- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041057162
作品紹介・あらすじ
宝塚歌劇団の若手娘役・野火ほたるは新人公演でヒロインに抜擢され、一期上の憧れの男役・薔薇木涼とコンビを組むことになる。ほたるの娘役としての成長と、バラキとのコンビ愛。そんな彼女を遠くから
ひそかに見守り続ける孤独なヤクザ・片桐。大鰐組では若頭のことを二番手と呼び、兄貴分のことを上級生と呼び、引退のことを卒業と呼んでいた。組員には全員愛称がついていた。それが宝塚の風習を踏襲したものだということを知っているのは片桐だけだった――。決して交わるはずのないタカラジェンヌとヤクザの組長、それぞれの十年を切なく濃密に描く。『男役』に続く、好評の宝塚シリーズ第二弾。
感想・レビュー・書評
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任侠物語を読んでるのかな?と途中から思ってしまった。
宝塚とは縁のないヤクザの片桐と娘役ほたるの10年。
面白かったんだけど、任侠小説なのか、なんなのかわからなくなるし、ラストはいただけない。でもなんか引き込まれるし、レオンが出てくるのはうれしい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
そうそう、中山可穂さんは時に意地悪なほどに読者を平穏無事にはしてくれないんだよなー!ということを思い出した。
すぐにでも「銀橋」を読みたいけれど、判型が揃わないので躊躇するところ。「男役」「娘役」を単行本の時に読まなかった自分を後悔するけれど、その当時は宝塚にハマっていなかったので、今このタイミングで読んで良かったんだと思うし、アンビバレンツ。 -
男役と続けて読みました。
オチが少し予想通りすぎたかなと思いますが、重々しくなくてよかったです。 -
実在する宝塚について書くからこそ、ファンタジーであるとわかる仕掛けを取り入れないといけない。それが、男役でのファントムであり、娘役ではヅカファンのヤクザだった、とのこと。
中山さんの筆力がやっぱりすごい。斬新な設定にもかかわらずこんなこともあるかもしれないと思わせられた。
最近は宝塚について、マイナスな面で話題になってしまっているけれど、いつかちゃんと見に行ってみたいと思う。 -
2022/03/21-03/23
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片桐が野火ほたるに惹かれてファンになった時から、もう大筋の展開と結末はほぼ見えていたし、果たして想像通りであった。にもかかわらずページを捲る手が止まらず、どうしようもなく切なさが込み上げる。それはこの物語の世界にそれほどに惹かれたからだ。ヤクザなんてとても好きになれないのに、こんなにも強く片桐というキャラクターに惹かれてしまうのも、著者のキャラクター造形のすごさの証左に他ならない。
前作『男役』との対比もあり、男役と娘役の違いの描写も面白かった。中でも肉食動物と草食動物に喩えた部分は素晴らしかった。 -
前作に引き続き、宝塚愛に溢れた2作目でした。
ヤクザ×宝塚という現実では恐らく交わることのない世界の組み合わせで宝塚ファンとしては初見の時は少し驚きました。シンプルに宝塚の世界だけで2作目を作っていただいても良かったのではないかなというのが率直な感想ですが、一般的には中山さんの宝塚シリーズの中でもこの2作目が特に評判が良いみたいですね。読み返すごとに味が出てくる気もしますので、これからも読み続けます。 -
本当にめちゃめちゃめちゃめちゃ良い。細切れじゃなく没頭して一気に読みたいけど勿体なくてゆっくりゆっくり味わいながら読んだ、最高。こんなの読んだら宝塚の世界を愛さずにはいられない。「男役」も良かったけど期待を超えてきた「娘役」。続く「銀橋」も確実に最高でしょ。
そして中山可穂のすべてを読みたくて順調に集めているけど読み終わってしまいたくない気持ちも強い。こんなに好きになった作家は初めてだよ。