- Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041059357
作品紹介・あらすじ
「俺の父親、ヒトゴロシなんだ」毎日が黄金に輝いていたあの夏、同級生に何が起こったのか――少女失踪事件を捜査する刑事・相馬は、現場で奇妙な印を発見し、23年前の苦い記憶を蘇らせる。台風一過の翌日、川岸にランドセルを置いたまま、親友だった同級生は消えた。流木に不思議な印を残して……。少年はどこに消えたのか? 印の意味は? やがて相馬の前に恐るべき罪が浮上してくる。司法の信を問う傑作ミステリー。日本推理作家協会賞候補作。
感想・レビュー・書評
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興信所を営む鑓水は、23年前の夏に失踪した息子・尚の捜索依頼を母・香苗より300万円で引き受ける。失踪当時のことを調べると不審な点が多く、鑓水と調査員の修司は失踪前から、尚が何らかの事件に巻き込まれていたことを知る。家族の絆と日本の司法の在り方を問う社会派ミステリ。
初著者作品。
最近、自分が「読みたい本」よりもブク友さんの本棚やレビュー、話題ランキングなどから「興味を持った本」を読んでいる。正に本作品も興味を持って手に取った。
ある夏の日、少年が忽然と消える。少年が行方不明になる4日前には、父親の柴谷哲雄が謎の死を遂げていた。そして23年の時を経て誘拐事件が起きる。そこにはかつて少年が最後に目撃された河原に残された暗号のようなしるしと同じものが刻み残されていた。
23年前と現在が並行展開し、事実と真実が一つに繋がっていくストーリーは劇場型かつスリリングな展開で、ドラマ映像を観ているかのような読み応えがあった。
本作のテーマは【冤罪】だ。
私にとって忌まわしい冤罪事件は自身の出身地である大阪で起きた東住吉女児焼死冤罪事件が1番に思い出される。
特に20年前の司法構造はブラックボックスな側面が多かった時代ではないだろうか。
本作でも「自白偏重」の風潮を『叩き割り』という警察用語を用いて説明されている。以下印象的だった一文を引用する。
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「決定的な物証がない場合、取り調べであらゆる手段を使って被疑者を精神的に追い込み、自白させる。そういうやり方のことだ。実際、冤罪事件のほとんどには自白がある」「自分を信じてくれている人がいるという思いが、過酷な取り調べの中で否認を支える大きな拠り所になる。しかし『叩き割り』では、家族、友人、組織、あらゆる絆を断ち切って被疑者を孤立させる。身ひとつになれば、大抵の被疑者は割れる」
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自白の強要、証拠の隠蔽、事実の捏造など、被疑者・警察・検事・裁判官・検察官はすべてヒトであり、公正な裁きの前にそれぞれの立場や心理が働くことを、我々は忘れてはならない。
冤罪が多いと言われている日本もようやく世界の潮流に合わせ、取り調べの可視化(全過程の録音・録画)が法改正に組み込まれたが、裁判員裁判の対象事件と検察の独自捜査事件のみを対象とするなど、【事実】と【真実】の乖離を無くす制度としてはまだまだ途上と感じる。
そして本作を読み終え、改めて表紙の少年を見る。この子が背負った事実は、大人でも耐え難い痛みを伴うものだったのだろうと想像してまた感慨に耽る。
著者の放つ司法制度の現実と思いを受け取ることの出来る1冊であった。 -
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謎の印…
分かると悲しい(T . T)
冤罪をテーマにしてる。
悲し過ぎるやん!
何もしてへんのに、精神的に追い込んで、自白させる。
で、自分達の思い描いてる筋書きに合わせる。
ハイ!犯罪者!一丁あがり!
みたいな。
有罪率99%、犯人だと判断して起訴されたら、ほぼ全員、裁判で有罪…
日本だけみたい…こんな凄い数値。
ないな!
こんな高い数値!
