お隣さんが殺し屋さん (1) (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061480

作品紹介・あらすじ

専門学校に入学するため、地方から上京してきた美菜は、隣人に挨拶に行くことに。お隣の青年・雄也は長身で、どこか陰のある青年。しかも彼には人に言えない「裏の顔」が……。ユーモアミステリ決定版!

感想・レビュー・書評

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  •  東京都杉並区高円寺。とあるアパートの1室に入居した20歳の美菜。専門学校に入学するため、北海道から上京してきたばかりだ。さっそくお隣さんに挨拶に伺ったところ……。

     人を見かけで判断することのリスクをコミカルに描くサスペンスコメディ。
              ◇
     美菜がアパートで荷解きを半分ほど終えたところで携帯に着信があった。実家からだ。

     さっそく出てみるとママの雅子だった。ママが片づき具合を尋ね、すぐパパの洋一に替わる。パパは腰を痛めて引越を手伝えなかったことをすまなそうに謝っている。
     そして、またママが出て、お隣さんに挨拶に行くよう念押しして電話は切れた。2人とも用事というより娘が心配なだけのようだ。

     今日からここ、東京高円寺のアパート、あすなろ荘で美菜のひとり暮らしが始まる。両親の声を聞いたことでもうホームシックになりそうな自分を励まし、美菜はお隣さんに挨拶に行くことにした。

     このあすなろ荘の住人は美菜を除くと、お隣さんだけだ。留守かもと思いつつチャイムを押すと、しばらくしてドアが開いた。
     姿を見せた若い男に、美菜は息を呑んだ。190㌢ はある長身。しかも映画スターのような渋いマスク。まさしく美菜の好みにドンピシャの男性だった。

     ドギマギしながら自己紹介して挨拶の品を手渡す美菜を見て「ああ、ありがとうございます」と言った男の声がまた魅力的なバリトンボイス。聞き惚れてしまった美菜は、
    「あの……、素敵な声ですね」
    と思わず口にしていた。( 第1話 ) ※全21話。

          * * * * *

     都心から少し外れた町、高円寺。古びたアパートもまだ多くあり、学生や単身者には住みやすい。そのぶん住民の転出入の回転が速いためアパートなどは人間関係が希薄になりがちです。

     そんな「隣は何をする人ぞ」の状況をうまく利用して伝説の殺し屋が暗躍するストーリーとあって、楽しく読み進められました。

     とても親しい人にでも自分の知らない面があったりするのですから、外見や人当たりだけでこんな人だと思っていた人の「別の顔」になど普通は気づくべくもないでしょうね。

     藤崎さんお得意の叙述トリックに、またしてもみごとに引っかかってしまいました。自分の先入観の狭さには、もう苦笑するしかありません。

     少しでも内容に触れるとネタバレに繋がりそうなので、このあたりでやめておきます。

     エンタメ好きな人にオススメです。

  • 殺し屋――殺人を請け負い、金銭的利益を得る!オソロシヤ~(◎_◎;)
    殺し屋なんて本当にいるのだろうか?
    完全犯罪を行うわけだから、それなりの
    技術が必要だと思う。


    この本、面白い! ! !
    殺人の場面はとてもリアル。夢中になってしまう!かと思うと、一人でゲラゲラ
    笑ってしまう場面もあって、電車の中
    では絶対読めない!
    主人公の美菜は天然らしいが、可愛いと
    皆が言っている。お隣さんもイケメン
    みたいだし。

    ほんの少しネタバレになるが、女の子が
    犯されそうになる場面がある。助け舟が
    やってくるのだが、私は言いたい!
    「藤崎さん、せめて一度にしましょう!」

    小説にはよくあるが、まったく、あ~っ
    ええ~っ!そんなこと!そういえば、、
    ドッテ~ン返しが起きた!
    そうだったのね・・・・・楽しませてくれちゃってもう!


