少女は夜を綴らない

著者 :
  • KADOKAWA
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本棚登録 : 139
レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041058664

作品紹介・あらすじ

“人を傷つけてしまうかもしれない”という強迫観念に囚われている、中学3年生の山根理子。彼女は小学6年生のときに同級生の加奈子を目の前で“死なせてしまった”ことを、トラウマとして抱えていた。 “身近な人間の殺害計画”を“夜の日記”と名付けたノートに綴ることで心を落ち着け、どうにか学校生活を送っていた理子の前に、ある日、加奈子の弟・悠人が現れる。“加奈子の死”にまつわる理子の秘密を暴露すると脅され、理子は悠人の父親を殺す計画を手伝うことに。やむを得ず殺害計画を考えるうち、誰にも言えなかった“夜の日記”を共有できる悠人に心惹かれていく理子。やがてふたりは殺害計画を実行に移すが――。

感想・レビュー・書評

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  • 過去の出来事から加害恐怖を抱え、周りの人間を殺害する妄想を書き綴る少女。そして父親の暴力に苦しめられる少年。二人で立てる完全犯罪の計画と、周りで起こる事件と疑惑。全体的にひりひりとした痛々しさを感じさせられる物語でした。感情移入して読めば読むほどつらく、だけれど読む手は止められません。ただし、読み終わった後の印象はそれほどひどくもなかったかな。完全にハッピーエンドでもないのですが。
    過去の「事件」の真相はまあわかったけれど(ミステリ読みなら「それはない!」って思うよなあ)。そういう動機だっただなんて。分からないでもないけれど、それが主人公にあれほどの傷を残してしまったとなると……ひどい。しかし結局はあの子もあの子も被害者だったのだなあ、と切なくなりました。

  • 強迫観念・加害症を持つ女子のお話。彼女の心の動き、しっかり伝わってきた。殺人とか結構しんどい内容なんだけれど、うまくまとまってるし、スススッと読めた。思ってたよりも良かった。
    それにしても。現代の中学生の一部分なのか、そういった症状の独特の考えなのか。自分がもう少し(もっと?)若ければ、違った風に受け取ったかなあ。

  •  筆者の2冊目の小説。処女作の「虹を待つ彼女」も良かったが、本作も秀作。キャラクターが立っており、ストリーテリング・構成も考え抜かれている。
     「虹を待つ彼女」はAIをメインにした話だったが、本作はトラウマを抱えた女子中学生の内面を描いたもの。
     同級生・加奈子の死により心に傷を負い、その為、常に人を殺すことを考えることで心の平穏を得ている女子中学生・理子。
     理子は加奈子の弟で父親から虐待を受けているという悠人から「父親を殺してほしい」という依頼される。
     ストーリー的には人が死ぬところを見たいと考えている女子高校生らを主人公にした湊かなえの『少女』と最低な養父を殺そうと考える高校生を主人公にした貴志雄介の『青の炎』を混ぜ合わせたような内容だが、本作はもっと前向きになれる内容。
     筆者の処女作も本作も、根底に「少女と死(自殺・自死・殺人」というものが潜んでいる。
     イラストレーターloundraw氏による本書の主人公を描いた「儚く見えながらも毅然とした強さを感じさせられる透明感のある少女」のカバーイラストも秀逸。
     

  • こちらも好き。ドロドロしつつ、さっぱりした読後感。

  • タイトルで借り。装丁はこちらも鈴木久美さん。借りてきた本3冊装丁鈴木久美さんだった。何の前情報もなく借りたので、どんな作品かと思えばミステリー。危うい10代が描かれる。長いけど意外と一気読み。

  • ○自分の感情と事件とのはざまで、理子は何を考える。ある少女の成長譚
    家族の中でも学校の中でも孤独。誰も自分のことを真に気にかけてくれる人はいない。
    そんな中であった悠人に告白されたのは、「姉のことを殺したね」。そして「父を殺してくれないか」という殺人計画を持ちかけられる。
    混乱する理子、そして次々と巻き起こる事件。不審な兄の動きと突き放す母、悠人の父親や学校の不良少年少女にも目をつけられ・・・

    物騒な中学生の友人にしでかした行為は取り返せず理子の心に残り続ける。
    その影響が加害恐怖という形で表現され、ありもしない殺人風景を見続ける。そんな中"夜の日記"を書くことで暴露療法(エクスポージャー)の役割を果たす。その日記にはたくさんの身の回りの人への殺人が書かれている。もちろん実行するわけではない。しかしそれが周りにバレたときの威力は計り知れない。見たくもない妄想が書かれているのだから。

    誰かを守る健気な殺人計画に僕らは胸打たれる。
    向き合い続けたしるしは、きっと無くならないのだ。

    ミステリーだけど、ある少女の成長譚だ。

    論理と感情を使い分けていてどこか大人びた、でも中学生である初々しさが、読んでてとても楽しかったし、グイグイ引き込まれていきました。

  • 前作もそうでしたが、タイトルも設定も好きなのですが、真相に向けてどうにも好みから外れてしまう印象。そんな好みの問題を外して考えれば、なんとも丁寧で、伏線回収も美しく上質なミステリ作品です。 人を傷つけてしまうかも知れないという強迫観念に悩まされている主人公、理子。彼女は殺人計画を練ることで心を落ち着けていました。しかしその秘密が悠人にバレてしまい、彼の父親殺しを手伝う羽目になります。 理詰めで倫理感さえも吹き飛ぶような論理展開は読了後、テーマについてそして二人について考えてしまう作品です。

  • 読みやすい
    似たような登場人物が多くて覚えにくい

  • 2018.2.1読了。少し期待とは違ったかな…

  • ノートに綴る殺人計画。でもそれは、主人公の心を安定させるためで…。

    途中でページを閉じてやめようと思いつつも、結局最後までいっちゃった。文章は読みやすくていい。

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著者プロフィール

1980年東京都生まれ。学習院大学法学部法学科卒。フリーランスのウェブエンジニア業の傍ら、小説を執筆。2016年、『虹を待つ彼女』で第36回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、デビュー。他の著書に『少女は夜を綴らない』。

「2018年 『星空の16進数』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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