そのせいか、最近、冤罪とかよく聞くようになったな。
そういう冤罪のせいで…
お父ちゃんが、罪を着せられ、世間から白い目で見られる母子。
しかし、冤罪だと分かり、お父ちゃんが…
尚が謎の失踪。
この子が、相馬の子供の頃の友だち…
20年以上経っての再会も悲しさ満点やな。
ちゃんと!
ちゃんと!
ちゃんと、捜査さえしてたら、こんな事起こらんし!
尚と拓、香苗親子の人生返して〜
何か、何のために、生きてるんか分からんやん…
でも、冤罪に大きく関わった奴ら、何の後悔もせんと、そのままなんが、悔しい〜( *`ω´)-
ユッキーさん
無期懲役とかより、死刑とかも、決めるのしんどそう…
まぁ、裁判官も、市民感覚ないし…
微妙ですよね〜ユッキーさん
無期懲役とかより、死刑とかも、決めるのしんどそう…
まぁ、裁判官も、市民感覚ないし…
微妙ですよね〜2024/04/27 -
2024/04/27
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2024/04/27
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読み応えある社会派ミステリーでした。前作『犯罪者』と同じく面白く読みました。
本作では、前作登場の相馬さんの輝いていた少年時代と、彼が関わった家族の悲劇が描かれており、少年時代の郷愁とともに悲しい気持ちに。
物語のはじめの方で数々の謎が示され、それを興信所を営む鑓水さんと修司さん、そして刑事の相馬さんの三人が追って行きます。23年前の出来事の証言・回想をどう解釈し、つなぎ合わせるのかがポイントで、そういう意味では、パズル要素もあるストーリーになっていました。それでいて、後半は疾走感があり、スゴイです。
物語中盤に、イソヒヨドリの鳴き声が聞こえるなか、相馬さんが会いに行ったエピソード、泣いてしましました。通勤電車の中でしたけど。
このエピソードを読む2週間前に行った、花見で混雑した公園近くの電柱上からの、澄み渡るイソヒヨドリの鳴き声が思い出され、余計に悲しくなりました。
最後の終章では、新たな物語の始まりが感じられ、前途を祈らずにはいられませんでした。
本作の冤罪に関わった警察・検察・司法の人たちは、結局自分に誤りがあるとは思っておらず、正しいことをしたとしか思っていないのでしょう。個人の問題というより、システムの問題ですね。詰まるところ、前作『犯罪者』同様、国民が悪いということなんですかね。
きっと、日々改善に取り組んでいらっしゃる方々が、どこかで努力されていると思います。私に出来ることは、『十人の真犯人を逃すとも一人の無辜を罰するなかれ』を胸に刻み、投票するくらいでしょうか。
でも、ほんの百数十年前には江戸時代だったのがこれほど変化したのであれば、今後、百年二百年後にはきっと良い方に改善されると信じたいです。
そこまで待たずとも、冤罪被害者の苦しみを知る彼ならきっと社会を動かしてくれるだろうという、希望の終章でしたが。-
2024/11/24
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2024/11/24
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2024/11/24
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太田愛作品は、「未明の砦」以来2作目。
「未明の砦」は大企業のもとで苦しむ契約社員たちの反撃物語でした。
そして本作は、警察・検察・裁判官が作り上げた冤罪被害者の家族の復讐、
巨大な力に抗うストーリーに、手に汗握り、悔しさで歯ぎしりし、
そして、
冒頭から、子供の行方の謎、数式のようなマークの謎、ランドセルの中身の謎のためにドンドン次々にページを捲り、
ラストには、
どうしようもない切なさに襲われ、涙が溢れてしまいました。
とてもGOOD!な作品でした。
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初めまして!
探偵シリーズの第二作です!
犯罪者⇨幻夏⇨天上の葦 です!
サイコーのシリーズですので残りもご賞味くださいませ!初めまして!
探偵シリーズの第二作です!
犯罪者⇨幻夏⇨天上の葦 です!