    楽しい、そしてドッテ~ン返しを好む方
    是非この本をお薦めさせて頂きます。
    実はこの本、市内四館の図書館に無く
    それでも読みたくて他から取り寄せて
    頂きました!用紙を図書館に提出後、
    四日で連絡有り。なんと東京都立図書館
    からの本! ハハーッ ! _(_^_)_
    綺麗な本なので、カバーをかけて読み
    ました。あ~っ!読んで良かった!

    2023、9、21 読了

    • アールグレイさん
      norikoさん★こんばんは
      ネッ!でしょ!楽しめたのではないですか?
      まさかねぇ~ニヤニヤ
      norikoさん★こんばんは
      ネッ!でしょ!楽しめたのではないですか?
      まさかねぇ~ニヤニヤ
      2023/10/03
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      大絶賛だね、これは登録して読みますね。
      また戻ってきます。
      アールグレイさん、
      大絶賛だね、これは登録して読みますね。
      また戻ってきます。
      2023/10/15
    • ポプラ並木さん
      アールグレイさん、
      漸く読みました。
      ラストはびっくりしたね。。。
      若干、アンフェア感はあったけど、お見事でした。
      アールグレイさんの☆5は...
      アールグレイさん、
      漸く読みました。
      ラストはびっくりしたね。。。
      若干、アンフェア感はあったけど、お見事でした。
      アールグレイさんの☆5は珍しいね。
      エロ部分もあり、自分は楽しめました。
      また別作品で挑戦しますね。
      2023/10/26
  • お隣さんが殺し屋さんとは...ネームセンスに惹かれ手に取った1冊。トリックにトリックを重ねる藤崎翔の作品にしては珍しく、隠された謎を見付けるのは容易い方だったと思う。

    故にトリックに驚く事は出来なかったが、ユーモア溢れる会話のキャッチボールと天真爛漫と身勝手の狭間にいる愛らしい主人公が魅力的で面白い。
    腐女子受けを確実に狙いに来てるキアヌ・リーブス風のお隣さんと、女子高生みたいなモンスター(JD)達のキャピキャピ会話に頭が痛くなり、脳内の忙しさは心地よい社畜状態だ。

    伏線回収は答え合わせをしている様で、キャラ崩壊でのどんでん返しにまた毒の香る笑いを提供してもらった。今回は少し物足りなさを感じる部分もあるが、エンタメとして大変楽しむことが出来た。

    因みに私も口に拳骨突っ込んでみましたが少しも入らなんだ。

  • 初読みの作家さん、楽しめた~タイトル通り「お隣さんが殺し屋さん」でした。このタイトルは深い。読了後、表紙を見ると、えっ、そっちか~騙された。確かに伏線はあった。奴は最後のトドメを刺していない。さすがに自分の中に作り上げてしまったバイアス。途中、ショートパンツ姿でベランダの手すりを這いつくばって進む美菜、その後方で雄也がパンツにドキドキする姿を読んでいると、バイアスだらけになってしまう。ラストまで行って、やっぱり急展開。若干のアンフェア感は感じたが、お見事。演技の専門学校でのエチュード、1回やってみたい。⑤

  • 藤崎翔の他の作品が面白かったので借りてみた。俳優業を目指す主人公の女の子が専門学校の友達ライフとお隣さんとの恋を楽しむ気楽なものと思っていたが、結構殺し屋稼業の話がえぐい。ブラックユーモアか。最後に、どんでん返しがあるのだが、なんかこっちの腰が砕けちゃうような真相だったなあ。殺人をおふざけでやってる感じ。

  • 藤崎翔さんは本作が初読みの作家さん。
    元お笑い芸人をされていただけあってミステリーといえど、エンターテイメント性の高い作品で、面白かった。

    何を書いてもネタバレになりそうなので、色々書けなくてもどかしい・・・笑

    中盤までは、田舎から上京した天真爛漫で少し天然キャラの美菜と、謎めいたお隣さん雄也との恋模様が、初々しさたっぷりで目が離せない。
    特に、美菜の洗濯物を雄也に拾って貰うやりとりは面白すぎる。
    それぞれの一人妄想とか、
    あるある!分かるわ〜!と
    何度もムフフッとなってしまった。

