テーラー伊三郎

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 229
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041056172

作品紹介・あらすじ

死にかけた田舎町の商店街、老舗テーラーのウィンドウに突然現われた美しいコルセット“コール・バレネ”。それは、ある仕立て職人と貧困家庭に育つ高校生・海色の人生を変える、色鮮やかな“革命”の始まりだった。

感想・レビュー・書評

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  • 「人の顔色を見るな。人とくらべるな。意見を飲み込むな。自分の人生は、自分以外のだれにもゆだねるな」
    82歳の仕立て職人が17歳の男子高校生へ向けて放った本気の言葉は、少年の心を一瞬で撃ち抜いた。
    福島の田舎町で起こした老人と高校生のコルセットによる「革命」は、町を変え少年の生き方をも変える。
    「人生は終盤戦からが本番だ。年寄りは可能性が狭まったぶん、経験値だけは腐るほどある」
    老人達のイキイキとした生きざまや職人魂はスカッとする位に爽快。
    老人達のアツい情熱を見せつけられ、少年の中に潜んでいた可能性の欠片が開花する。
    そして読み終えた私も、人生の終盤戦に向けて力強いエールを貰えた。

  • 第158回(2017年下半期)直木賞候補作品。
    高校2年生の津田は、ある日寂れた仕立て屋「テーラー伊三郎」に飾られた、女性の下着である美しいコルセットに惹きつけられる。母親が官能漫画家であり、その手伝いをしていた津田は、その時代の服装・文化に興味があり詳しかった。福島の中途半端な田舎町生まれ、海色(アクアマリン)と名づけられ将来を諦めかけていたが、仕立て職人の伊三郎、周囲の老人などと共に、コルセットで革命を起こす!
    変人というかマニアックというか、個性の強いキャラクターが登場するところは川瀬さん。全く馴染みのないものなので、表紙の絵を何度も見直してしまった。楽しいエンターテイメント小説。

  • マニアック集団のマニアックな展開にワクワクしながら読みました。
    青春群像劇のようであり、商店街の老人たちとの絡みや
    母と息子との複雑な葛藤も盛り込んで、
    最高に楽しかった。

  • 思った以上に傑作。いやーオモロかった。
    川瀬七緒さんは初読だが、追いかけてみたい要チェックリストに登録!

    ストーリーは正直凡百だが、キャラクター設定とウンチクが最高に上手い、おそらくストーリーを工夫したら、キャラクターとウンチクが雑味になるから単純にしたんだろうな。メリハリとバランスをそっちに持って行くことで成功している。

    登場人物の個性と、服飾やスチームパンクや作図の薀蓄を徹底的に楽しめた。特に薀蓄は自分では全然疎い方面のことがほとんどなのに、読んでて実に楽しい。女性のファッションになど全く興味がないはずなのに、読んでてウキウキしてくる。

    知らない人にいかに分かりやすく説明するか…これがいかに難しいか。その部分を実に上手くこなしているからこそ、この小説は良作になっている。生きていれば魅力的な事はあちこちに溢れるほどあるんだなぁ~

  • 面白かった!こんなパワフルで意外と柔軟性のある年寄りが身近にいたら楽しそう。刺激的。
    痛快に悪玉をやり込める感じで終わらせずそこそこの着地点で折り合いつけてる感じが現実的?それでもこちらはスッとした読み応え。
    残念ながら知識が乏しく、文字だけの説明ではイメージが頭の中で再生できない。どんな素敵なコルセットなのか見てみたい。

    離れた立場で助言し見守るアクアの担任が素敵だ

  • 良かった。
    ここ最近読んだ本が立て続けに期待外れだったので余計によかった。
    登場人物がみな味が濃くも、生き生きとしており楽しめた。           読んでいてこっちまでわくわくする感じが心地よく
    コルセットの書き方もとてもきれいで、割合想像しやすかったけど、だからこそ
    それを裏付けるコール・バレネもご婦人方の着こなしも挿絵がほしい!と思った。
    スチーム・パンクの世界も気になるところ。

  • 古ぼけた仕立て屋のショーウィンドウに飾られた〈コール・バレネ〉。場違いな女性下着の登場は、保守的な田舎町を騒然とさせていく。
    母親を筆頭に、クセのある人物ばかり。一風変わった人間たちが、その個性を活かし、のびのびと動き回る。枠にはめられることなく、自分たちのポリシーをつらぬこうとする姿が、痛快。
    楽しいエンターテイメント作品で、読後感もさわやか。
    花園あずき『麗しのドレス図鑑』のおかげで、コルセットや服飾の話題は、具体的にイメージしながら読むことができた。

