スタープレイヤー (角川文庫)

  • KADOKAWA (2017年8月25日発売)
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感想 : 90
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  • 本 ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058640

作品紹介・あらすじ

路上のくじ引きで一等賞を当て、異世界に飛ばされた斉藤夕月(34歳・無職)。そこで10の願いが叶えられる
「スタープレイヤー」に選ばれ、使途を考えるうち、夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さや業を目の当たりにする。
折しも、マキオと名乗るスタープレイヤーの男が訪ねてきて、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていく。
光と闇、生と死、善と悪、美と醜――無敵の力を手に、比類なき冒険が幕を開ける!
鬼才・恒川光太郎がRPG的興奮と神話世界を融合させ、異世界ファンタジーの地図を塗り替える、未曾有の創世記!

感想・レビュー・書評

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  • 少しの制約はあるが、ほぼ全てのどんな願いでも、10個だけ叶えられる力を得たら?
    異世界に飛ばされて、そんな力を得た人の話。
    ラストがとても良かった。

  • 路上のくじ引きで一等賞を当てたことで、異世界に飛ばされた30代の女性・斉藤夕月。
    夕月は10の願いを叶えることができる力を持った能力者『スタープレイヤー』として、誰もいない草原に降り立つ。夢のような能力で叶える願いを考えるうち、夕月は自らの暗い欲望や、人の抱える祈りの深さ、そして業を目の当たりにする。
    そして、マキオと名乗るスタープレイヤーが夕月のもとへ訪ねてきたことにより物語は動き出し、国家民族間の思惑や争いに否応なく巻き込まれていくことに…。

    ホラーやミステリのジャンルにて名著を生み出している恒川光太郎氏の描くSF作品。
    読みやすい文体ながら、読者も思わず「う~む」と唸ってしまう作品設定が魅力的。
    RPG的要素も入っており、自分ならもっとスタープレイヤーとして上手く立ち回るのに! と、考えながら読んだ方は多いのではないだろうか。
    本編には絡んでこなかったスタープレイヤーによる国家『ヘブン』や、願いにより特殊能力を授かったスタープレイヤー・幽の存在など、まだまだこの異世界でやり残した冒険は多いはず。
    続編のヘブンメイカーも楽しませてもらうと思う。

  • THE ファンタジー小説。
    解説によると、ファンタジー小説というのは、商業小説として売り上げを出すのも、企画を通すのも難しいらしい。
    まして、著者はホラーやミステリージャンルで実績のある方らしく、それがマイナスに働くこともあるらしい。
    ですが、ファンタジー好きな私としては、とても楽しく読ませてもらいました。

    ラノベでも異世界転生ものは流行っていますが、それとは一風雰囲気が違いますね。土台があって、わくわくするだけじゃなくて、すこし考えさせられました。

    「10の願いを叶える力」
    それが、別世界に飛ばされた上で与えられる。その時、自分ならどんなことを願うだろうか。
    自分しかいない世界ならば、案外叶えたい願いもそれほどなく、すぐに飽きてしまうのかも。とも思うと、人は社会的な生き物なんだなぁと思ったし、新たな世界に来てすら、過去をすんなり振り切ることは難しいのだと思わされた。

    読者としては全体を見ながら考えるからあれこれ言えるけど、実際のところ同じ状況だったら、案内役から可能な限り情報を引き出して、新たにこの世界で生きていくための戦略を立てて…なんて風にはできないのだろうな。
    それでも、私だったら、他言語を話す人と不自由なく意思疎通できるようになりたい、と願う。

    ところで本筋とずれるけれど、私は本書に登場する国が「麗和」なことに、非常に驚いた。4年近く前に出版されたのに。漢字は違うといえど。
    主人公の年齢も同じだったし。たまたま手に取った本だっただけに、そんな偶然の重なりもおもしろくて、今読むべくして読んだような気がしています。

    続編も、著者のファンタジー以外も読んでみたい。

  • 10の願いを叶える力を手に入れたら
    自分だったら何を願う
    誰しも一度は考えてみた事があるんじゃないかな
    それ故に、新鮮さがないというか
    読んでいてまぁ、そうだよねと
    飽きてしまった
    続編をすぐに読むつもりだったけど
    他の本を読む事にする

