さよなら僕らのスツールハウス

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 91
レビュー : 12
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058527

作品紹介・あらすじ

関東某所、切り立った崖に建つシェアハウス、「スツールハウス」。
その名の通り、若者たちが腰をかけるように住み、旅立って行く場所。
同じ屋根の下、笑い、ときめき、時間を共有するものたちは、やがて懐かしく思い出す。
日常の謎に満ちた、何気ない生活を。
そしてそこには確かに、青春があったのだと……。

~何気なくも愛おしい青春の謎たち~
第一話 「メッセージ・イン・ア・フォト」弁護士の直之が、元彼女・あゆみの結婚式の動画用に送った写真の謎とは。
第二話 「シャワールームの亡霊」無人のシャワールームから聞こえるシャワーの水音に隠された、ある事件。
第三話 「陰の花」フラワーショップで働く白石は、かつての同居人で既婚の花織から、ある花の写真を見せられ……。
第四話 「感傷用」16年間住み続け、「スツールハウスの主」と呼ばれた女性、鶴屋素子。彼女がそこを去った訳とは。
第五話 「さよなら私のスツールハウス」人気作家となった素子は、「スツールハウス」を訪れるが……。

感想・レビュー・書評

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  • スツールハウスというシェアハウスを舞台にかつての入居者たちがそれぞれのエピソードを思い返すという連作短編集。作者さんが得意とする日常ミステリの展開はもちろん楽しめたが、本作の肝はこれが思い返したエピソードで、もう終わってしまった青春の話だということです。 過去の出来事を振り返り、当時の謎が暴かれることで、エピソードの色合いががらっと変わります。その中で今をどう生きていくか、そんな各々の答えは心にずしりと刺さる作品でした。苦々しい過去とその先にある未来が美しい作品でした。

  • 「メッセージ・イン・フォト」
    彼が指輪を付けていた本当の意味。
    披露宴で使用する写真としては、もしも誰か意味を知らぬ人が気付いてしまったら大変な事になるだろうから彼女の判断は賢明だったろうな。
    指輪の意図が分からないのであれば、一人で抱えずせめて依頼主の彼女に聞くか彼自身に話をちゃんと聞くべきだったかもしれないな。

    「シャワールームの亡霊」
    誰も居ないはずの場所から音が。
    貧乏人たちが暮らしている中で一人でもお金がある事が分かれば魔が差す可能性も有り得ない話なのだから、あまり口にしない方が良かったな。
    その場に来て自らの口から謝罪と共に事実を話すのが本来なら当たり前の事だろうが、自分の罪の重さに気付いているからこそ怖くて来れなかったのだろうな。

    「陰の花」
    太陽の様な彼女は全てを照らし。
    本当の姿を知らなかったのは彼の責任でも何でもないが、心を開いた様に見えたのなら何故少しだけでも話そうとしなかったのだろうか。
    互いに知らぬ事だらけだったのだろうが、そもそも彼が勘違いをして勝手に周りに言いふらさなければ今回の様な事にはならなかったのでは。

    「感傷用」
    知り合いのはすが逢いたくない。
    彼女からしたら全ての真実が明らかになり自分よりも、あの時お祝いしてくれた皆の好意を無下にしたくないから出会わない事を選択したのだろうな。
    出版社の名を利用し彼女の素性を探るのは、いくら何でもやり過ぎだし知られたくない事など過去に共に過ごした自分には無いのでも思ったのだろうか。

    「さよなら私のスツールハウス」
    彼女が電話をかける相手は次々。
    長い年月が流れて彼女が変わったのと同じ様に、あの場から巣立った人はそれぞれの道を歩み進めている事に時が止まっていた彼女は気付かなかったのかもしれないな。
    あの地に彼女と同じ様に皆が一度は足を運んだのは大切な時間を過ごした場所として、自分の中で区切りとして最後に一度見たかったのかもな。

  • シェアハウス舞台とした物語で、ハウスの誕生からなくなるまでの間に住人となった人たちにまつわる短編集という構成になっています。住人たちは数年でハウスを卒業してしまうため、短編同士は特段のつながりはなく、登場人物もほとんど別々。唯一全編に渡って登場する人物が一人、その人物が最後はハウスで再び暮らそうと画策するも、というストーリー。
    鶴屋素子の章にいきつくまでは、短編同士のつながりがないため、なんとなく掴みどころがないな~と思いながら読んでいましたが、最終章になって素子視点でそれまでの出来事が描かれており、ようやく合点がいきました。
    物語のラストでは素子が渇望したハウスでの再びの暮らしも叶わないものということがわかり、過ぎし日のハウスで過ごした時間がかけがえのないものであったことを素子という登場人物を通して読者に思い起こさせる、ちょっとせつない終わり方でした。

  • いい舞台なのに、残念。青春方面でも、自伝的小説にでももっといい感じに転がせそうなのにどっちつかずな感じがしてしまう。月下美人の件気になって検索したけれど、ずっと咲いてるのは良いかもしれないけど、人間のエゴに思えて検索した画面をそっと閉じた。美人を老いる前に殺して保存しておく…みたいなのを想像してしまって怖かったのです。

