- Amazon.co.jp ・マンガ (180ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041060926
作品紹介・あらすじ
和と一果がようやく打ち解けてきたと思った矢先、一果の実の母親が現れ娘を引き取ると言うが…。和菓子作り体験教室を開催することになったり、気難しい職人が修業に来たりと、和菓子屋「緑松」は今日も大忙しです。
感想・レビュー・書評
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一果の実母、真理登場。一果を預かっている立場の緑松に一果を家に置き続ける正当性なんてどこを探したって有りはしない。真理が望めば会わせない訳にいかないし、真理との同居も許さざるをえない
ただ、ここで厄介な問題として浮かび上がるのは真理が親として一果に触れ合う事に迷いや恐れを抱いている点だね。仕事人間として忙しくしていたら一果から親として取り合って貰えなかった
真理と一果を疎遠にした恐れの感情、それを和はいい感じに解きほぐしてやっていたね
…まあ、それが一果が緑松に留まり続ける理由になってしまうなんて驚きだけど
本物の家族と暮らせているわけではない。でも子供が最も伸び伸びと、そして人に甘えられる環境である緑松。その一助に和が成れているなら、不器用な親代わりも無駄じゃなかったと言えるのかもしれないね
本作は優しくて温かい人が多く登場する作品なのだけど、和と深い繋がりが有りながらどういう人間か見えていなかったのが昔のバンドメンバー
突如解散したバンドは和を東京に留める理由にならなかった。思い出の品となる栗の被り物も和を過去に留める物ではなく、今では一果を楽しませるアイテムとなっている。でも、やはりそれだけの意味なら和は必死になって探したりはしないわけで…
昔はバンドの象徴、けれど今は変わらない繋がりの象徴。和が栗を手放せずに持ち、無くせば各所を探すようにバンドメンバーもすぐ写真を挙げられるくらい傍に持っていたと判るシーンには心温かくなったよ
バンドという夢の時代は終わっても、それで今を否定する程の何かが終わったわけじゃないんだね
さらっと描かれていたけど、栗を探しバンドの思い出を語る和を前に少し寂しげな表情をしていた一果は貴重なシーン
真理との一件が示すように、一果にとって和は自身を京都に留め続ける大事な居場所となっているのかな
和誕生時の経緯やクリスマスの前哨戦が描かれる15話
和に嫌な想い出を散々に残してくれた柚子のしぼり機。でも、それは和と共に時を歩んできた兄弟のような存在だったようで
出生予定日が冬至だった為に考案された柚子羊羹とそれを作る為のしぼり機。そこには和が健康に育って欲しいという祖父の強い願いが籠められているわけだ。なら少し壊れてしまったくらいで捨てる理由にはならない
柚子羊羹の想い出を大嫌いと言いつつ、籠められた願いを知り、しぼり機を直したいと言う彼の姿には家族との絆を大切にしようとの想いが見えた気がするよ
また、一果の心変わりも印象的
最近は和に対して冷たい対応をするシーンは減ったけど、なかなか素直にはなれていない。でも明日が誕生日と聞けば流石に無視する訳にはいかない
それだけの理由で一果が誕生日に臨めば一応の責務は果たした程度のものになってしまったかもしれない。ここで一果の認識が変わったのが和が誕生日に望むものを知ってからだね。
誕生日は「一緒に過ごせる相手が居たらそれだけでうれしい」。これはかつての一果が母に願って、そして叶わなかったこと
なら、今の居場所を和が居る緑松と定めている一果が同じ想いを持つ和の為に真心を込めて誕生日を祝うのは当然の成り行きなのかもしれない
素直じゃない一果が素直じゃないままに交わされた約束。それが叶う時が今から楽しみですよ
そんなイイ話を展開する緑松の裏で早くも鍔迫り合いが始まりそうな佳乃子と美弦が……詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いやー、良い漫画だ。
ほっこりしつつ笑いもあり、和菓子も食べたくなる。
素晴らしい! -
一果の母親の登場と、一果の選択。今の一果なら、約束が果たされなくてもそれを許せるはず、という和の言葉が響く。そして、緑青の職人に憧れて入ってきた、新しい職人。無駄を排し、完璧を志すゆえに、一度は入ったほころび。そこから得るものを得て、前を向く様が印象に。最後は、和をめぐる思いがクリスマスに…と。和菓子体験教室は楽しそうで、ちょっとやってみたい。
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4.2
著者プロフィール
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