- KADOKAWA (2017年7月21日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (328ページ) / ISBN・EAN: 9784041058664
作品紹介・あらすじ
“人を傷つけてしまうかもしれない”という強迫観念に囚われている、中学3年生の山根理子。彼女は小学6年生のときに同級生の加奈子を目の前で“死なせてしまった”ことを、トラウマとして抱えていた。 “身近な人間の殺害計画”を“夜の日記”と名付けたノートに綴ることで心を落ち着け、どうにか学校生活を送っていた理子の前に、ある日、加奈子の弟・悠人が現れる。“加奈子の死”にまつわる理子の秘密を暴露すると脅され、理子は悠人の父親を殺す計画を手伝うことに。やむを得ず殺害計画を考えるうち、誰にも言えなかった“夜の日記”を共有できる悠人に心惹かれていく理子。やがてふたりは殺害計画を実行に移すが――。
感想・レビュー・書評
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2022/06/07読了
#逸木裕作品
学園青春ミステリー。
加害恐怖症に悩む主人公の女の子が
殺人の依頼を受ける。
別軸では自分の兄が連続殺人事件の
犯人ではないかと疑い探る。
他の先進的な作品とは一転、
リアルな闇がゾクッとするストーリー。
エンディングがちょっと、、な感はあるが
総じて面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2.0
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本番に限って上手くいかない、という現象は不条理な現実として存在している。そして悪意の中で生きたことのない人間が悪意の中で生きる人間に対して、暴力的に正論を投げつける。世の中綺麗なことばかりではないはずなのに、それを知らない幼さを色濃く描いていた作品。最後はご都合主義で丸く収めた感が否めないが、物語としては読みやすいと思う。
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「困難があったら、正攻法で乗り越えればいい。そんな風に考えてる強い人間が、嫌いなんです。僕は」「反対から考えてみると、正攻法で乗り切れる程度の壁しか、あの人たちの中にはないんだと思います。」
このセリフが刺さった。苦しんでいる人にとって必要なものと求めているものは違っている時がある。苦しみは苦しんでいる本人にしかわからない。
人を殺すのにも運と才能が必要なのかも。
とにかく悠人の父親と理子の兄が気持ち悪い。 -
過去の出来事から加害恐怖を抱え、周りの人間を殺害する妄想を書き綴る少女。そして父親の暴力に苦しめられる少年。二人で立てる完全犯罪の計画と、周りで起こる事件と疑惑。全体的にひりひりとした痛々しさを感じさせられる物語でした。感情移入して読めば読むほどつらく、だけれど読む手は止められません。ただし、読み終わった後の印象はそれほどひどくもなかったかな。完全にハッピーエンドでもないのですが。
過去の「事件」の真相はまあわかったけれど(ミステリ読みなら「それはない!」って思うよなあ)。そういう動機だっただなんて。分からないでもないけれど、それが主人公にあれほどの傷を残してしまったとなると……ひどい。しかし結局はあの子もあの子も被害者だったのだなあ、と切なくなりました。 -
前作「虹を待つ彼女」が意外に面白かったので、手に取った一冊。
小学生の時に、同級生を殺してしまったと思い込んだことから「加害恐怖症」に思い悩む中学3年生の主人公・理子。
またいつか誰かをころしてしまうのかもしれない、自分の兄はホームレスの殺人犯かもれしない…そんなことばかりを考えている中学3年生実在するだろうか?
あまりにも現実味がない内容で、最後まで何が伝えたかったのか、よく分からなかった。
「ボー研」のところの描写だけが、学生時代に部活を忘れ、ゲームに熱中していたことを思い出させてくれて、ホッとした。 -
人間の心の中には、必ずしも善意や悪意があるんだなとこの本を読み終わった後、考えさせられましたし、例えどんな事があっても、事も無げに人の命を奪っていけないんだなと思いました。
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しょうもなかった気がする
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逸木裕『少女は夜を綴らない』他人を傷つける妄想に苛まれる少女。暴露治療の「殺人ノート」に記したとおりの事件が起こり、彼女の日常はその危うい均衡を失う。物語が進むにしたがって緊張感は鋭さを増し、まったく目が離せず、息苦しいほどだ。文章がとにかく上手なうえ、構成も美しい。
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強迫観念・加害症を持つ女子のお話。彼女の心の動き、しっかり伝わってきた。殺人とか結構しんどい内容なんだけれど、うまくまとまってるし、スススッと読めた。思ってたよりも良かった。
それにしても。現代の中学生の一部分なのか、そういった症状の独特の考えなのか。自分がもう少し(もっと?)若ければ、違った風に受け取ったかなあ。 -
なかなかサイコパスな思考を持つ女の子とその取り巻きのお話。
人は深層心理では何を考えているのか他人からはさっぱりわからないんだなと改めて感じた。
そして兄ちゃんは結局どうなったんだろう…という不完全燃焼さがあった。 -
表紙と作者の人に惹かれて
読みはじめたけど
綺麗な色の表紙からは想像できないような
内容で衝撃を受けた。
読み切って表紙を再度見ると
表紙も題名もストーリーに忠実だった。
表紙をめくった時の紺色にも
意味があって
デザイン等とても込んでいる作品だと思った。
少し厨2心くすぐられるような
内容だったり
読みながら推理しても全く当たらなかったり
とても振り回されて読んでいて楽しかった。
自分自身のトラウマえぐってくる内容が
後半にあったので、次読みたくなった時は
それがあることを考慮して読むか考えるべき。
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様々な事件が主人公の周りに点在していて、それが一点に集約していく……という訳でもなく。
それぞれが解決はするけれど、各々独立した結末であって有機的に繋がる「あぁ、そうだったのか!」というカタルシスからは遠い気がした。
正論は時には人を傷つけるというが、最大公約数的に人を救う方法でもあるのは否定出来ないし、それを受け入れ切れない主人公の思春期の懊悩も理解出来る。
事件の独立した解決と主人公の試行錯誤と物語の結末と
まとまりのない行き違い全てが「青春時代の逡巡」のカリカチュアのようで、逆に作品自体はまとまった印象を持った。
登場人物達に「オトナになるのも悪くはないよ」と
声を掛けてあげたくなるような作品だった。 -
青春ミステリー単行本。
主人公 理子を通して思春期のヒリヒリした危うさが伝わってくる。
成長期の内面に芽生える残酷さは確かに存在する。
エスカレートする校内家庭内暴力…
理子はラストに救われるけれど、現実は重いテーマです。 -
思春期特有の中二病的もよもよいっぱいつまった話でイライラしてしまった。
オーダーメイド殺人クラブに感じだ時のように、やるなら徹底的にやれ!救いを残してくれるなフィクションで!と悶々。
著者プロフィール
逸木裕の作品
