郷里松島への長き旅路 (角川文庫)

  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058329

作品紹介・あらすじ

フリーライターの森田章人は、月刊誌の依頼で仙台にやってきた。震災の被害が比較的少なかったといわれる仙台市から松島の周辺までをレポートするためである。森田は、松島での取材を終えて駅に戻る途中、墓地から離れたところに一基だけ立っている墓を見付ける。その墓石には、明らかに削られた後があり、小さく「立川家之墓」と彫り直してあった。違和感を憶えた森田は、その墓石を調べることにする。すると、どうやらその墓の主は、特攻隊員であり、さらに先日東京都内で死んでいることが分かった。そこへ、十津川警部が現れて、一緒に捜査に協力することに。戦争の残酷さを改めて問うた、十津川警部、長編シリーズ最新作!

感想・レビュー・書評

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  • 特攻隊の話をベースにした人間の感情や機微をしみじみと感じられる小説でした。
    同じことを繰り返し繰り返し書かれているのは少し気になりましたが全体としていいお話でした、

  • 2021/03/17 37読了

  • ○墓石の謎を解くと見えてくる、戦時の異常さと男の苦悩。
    雑誌「ジャパン21」でフリーライターをやっている森田は、取材で降り立ったJR松島海岸駅から足を延ばして、奥松島K町まで向かった。すると墓地の中に、ひときわ周りの墓よりも大きい「立川家之墓」がぽつんと立っているのが目に入る。立川勝利氏が関係している墓ということはわかったものの、住職や町長に聞いてもあまり多く立川家に関する情報が得られない。すると、その立川勝利が東京で殺されたというニュースを目にし…

    一方、立川の殺人事件を追っていた十津川は、森田と連携して立川が殺された謎を探そうとする。一千万円の預金があることを突き止めるも先に進むことができないでいたが、実は特攻隊員であった立川が戦死したと思いきや、生きて戻ってきていたことを突き止め…!?

    墓石の謎を解くと見えてくる、元特攻隊員の来歴と苦悩。
    特攻で死ぬことに疑問を持っていた立川を煙たがっていた首脳陣はいただろうが、戦死したとなればこれ幸いと厄介払い。これを立川の地元は軍神として崇め奉る。ところが生きていたとなれば話は別で、なぜ生きているの、とざわついてしまう。それはそれで非国民として見られてしまうのであれば家族も本人も生きづらくなってしまうのは間違いない。
    この殺人は何とか故郷に、自分ではない家族の墓を建てたいという思いが生んでしまった。そんな悲しい事件を解き明かす十津川やライターの森田は、きっと、最後は墓前にそっと手を合わせたのだろう。

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著者プロフィール

一九三〇(昭和五)年、東京生れ。鉄道ミステリ、トラベルミステリの立役者で、二〇二二年に亡くなるまで六〇〇冊以上の書籍が刊行されている。オール讀物推理小説新人賞、江戸川乱歩賞、日本推理作家協会賞など、数多くの賞を受賞。

「2022年 『十津川警部と七枚の切符』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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