人間の顔は食べづらい (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 657
感想 : 66
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056134

作品紹介・あらすじ

「お客さんに届くのは『首なし死体』ってわけ」。安全な食料の確保のため、“食用クローン人間”が育てられている日本。クローン施設で働く和志は、育てた人間の首を切り落として発送する業務に就いていた。ある日、首なしで出荷したはずのクローン人間の商品ケースから、生首が発見される事件が起きて――。異形の世界で展開される、ロジカルな推理劇の行方は!? 横溝賞史上最大の“問題作”、禁断の文庫化!
文庫特別書き下ろし掌編に加え、道尾秀介の解説も収録。

感想・レビュー・書評

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  • これはもう一度しっかり読み直したいなぁ。


    道尾さんの茶目っ気バリバリの解説が1番面白かったでございやす。

  • 1頁目から私の胃に降り注ぐ、鮮烈なまでに鮮血な描写。それは読み進めるたびに重力を増す。ただ、初期の日本ロック好きの私としては登場人物にニヤリ。

  • '23年11月5日、読了。Kindle unlimitedで。白井智之さんの小説、二作目。

    やられました!これは、酷い小説です!今年読んだ(または聴いた)小説中、一番のグロい設定。

    そもそもタイトルからして、「???」でした。何度中止しようと思ったか…でも、のめり込んでしまいました。

    人間が、クローン人間を食べる世界、という、あり得ないグロい設定…ですが、ちゃんとミステリー小説でした。まんまと騙された!

    本作がデビュー作、って…僕は正直、狂ってる(失礼!)って思ってしまいますが…白井智之さん、凄い作家さんですね~。次は何に行こうかな…。

  • 食用クローン人間が育てられている日本を舞台としたエログロ系特殊設定ミステリ。かなりクセの強い世界観やキャラ、エグい描写(これでも他作品に比べればまだマシな方らしい)も相まって、めちゃくちゃ人を選ぶ作品ですが、ロジカルな推理合戦は圧巻の一言。
    後半で明かされるクローンを用いた二人一役の叙述トリックは後で読み返すと、しっかりヒントもあって、全然気づかんかったので少しくやしいw
    あと、こいつ探偵役で活躍するんやろなぁって思った由島三紀夫がアッサリ退場したのは少し笑ってしまった

  • 安定のグロ設定で、きちんと推理ミステリー。
    コロナウイルスによって家畜の肉が食せなくなり、子供達への栄養管理の為、クローン人間の肉を食す世界。
    という、変わり種設定を巧みにトリックに盛り込んだ上、基本のミステリー要素も満載。
    「東京結合人間」もそうでしたが、白井智之の作品を読んでいると、江戸川乱歩のミステリを読んでいる時のようなもやもや感があります。
    なんだか「奇妙」な感覚。
    ハマりました。

  • ついに"鬼畜系特殊設定パズラー"に手を出した。
    舞台は、食用人間クローンが合法となった世界。
    奇抜な設定とは対照的に、ロジカルな推理合戦が繰り広げられていく。
    噂通りのグロさだが、文章は“グロい"というより"グロいことをグロいと思わずに書いている"という感じ。好き嫌いは分かれるだろうが、自分は圧倒的に前者。間違い無くこれは傑作だ。

    ↓以下、トリック・ロジックの記録も兼ねて
    まず、生首が冨士山に届けられたことに関する推理合戦。
    ・シンプルに柴田が犯人
    ・冨士山が犯人(パトカーとか使って先回り)
    ・検問がニセモノ
    ・由島が犯人(蝋人形を本物だと思わせて後で入れ替え)
    ・設楽が犯人(時計をずらす。できたのは柴田が腕時計落としたの知ってた設楽のみ)
    〜〜
    チャー坊が柴田に説明する偽の解決
    犯人、柴田がモニターで見た時立ち去ろうとしたが、柴田が行った時、壁に手を置いて立ち尽くしていた。ナイフとかで良いのに、なぜか鉄パイプ所持
    →犯人は弱視?(電気つけてるので全盲ではない)
    「木村」と言われ、弱視を見抜かれたと誤解
    〜〜
    自分を見た人物一人を殺すため、皆殺しに。
    →犯人、北の出入り口が使えるようになったの知らなかった
    犯人、午前・午後の部になったの知らず、夜でも首が残っていると思っていたので、第二プラセンのものと勘違いして首を探していた
    →犯人、もうプラセンの業務から離れてる
    (=木村ではない)
    〜〜
    冨士山、本捨ててる。サングラス。しかももう業務から離れてる
    →犯人!
    〜〜
    冨士山、柴田のようにクローン育ててた。食べれない生首の処理に困り、それを届いたことにした。(本物は夜中に回収へ)
    アリバイ工作のためのクローンだったので、存在隠したかった。

    実際は、上のは全て嘘。柴田の性格知っていたので、夜中時計探しに来るのは読めた。「木村!」と言わせるために香水撒いた(?)
    四つ折りの脅迫状、血痕対称じゃない→偽物
    筆跡合わなかったのは、柴田の前に現れたのはクローンだったから。届いたのが、本物。
    クローンたち、工場にダメージ与えるため計画。ついでに本物とクローン入れ替える。(首輪でバレないように首切り)

    ↓叙述トリック
    「河内ゐのり」と「柴田和志」は両方二人一役。
    「牧畜家は死ね」や、喫煙などが伏線。

  • クローン人間の食肉工場が舞台という中々の設定に怯みながら頁をめくると、最初から丁寧なグロ描写!けどしっかりミステリー!
    ここまでエログロに振り切れてるとかえってポップさを感じてしまうのは私だけだろうか

  • トンデモ設定のエログロミステリだけど、でも最後の推理劇はかなり論理的でどんでん返しで、申し分なし。
    まさかのタイムリーな新型コロナウイルスで肉食ができなくなったため、食用の人クローンを育てるプラナリアセンターとか「非自然人の権利に関する法律」だの、なさそうでありそうな世界観も好き。

  • 設定と表現は結構キツイものがあります。
    中々えぐい世界観です。

    しかし、他の作品を読んでみたくなりました。

  • 「食用クローン人間工場」っていう前提がまずグロいんだけど、妙に淡々としてて思ったよりは読みやすいというか。
    これが常識の世界で生きる人たちの一人称で書かれてるからかな?

    実は途中でトリックにはある程度気付いてたんだけど、「やっぱ違うのかな?」って思わせる仕掛けがそこかしこに散りばめられててすごい考えた!
    題材は突飛だし真相も最初に思ってたのより捻られてたけど、ちゃんと「この物語の世界でなら起こり得ること」だけで構成されてるフェアなミステリだなって印象ー

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著者プロフィール

1990年、千葉県生まれ。東北大学法学部卒業。『人間の顔は食べづらい』が第34回横溝正史ミステリ大賞の最終候補作となり、同作で2014年にデビュー。『東京結合人間』が第69回日本推理作家協会賞候補、『おやすみ人面瘡』が第17回本格ミステリ大賞候補となる。『名探偵のはらわた』は「2021本格ミステリ・ベスト10」で第3位。他の著作に『少女を殺す100の方法』『お前の彼女は二階で茹で死に』『そして誰も死ななかった』『ミステリー・オーバードーズ』『死体の汁を啜れ』がある。衝撃的な作品で読者の度肝を抜く、気鋭の本格ミステリ作家。

「2022年 『お前の彼女は二階で茹で死に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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