角の生えた帽子

  • KADOKAWA (2017年9月22日発売)
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  • レビュー :8
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060506

作品紹介

毎夜、同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことで性的興奮を覚えるという夢だ。その夢はまるで自分がやったかのような錯覚に陥るほど、リアルなのだ。ある日、自分が見た夢を同じ殺人事件が起こったというニュースをテレビで見た。犯人がつかまったという。そこには、自分と同じ顔の違う名前の男が映っていた―ー。運命の残酷さ、悲劇を描いた「悪魔の帽子」(幽12号)ほか、植物に取りつかれた男を描いた「花うつけ」、主人公が犬嫌いになった理由があかされる衝撃のラスト「犬嫌い」ほか、松山が舞台の正統派ゴーストストーリーの「城山界隈奇譚」など、雑誌や文庫掲載原稿に加え、4篇を書き下した全9篇。日本推理作家協会賞受賞者(長編および連作短編集部門)が放つ、謎と恐怖の物語。

角の生えた帽子の感想・レビュー・書評

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  • 怪談ながらも色々な手法で
    とても楽しめる短編集です
    どれか一つは好みの怖さが
    見つかると思います。
    私は「城山界奇譚」」が
    よかったかな。ふんわり系です。
    あとは ちゃんと復讐がかなった
    「みどりの吐息」もすかっとします

  • 9編からなるホラー短編集。

    じくじくした暗さの暴力的な話は苦手なため、最初の作品が生理的に受け入れにくく、こんな調子の作品が続くとつらいなと思っていたところ、他は別の角度からの怖さだった。
    全体を通して、心の奥底に嫌な足跡を残すような湿り気を帯びたものが多い。

    初めての作家だと思っていたところ、たまたま見た過去の読書記録に『るんびにの子供』が記してあった。詳細は記憶にないが、女性作家特有の怖さがあったことが何となくよみがえってきた。

  • 良かった!
    9話からなる短編で、どの話も結末は「ああ、そうだったのか・・・」と思う意表をついたもの。
    だけど、あざとさが感じられないもので、人間描写も良かった。

    「悪魔の帽子」
    主人公は工場で働く男性。
    彼はいつも女性を殺す夢を見る。
    ある日、彼に瓜二つの男が彼の見る夢通りの事件を起こしてー。

     ああ、そうだったのか・・・という真相の他にもうひとつ先の真相があった。最初の話がこれで、この本に引き込まれた。

    「城山界隈奇談」
    松山城近くの女子高に通う少女と司書の女性とのふれあいを描いた話。
    彼女たちは城山界隈の奇談を確かめるがー。

     個人的になじみのある地名や建物の名前が出てきて親しみを覚えた。
    ここに出てくる女子高というのは実在するけど、古い図書館なるものが本当にあるかどうかは知らない。
    松山城には確か7不思議なるものが伝わっている。

    「夏休みのケイカク」
    図書館でボランティアの仕事をしている女性。
    彼女はある絵本を介して、家庭環境に恵まれない少女とやりとりをかわす。
    その中で少女はある人を殺したいと告白し、女性はそれに加担する内容の返事をする。

     あの時、ああしていれば・・・そう思うのは今が幸せじゃない証拠だろうと思う。
    この話ではやり直した結果、どうなったのか知りたいな・・・と思った。

    「花うつけ」
    花を専門に撮るカメラマンから聞いた、花に魅入られた人間の話。
    食虫植物と義眼というとりあわせが何とも不気味だった。

    「みどりの吐息」
    山奥の一軒家に住む老人の家にやむなく一泊する事になった男性は老人からある昔話を聞く。
    それは「山の民」である女性を下界に連れて行き、不幸にした男の話でー。

    「犬嫌い」
    主人公女性と従妹の女性との子供の頃からの関わり。
    従妹は犬嫌いだったが、分かれた男が残していった犬を飼うことを余儀なくされる。
    彼女が犬嫌いになった理由とはー。

    「あなたの望み通りのものを」
    主人公はヘルパーの女性。
    彼女は介護をする老女があるDVDに夢中になり、現実とDVDの内容の区別がつかなくなる様子を目にする。
    それは疑似家族のDVDで、彼女もそのDVDを入手する。

    「左利きの鬼」
    婚家から子供を連れて逃げてきた女性。
    彼女はある日、事故でバイクに乗っていた中年女性とぶつかり、彼女と関わりをもつようになる。
    中年女は親切だが、どこか不気味な女で、彼女の生活、子供に深く関わるようになる。

     これも、「ああ、そうだったんだ・・・」と思う話。どこか「八月の蝉」を思わせる話だけど、あれよりも主人公の女性の気持ちが分かった。

    「湿原の女神」
    北海道にバイクのツーリングに来た男性。
    彼は後ろをくっついて走るバイクに気を取られ、事故を起こし、右足をなくしてしまう。
    彼の右足は結局見つからず、その事故をきっかけに後ろを走っていたライダーの男性と親しくなる。
    男性はある女性を探していると言う。
    その女性はまるで女神のように、何でも願いをかなえてくれたと言う。

    どの話もどこか不気味な雰囲気が漂っている。
    それがいかにも嘘くさく、作られた恐怖というのでなく、不気味な人物描写だとか、何となく落ち着かない状況の描写からくるもので、じわじわっとくる恐さ。
    この状況でこういう人間に会ったら恐いよな・・・と思わせる。
    特に、「左利きの鬼」の中年女と「湿原の女性」の女神を探す男性の描写が不気味だった。
    この作者の作品では「愚者の毒」が評価されているけど、個人的にはあれよりもこの短編の方が良かった。

  • 「愚者の毒」の宇佐美さんだから期待して読んだのだけど、短編だからか、読み応えという点で肩透かしをくらったかのよう。
    9つの短編はすべて、奇譚と呼ぶに相応しい物語。
    どこかひんやりした感覚で読んでいると、ラストでゾッとする感じ。不思議で、怖くて、少し哀しい。
    帯にあったあらすじを読んで、「悪魔の帽子」は相当期待したのだけど、それほど・・・
    宇佐美さんには人間の本質的な心の暗い部分を掘り下げて、もっと読後感の悪い作品を期待します。

  • 久しぶりに当たりを引いた気がします。宇佐美さん今後もよろしくお願いします。

  • 宇佐美まことのホラー短編集。帯には「行き止まりの人間たちを描いた」とあるが、どの話も普通の人間を描いているように感じた。主人公たちは、ふとした瞬間に間違った道を進んでしまった人たち。そして道に迷ったときに、間違った糸を手繰ってしまった人たちだ。出口に向かって進んでいるつもりが、先にいるのは異形のものたち。この作品を読むと、自分の人生の次の曲がり角の先にはそれが待ち構えているかもしれない、そこで、ここは行き止まりだったかと気づくのかもしれないという思いに囚われる…やはり行き止まりの人間たちだったのかもしれない。

  • 短編集。すべて読み応えあり。ちょっと怖い話です。

  • 粒ぞろいの短編集。ホラーだけれど怖いと言うより悲しい話がほとんど。どれもすごみがある。さすが宇佐美作品・・・とため息がでました

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