- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041059302
作品紹介・あらすじ
女たちは、偏見と迷信を破り続けた。
戦後日本で超えたものと、未だ超えられぬものとは!?
『おそめ』『原節子の真実』の著者が描く、闘いの時代史。
・男女雇用機会均等法を推し進めた赤松良子。
・女性で初の大手企業重役となった、高島屋取締役の石原一子。
・囲碁界で女性初の高段者となった杉内壽子。
・登山家でエベレスト登頂を成し遂げた、田部井淳子。
・NHKアナウンサーとしてアナウンス室長にもなり、定年まで勤め上げた山根基世。
・『ベルサイユのばら』で歴史漫画を女性として初めて描いた、池田理代子。
・女性初の真打ちとなった、落語家の三遊亭歌る多。
第一号の女性として、封建的男性社会の壁にぶつかり、悩みつつも、
時に貫き、時に破り、時に躱し、時にいなして、自分と後進の道を押し広げてきた人々。
女性“活躍”といった歪な言葉が巷間に広められている時代だからこそ、
昭和から平成おいて超えられたもの、未だ超えられぬものを、第一号の女性たちの生き様から見る。
各界のガラスの天井を打ち破り、後に続く人々のために道をつくってきた人たちの軌跡から、
昭和と平成の歴史を浮き彫りにする、珠玉のノンフィクション。
感想・レビュー・書評
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「女性第一号」として、各分野で活躍した方たちを紹介した本です。
昭和初期は、教育の機会・選挙権・職業選択自由度が男女不平等だった時代。ハンデがある中でも、実績を残した彼女たちの優秀さを感じる内容でした。
彼女たちは「女性第一号」になることが目的ではなく、仕事に対して努力と研鑽を行った結果として、キャリアを築いたことを知れました。
今の時代、子育てと仕事の両立がしやすくなったのは先輩たちのおかげと有難く感じた一方、最近の医学部入試の男女差別の例のように、見えない天井が昭和初期から何十年経っても存在することが本書を読んで悲しくなりました。
以下、心に響いた言葉です。
◆労働省婦人局長 赤松良子 氏
・制度は個人の力ではどうにも太刀打ちできない。だから、まず制度を変えた。その上で、差別が現実にあるとしたら、個人の努力によってだんだん良くするようにしたい。
・チャレンジのない人生なんて退屈よ。
◆漫画家 池田理代子 氏
・議員の奥さんで、仕事をして自立している人が何%いるのか?
男性の議員は自分の世話を妻に任せている。働く女性は、自分の世話と子どもの世話を担っており、男性と同じ土俵ではない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
色んな分野で女性初を成し遂げた方々の伝記的な本。現代からは想像がつかない程の性別による機会格差をリアルに感じることができ、その環境下で自分の夢を突き進む力強さを感じられる。性別関係なく、何かを成し遂げる人の共通項は自分の環境を言い訳にしないことだと感じた。
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強い意志を持ち、自らの道を切り拓いた方達。その頃よりも、表向きは随分と生きやすくなったのかも知れないが、こんなにも彼女達に共感できるのは、やっぱり同じ思いや経験をして来たからなのだと思う。
ここから、私達はどうするべきか。 -
それぞれの時代に外れ値を生きた女性たちがどのようにしてサバイヴしてきたかを、様々な分野と時代を横断して俯瞰することができる本。
戦前から現代へ「女性」の扱いが変化していく中で、それでも人々が受ける理不尽な経験の本質は全く変わっていないことがわかる。
天井が鉛だった時代に取られた戦略と、天井がガラスになった時代に取るべき戦略は異なるし、今では真似できないところも多くある。しかし同じものを目指して戦ってきた同志として彼女たちの熱意を受け継ぎ、その歴史に連なりたいと思わせてくれる。 -
東2法経図・6F開架:367.21A/I75n//K
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ガラスの天井と呼ばれる女性ならではの壁を打ち破った、各分野7名の女性の物語。
それぞれの方の置かれた環境は異なるが、自らの思いを凜として貫いたことがことの他、美しい。
1章の元高島屋取締役の石井氏の言葉。「日本の会社員はもっと自立した人間にならくては。国際社会では一人の力で勝負する。それが苦手。もっと揉まれないと。」
性差を超えて、一人の人間として背筋が伸びる思いがした。 -
2019/09/04市図書館
●高島屋 石原一子
●山根基世 アナウンス室長としてやるべき仕事を書き出す。
アナウンス室の局内評価を高めるための努力。
社内におけるアナウンサーの立場、地位を上げたいと、前々から考えていた。 -
「日本初」と称された7人の女性の半生を描いたノンフィクション。どれも非常に読み応えがある。個人的には、高島屋取締役を務めた石原一子さんと、労働省で男女雇用機会均等法の制定に尽力された赤松良子さんのお話が非常に印象に残った。