さしすせその女たち

著者 :
  • KADOKAWA
3.62
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本棚登録 : 422
感想 : 74
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058534

作品紹介・あらすじ

マーケティング会社で働く多香実は、ふたりの子どもを持つお母さん。仕事と子育ての両立に悩みながらも毎日を懸命に生きていた。しかしある出来事をきっかけに、多香実のなかに思わぬ感情が生じていき……。

感想・レビュー・書評

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  • 女性だけでなく、男性にも是非読んでいただけるといいなと思う。
    共同生活の難しさが、ひしひしと伝わる。
    男性の言い分、女性の言い分、両方に一理ある。
    人が2人以上集まれば、ごたごたはおこるものなのかもしれない。

  • 働くママさんは、本当に大変だぁと思いました。
    私も3人の年子育児だけど子どもが小さい頃は、仕事はせずに子育てに専念できたし夫も協力的だったのでまた多香実とは違う....。でも、目に浮かぶように大変さが伝わってきました。
    はじめは、夫の秀介のダメダメ加減にこんなサイテーな夫もいるのかとウンザリしてたけど後半の秀介目線の話を読んだら実は憎めない人なんだとわかりました。家にいる時くらいのんびりしたいのは理解できるし。
    でも、やっぱり夫婦だからわかってくれて当然ではなく会話と感謝は言葉で伝えないとダメだなぁと改めて痛感しました。

    ありがとう、言えないけどおおいに感謝!に私は感激してしまったけど果たして多香実に響いてくれるのか!?なんだかすれ違ったまんま話は、終わってしまっているけど今後米澤夫婦の蟠りが上手くとけるといいなぁ〜と思いました。

  • コップのフチ子さんの表紙に惹かれて手に取った。
    子供二人、共働き夫婦それぞれの視点がかかれた二つのストーリー。しっかりした奥さんと外では優秀だけど家では当事者意識の薄い旦那さん。

    それぞれの女性たちのさしすせそがそれぞれの性格を表しているようで面白かった。やっぱり妻の方に感情移入してしまうな…子育てしながら仕事をするってのが今どきの女性に求められることだろうけど、現実的にはうまく回らないよなーってのを感じさせられた。多香美が何となく自分に似ているような気がしたけれどここまで私はしっかりしてないかなー笑 千恵のような人に憧れちゃう。
    夫の方も傍若無人だけど、妻が気づいてないいいところもあるのがまたリアル。同級生の男子たちは幼く見えるけど、きっと大人になってもこういう感じなんだろうなーと何となく思った笑

  • 一気読み!
    昔の自分を思い出して読み始める…思い出したくない…と思いながら読み進め共感!
    そう私も昔ずっと同じこと思ってた!

    子育て夫婦の物語どうかこの物語が次世代では『そんなことある?』って話になってますように

  • 我が家か?と思うほど、うちの現状がそっくりそのまま文字起こしされているようで笑った。いや笑えない。
    39歳の多香実は5歳と4歳の年子を育てながら、デジタルマーケティング会社の室長もこなすワーキングママ。
    ひとつ年上の夫は仕事が忙しいと言い訳ばかり。頼まないとしてくれない。頼んでもしてくれない。毎日ほぼワンオペ育児。
    そんな折、4歳の颯太が夜中に熱性けいれんを起こしてしまう。救急車を呼ぶ事態のなか、そばで見ていた夫の信じられない言動の数々にとうとう愛想をつかしーー。

    「さしすせそ」がいくら効果的だと分かっていても、こんな夫だったら意地でも使ってやりたくない卑屈な気持ちになっちゃうよそりゃ。
    現実で子育てしてるとまわりのお母さんたち優しくて余裕がある人しかいなくて落ち込むんだけど、みんな実際家の中ではこんな感じなのかな。
    共感必至、書かれていること全てがあるあるすぎてなんかホッとしました。
    夫婦のことも外からは全く分からないもんだ。
    「あいうえおかの夫」は夫視点で描かれているが、トンチンカンというか、噛み合ってないというか、家事や育児に対するスタンスが根本的に違うというのがよーく理解できた。こちとら遊びじゃねえんだよ!と凄みたくなる。男の自己満足に付き合わされてる暇はない。
    いざというときのため、保身のためにも、『子連れ離婚』の本は一読しておくの私からもオススメです。

  • ブクログのおすすめで出てきたので読んでみました。リアルすぎるワーママの話で、あれ、私の話?!というぐらい共感できました。面白くて一気に読んでしまいました。読み終わった後もスッキリした気持ちなります。あいうえおかの夫、の書き下ろしもとても面白かったです。
    仕事と育児の両立で悩んだ時にまた再読して気持ちをスッキリさせたいなぁと思います。

  • 最初はずっと多香実が気の毒で秀介にイライラした。
    ずいぶん時代は変わった、と言われていても、やはり育児も家事も妻である女性の負担がかなり多い。
    やって当たり前。目に見えない仕事がなんて多い事か。
    かたや男性が家事、育児すると えらいね、と言われる。
    案外同性である女性が知らず知らずのうちに仕事と家庭を両立させている女性に無理解な言動をとる事もある。
    それから、良くも悪くも夫婦の事は周りにはホントにわからないもの。
    色んな事をこの小説を読んで共感できた。
    秀介目線の話も後半入っていて、それを読んだら秀介も憎めない悪い人ではないとわかったけれど、やはり妻に甘えすぎだし思いやりや気遣いは大事。