サイコーのシリーズですので残りもご賞味くださいませ!2024/05/21 -
コメントありがとうございます。
順番をあまり考えずに読んでしまいました!
もちろん全部読んでみようかと考えております。コメントありがとうございます。
順番をあまり考えずに読んでしまいました!
もちろん全部読んでみようかと考えております。2024/05/21
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こんばんは。今紅白を観ながら『天上の葦』を読み、ドキドキしています。太田愛さんは本当に凄い(*^^*)
父親のせいで崩れた人生がさらに夏が...こんばんは。今紅白を観ながら『天上の葦』を読み、ドキドキしています。太田愛さんは本当に凄い(*^^*)
父親のせいで崩れた人生がさらに夏が分岐点になっていて悲しかったです。最後、名前を知らない相馬の出会う場面の先に繋がるストーリーは絶対に幸せであって欲しいと思いました(;_;)2023/12/31 -
こんばんは♪僕も先輩と紅白見てます笑。年越し読書良いですね(*´ω`*)
感想楽しみだなー(о´∀`о)
父親も可哀想というか、全員悲しい...こんばんは♪僕も先輩と紅白見てます笑。年越し読書良いですね(*´ω`*)
感想楽しみだなー(о´∀`о)
父親も可哀想というか、全員悲しいですよね…(T_T)そう、本当に幸せになって欲しかった…ラストのシーンで冒頭に戻った時の悲しみと言ったら…
本年はアンシロさんとお話出来て嬉しかったです!来年も宜しくお願い致します♪2023/12/31 -
明けましておめでとうございます。yukimisakeさん、本年もよろしくお願いします(*^^*)
年越しは本を抱えたままウトウト、いつの間...明けましておめでとうございます。yukimisakeさん、本年もよろしくお願いします(*^^*)
年越しは本を抱えたままウトウト、いつの間にやら2024年になっていました^^;笑。2024/01/01
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太田さんの初読。
帯に引かれ購入したが、500頁弱。
数日に分けて読む予定が、、、今日読み始めてしまい、止められず最後まで読了ー。
めちゃくちゃ面白い!私の中で★10です。
内容は、とてつもなく切ない。
何度か泣けた。
序盤から、飽きさせない。
警察ミステリーのようなガチガチ系ではなく、
社会派ミステリーに警察ミステリーを少し混ぜたような、、うまく言えませんが凄い好みで、これまた好きな作家さん増えてしまい。また本屋か!?笑
子供の頃の話が、もう健気で健気でほんとになんとも言えない気持ちになるし、泣けますほんと。
※午前中の電話線抜いてるのとか優しすぎるなあとか。読んだ人にしかわからぬレビューすみません。
人と違うところはマイナスにもプラスにもなれる、プラスの方が楽しいじゃん みたいなフレーズが心に残る
※ここは物語の本題とは全く関係ない
この本は、結末がわかっていても何度も再読したいと思えた!切ない。切ない。こんな切ないことがあっていいのか?の帯そのものを感じさせられた作品でした。
太田愛さんすごいっ!
書き忘れたことありました!
表紙めくると、登場人物の役職?が全部かかれていて、これめっちゃポイント(*^^*) -
面白かった!
テーマは冤罪。
切ないストーリでした。
しかし、残念だったのは、前作の「犯罪者」の登場人物の人間関係が続いていました。
なんで、こんな口の利き方するのかなって違和感があったのですが、前作で事件があったり、人間関係が出来上がっていたのね。
「犯罪者」を読んでから読めばよかった!残念。
夏休みに尚と拓の兄弟と知り合った相馬。友達になれたと思いきや、尚が謎の失踪。
最後に目撃された場所に残された奇妙な印。
そして23年後、その尚の行方を捜してほしいと、鑓水に依頼がきます。鑓水は修二とともに、過去を調べ直します。
また刑事になった相馬は少女失踪事件でもその奇妙な印を現場で発見。
23年をまたいで起きた事件は同一犯なのか?
