- 本 ・本 (328ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041060469
作品紹介・あらすじ
両親と弟が鬼籍に入り、かつて花街だったという古い町並みにある町屋の実家に戻ってきた貴樹。貴樹が書斎として定めた部屋の書棚に立てかけられた鏡をずらしてみると、柱と壁に深い隙間があった。そしてその向こうに芸妓のような三味線を抱えて座るはかなげな着物姿の人影が見えた。やがて貴樹がその女を見ずにはいられなくなり……。(「芙蓉忌」より)
佐代が生まれた家の町の一郭に神社があった。その神社の脇に背戸があり、夕暮れになると暗くて怖い細道だった。まるで『通りゃんせ』の歌のように。あるとき時間を忘れて遊びすぎ、忘れ物を取りにさらに遅くなり、夕暮れの闇が迫る中、怖いけれど急いで背戸に向かって走っていると、瀬戸に豪華な模様の入った袴を着た鬼が立っていた。その鬼は逃げようとする佐代の肩を掴み――。(「関守」より)
離婚して実家に帰ってきた俊宏の母親が飼っていた三毛猫の小春。半月前に家を出て、そのまま交通事故にあって死んでしまった。母親は2か月前に倒れて意識もなく病院で寝たきりの状態だ。そのいずれも息子の航に告げることができないまま日々が過ぎていくのだが、あるとき航が「小春がいると思うんだ」という。裏の古い空き家から声がするという。さらに「布団に来た」ともいう。布団を調べると僅かな汚れと激しい異臭がする。その得体のしれない「何か」は徐々に迫ってきて――(「まつとし聞かば」)
古い民家をリフォームして住むことに憧れをもっていた育は、築50年以上のこの物件を暇を見つけては手を加えてきた。ある夜零時過ぎ、風呂上りにドライヤーで髪を乾かしていると女の呼ぶ声がする。しかも何かを責めるような強い語調だった。このところ続けて見る、暗闇に人影が座り込んで何かを責めている夢と煩い隣人との関係は――。その答えは意外なところにあった。(「魂やどりて」)
恋人に結婚を切り出すと「僕には結婚する資格がないんだ」「たぶん僕はもうじき死んでしまうから」と。その理由は小学校五年生夏休みにさかのぼる。広い川の大きな堰の先にあるブロックで遊ぶ幼馴染のリュウちゃんを見殺しにしたも同然だった。亡くなった翌年から、背後からふっと淀んだ水の臭いが漂うようになる。臭いはどこかくるのか――。(「水の声」)
祖母の家に引っ越してきてから、両親の不仲から逃れるために押し入れに寝場所を作ると、天井に屋根裏へ通じる隙間を見つけた。上がってみると、誰かが作った屋根裏部屋だった。その脇にゆらりと揺れる影――項垂れた人の黒い影だった。それは片眼のない片脚もないお腹も血だらけだった――。(「まさくに」)
優しさと哀しみと恐怖に満ちた全6篇。
感想・レビュー・書評
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閉め切っていたはずの
襖がまた開いている─
小野不由美さんは襖が
お好きなようですね。
襖の開いたその押入れ
の天井からズルリと、
そう、ズルリと逆さま
に下りてきたのは・・・
血塗れの仄白い人の顔
!
そんな家には住めない
!
もうぜったいに引越す
!
なんて、なんだかんだ
読者だからキャーとか
言ってられるけど、
もし、私がこの物語の
主人公だったらとっく
に失神してる・・・(汗
まあ、それでも現実に
お化けを見たことない
からこそ、
怖いもの見たさでつい
手に取ってしまうのね
・・・
ところで再読って独特
の楽しさがありますね。
頁を捲ってくと不思議
と思い出すんですよね。
あらましを覚えてれば
詳細を。
綺麗さっぱり忘れてた
としてもあらましを。
記憶って不思議だなと
あらためて思います。
っていつもながら本の
内容とあまり関係ない
こと書いてますね(汗詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
こわいって、もう!