  •  これは実写化したら面白そう!頑固な職人・伊三郎を始め個性溢れる商店街の老人達や、美しいコルセットを始めとする魅力的な世界、エヴェレット・ジャポニズム。服飾の薀蓄等も堪りません♡テーラー伊三郎が実在したら是非、新装開店に駆けつけたい。

  • 川瀬七緒、これが初めて。その後昆虫法医学シリーズなど、彼女の作品はあらかた読んだが、これほど面白い作品は残念ながらなかった。「桃ノ木坂互助会」もじいさん、ばあさんが出てくるという意味では共通しているけれど、あれはなんだか始祖鳥みたいに、鳥でもあり恐竜でもあるというような未分化な印象を受けた。じじい、ばばあと若者たちの出会いというテーマではこれが最初の完成形と言えるのではないか。
    この作品の最大の魅力は、今更失うものは何もないと、自分の趣味を100%全開にして、高い技術をおしげもなく作品につぎこんでいくおじいちゃんと、その価値観に巻き込まれつつも、新しい感性をリミックスしていく高校生たちとの、相互の尊敬とぶつかりあいの姿だろう。年齢を超えた価値観のぶつかりあいという意味では、佐藤多佳子の『明るい夜に出かけて』と似たようなものを感じた。あそこに出てくる女子高生《虹色ギャランドゥ》と、こちらのスチームパンクな女子高生はキャラ的にも役回り的にも似たイメージで、どちらもとても魅力的だった。

    少し残念な点は、川瀬七緒の作品はどれもこれも、物語の作り方のレシピがそれしかないのかというくらい、最後の1/5くらいで危機がおとずれ、それを乗り越えてエンディングというワンパターンのお決まりの構成で、型にはまりすぎていてちょっともったいなと感じた。もう少しいろいろなパターンを工夫してほしいところだ。

  • 地方のどこにでもありそうな、寂れた商店街。
    もう潰れたと思われていた紳士服店のショウウィンドウに突如飾られた中世を思わせる女性用コルセット。
    仕立てた紳士服店店主の伊三郎の暴走なのか、そしてコルセットに衝撃を受けた高校生海色(アクアマリン)は伊三郎と共に何をしようというのか。

    権威圧で人を跪かせる商工会役員や自分だけの正義感で他を従わせようとする女史が跋扈する閉鎖的なコミュニティ。
    でもよくよく見渡してみれば残りの人生を謳歌しようと張り切る老人たちがいて、他人から見れば理解しがたいものの自分なりの世界観をしっかり持っている少女がいて、半ば自分の人生を諦めていたものの彼らに背中を後押しされて奮起する少年がいる。
    『アクアマリン』なんて名前を息子に付けて、自分の官能漫画のアシスタントもさせて、常に能天気な母親はどうなんだろうと思っていたけれど、彼女は彼女なりに闘っていたのだろう。
    いわゆる町おこしのようなものでは全く無く、敵対する人々をやっつける勧善懲悪な話でもない。
    伊三郎始めとする老人たちや海色たち高校生、それぞれがそれぞれの得意分野、好きな分野を思い切り生かして楽しんでやり切る話なので気持ちいい。
    終盤ピンチがあって、川瀬さんなのでもしかしてこのままバッドエンドか?と心配したけれど、逆にこの弾けっぷり、良かった。
    意外に良かったキャラは海色の担任教師。『生徒によって態度を変える』という教師は事なかれ主義なようできちんと海色のことを見てくれていて、適切な助言もしてくれていて、でも綺麗事ではなくて魅力的な教師だった。

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著者プロフィール

1970年福島県生まれ。文化服装学院服装科・服飾専攻科デザイン専攻卒。服飾デザイン会社に就職し、子供服をデザインするかたわら小説を執筆。2011年、『よろずのことに気をつけよ』で第57回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビューを果たす。著書に、『法医昆虫学捜査官』から始まる「法医昆虫学捜査官」シリーズ、『桃ノ木坂互助会』『女學生奇譚』『フォークロアの鍵』がある。

「2017年 『テーラー伊三郎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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