が憑依し最後には自殺してしまうという展開にゾッとした。

  • なにこの不幸を煮詰めたような話。

    百々山、辰巳家...蛇棺葬と百蛇堂と関わりがある場所が出てきたし

    お山を切り拓いてしまった以上、どうすることもできないからあの家に住む家族を村八分にしようなんてことをする住民が怖い。

    大人が全く頼りにならなかった
    幸平が頼もしいし、親族が向かえに来るまで保護者として動いてくれた幸平母もまともな大人だった。

    香月希美も早い段階から山のナニかにのまれてしまったんだな...アパートから離れれば元に戻るのか戻らないのか

    逃げた先で羊のハネタが出てきたから戻らないし逃げられないのかも

  • 三津田信三さんの家本を網羅して。
    気味の悪さを感じる描写が凄くうまい。

    終盤に霊がガッツリ怖くない感じで出てきて、ガッツリしゃべり、意思疎通、会話をしてくるという点で怖さが消えてしまった。

  • 【2024年207冊目】
    新天地への引越し――普通であれば新たな生活の始まりにわくわくするものだが、翔太は言い様もない不安を抱えていた。幼少期からカンの良かった彼は、これまで何かと危機を回避してきた。もちろん偶然かもしれない、けれどそれらの時と同じ、言い様もない嫌な感覚。それは新居に近づくに強まっていって…「この家には何かがある」

    「スマホを落としただけなのに」ならぬ「新居に引っ越しただけなのに」です。大体、家に纏わる怪異のお話は人間側から見るとめちゃめちゃ理不尽ですよね。家って一番逃れられないものですし。

    真相がわかった時の絶望感、いい意味でめっちゃ良かったです。そういうことか〜最悪〜と思ってたら、最後の一文がもっと最悪で最早笑ってしまいました。続きあるのかなと思って調べてみたところ、「家」シリーズとされてはいますが、独立してる話のようです。余計最悪やないか。

    救いが見えてきたと思いきやの展開の落差も良かったし、怪異の説明もされていたのも良きでした。楽しく読めました。

  • 怪異の正体が明らかになったり退治できたりはしないスッキリしないホラー
    理不尽感強め
    何の罪もないのに子どもの目の前で家族が亡くなる展開が苦手な人は避けたほうが良いと思う

  • 怪異の正体を明確にしない終わり方。
    最後は、ちゃんとオチでしめている。
    何人か取り憑かれた登場人物が出てきて、そこが怖がるタイミングなんだと思うんだけど、そんなに怖くないのは、自分の想像力が足りないせいか。
    伊藤潤二の漫画のような視覚イメージで読んだ。

  • 怖いけど面白い。三津田信三先生の家ホラーはさすがです。

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著者プロフィール

三津田信三
奈良県出身。編集者をへて、二〇〇一年『ホラー作家の棲む家』でデビュー。ホラーとミステリを融合させた独特の作風で人気を得る。『水魑の如き沈むもの』で第十回本格ミステリ大賞を受賞。主な作品に『厭魅の如き憑くもの』にはじまる「刀城言耶」シリーズ、『十三の呪』にはじまる「死相学探偵」シリーズ、映画化された『のぞきめ』、戦後まもない北九州の炭鉱を舞台にした『黒面の狐』、これまでにない幽霊屋敷怪談を描く『どこの家にも怖いものはいる』『わざと忌み家を建てて棲む』がある。

「2023年 『そこに無い家に呼ばれる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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