恐いんだけど、読んでるうちに最初の恐怖がだんだん同情や親密さに変わるのって、なんだかスウェーデン症候群に似てる。
オチには救いがあったりどうしようもなかったりする。しかも、子供の話はこころをえぐられる。
面白い。恐いんだけど、面白くて読むのをやめられない。中毒みたいになる。
そうして夢中になればなるほど、背後に何かいるような気配を感じる。。。いや、ほんとこわいって!! -
シリーズ第二作。
前作では、住んでいる家で怪異現象が起こる→偶然もしくは人伝に営繕屋の尾端(おばな)に出会い家を見てもらう→必要箇所を修繕してもらい怪異現象が収まる→めでたしめでたし というパターンだったが、今作は更にバリエーションが増えていた。
めでたしめでたしではない話もあったし、怪異の原因そのものを見てしまう話もあった。更には『私ではお役に立てないと思うんです』と尾端が匙を投げるシーンも?
前作を読んだときも感じたが、古いモノ、昔の人がやることには必ずしも無駄や変なものばかりではなく、意味のあることもある。リフォームやリメイクも、元あるものに敬意を払って行うことが必要ということだろうか。
第一話の主人公はその後どうなったのだろう。
最終話はホラー映画ばりの怪異現象だが、意外なオチで面白かった。-
fukuさん
おはようございます。
いいね!有難うございます。
きょうは、晴れています。
まぶしいくらいです。
やまfukuさん
おはようございます。
いいね!有難うございます。
きょうは、晴れています。
まぶしいくらいです。
やま2019/11/15
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古い家屋、古い記憶に絡められた怪異。
今作もゆっくり静かに味わえた六編、どれも良かった。
怖さよりも哀しみが感じられた気がし、時にふわっとした温かさに包まれるような気分を味わえたのも良かった。
「芙蓉忌」は妖しさに次第に魅せられていく心と迫りくる怪異とのシンクロが印象的。「魂やどりて」は哀しみが胸を打つ。
家との関係、人との関係を上手く築けていくような尾端さんの営繕はもちろん、言葉のサポートも良かった。
決して強引さはない、あくまでもさりげない、この度合いが心地良い。-
小野不由美さんは大分出身。
気になる作家さんだけど、1冊しか読んだことない(〃∀〃)ゞ
この作品はシリーズなんだ。
古い家屋面白そうだ...小野不由美さんは大分出身。
気になる作家さんだけど、1冊しか読んだことない(〃∀〃)ゞ
この作品はシリーズなんだ。
古い家屋面白そうだね〜
くるたんの家はみんなは大丈夫?台風ひどかったね。心配していました。2019/09/10 -
けいたん♪(●'∇')ハロー♪
そうだったのね♪♪
小野さん、怖い系と十二国記が有名だよね。
私は怖い系しか読んでないや(*∩ω∩)
これは...けいたん♪(●'∇')ハロー♪
そうだったのね♪♪
小野さん、怖い系と十二国記が有名だよね。
私は怖い系しか読んでないや(*∩ω∩)
これは古い家屋の間取りを想像するのが大変だったけどせつなかったよ。
ご心配ありがとう♡
こちらは停電免れたけど、他の地域の人を思うと…。
特にうさぎさんが心配(>_< )
停電時の冷却法とか真剣に考えなきゃ、って思ったよ。
何か対策してる?
