角の生えた帽子

  • KADOKAWA
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レビュー : 22
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041060506

作品紹介・あらすじ

毎夜、同じような悪夢を見る。それはさまざまな女をいたぶり殺すことで性的興奮を覚えるという夢だ。その夢はまるで自分がやったかのような錯覚に陥るほど、リアルなのだ。ある日、自分が見た夢を同じ殺人事件が起こったというニュースをテレビで見た。犯人がつかまったという。そこには、自分と同じ顔の違う名前の男が映っていた―ー。運命の残酷さ、悲劇を描いた「悪魔の帽子」(幽12号)ほか、植物に取りつかれた男を描いた「花うつけ」、主人公が犬嫌いになった理由があかされる衝撃のラスト「犬嫌い」ほか、松山が舞台の正統派ゴーストストーリーの「城山界隈奇譚」など、雑誌や文庫掲載原稿に加え、4篇を書き下した全9篇。日本推理作家協会賞受賞者(長編および連作短編集部門)が放つ、謎と恐怖の物語。

感想・レビュー・書評

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  • この作者の短編を読むのは初。
    不思議で怖い、9編からなる短編集。

    他の作品とは少し印象が異なる。
    楽しめはしたのだけれど、正直どの話も余り記憶には残らなそうだ…。

    この作家の作品は断然長編の方が好み。

  • 不思議なお話をまとめた短編集。幽霊譚ともちょっと違う、異世界に迷い込んだ普通の人たちの話。誰でも心の中に巣くうものがあり、それに飲み込まれていくと現実世界からはずれてしまう、そんな怖さがある。どれも好きだったけど、なじみ深い松山城の城山の麓にある女子校の司書との交流を書いた城山界隈奇譚は、自分も一緒に過ごしている雰囲気が伝わってきた。怖かったのは、夏休みのケイカクかな。人の心の闇は深い。そして、ちょっと哀しくなった犬嫌い。子供の頃の出来事。それは生涯忘れられないのではないか。光枝の一生は何だったのだろう?と。

  • 僕は、もうこの夢の結末を知っている。

  • 連作や群像の形式ではなく、9編の独立した短編集。静かで、不穏な空気が流れる。常識や理屈では説明のつかない出来事や出会いが、人間の業によって次々と起こる。哀しさ、怒り、寂しさ、後ろめたさなどによって視野が偏狭していくのか、それとも私たちが普段気づかないところで全く違う世界が同時進行しているのか…。宮部さんの三島屋シリーズの現代版のようでもあるが、私の好みの心情の機微にはあまり触れられない本作。個人的には『愚者の毒』や『熟れた月』の宇佐美さんに軍配でした。

  • 宇佐美まこと氏2冊目。9編からなる短編集。
    前回読んだ短編集『るんびにの子供』ほど惹かれることもなく読了した。
    この作品はSF風なものもあればファンタジー的なお話もありで、
    人間の持つ厭らしさの描き方が薄くなった。
    その中で『犬嫌い』という話が、
    ごく普通に暮らしている人間の弱さや汚らしさを描いている。
    これが宇佐美まこと氏作品の醍醐味なのでは。
    ただ、図書館好き本好きの私にとって、『城山界隈奇譚』は、
    なんだか郷愁を覚え、好きな短編。
    松山を舞台にした新作を読むのが楽しみ。
    松山に行きたくなる。

  • 怪談実話系アンソロジーに収録されていた作品と、書き下ろしとが半分位の割合。
    行き止まりの人間たちを描いた、謎と恐怖の物語。 九編からなる短編集です。
    ほんのり暗くて、じわっと怪しくて、悪い予感がする…宇佐美さん“らしい”ですね。
    個人的にはもう一歩、闇に踏み込んで欲しいところ。もう少し怖くてもいいし、もう少し酷くてもいい、かな。

  • 「愚者の毒」と同じ作者だったので。

    一編、一編が短いせいかあまり怖くなかった。
    印象深かったのは、「左利きの鬼」。
    子供と逃げている母親かと思っていたのに、
    子供をさらって逃げている女だった。

