営繕かるかや怪異譚 その弐

著者 :
  • KADOKAWA
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  • Amazon.co.jp ・本 (328ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060469

感想・レビュー・書評

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  • 第2弾きたー!!!
    相変わらずすばらしい。そして怖い。
    毎回早く尾端さん来て!!!ってなる。

  • 一巻と間違えて二巻から手にしてしまったが、特に問題なく読むことができて良かった。営繕屋の尾端さんが影の主人公って感じで、独立した短編の中に共通して登場する形態。基本的には彼のおかげでどうにかなっているんだけど、だからといって彼がスゴい能力者とかではないみたい。一巻読んでないのでこの辺の詳細は分からないが、結果として各話の主人公たちは救われているので出てくると安心感がある。
    もっとホラー色強い物だと思っていたので怖さはちょっと物足りない。じんわり怖いくらい。そして割ともの悲しかったり切ないオチがある感じ。一巻も読んでみたい。

  • いつの間にか第二弾が出ていた!
    建物や場所に囚われた怪異を、営繕屋の尾端が手を入れることによって本来あるべき場所へ返してやったり、導いてあげたりする、連作短編集。
    「関守」通りゃんせのメロディーから思い出された幼い頃の記憶、日が暮れかかった神社への細い道、立ちふさがる黒い影…通りゃんせのメロディーを聞くたびその情景を思い浮かべてしまいそう。歌に関する民俗学的な部分も面白かった。
    「まさくに」屋根裏部屋に棲みついた首つり幽霊、正邦さん。怖いんだけど、最後は少し和む。この2作が特にお気に入りです。
    家の壁の隙間から存在しないはずの女の姿を覗き見て、それに囚われていく男を描いた「芙蓉忌」これは他の話と違って救いのないラスト。その後どうなってしまったんだろう。

    第一弾を読んだ時も思ったけど、尾端の、怪異を排除するのではなく寄り添い導いてあげるようなところが好きだ。今後も続いてほしいシリーズです。

  • 前作も大好きですが、今回もとても面白く読みました。
    どの話もぞくぞくするし、ちょっぴり感動があったりします。
    続編がでたらまた読みたいです。

  • 「営繕かるかや」の続編。

    建物だったり物だったり土地だったりに由来する怪異を、営繕屋・尾端青年が、少しだけ危うくないようにととのえたり、共存の仕方を教えたりする。

    全六編の物語の中で、尾端の登場する場面はほんの少し。
    怪異を、たとえば『退治する』とか『解決する』とかという、力ずくな感じがしない、静かな佇まいがいい。
    漆原友紀さんの描く尾端の表紙のイラストがものすごいピッタリ。
    「芙蓉忌」「水の声」は、ひたすらおぞましい。
    「まつとし聞かば」「まさくに」が、怪異でさえもあたたかく包むことの出来るひとの優しさが、じわっと良かった。

  • 怖いのに……ページをめくる手を止められない……

  • 住居にまつわる怪異なお話いろいろ

    営繕屋 尾端が登場

  • 古い建物、物に宿る怪異を綴った短編小説。静かで、ぞくりと怖い。百鬼夜行抄や蟲師の世界観、作風に通じるところ多いにあり。
    因果応報によるものが多く、安心して読める反面、怖さがマイルド。因果律に乗っ取らない理不尽な恐怖や、もっといってしまえば生きてる人間が一番怖い物語も挿入して欲しい。

  • 1.自殺した弟の部屋から見える筈のない過去の幻。一緒に死んでくれる人を求める芸妓の幽霊の危険性。

    2.通りゃんせの歌で想起する幼い頃の恐ろしい鬼の記憶。異界に通じる神社の細道で出会った猿田彦。

    3.死んだ猫を求める幼い息子の側の得体の知れない怪異。原因は隣の猫婆の死で家で餓死してしまった犬や猫達の可哀想な霊。

    4.手仕事への尊敬のない古民家改装。女の家には終始意味のわからない言葉で叱責し続ける声が聞こえ、それはこぎん刺しという農民が着ていたものすごく手間のかかる一生の証を台無しにされたせいだった。

    5.幼い頃自分が無視したせいで川で死んだ男の子に付きまとわれる青年。年々近付いてくるその正体は…。

    6.家の押入れから見つけた隠し屋根裏部屋に居る首吊りおばけ。だんだん近付いてくる幽霊の伝えたい事とは…。

    営繕屋シリーズ第二弾。
    自分の死をただ気づいて欲しい少年や座敷わらしのように家の危険を知らせてくれる先祖、一生をかけて作った大切な着物を大事にして欲しい女性、など理由がわかるとそんなに怖くないというか対処できる存在から、異界の縁を覗くような別種の怖さを感じるものの正当な理由があれば見守ってくれる神様、牡丹灯籠のように死への誘いをしつこくしてくる芸妓の恐ろしさ。

    こぎん刺しは知らなかったので、とても興味深かったし、江戸時代の東北農民の風俗史を調べてみたいと思った。
    また、神隠しや異界、パラレルワールド的な通りゃんせの話は洒落怖っぽというか、民俗学的にも面白い。あと魔性の子を少し思い出す。
    また、押し入れに布団敷いたり、屋根裏に登ったら実は…的な事は私も子供の頃借家の自室でやってみた事があって、押し入れの天袋の蓋が開いてて一階と二階の間の配線用のところを冒険しようとして、親に見つかって怒られた事が思い出された。あれは本当に今思えば単なる天袋で、しっかりした床板じゃなかったから乗っていたら危険だったかもしれないけど、ワクワクした気持ちを思い出したし、同時に先祖が危機を知らせる為とはいえかなり怖い方法で伝えてくるのは勘弁して欲しい。
    増改築で無茶苦茶な構造の家はゴーストハント 鮮血の迷宮を思い出して読み返したくなった。

    前作の道を行く死を告げる黒衣の女ほど不気味な話はなかったけど、相変わらず好きなタイプの題材ばかりで読ませてくれて切なくて面白かった。
    十二国記の次作を待っていたら思わぬ続編の刊行を知り、読めて良かった。

  • 小野さんが本を出してくれるの嬉し〜。
    このシリーズ、怖いながらに和みもあってすき。
    小野さんのホラーは悪霊シリーズで散々眠れぬ夜を体験しているからな、構えちゃう。
    家で読むのを避けて電車で、しかもおでかけの行き帰りで読破するという手段を講じてみた。
    でもたぶん、これから帰ってお風呂に入ってふうとなったとき、顔を洗って鏡が目に入ったとき、思い返して、こ、怖くなんかないもんね!って思うに相違ない。
    またリアリティのある、一度は「おや?」と思ったことがあるような、ものや事柄を絡めてくるので、ぞくりとするのよ。
    電車のなかで寒気が止まらなかったのは、果たして空調のせいでしょうか。
    ただ怖いだけじゃない、祓うための怪談じゃない。そんなところがすきなんだけど、エピソードとか描写はまぁ怖いわけで。
    とても面白く読んだし、これから何度も何度も思い返して、新たになにかに気づいたり省みたりするの。
    良い物語って反芻するものだから。

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著者プロフィール

大分県出身。講談社X文庫ティーンズハートでデビュー。代表作に『悪霊シリーズ』 『十二国記シリーズ』『東亰異問』『屍鬼』など。重厚な世界観、繊細な人物描写、 怒濤の展開のホラー・ミステリー作品で、幅広いファンを持つ。

「2013年 『悪夢の棲む家 ゴーストハント(1)特装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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