あおいちゃん、その後どうかな⁇2019/09/10 -
こんにちは(^-^)/
災害が起こるとうさぎさんたちのことが心配になるよね。
この時期エアコンが使えないなんて…
私も冷却法考え...こんにちは(^-^)/
災害が起こるとうさぎさんたちのことが心配になるよね。
この時期エアコンが使えないなんて…
私も冷却法考えてないよ。
ペレットは大量にあるけどね…
人間の非常食も水も東日本の時に用意したままでもう賞味期限が切れてる。
いかんね。
あおいは血液検査の結果が昨日電話であって、言葉で聞いただけではわからないだろうから、土曜日詳しい説明をしてくれるって。
ちょっと数値が高いのもあるみたいで…
あおいの診察もしたいって。
また薬かしら…薬って怖いんだよね。2019/09/11
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前作を読んだのがかなり前だったので、その時の記憶がないのだが、怖いというより物悲しいお話が多い。
短編だが独特の共通した雰囲気があり、それを心地よくすら感じる。
余談だがオムツの漢字なんてこの小説で初めてみた。 -
城下町に残る古い長屋で巻き起こる恐怖の超常現象の2巻。
1巻よりも恐怖が増している感と、主人公達の家の中だけで起こっていたのが、今回は少し範囲が広まった。
営繕するのは家だけじゃなくて神社だったり、隣の家だったりするんだな。
今回も毎回最後にちょろっと出てきて修繕する尾端さんだが、彼の過去とか知りたいなあ。
津軽のこぎん刺しを知り、素敵な模様に感動を覚える。
日本の文化は素晴らしい。
印象に残ったのは、優しい正邦さん。
最初はめちゃくちゃ怖くて近づいたらやばいと思っていたが、実は身を呈して危険を知らせてくれていたのを知ると、こういう寂しさは余計に深くなる。 -
営繕屋シリーズ第二作目。今回も尾端が怪異蔓延る家を解決に導く、のだがその尾端が登場するまでが面白い。様々な登場人物が怪異と家に振り回されてドキドキする。
怪異が登場して、その怪異に悩まされて、その怪異が出る理由を尾端が突き止めるのもスッキリして気持ちいい。読んだ後はどこか温かい気持ちになる。第三作目も読みたい。
とにかくこの街、怪異出過ぎ。 -
営繕かるかや怪異譚 「その弐」という事で続編です。
今回も、怖さと哀しさと優しさを含んだ怪異話・六話が収録されています。
前作は、“住居の怪異”に特化した感じでしたが、本書は住居は勿論ですが、思い出の場所だったり、古い道具や着物に関する事だったりと家以外の“怪”の話もあり、色んな怖さを堪能(?)できました。
概ね中盤までは怖いのですが、ラストは温かな感じの話が多い中、第一話「芙蓉忌」は破滅的なラストでしたね。尾端さんもこの話ではちょっとしか登場せず、(警告した“植木屋”は誰だったのかな?前作に出てきたっけ?)怪に魅入られた男の末路が気になります。
登場するだけで安心させてくれる尾端さんですが、第五話「水の声」では、営繕屋というより、“名探偵”ばりの推理力を見せてくれたりと、やっぱりこの人自身も謎だなぁと、もっと尾端さんの事が知りたくなりました。
印象的なのは、第二話「関守」、第六話「まさくに」ですかね。
「関守」は、わらべ歌『通りゃんせ』が軸になっているのですが、この歌のダークな雰囲気と、私が子どもの頃『この子の七つのお祝いに』という、トラウマ級の凄コワ映画があったのを思い出してしまった為、“もう絶対恐ろしいヤツ・・”とビクビクしながら読んでいたのですが、思いのほか結果ええ話で、ふう・・と一息でした。
そして「まさくに」。こちらも、中盤までの恐怖は半端ないのですが、実は“体を張って”メッセージを伝えようとしていた“まさくにさん”の話で、ラストではホっとするパターンでした・・にしても、“まさくにさん”の表現の仕方が怖すぎるので、もうちょいソフトに伝えて欲しかったです。 -
旧城下町を舞台に起きる古い建物に纏わる怪異が語られる短編集第二弾。除き穴から見える芸妓。溺死した友人や死んだ飼い猫と思われる何か。仄暗い古い家の隅に潜む闇に目を向けてしまった語り手が体験する怪異が想像しやすくて寒気が来る。頭の後ろに気配があって足首にすうっと捕まれる感覚が感じられる正に日本の伝統的な怪談の怖さ。「水の声」「まつくに」が特に。営繕屋の尾端が建物を修繕する事で怪異が鎮まる方向に向かうんだけど想像とはずれが生じる所が単なるホラーといいにくい読後感でやっぱり面白い。前作より尾端の出番少ない?でも足りない位がいい感じかもなぁ。
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前回読んだ初巻よりもっと怖い
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