いい部屋あります。 (角川文庫)

  • KADOKAWA (2017年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784041061633

作品紹介・あらすじ

大学進学のために上京した鳥貝一弥17歳。東京でのアパート探しに行き詰まっていたところ、
いい部屋があると薦められて訪ねた先は高級住宅街の奥に佇む洋館だった。条件つきだが家賃も破格の男子寮だという。共同生活を営んでいるのは揃ってクセのある男たちばかり。先輩たちに翻弄されながら戸惑いつつも、幼い頃の優しい記憶の断片を甦らせ、自らの生い立ちと向き合っていく鳥貝。艶っぽくて甘酸っぱい極上の青春小説!

【本書は2009年11月に筑摩書房より刊行された単行本『白いひつじ』を改題のうえ、加筆修正して文庫化したものです。】

感想・レビュー・書評

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  • お話自体は面白いのですが、BL的なものを入れなくてもよかったのでは・・・長野まゆみさん作品らしいといえばらしいかな・・・。

  • 長野まゆみさんの文章をまた味わいたくて比較的最近出たらしい本を購入。また例によって青年が主人公の作品で、読んでいる最中「好きだ~~!」と心の中で叫びをあげていた。
    題名からして部屋探しストーリーなのかな?なんて思うがそんな単純な話では全くない。プロローグから、夢かうつつかわからないような遠い思い出話が始まる。あれ?これは部屋探しの話ではないのか?なんて思っていると次の章からは17歳の鳥貝くんの上京に伴う部屋探しが始まる。入学手続きを終えてから部屋探しを本格的に始めた彼は完全に乗り遅れてしまい、どこも契約済みであると諦め気味に大学の食堂で資料を広げて昼食をとっている。するとそこに、いい部屋があると見知らぬ学生に紹介され、とんとん拍子にとある洋館にたどり着く。そこは一癖ある青年たちが暮らす寮になっていて、鳥貝は料理番をするという条件で破格の家賃で住ませてもらうことになる。この料理を振る舞う場面がまた絶妙に描かれていて、想像するだけでよだれが垂れそうになる…
    他の住人の中でもとりわけ癖が強いのが百合子(これが名字)であり、鳥貝と絡むとまあなんというかBL的なにおいがする。けれど、話が進むにつれて彼が重要な役回りを担うことになり、素直でないだけで優しさを秘めている(本当か?)ことが判明する。そして鳥貝も夢かうつつか思い出せないような記憶を上京を機に、そして百合子と接するうちに紐解いていくことになる。
    前回読んだ『鳩の栖』といい、今回の『いい部屋あります。』も、様々な事情を抱えた青年たちが物語の主人公であることが長野さんの作品の特徴なんだな、と。そしてその主人公たちを優しく包んでくれる友達がいい仕事をしている。今回の作品は、読み終わってから再度プロローグから序盤のあたりを読み直したくなる仕組みになっていて、より楽しめた。

  • 長野まゆみさんの作品を初めて読みました。
    なんとなく買って、大学生が寮生活始める話ね〜
    と思って読み始めたのですが、想像していたものとまったく違いました。
    前半は主人公の鳥貝がひたすら翻弄されて、読者も鳥貝と一緒に?だらけです。
    何かよくわからず気持ち悪いけど、きちんと回収されるので大丈夫。
    文章は綺麗で優しい。BL要素があるとは思っていなかったので驚きましたが、これくらいなら許容範囲かな。

  • 色んなテーマが上手く織り交ぜられていて、よかったです!

    主人公、鳥貝は建築の大学に合格して地方からやってくることになった。
    それで住む場所を探しているが、遅れをとったみたいで良い物件が見つからず…
    そんなある日学食にいたら時屋という人に月1万円の男子学生寮を進められ安羅や多飛本に会い、謎のひつじを渡され学生寮に見学に…
    そうすると玄関前で百合子という人に会う。
    急に同性の百合子にキスされ…
    他にも白熊に会ったり…
    学生寮の人達は名前も性格も変わっていて、食事を作らせて意地悪をして泣かせるのを趣味にする人も!
    本を読み進めると、学生寮の人達と鳥貝の兄?の関係も解き明かされていく。

    男同士の絡みがちょこちょこあって、ドキドキしました!
    面白いので是非読んでください!