鑓水、修二、相馬が23年前の事件、今の事件を追っていきます。
23年前に起きていたこととは?..
尚の父親の事件
そして、少女失踪事件の犯人は?
後半のスピード感!
明らかになる真相。
とても切ない。
子供が一人で背負うには重すぎる..
家族、兄弟、絆が感じられる物語でした。
「犯罪者」から読みましょう。
お勧め!-
こんばんは。
実は私もこちらの本から読んでしまいました。
読み進めると、あれ??この本って前作があるのかな??という感じがしてきて、、、...こんばんは。
実は私もこちらの本から読んでしまいました。
読み進めると、あれ??この本って前作があるのかな??という感じがしてきて、、、
その何ヶ月も後になって会社の人から前作を貸して頂けました。
前作を読んで、この本を再読しましたが、再読でも相当面白かったです。
彼らの繋がりが分かった後は、また違った視点で物語を読めるのでおすすめです!
この本、最高ですよねヽ(^o^)2022/12/10 -
そうそう、相馬が過去に何かおイタをしたみたいでしたし、鑓水と修二の関係もアレって思うところあったし^_^
やはり前作は重要ですね。
コメン...そうそう、相馬が過去に何かおイタをしたみたいでしたし、鑓水と修二の関係もアレって思うところあったし^_^
やはり前作は重要ですね。
コメントありがとうございます。
前作探して読まなくちゃです。
でも、本作だけでも十分楽しめましたよね!
2022/12/10
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冤罪の話だった。日本では、知り得た情報を全て裁判に提出しなくても犯罪にはならないそう。アリバイ情報の握りつぶしなど簡単に出来てしまう(アメリカでは罰せられる)
大川原化工機 冤罪事件のNHKドキュメンタリーを見た。シナリオを書いた警察官は処罰されないどころか昇進、検察官も謝罪すらせず控訴している。この人たち、偉くなって、幸せなのだろうか。 -
十二歳の少年が、夏休みの終わり、家族や友人の前から突然失踪する。彼が、何を求めて誰を守るため居なくなってしまったのか。失踪から二十三年、少年の行方は、わからないままだった。
ドラマティックで骨太、読み応えあるミステリーでした。主題は冤罪への抵抗でしょうか。
23年後、新たな少女誘拐事件が、過去の少年の父親の冤罪事件を掘り起こしていく。少しずつ少年の姿が見え始める。
少年と弟、友人の一夏の数日間の思い出が、輝くほどに、その後の少年達の辿る人生の辛さが際立ってくる。彼らのささやかな幸せを奪った理不尽な司法に憤りを持つ。
「犯罪者」を先に読むべきなのですね。夏だからって読んでしまいました。失敗だけど、感動しました。
ミステリーも充分面白く、少年達の健気さに胸が詰まり、冤罪組織構図に苛立ち、全てを収拾するラストに完敗しました。-
おびのりさん、こんばんは。
私も、先にこちらを読んでしまい、今、犯罪者を読み始めてます!
めっちゃ面白いです!おびのりさん、こんばんは。
私も、先にこちらを読んでしまい、今、犯罪者を読み始めてます!
めっちゃ面白いです!2022/07/30 -
2022/07/31
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著者プロフィール
太田愛の作品






私も読んだことがない著者さんなのでまた読んでみますね!
こちらこそよろしくお願いします♪
私も読んだことがない著者さんなのでまた読んでみますね!
こちらこそよろしくお願いします♪
そうそう!シリーズ作なんですよね。
『犯罪者』と『天上の葦』でしたっけ。
探してみます。ありがとうござ...
そうそう!シリーズ作なんですよね。
『犯罪者』と『天上の葦』でしたっけ。
探してみます。ありがとうございます^ ^
私も初著者でしたので他作にも触れてみたいと思います!
私も初著者でしたので他作にも触れてみたいと思います!