    その一方で、場面が変わり殺し屋養成学校・・・
    ここでは師匠である洋一と、訓練生の彰が登場するのだが、殺し屋で腕が良いと評判の「ビッグ」の話が同時進行する。

    終盤からは意表を突いた展開がテンポ良く進む。
    読み手を一気に惹き込んでの種明かしは見事だった。
    いや〜っ、そう来たか~!!
    っていうパターンなのだ。

    これは、伏線とか考えず、力まず転がされる位の気持ちで読んだ方が楽しめる作品だと思う。

    ユーモラスな展開がお笑いのセンスを感じさせつつ、読後は爽快感のある作品だった。
    藤崎翔さん、なんだか興味を惹かれる作家さん。
    是非他の作品も読んでみたいと思う。

  • まず主人公の美菜に終始イライラしっぱなし。

    本書の方が初期の作品なのだが、最新作の『みんなのヒーロー』と同様の書き方(同じセリフや場面が繰り返される)だし、同様に下品だし、「ストーブの上に洗濯物」まで同じ。
    『みんなのヒーロー』の方に進歩が無かったということになるのか。

    若い女子達のどうでもいいつまらないお喋りはある意味リアルなのかもしれないが、小説でこうもダラダラと読ませられるのは苦痛であるし、会話がちょっと古臭いし、つまらない。

    読了後ブクログレビューを拝見すると評判がいいので申し訳ないが、なんか全体的に、とにかく文章が、がっかりするほど陳腐でつまらなくて私には合わなかった。


    【ネタバレあり】


    真相のひとつは、199ページ、友人達が美菜の部屋に遊びに来たシーンで「もしかして?!」と気付いたので、だいぶ早く気付けたと思う。
    それなら都合がいいじゃないかと思ってしまったくらいで、逆にもうひとつの真相の方がよっぽど意外だった。

  • ちょっと展開が予想出来てしまったのですが、安定の面白さでした。
    伏線が丁寧で、ちゃんと回収してくれますし。
    正直、苦手な人は誰でもいるし、この人いなくなったらなんて考えてしまうこともあります。
    殺し屋の存在が身近なのは困りものですが、最終手段として、こんな殺し屋だったら頼りたくなっちゃうなと思ってしまいました。

  • どんでん返しの中身が薄々分かっていた、という感想がちらほら…。
    完全に騙されましたよ。驚愕しましたよ。キャラが崩壊しましたよ。もう一回読み返しましたよ。
    きれいな着地でした。読み終わるとすっきりします。

  • コミカルな読み心地のミステリ。天然で世間知らずに思える女学生・美菜と、一見強面で硬派な雄也。アパートの隣同士で、お互い好意を抱いてほのぼのとしたラブロマンス風になるのだけれど。タイトル通り、お隣さんは殺し屋さんだったのです、と(笑)。さあどうなる。
    伝説の殺し屋とされる「ビッグ」の凄腕っぷりもさながら、実生活での雄也の抜けっぷりもなんとも微笑ましくって仕方がありません。結構物騒な話なのにとてつもなくほのぼのしちゃって笑いもたっぷりなんだけれど、これでいいんでしょうか、と思ってたら。
    ……やられたっ! 予想外の展開もさながら、そこまでに張り巡らされた伏線の緻密さに驚愕しました。うわー、あれもこれも全部伏線!!! 全然気づかなかった! 読み返したくなってしまいます。

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著者プロフィール

藤崎 翔(ふじさき・しょう)
1985年、茨城県生まれ。茨城県立竜ヶ崎第一高等学校卒業。高校卒業後、お笑いコンビ「セーフティ番頭」を結成。ネタ作りを担当。2010年にコンビを解消し、小説を執筆。、2014年、初めて書いた長編ミステリー「神様のもう一つの顔」(のちに「神様の裏の顔」に改題)で第34回横溝正史ミステリ大賞を受賞し、小説家デビューする。著書に『私情対談』(のちに『殺意の対談』に改題)『こんにちは刑事ちゃん』『おしい刑事』『恋するおしい刑事』『お隣さんが殺し屋さん』がある。


「2018年 『時間を止めてみたんだが』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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