天翔ける

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 215
感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041057209

作品紹介・あらすじ

この男無くして、明治維新は無かった!

坂本龍馬、西郷隆盛も信頼を寄せ、唯一、旧幕府と新政府、両者で要職に就き時代を動かした幕末四賢侯の一人、
松平春嶽を描く歴史長編!

文久3年(1863)。
北陸の要・越前福井藩の家中は異様な緊迫感に包まれていた。
京の尊攘派激徒を鎮めるべく、兵を挙げて上洛すべきか否か。
重大な決断を迫られた前藩主・松平春嶽が思案をしている折、幕府の軍艦奉行並・勝海舟の使いが来ているとの報せがあった。
使いは浪人体のむさくるしい男だという。
名は、坂本龍馬。
彼の依頼を即決した上で、上洛についての意見を聞いた春嶽は――。

旧幕府にあって政権を担当し、新政府にあっても中枢の要職に就いた唯一の男、松平春嶽。
日本を守るため、激動の時代を駆け抜けた春嶽の生涯を描いた歴史長編!

感想・レビュー・書評

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  • 淋しき未完

  • 「お年寄りが戦後と言ったら、それは太平洋戦争ではなく戊辰戦争の後という意味」 

    そんな冗談があるほど、戊辰戦争の傷あとは福島県民の精神に根深く残っている。
    松平春嶽は会津藩が京都守護職に就くよう藩主・松平容保を説得した人物だ。そして戊辰戦争の際は、官軍側として会津に藩兵を差し向けた人物でもある。
    明治維新の敗者側から見て、決して心象の良い人物ではない。
    けれど、春嶽には徳川御三家に生まれた故の系譜と立場があり、理想があった。

    そしてなぜ春嶽は勝者にも敗者にも「なれなかった」のだろう? 

    明治維新を新たな視点で見なおす時、日本の向かう未来が見える。官軍でも賊軍でもない。春嶽だからこその視点で、幕末史を読み解く歴史小説。

    KADOKAWAさんの文芸情報サイト『カドブン(https://kadobun.jp/)』にて、書評を書かせていただきました。

    https://kadobun.jp/reviews/254/534b347d

  •  職場の人の紹介で読んだ本
    本格的な歴史小説は初めてで読み通せるか不安だったけど、ぶじに読み切った。
     歴史のことはよく知らないけれど、続きが気になってページをめくる手が止まらなかった。


     最後の勇姫と春嶽の会話が印象的だった。

  • 松平春嶽本人というより、春嶽から見た橋本左内、横井小楠、三岡八郎、坂本龍馬といった志士像を描いた作品。思想の変遷が分かりづらかったかな。

  • 春嶽の視点での小説は初めてで、かつ葉室麟著と言うことで期待した。読みやすくはあったが、深みが期待した程ではなかったのが残念。 ただ天翔けるが、春嶽の辞世の句にあったことを知る。

  • この世があると言う事は、正しいが言えでございましょう。俗世はいかに誤ったことが行われようとも、世の成り立ちが正しいことには変わりありません
    春嶽侯はともかく、一橋侯こも名だたる猛獣ですよ。それがひとつの檻に入るんだ。ただではすまんぜよ

  • 伏龍と鳳雛を手に入れれば天下を握れる。越前福井藩の松平春嶽は、横井小楠を伏龍、三岡八郎を鳳雛として、激動の時代を駆け抜けていく。
    薩長史観などと呼ばれるが、松平春嶽の視点から維新を見ることで、正当な評価が出来る優れた小説です。改めて、明治維新とはなんだったのか。もう一度よく勉強したくなります。

  • 幕末モノの小説を読んでいると、ちょいちょいその名が登場する、松平春嶽が主人公。
    徳川一門で、福井藩主である彼は、“私政”ではなく“公の政”を行うべき。と、明確なビジョンを持って激動の時代を奔走します。
    なかなか理想通りに事が進まず、苦悩も多かったようですが、彼が明治維新の礎になった事は確かだと思いました。

    因みに、育ちの良さがポジティブな方向に出た春嶽と対比して、徳川慶喜はネガティブに描かれています。慶喜は本当に描く人によってキャラが変わるな・・。と思った次第。

  • 幕末から明治にかけて賢侯と言われた松平春嶽の若き日から末年まで。徳川一門・タ保家に生まれある意味で慶喜のライバル。将軍になり得たかもしれないし、大老の候補者でもあった人。そして維新後も役職に就いた数少ない要人。島津斉彬、龍馬、隆盛らが魅力的に描かれる一方で、毀誉変貌を繰り返す小さい才人・慶喜、そして素直ながら兄に及ばない凡庸という久光らには厳しい。春嶽の鳳雛に例える橋本左内、横井小楠の存在感はあまり感じたことがなかった。

  • 2019.2.21

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著者プロフィール

1951年、北九州市小倉生まれ。西南学院大学卒業後、地方紙記者などを経て、2005年、「乾山晩愁」で歴史文学賞を受賞しデビュー。07年『銀漢の賦』で松本清張賞を受賞し絶賛を浴びる。09年『いのちなりけり』と『秋月記』で、10年『花や散るらん』で、11年『恋しぐれ』で、それぞれ直木賞候補となり、12年『蜩ノ記』で直木賞を受賞。著書は他に『実朝の首』『橘花抄』『川あかり』『散り椿』『さわらびの譜』『風花帖』『峠しぐれ』『春雷』『蒼天見ゆ』『天翔ける』『青嵐の坂』など。2017年12月、惜しまれつつ逝去。

「2023年 『神剣 人斬り彦斎』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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