    だらしなく垂れた顔の肉、白髪交じりであか抜けない服装で、
    おしろいを必要以上にはたいて赤い口紅をひいた中年女、
    50㏄バイクでぶつかってきた女が、
    鬼子母神だとも思わなかったし。

    全体的にほんのりホラーで軽く読めて良かった。

  • 残暑を吹き飛ばすには十分なヒヤリ、ゾワリな短編集。1話、2話と進むごとに著者の筆が冴え渡り、怖気の中にどれもせつない後味を残していく。
    中でも、女の情念と哀愁が絡みつく「みどりの吐息」と母子を見守り導く密やかな存在にジンとくる「左利きの鬼」が格別。「あなたの望み通りのものを」は『世にも奇妙な物語』の映像化に合いそう。
    ハズレなしの贅沢感で満たされる。あぁ、やみつきになる上質な読書タイムだった。

  • 本を手にして表紙を見た瞬間、タイトルのフォントがあまりにも不穏すぎて「これは読まなきゃいけない」と直感が飛んできた。久しぶりの宇佐美さん。『るんびにの子供』の時から、追いかけたい作家さんだと思っていました。

    短編9話。キーワードは…9~10歳、母子家庭(母と子)、貧しさ。
    怖さは控えめ。

    =この人の魂はとても救えない。天井を仰いで百合子は思った=「あなたの望みどおりのものを」より…

    ◎「悪魔の帽子」モーツァルトが流れる工場内で組み立てられてゆく数々の悪魔の帽子。憑依系。
    △「城山界隈奇譚」いつまでも変わらない女。図書館。奇譚系。
    ○「夏休みのケイカク」過去を変えて現在を変えることは可能か。記憶系。
    ◎「花うつけ」草木、花は自分が動けない分、人を動かしてあやつると言われているけど、それは本当なのかもしれない。ねっとり、植物系。
    ◎「みどりの吐息」土砂崩れと聞いた瞬間、私はもう戻ることは出来ないんだな…と、物語の中でそう感じた。謎もの、植物系。
    ○「犬嫌い」犬嫌いは男嫌い。人嫌い自分嫌い。トラウマと記憶の塗り替え。まだら・謎もの系。
    ◎「あなたの望みどおりのものを」夢や希望を実現して与えてもらえたら人は本当に幸せなのか。ホラー系。「夜にも奇妙な物語」にピッタリ!
    ○「左利きの鬼」朋美と健人は世間から身を隠しながらひっそりと暮らす。ある日事故に遭って…。鬼・悲哀系。
    ○「湿原の女神」林道でバイク事故に遭い、右足が見つからない…。願いを叶えてくれる女神とは…。意味がわからなくて二度読み。悲哀系。

    自分のことを自分だと認識できなくなった時の、人の心のありよう、揺らめきが描かれていて一気に読んでしまいました。自己とか認知能力、記憶って一体なんだろう…と思ってしまう。心のどこかで、ゆらめく闇や仄暗さが好き。おすすめです。

  • 読メでどなたかのレビューで面白そうだったので図書館へ。
    ホラーというほどホラーではなく、世にも奇妙な物語的なテイスト感かなあ。
    スゲえ面白い感じではないがジワジワ面白い感じである。
    最初はそうでもなかったんだけどね。
    だんだんとハマっていく自分がいた。
    しょっちゅう読みたい感じでもないんだけど時々読みたい感じ。
    忘れた頃にまた別のこの作者の作品を読んでみよう。

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著者プロフィール

愛媛県生まれ。2006年『るんびにの子供』で第1回『幽』怪談文学賞〈短編部門〉大賞を受賞。17年、ミステリー小説『愚者の毒』で第70回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉を受賞する。日常に潜む怪異を描き、恨みや妬み、欲や貧困など、人の心の闇や怖さを浮き彫りにしたミステリーが高く評価されている。

「2017年 『角の生えた帽子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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