  • 長野まゆみ先生の文章は本当に金平糖のような可愛さと幻想さとお上品さがとても良いなと思った。品が良い文章に読み流してしまったけど百合子は変態だなぁと思った。

  • 今日のお昼ご飯は炒めた野菜を敷き詰めたグラタン皿に豆乳を加えた卵液のふわふわオムレツ。アプリコットのタルトも食べたい!

  • 白いひつじのままで良かったんじゃないの?と違和感を抱えつつ、やっぱり素敵な話は素敵な話なので一気に読了。涙腺も言わずもがな。でも改題はやっぱりチープな感じでうーん。

  • 長野まゆみのいい部屋ありますを読みました。

    長野まゆみの小説というと、美男子がたくさん登場してボーイズラブのにおいのする、少女向けコミックのような小説というイメージがあります。
    今回の作品もそのような小説に見せかけていますが、ストーリーのほうはちょっとひねりが入っていて面白く読みました。

    主人公の鳥貝一弥は希望する大学に合格して下宿先を探しますが、予算に見合うアパートが見つかりません。
    大学の学友クラブに顔を出すと、大学には寮があるが入寮審査がきびしいということを聞きます。
    しかし、なぜか大学の寮へ案内された鳥貝は個性的な入居者たちに驚きます。
    一癖も二癖もある入居者たちは、しかし鳥貝に隠している秘密があったのでした。

  • 素直な鳥貝と曲者揃いの寮生たちの絡みが良い。
    百合子というトリッキーな人物がかき回すせいで、鳥貝じゃなくても騙されます。
    後半になるにつれて暖かく優しく物語が変化して行って、満足の溜息と共に読み終えられます。

  • 2度読みをおすすめしたい本のひとつ

    結末(というよりは主人公の外側の経緯)を知ってから読み返すことで言葉選びの繊細さ(例え勘違いはさせても けして嘘はないこと)に気づかされるし
    指環のエピソードは その仕掛けが紐解けたときにもう顔を覆うしか術がない……

  • 僕はひつじ、道に迷い、誰かに導かれ。

    ああああ、ってなる。すごく長野まゆみ。なぜか西炯子の絵で脳内のキャラクターが動き出す。クセのある人ばかり。でもみんな哀しいほどに優しい。ちょっと周囲の人間関係にご都合主義すぎないか、と思いつつも、それがこういうフィクションのいいところじゃないかと。この鳥貝と百合子(百合子は名字という、これもなんだか長野まゆみ的)がどうなるのか、想像が捗ります。百合子は不器用すぎて、もはやかわいい。洋館の寮ということで、恩田陸『ネバーランド』を思い出しもしました。

    鳥貝を象徴するのが「白いひつじ」であること。守られる存在、好奇心、ふわふわ、安心感、さまざまに解釈できそうですが、意外と一人で歩いていけそうな感じもする。まあ、聖書的には、一人で歩いていってしまうと迷子になって、羊飼いが探しに来るんですけど。だから、どうしても守られる存在という感触が強いかもしれない。

    単行本では『白いひつじ』というタイトルだったそうですが、正直その方が内容をがっつり表していていいと思いました。

  • とにかく百合子くんがかわいい、すっごくかわいい。

    百合子千里(ゆりこ ゆきさと)は男性。なんと“百合子”は苗字。
    主人公の名前は鳥貝一弥(とりがい たかはる)で、他にも安羅(やすら)さん、白熊(はぐま)さん、多飛本(たびもと)さんと長野まゆみさんらしいネーミングセンスの人たちが沢山登場してくれて嬉しい!

    春から大学生として一人暮らしをするために上京し、学生寮に応募していたものの、抽選に外れ、他の近辺にある物件を探すがどれも残り物の物件であり、高額or劣悪条件ばかり。
    部屋探しに途方にくれる中、学生クラブの会長に勧められ、学生が運営・管理している物件を紹介される。価格もお手頃、環境、部屋の状態も最高。しかし、その物件に入居するためにはある条件が課せられていて……。

    作中で主人公も少し察して警戒していたような、歳上の男たちに囲まれながら総攻めハーレム的な寮生活を送らされるのではないか…という展開は無く。「左近の桜シリーズ」のような雰囲気とは違い、どちらかというと凄くほのぼのとしていて、心が温かくなるお話でした。周りの人たちがみんな良い人ばかり。
    食べ物も美味しそう!細かく章が区切られているので、短編みたいで読みやすかったです。