  • ファンタジーは何でもあり。SFのようにその現象の論理的な説明はいらず、壮大な夢物語をみせてくれる。そういった意味では最高のファンタジーだった。
    10の願いが叶うなら、自分ならなにを願うかなと夢想しながら読了。

    • chie0305さん
      kakaneさん、こんばんは。恒川さんの本は「夜市」しか読んでいないのですが、面白そうですね。
      私にとっての、2017年とっておきの1冊は...
      kakaneさん、こんばんは。恒川さんの本は「夜市」しか読んでいないのですが、面白そうですね。
      私にとっての、2017年とっておきの1冊は
      「ベルリン飛行指令」でした!
      また、いい本があったら教えて下さい。
      それでは!良いお年を!
      2017/12/30
    • kakaneさん
      chieさん、コメントありがとう。
      私にとっての2017年とっておきは図書館の魔女かな。
      まだまだ在庫本がたまっているので、また良い本があれ...
      chieさん、コメントありがとう。
      私にとっての2017年とっておきは図書館の魔女かな。
      まだまだ在庫本がたまっているので、また良い本があれば、おススメしますね。
      今年はありがとう!来年もよろしくお願いします。
      2017/12/30
  • 「れいわ」に一番びっくりしたかも。

  • 最愛の作家の一人恒川光太郎作品。『ヘブンメイカー』が未読だったので、それを読むために再読。氏の作品は初期の、和風で土のにおいのする作品――「夜市」「風の古道」『草祭』『雷の季節の終わりに』などをこよなく愛しているので、実はこの『ヘブンズメイカー』、初読の時あまり気に入らなかったのだけれど、なんと愚かだったことか! 再読してみるとやっぱめためた面白い。言葉だけで異世界(それもなんとも魅力的な)を構築する輝く想像力と、少ない行数で芳醇な物語を紡いでみせる手腕に脱帽。やはり恒川は凄い。自分恒川光太郎と津原泰水を読める時代に生きていて本当によかった。津原氏の新作はもう読めないけれど、恒川氏にはもっともっと書いてもらいたい。

  • 先にヘブンメイカーを読んでの感想。本作を読んで思ったことは(フラットでそこまで深く考えなくても楽しめるな)だった。ヘブンメイカーを先に読んだ自分にとって、より重くて衝撃的な展開を期待していただけに残念な点もあったが、読み物として楽しむことができた。

  • 恒川光太郎はホラーミステリーの印象だったけど、今回読んでみた異色(?)のファンタジー小説
    構成が練られていて章ごとの緩急があり、とても読み応えがありました

    異なる世界で10の願いを与えられた人
    利己的な生活から様々な人に出会い次第に利他的な自由を手に入れていく
    最後には多くを語らず締めるのがまた何とも良いですね

  • 路上で一等くじを引き当てたバツイチ無職の夕月は、突然異世界に飛ばされてしまう。10の願いを叶える「スタープレイヤー」になった彼女は、次第に争いに巻き込まれ…
    神のような力を手に入れたとき、人は正しい選択ができるだろうか?
    主人公が完全な善人ではなく過去の業や一時の情に引きずられるところも、嫌だなと思いつつもこういう所がいい意味で普通っぽいんだろうな。
    よくある転生モノとはちょっと違う雰囲気。

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著者プロフィール

1973年東京都生まれ。2005年、「夜市」で日本ホラー小説大賞を受賞してデビュー。直木賞候補となる。さらに『雷の季節の終わりに』『草祭』『金色の獣、彼方に向かう』(後に『異神千夜』に改題)は山本周五郎賞候補、『秋の牢獄』『金色機械』は吉川英治文学新人賞候補、『滅びの園』は山田風太郎賞候補となる。14年『金色機械』で日本推理作家協会賞を受賞。その他の作品に、『南の子供が夜いくところ』『月夜の島渡り』『スタープレイヤー』『ヘブンメイカー』『無貌の神』『白昼夢の森の少女』『真夜中のたずねびと』『化物園』など。

「2022年 『箱庭の巡礼者たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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