  • 5つの短編で最後にまとめる系の作品

    「メッセージ・イン・ア・フォト」
    他の方も書いているように5つの短編の中で一番良かった
    当事者だけが分かるメッセージっていいな…

    「シャワールームの亡霊」
    解説部分で分かりやすくするためか絵が入ってるのはいいけど、なぜかキョトンとしてしまった

    「陰の花」
    主人公の考え方はわりと好きかな… 取り扱われた花に関する別のお話を最近読んだのもあり、なかなか好きなお話でした。

    「感傷用」
    キャラ自体は好きなんだけど、その職業でそれをやっちゃっていいのか… と突っ込みながら読んだ。 途中から本編のまとめにも入り、秘密は分かったけどあんまり衝撃ではなかったかな…

    「さよなら私のスツールハウス」
    まとめ回。正直一つ前の「感傷用」で大体のオチは見えていたので物語のクライマックスの割には盛り上がりにかけた気がします。

    総評:短編の出来はいいんだけど、1つの物語としてみるともう少し何か欲しかったかなという印象でした。 著者は「タレーラン〜」で有名な方なのでそっちも読んでみようかなと。

  • シェアハウスで共に暮らしていた頃の仲間と久々に会ったことで当時の謎が解けたり、隠し事が明かされたりする連作短編。最初の話以外はあまり好みではなかった。

  • スツールハウスの住んでいた者たちの4篇の物語と最後のオチで構成されているが,「陰の花」での野々村陽花と白石元貴の話が楽しめた.月下美人の写真のからくりを植物に詳しい白石が解明し,彼女の夫の不倫を証明するが,彼女の性格を見誤っていた白石の葛藤.「感傷用」での鶴屋素子/三田村素子の生い立ちに絡む話しも良かった.小説家として成功した素子のバックグラウンドを仲町梨歩が次第に解き明かす過程が楽しめた.表題作も全体のまとめとして全冊をしっかり総括した感じだ.

  • 大人しキャラのあの子。

    まさかのラストに「えっ」ってなっちゃった!

  • 日常系ミステリー?
    けど、過去に住んだシェアハウス時代を踏まえたもの。
    かつて過ごしたシェアハウスでのことを
    思い起こしつつ、といったお話。

    過ぎたこと、という感も否めないが
    青春も感じられました。
    シェアハウスも楽しそう。

    図があってミステリーの解説も少しわかりやすくなってました(笑)

    主の正体?は途中そういう可能性もあるかなーと思ったけど…事実なのかな?そう考えさせるのも作家の意図でしょうね(笑)

    ちょっと、ほの暗さもありつつも面白かったです(*´∀`)
    個人的にはタレーランの方が好きですが(笑)

  • +++
    関東某所、切り立った崖に建つシェアハウス、「スツールハウス」。
    その名の通り、若者たちが腰をかけるように住み、旅立って行く場所。
    同じ屋根の下、笑い、ときめき、時間を共有するものたちは、やがて懐かしく思い出す。
    日常の謎に満ちた、何気ない生活を。
    そしてそこには確かに、青春があったのだと……。

    ~何気なくも愛おしい青春の謎たち~
    第一話 「メッセージ・イン・ア・フォト」弁護士の直之が、元彼女・あゆみの結婚式の動画用に送った写真の謎とは。
    第二話 「シャワールームの亡霊」無人のシャワールームから聞こえるシャワーの水音に隠された、ある事件。
    第三話 「陰の花」フラワーショップで働く白石は、かつての同居人で既婚の花織から、ある花の写真を見せられ……。
    第四話 「感傷用」16年間住み続け、「スツールハウスの主」と呼ばれた女性、鶴屋素子。彼女がそこを去った訳とは。
    第五話 「さよなら私のスツールハウス」人気作家となった素子は、「スツールハウス」を訪れるが……。
    +++

    偶然同じ時期にシェアハウスで暮らすことになった人たちの間で起こった出来事の中に潜む日常の謎が描かれている。謎と言っても、ほのぼのとするものもあれば、心の闇を描くものもあり、テイストはさまざまである。それぞれの事情に絡む謎もあって、飽きさせない。スツールハウスの主と呼ばれる鶴屋素子の事情が明らかにされたときには、腑に落ちることがいくつもあった。腰掛の暮らしが彼らに与えた影響の大きさをも思わされる一冊である。

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著者プロフィール

岡崎 琢磨(おかざき たくま)
1986年生まれ、福岡県出身。京都大学法学部卒業。元々ミュージシャン志望であったが作家を志すようになり、大学卒業後に福岡県に戻って執筆を続け、第10回『このミステリーがすごい!』大賞の最終選考に『珈琲店タレーランの事件簿 また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』が残った。手直しして刊行されたところ、大ベストセラーとなり第1回京都本大賞を受賞。のちに「珈琲店タレーランの事件簿」シリーズ化された。
ほかにもミステリ作を多数刊行しており、新刊に『夏を取り戻す』『九十九書店の地下には秘密のバーがある』。

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