  • 大学進学で上京
    住まいを探すが、周りはすべて仕組まれていて
    彼は養子だった 産みの母は喫茶店のママだった

  • 2024/11/09-11/13

  • 最初、これはBLですか?と思いましたが、多分、違います。なかなかの謎掛け?謎解き?小説です。最後に、全ての謎が明かされていきます。

    大学進学のために、上京し部屋探しをする鳥貝一弥。都内の賃貸は高く、予算に合う部屋はかなりの難あり物件。そんな時、学食で男子寮の斡旋をしてくれると…あれよあれよという間に、その寮で食事を作って泊まることに。夜中にも不思議な事があったが、翌日には、ここに棲むことに決めた。
    そして、荷物を送る手配をしに一度実家に帰って。そこにも、男子寮のメンバー1人がいて…。

    一弥は、高校入試の時に、自分が養子だと知ったが、特に気にも留めていなかった。
    それが、この男子寮との出会いで解き明かされていく…。

  • おもしろいはおもしろい。

    テンポがよく読みやすい。ノリも好き。

    けどなんというか、作者の書きたいとこだけ書きましたー!!って感じもする

    もっと途中書くこと何かあったのでは?途中大分何か省かれてない?って思ってしまったくらいテンポが早い感じがする

    あと百合子サイドでの話を読ませてほしいくらい百合子の行動が謎すぎる

    寮の住人のキャラがすごく立ってた割にえ?これで出番終わり?と物足りなかったかな

    なんかおもしろかったけど何か物足りないって印象をうけた作品です。少しだけ不完全燃焼かな。続編、スピンオフとかあるならぜひ読みたいけれども。

  • 2023.8.16 読了。
    大学進学のために上京した鳥貝一弥(たかはる)は部屋探しに行き詰まっていたところ、条件付きだが高級住宅街にある洋館を鳥貝の進学する大学生限定の男子寮にした破格の物件を紹介される。ひとくせある住人たちに翻弄されつつ、鳥貝の幼い頃の記憶が呼び起こされていく。

    初めて読む長野作品。☆3.7。
    前半の寮の住人が続々と登場してくる辺りは(個人的に)ストーリーが想像と違う方に転がって行ったのでそこが主軸となって話が進んでいくのならちょっと期待はずれだったかな?と思ったが後半ガラリと様子が変わってきてラストまで読んで良かったと思えた。
    プロローグから不思議な夢を揺蕩っている気分にさせられる部分が伏線回収をまるっとしてしまう文章が挟み込まれていて書きようによっては重たい小説になって終わりそうなのに不思議な爽快感を残していく終わり方だった。

    登場する寮生がファッショナブルで美しく聡明な若者たちや瀟洒な建築物というのも、現実にはそうそう都合良くいかないけれど読んでいるのは楽しかった。

    でもなんで一弥は養子で夏目は実母と暮らしていたのだろう?「ふた親の元で育てるのがよい」という説明だったけれど、それなら夏目も養子になっていたのでは?とか子どもひとりなら育てられるから?とか、そこはちょっと疑問。一弥は気にしない質だったし、義父母も良い人達だったから良かったものの「何故自分だけ養子に出されたのか?」と悩みだしたらメンタル病むかも…

  • また読み直す、

  • もう少し読んでいたかった、と余韻に浸る感じの物語の閉じ方。
    美味しそうな食事の場面もあって、胃袋を刺激された。読後、美味しいアプリコットタルトやクロワッサンが食べたくなった。
    不思議な寮でキャンパスライフが繰り広げられると思っていたら、全く想像しない方向に話しが進んで、穏やかな波にさらわれたような感覚。
    荒々しい波にさらわれたような感じではなく、するすると抵抗できないまま優しく連れ去られたように物語を読み終えた。
    みんなクセがあるのに、みんな優しい。
    少年愛というには大人になり始めすぎていて、大人のドロドロした性愛にはほど遠い、そんな成長の隙間のような話。
    現実にはこの物語にでてくるような人物に出会うことはなかなか難しいだろうな、とは思うけれど、、、。

  • 面白かった!色々想像しながら一気に読めた。オムレツ美味しそう…

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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