西郷の首

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 121
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057193

作品紹介・あらすじ

ひとりは軍人に。ひとりは利通暗殺へ。

西郷の首を発見した男と、大久保利通を暗殺した男。
2人の加賀藩士は、親友同士だった――。

「維新」とは何だったのか?
武士の世の終焉を活写した、ひたすらに熱く切ない本格歴史長篇!

幕府を中心とした開国派と、長州藩を軸とした攘夷派に分かれ、激しい戦いが繰り広げられる幕末。
百万石の雄藩・加賀藩は、中立的立場ながらも、藩内では二派の対立が激化していた。
加賀藩士の島田一郎は尊王攘夷思想に憧れ、親友の千田文次郎は、一郎の情熱に煽られながらも自分を見失わないでいた。
やがて一郎は反政府活動に傾倒し、武装蜂起を企てる。
一方、文次郎は陸軍軍人となって西南戦争に参加し、薩摩軍が隠した西郷隆盛の首を発見する。
それにより不平士族の絶望は頂点に達し、一郎らは大久保利通の暗殺を画策する……。

幕末・明治という激動の時代に翻弄された二人の青年の友情と別離。圧巻の歴史長篇!

「一つの時代が終わったのだ。もう武士の世には戻れぬ」


文芸評論家・縄田一男氏、激賞!

「完敗した。評論家の首を賭けるに足る傑作」 (「本の旅人」2017年10月号書評より)

感想・レビュー・書評

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  • 西郷隆盛や大久保利通について、歴史が理解出来た。伊東潤氏のストーリーは最後の結末に猛ダッシュするところが良いね。

  • タイトルから西南戦争の話かと思ったら、薩摩藩ではなく加賀藩の話が進む。
    足軽の二人を軸に倒幕から明治維新への時代の激変を描く。
    終盤になってタイトルはそういうことか、と分かったが、うーん、このタイトルにしなくても…と思ってしまった。

    全体的に加賀藩のように報われない人々の怨嗟の叫びが聞こえるような話だった。
    高い理想を掲げての闘いの筈が結局は権力の座を巡っての椅子取りゲームのように見えていく。椅子に座れなかった人々は諦めるのか抵抗するかしかないのか。

    文次郎、一郎、袂を分かった二人が決めた道、どちらが勝ちでどちらが負けというわけではないし、西郷が負けで大久保が勝ちというわけでもなく、それぞれに大義があり抱えるものもあるだろう。
    一つ言えるのは、こうした時代の激変には数多くの人々の苦しみがあるということ。

    伊東さんはこうした歴史の裏を描くのが上手い。

  • 明治維新からの一つの時代の終焉。その中で生きなければならない武士や人間像。そして何故加賀藩出身のこの二人がこんな人生を・・・。

  • これは面白かった。
    西郷の首を見つけた男と大久保を殺した男。
    二人は加賀藩出身で親友だった。

    西南戦争を扱った作品とややリンクしていて、あ、読んだわって思わされる部分も。

  • 好みとしては、幕末モノは基本辛い事しかないので、あまり積極的に読みたくないのだけど、伊東氏の戦国モノをほぼ読んでしまったので「仕方なく」借りたら、これが面白い。タイトルから西郷どんのお話と思いきや、西郷どんの死=侍の時代の終わりを象徴していて、やっぱり幕末モノらしく、溌剌な若者が段々と辛い状況に否応なく追い込まれながら、自らの信念たるものにすがりつくように破滅していくわけだけど、そこを辛いだけにしないところが、伊東氏ならではと言えるのかもしれない。読んだ後に、赤坂見附周辺を散策するのも一興だろう。次は少し時間置いて「走狗」を読んでみるつもり。

  • 加賀藩士の維新歴史小説。

    タイトルにすっかり騙されました。
    でも、さすがは変化球で攻める作者だけに内容は大変面白いです。
    島田一郎は知っていましたが千田文次郎は全く覚えがありませんでした。
    子供の頭ほどある下腹部で西郷と判断したエピソードが有名ですが、西郷の首って見つかっていたのですね。
    とはいうものの、西南戦争はほんの数ページ、西郷も数回ちらっと登場するだけです。
    先に読んだ佐藤賢一の「遺訓」での庄内藩に続き、加賀藩の維新での動きが勉強になるので、おすすめです。