  •  アラフォー夫婦の生活と、心のすれ違いを描く。妻の視点で描く表題作と、夫の視点で描くスピンオフ「あいうえおかの夫」の2編からなる。
             ◇
     39歳の多香実には夫と2人の子どもがいる。夫婦ともにフルタイムの仕事を持っているが、育児は多香実1人でこなしている。それどころか分担するはずの家事も夫はサボりがちだ。

     今日は土曜日だが、夫は出勤すると言って出かけていき、多香実は朝から子供の世話と家事に追われている。おまけにシングルのママ友が急な仕事が入ったからと言って2人の子どもを預けにきた。昼食を食べさせおやつも用意してやる。まさに戦争のような忙しさである。

     そうこうするうちに夕方になりママ友が子どもを引き取りに来たので、やっと買い物に出ることができた。もちろん子ども連れだ。夕飯の支度には遅いのでできあいの弁当を買って済ませることにした。

     帰ると夫が帰宅していた。遅くなると聞いていたが風邪気味で少ししんどいので早めに帰ってきたと言う。
     念のために買っておいた弁当を出したところ、疲れているのにこんなものかと夫は不満たらたらだ。これから2人の子を入浴させる妻の手間など考えもせず、缶ビールを飲みながらソファで寛ぐだけなのにである。

     子どもたちを寝かしつけた多香実がリビングに戻ると、風呂から上がった夫はソファでうたた寝をしていた。
     入浴後の浴室掃除は夫の仕事だが案の定した様子がない。洗うよう念を押しても聞こえないふりをして寝室に行ってしまう。これが毎日繰り返される家庭生活だった。

     自分の仕事が何より優先で、同等に働く妻へのいたわりも家事分担の義務も後回しにする夫に対し、多香実の不満は抑えようもないほど膨れ上がっていた。

     そしてある決定的な出来事が起こる。

         * * * * *

     男は家事育児においてほとんど戦力にならないということが、これでもかと書かれていました。リアリティ溢れる描写です。

     夫婦共にフルタイムの勤めを持ち、保育園に通う姉弟2児もいます。生活の慌ただしさは察してあまりあります。
     なのに上げ膳据え膳を当然のごとく考え担当の風呂掃除すら知らん顔を決め込む夫。これはひどい。昭和の時代ならともかく、現代でもこんな男が一般的なのだろうかと唖然とするばかりでした。

     中間管理職で部下の面倒を見ながら営業の最前線で戦っているとの思いがある夫ですが、実は多香実も管理職です。忙しいのは同じ。
     家事育児に割く時間は自分で意識して捻出すべきなのです。なのに夫はそうしない。時間は仕事に、会社に捧げる。ただの社畜でしょう。

     スピンオフで描かれる夫は、課内に気を配り部下たちを引っ張ることに力を注ぐ、やり手の営業課長です。中間管理職としては立派だし、人間的にも悪くないですが、それは「会社から見て」です。

     だから、妻の苦労やストレスをさほど大きなものとは思ってもいず、家事育児についてたまに「手伝ってやっている」程度の関わりしかしない時点で家庭人としては失格です。
     妻のキャリアを大切に思わないところは、共同生活者の資格すらありません。夫のほうが立場が上だと思っているのがありありです。

     夫の協力に見切りをつけた妻が離婚を意識するのも当然と言えるでしょう。

     「さしすせそ」のリアクションスキルは、何も夫婦間だけのものではなく、営業マンの心得でもあるはず。つまり優秀な営業マンである夫は、当然のこととして身につけているはずです。なのに、このバカ夫は妻のためにそのスキルを使おうとはしません。

     自分がガス抜きするためには妻の献身が必要なのに、妻のガス抜きには協力することすら考えない。スピンオフで描かれる夫の心情はちゃんちゃらおかしいだけで、同情な余地はありませんでした。

     夫が妻に対する心遣いを見せないまま物語はエンドを迎えました。
     けれど、妻が心の中でペンディングした離婚計画は着々と進行しているに違いないと思います。

  • ワーキングマザーの悲喜こもごもを描いたお話。子どもの体調が悪くなると、仕事の段取りをまず考えてしまって自己嫌悪。わかる!!子どもが心配じゃない訳ではないんだよ。でも現実、どうやってこの先の予定をやりくりしようか、考えてしまうんだよ。
    夫の無関心さや口の悪さにはイライラしました。
    夫目線の話もあったけど、やっぱり能天気で、共感はできなかったな。

  • めちゃくちゃリアルなワーママ小説だった。
    あるあるって感じ。

    あいうえかの夫で
    夫目線からのストーリーも読んだけど、ほんと噛み合ってないというか笑。

    やっぱり会話が必要だなって本当に思うし、察しては無理だし、そして指示してもやらないひとはやらないw

    諦めが肝心なんだけど、正直育てるのは子どもだけで十分よね。夫をほめて育てるとか好きじゃないなww

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著者プロフィール

1970年神奈川県生まれ。2002年、第42回講談社児童文学新人賞を受賞した『十二歳』でデビュー。07年『しずかな日々』で第45回野間児童文芸賞、08年第23回坪田譲治文学賞、17年『明日の食卓』で第3回神奈川県本大賞、20年『昔はおれと同い年だった田中さんとの友情』で第69回小学館児童出版文化賞を受賞。『明日の食卓』は21年映画化。その他の著書に『消えてなくなっても』『純喫茶パオーン』『ぼくたちの答え』『さしすせその女たち』などがある。

「2021年 『つながりの蔵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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