異形のものたち

著者 :
  • KADOKAWA
3.25
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本棚登録 : 82
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058619

作品紹介・あらすじ

母の遺品整理のため、実家に戻った邦彦。安寧とは言えない妻との関係、存命だったときの母と父のこと……思いを巡らせながら、セミの合唱響く農道を歩いていた。
ふと気が付くと、向こうから白い日傘をさした和服姿の女性が歩いてくる。女はその顔に、般若の面をつけていた――。(「面」)

その他、親友とその父親との思い出にひたるうちに驚愕の結末に辿り着く「森の奥の家」、
人生の落ち目にいる女が奇妙な歯科医院に出会う「日影歯科医院」、
病弱で一途な白人女性の繊細な手袋をめぐる「ゾフィーの手袋」、
恩師の法事の帰りに立ち寄った山荘の地下道で、得体の知れない“何か”が蠢く「山荘奇譚」、
怖くも懐かしい鮮やかな幻想「緋色の窓」、の全6篇。

“この世のものではないもの”は、いつも隣り合わせでここにいる。
甘く冷たい戦慄が本能を歓喜させる――大人のための、幻想怪奇小説集。

感想・レビュー・書評

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  • 幻想怪奇短編集。
    生者のすぐ隣にいるこの世のものではないものたち。
    「日影歯科医院」が好みだった。
    「墓地を見おろす家」「死者はまどろむ」みたいな長編のホラーを書いて欲しいな。

  • 6話からなる怪異短編集。
    どの話もストーリー、結末共に、それほどの驚きや恐さはないのに、何となくぞわっとくる、魅力を感じるのは文章そのものの巧みさによるものだと思う。
    その繊細な感覚による文章に、自然に想像をかきたてられ、何となくゾワッときた。

    「面」
    昔は大地主だった家に生まれ育った男性。
    彼は子供の頃、母親に「農道の先に行ってはいけない」と言われていた。
    大人になった彼がそこで目にしたものとはー。

    「森の奥の家」
    バスの事故で亡くなった親友と父親の住んでいた山荘を訪れた女性。
    彼女はそこで当時の事を回想し、近くにある洋食屋に入るがー。

    「日影歯科医院」
    夫の浮気、離婚により傷ついた女性は従兄夫婦に誘われ、地方都市に移住する。
    そこで、歯の銀冠がとれた彼女は「日影歯科医院」という陰気で古びた歯科を訪れる。
    その待合室には老夫婦とその孫らしき子供がいた。
    古い医院にしては夫婦らしき歯科医の治療は中々のもので、痛みもなく、とどこおりなく終わったが、後日、彼女はその歯科について従兄からある話を聞く事となる。

    「ゾフィーの手袋」
    夫の事を恋してたと思われるオーストリア人の女性。
    主人公の女性は夫の死後、いるはずのない彼女の存在を身近に感じるようになる。

    「山荘奇譚」
    恩師の通夜のため、甲府市を訪れたテレビ局に勤める男性。
    彼はそこでたまたま乗ったタクシー運転手にある宿を紹介される。
    そこの女将は、ここの地下には幽霊がいて、浴衣を着て行くと必ず幽霊が現れると言う。
    超リアリストの彼はそんな事は信じないが、後日その話を聞いて興味をもった後輩の女性がそこを訪れるがー。

    「緋色の窓」
    流産し、神経質になっている姉の面倒をしばらくみる事になった女性。
    その高級住宅地を何故か姉は嫌っていた。
    隣には妾をしている色っぽい女性が住んでいたが亡くなり今は空家になっている。
    彼女はそこであるものを目撃する。

    このレビューを書くので軽く読み返すと、何でもないと思われた最初の話はちょっと深く読めてきた。
    話自体はどこかで聞いたような話とか、とりとめない話ばかりなんだけど、情景を想像すると恐くなる、という話ばかり。
    それに、今回のように何度か読み返せば違う感慨がある、というのもお得感がある。
    ちょっと物足りないものの、分かりやすい残酷さ、恐さでない分、全体的に上品さを感じた。

  • 昭和ロマン漂うホラー短編集。ただ背筋が凍る怖い話もあれば怖いというより哀しいホラーもあり。印象に残ったのは、寂れた歯医者の待合室に座る老夫婦と市丸人形を抱く小さな女の子が不気味な「日影歯科医院」、旅館の地下にある元ワインセラーに出る幽霊がラストでとんでもなく怖い「山荘奇譚」。すでに亡くなっているのにその家に住み着き誰かを待ってる美しい幽霊と義兄の関係がわからなくて気になる「緋色の窓」。「緋色の窓」は特に良かった。

  • 小池真理子さんらしい、男と女にまつわる甘美だけどひんやりとした6つの短編集。
    どの物語にも共通するのが、こちら側とあちら側の世界を繋ぐ異形のものたち。この世のものではない彼らは、常に隣り合わせでここにいて、こちらのものたちに何かを訴えかけている。
    怖かったり、ゾッとするだけではなく、それが愛おしい人だったらどこか懐かしく、甘美でさえあるのかもしれない。
    「森の奥の家」が特に哀しくて、切なかった。

  • 2018 3/26

  • 初出 2014〜17年「小説野性時代」
    短編ホラー6話

    幽霊というよりは亡者が登場するが、亡者の側の恨みや情念が描かれないので、さして怖くはない。
    あとは、不倫や近親相姦といったことがモチーフになっていることが共通点となっている。

    「ゾフィーの手袋」は亡くなった夫を恋慕していたオーストリア人女性が自殺し、幽霊となって夫の遺品が詰まっていた洋ダンスに住み着き、妻の夢にまで出てくるのだが、一言も発しない。あの世で亡夫と仲良くすればいいのにと思ってしまった。

  • 冷えっとする短篇。
    亡くなった母とハルゼミ。面
    みんなぜりーのように。 森の奥の家
    摩訶不思議な歯科。 日影歯科医院
    これちょっと怖い。ゾフィーの手袋
    浴衣の山荘と、きしや。怖い。 山荘奇譚
    姉の家、、隣のお妾さん。緋色の窓

  • 2018.3.10

    ほん怖みたい

  • 見えているものにも、見えてはいけないものにも、結局何からもとり憑かれているんだなぁ。

  • 2018/2/8(木曜日)

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プロフィール

1952年東京都生まれ。成蹊大学文学部卒業。89年「妻の女友達」で日本推理作家協会賞(短編部門)、96年『恋』で直木賞、98年『欲望』で島清恋愛文学賞、2006年『虹の彼方』で柴田錬三郎賞、12年『無花果の森』で芸術選奨文部科学大臣賞、13年『沈黙のひと』で吉川英治文学賞を受賞。その他の著書に、『二重生活』『無伴奏』『千日のマリア』『モンローが死んだ日』などがある。

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