  •  幕末から明治にかけての加賀藩そして石川県の志士たちの物語。
     作品名から、てっきり西郷隆盛の話かと思ったら、生真面目で一本槍の加賀藩士族たちの哀しい物語だった。

     かつて朝廷からも幕府からも程よい距離を保って生き長らえてきた百万石の名藩は、維新のさなかに進むべき道を見誤って、新政府の中枢に誰も送り込むことができず、没落していく。
     幕末の志士たちや、明治政府樹立に奔走した人物たちの物語はよく知られているが、そうした栄光の陰で耐え忍び、ついには叛乱を起こした加賀藩士族たちの苦悩がここには描かれている。

     冷静に見れば、けっして加賀藩だけが不遇をかこっていた訳ではなく、新政府への八つ当たり、急激な変化に追随できない被害者意識が生んだ悲劇ともとれるのだが、作者の筆は、幼い頃からの親友でありながらまったく別々の人生を歩くことになった二人の男に焦点をあて、その友情に泣かされた。

  • おもしろい。西郷隆盛の首を発見した千田文次郎、大久保利通を暗殺した島田一郎、二人の加賀藩士は友であるが、維新の大波に呑まれ異なる道を歩む。加賀藩という大藩にありながら、どっちつかずで新政府で日の目を見れない藩士たち。西郷の首が発見されたことで、明治維新という大変革に終止符が打たれた。島田と千田、どちらが武士の道なのか答えはない。伊東さんらしいニッチな視点で維新を描く。

  •  西郷の首というタイトルでありながら舞台は加賀藩金沢城下というのではてなと思う。加賀百万石の大藩でありながら維新の動乱の中ではあまり存在感がないのでなおさらだ。どこで西郷の首とつながるのだろうと読んで行って最後の方でなるほどとなる。西郷の首の発見と大久保利通暗殺はこういうふうにつながっていたのか。なにかにつけ対照的な一郎と文次郎のそれぞれの物語は最後の数奇な偶然で彩られなくてもなかなか読みごたえがある。維新によって士族も平民もなくなり、その後の新生日本をつくるための大掛かりなデモンストレーションが西南の役での西郷と大久保の役回りだったはずだ。結局は、時代の空気を読んだのは慎重居士の文次郎であり、後からみればおろかとしか言えないが直情径行の一郎は暴発憤死するしかなかったのだな。西郷の首は象徴でしかなくタイトルに偽りありという気もするが。

  • 西郷の首というタイトルではありましたが、西郷さんは殆ど出てこず、加賀藩出身の志士が世を変えたいという強い意志を持ちながらも、残念な結末を向かえるという物語。
    残念ではあるものの、様々な要素の中から選択肢がどんどん減っていき、新しい世の決定事項に関与できず、正確な情報を入手できない中、不合理であると思い込んでしまう流れをうまく表現されている。
    偏った思想に囚われていくとこのような判断しかできなくなるのかという非常に残念ではあるが、世の中を良くしようと考え抜いた末の強行。
    全体最適といえば聞こえは良いが、総論賛成というものも形成できなかった時期でもあろうかと思われるし、結果として国を挙げて戦争に踏み切っていく日本という国の運命を示唆していたのかも知れない。

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著者プロフィール

1960年、神奈川県横浜市生まれ。早稲田大学卒業。外資系企業に長らく勤務後、文筆業に転じる。『国を蹴った男』で吉川英治文学新人賞、『黒南風の海‐‐加藤清正「文禄・慶弔の役」異聞』で第1回本屋が選ぶ時代小説大賞、『義烈千秋 天狗党西へ』で歴史時代作家クラブ賞(作品賞)、『巨鯨の海』で山田風太郎賞と第1回高校生直木賞、『峠越え』で第20回中山義秀文学賞を受賞。『城を噛ませた男』『国を蹴った男』『巨鯨の海』『王になろうとした男』『天下人の茶』で5度、直木賞候補に。著書に『武田家滅亡』『天地雷動』など多数。

「2017年 『幕末雄藩列伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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