天翔ける

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 98
レビュー : 8
  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057209

作品紹介・あらすじ

この男無くして、明治維新は無かった!

坂本龍馬、西郷隆盛も信頼を寄せ、唯一、旧幕府と新政府、両者で要職に就き時代を動かした幕末四賢侯の一人、
松平春嶽を描く歴史長編!

文久3年(1863)。
北陸の要・越前福井藩の家中は異様な緊迫感に包まれていた。
京の尊攘派激徒を鎮めるべく、兵を挙げて上洛すべきか否か。
重大な決断を迫られた前藩主・松平春嶽が思案をしている折、幕府の軍艦奉行並・勝海舟の使いが来ているとの報せがあった。
使いは浪人体のむさくるしい男だという。
名は、坂本龍馬。
彼の依頼を即決した上で、上洛についての意見を聞いた春嶽は――。

旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いた唯一の男、松平春嶽。
日本を守るため、激動の時代を駆け抜けた春嶽の生涯を描いた歴史長編!

感想・レビュー・書評

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  • 「お年寄りが戦後と言ったら、それは太平洋戦争ではなく戊辰戦争の後という意味」 

    そんな冗談があるほど、戊辰戦争の傷あとは福島県民の精神に根深く残っている。
    松平春嶽は会津藩が京都守護職に就くよう藩主・松平容保を説得した人物だ。そして戊辰戦争の際は、官軍側として会津に藩兵を差し向けた人物でもある。
    明治維新の敗者側から見て、決して心象の良い人物ではない。
    けれど、春嶽には徳川御三家に生まれた故の系譜と立場があり、理想があった。

    そしてなぜ春嶽は勝者にも敗者にも「なれなかった」のだろう? 

    明治維新を新たな視点で見なおす時、日本の向かう未来が見える。官軍でも賊軍でもない。春嶽だからこその視点で、幕末史を読み解く歴史小説。

    KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。

    https://kadobun.jp/reviews/254/534b347d

  • 幕末もの。松平春嶽?名前は聞いたことある。さて。前知識なしで読んでみる。時々wiki見つつ。読了。まず、幕末の魑魅魍魎な流れがなかなかにわかりやすい。時々ドラマや他の小説で見たあの場面、そういういきさつだったのね、と、わかる。幕末はみんな言うことがコロコロ変わって、やってることとが辻褄合わないからややのしい。それがある程度わかった気になれるのがいい。幕末大河が後半つまんなくなるのは、状況説明がドラマじゃしきれなくて、すべてを主人公に収束しようとして無理が出るからだと思うな、福山竜馬伝とか、ま、それは今関係ない、と。しかし、主人公の松平春嶽にまったく思い入れられない。幕末のお勉強にはよかったな、そんな得も損もしていない気分です。

  • 幕末の越前藩主 松平春嶽を描く歴史小説。

    作者の幕末物は「大獄」に続いて読みました。
    主人公の清廉さが清々しくも、時代に翻弄される様は歯がゆく感じました。
    特に頼りとしていた橋本左内、坂本龍馬、横井小楠を大事なタイミングで亡くしていく空しさがうまく描かれていたと思います。
    せっかく幕末という新しい境地を開いた作者の急逝は惜しまれます。

  • 松平春嶽って、幕末の話に出てくるけど、どんな生い立ちで、どんな生き様をした人か、知りませんでした。だから、面白かった。先進の人だったんだな。

  • 幕末の激動期、日本の舵取りに奔走した松平春嶽と、彼を取り巻く英雄達。
    春嶽を支える横井小楠、水戸斉昭、島津斉彬、坂本龍馬、西郷隆盛。

    最後の将軍となった一橋慶喜の人物像が、この本によって180度覆ってしまった。

  • 松平春嶽の国を思う心情行動を,幕末の難しい政治の駆け引きの舞台で描いている.少し徳川慶喜に厳しすぎるとも思うが,龍馬暗殺が彼の指示によるのだとしたら,それも有りかと思う.勝てば官軍ではないが,やはり腹黒いやり手が生き残るのだと思った.安倍正弘が生きていればとも思うし,会津藩が京都守護を引き受けなければとも思う.今も長州のいやらしい小狡さが政権に生き続けているのかもしれない.

  • 初出2017年「小説野性時代」
    初版発行は著者逝去3日後の12月26日。
    もう葉室さんの作品が読めないのがとても残念。

    幕末の福井藩主松平慶永伝。作品の中では号の春嶽と記されている。
    近世史を学んだ者としては、橋本左内や横井小楠を働かせた人物としてもっと評価されていいとは思っていたので、こういう文芸作品で描かれて大変面白く読んだ。
    外様大名ではなく徳川一門という立場で、外圧の危機に際して幕府専制から大名連合政権構想を唱え、大政奉還のレールを敷いたことはかなり大変なことであったと思われる。小御所会議のメンバーの中では数少ない幕府側の人物であったが、注目度は高くない。

    新政府の民部卿、大蔵卿に就くが版籍奉還前の明治3年に辞任し、明治23年になくなるまで公職に就いていない。
    憲法発布、国会創設をどう見たのかまで描いて欲しかった。

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著者プロフィール

葉室 麟(はむろ りん)
1951年1月25日 – 2017年12月23日
福岡県北九州市小倉生まれ。西南学院大学文学部外国語学科フランス語専攻卒業。地方紙記者、ラジオニュースデスク等を経て小説家に。2005年に短編「乾山晩愁」で第29回歴史文学賞受賞(のち単行本化)、2007年『銀漢の賦』で第14回松本清張賞受賞、2012年『蜩ノ記』で第146回直木賞受賞、2016年『鬼神の如く 黒田叛臣伝』で第20回司馬遼太郎賞受賞。
上記以外の代表作に、2018年9月に岡田准一主演で映画化される『散り椿』、第22回山本周五郎賞候補及び第141回直木賞候補だった『秋月記』がある。

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