いい部屋あります。 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061633

作品紹介・あらすじ

大学進学のために上京した鳥貝一弥17歳。東京でのアパート探しに行き詰まっていたところ、
いい部屋があると薦められて訪ねた先は高級住宅街の奥に佇む洋館だった。条件つきだが家賃も破格の男子寮だという。共同生活を営んでいるのは揃ってクセのある男たちばかり。先輩たちに翻弄されながら戸惑いつつも、幼い頃の優しい記憶の断片を甦らせ、自らの生い立ちと向き合っていく鳥貝。艶っぽくて甘酸っぱい極上の青春小説!

感想・レビュー・書評

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  • お話自体は面白いのですが、BL的なものを入れなくてもよかったのでは・・・長野まゆみさん作品らしいといえばらしいかな・・・。

  • 長野まゆみさんの文章をまた味わいたくて比較的最近出たらしい本を購入。また例によって青年が主人公の作品で、読んでいる最中「好きだ~~!」と心の中で叫びをあげていた。
    題名からして部屋探しストーリーなのかな?なんて思うがそんな単純な話では全くない。プロローグから、夢かうつつかわからないような遠い思い出話が始まる。あれ?これは部屋探しの話ではないのか?なんて思っていると次の章からは17歳の鳥貝くんの上京に伴う部屋探しが始まる。入学手続きを終えてから部屋探しを本格的に始めた彼は完全に乗り遅れてしまい、どこも契約済みであると諦め気味に大学の食堂で資料を広げて昼食をとっている。するとそこに、いい部屋があると見知らぬ学生に紹介され、とんとん拍子にとある洋館にたどり着く。そこは一癖ある青年たちが暮らす寮になっていて、鳥貝は料理番をするという条件で破格の家賃で住ませてもらうことになる。この料理を振る舞う場面がまた絶妙に描かれていて、想像するだけでよだれが垂れそうになる…
    他の住人の中でもとりわけ癖が強いのが百合子(これが名字)であり、鳥貝と絡むとまあなんというかBL的なにおいがする。けれど、話が進むにつれて彼が重要な役回りを担うことになり、素直でないだけで優しさを秘めている(本当か?)ことが判明する。そして鳥貝も夢かうつつか思い出せないような記憶を上京を機に、そして百合子と接するうちに紐解いていくことになる。
    前回読んだ『鳩の栖』といい、今回の『いい部屋あります。』も、様々な事情を抱えた青年たちが物語の主人公であることが長野さんの作品の特徴なんだな、と。そしてその主人公たちを優しく包んでくれる友達がいい仕事をしている。今回の作品は、読み終わってから再度プロローグから序盤のあたりを読み直したくなる仕組みになっていて、より楽しめた。

  • 長野まゆみさんの作品を初めて読みました。
    なんとなく買って、大学生が寮生活始める話ね〜
    と思って読み始めたのですが、想像していたものとまったく違いました。
    前半は主人公の鳥貝がひたすら翻弄されて、読者も鳥貝と一緒に?だらけです。
    何かよくわからず気持ち悪いけど、きちんと回収されるので大丈夫。
    文章は綺麗で優しい。BL要素があるとは思っていなかったので驚きましたが、これくらいなら許容範囲かな。

  • 色んなテーマが上手く織り交ぜられていて、よかったです!

    主人公、鳥貝は建築の大学に合格して地方からやってくることになった。
    それで住む場所を探しているが、遅れをとったみたいで良い物件が見つからず…
    そんなある日学食にいたら時屋という人に月1万円の男子学生寮を進められ安羅や多飛本に会い、謎のひつじを渡され学生寮に見学に…
    そうすると玄関前で百合子という人に会う。
    急に同性の百合子にキスされ…
    他にも白熊に会ったり…
    学生寮の人達は名前も性格も変わっていて、食事を作らせて意地悪をして泣かせるのを趣味にする人も!
    本を読み進めると、学生寮の人達と鳥貝の兄?の関係も解き明かされていく。

    男同士の絡みがちょこちょこあって、ドキドキしました!
    面白いので是非読んでください!

  • 長野まゆみ先生の文章は本当に金平糖のような可愛さと幻想さとお上品さがとても良いなと思った。品が良い文章に読み流してしまったけど百合子は変態だなぁと思った。

  • 今日のお昼ご飯は炒めた野菜を敷き詰めたグラタン皿に豆乳を加えた卵液のふわふわオムレツ。アプリコットのタルトも食べたい!

  • 白いひつじのままで良かったんじゃないの?と違和感を抱えつつ、やっぱり素敵な話は素敵な話なので一気に読了。涙腺も言わずもがな。でも改題はやっぱりチープな感じでうーん。

  • 長野まゆみのいい部屋ありますを読みました。

    長野まゆみの小説というと、美男子がたくさん登場してボーイズラブのにおいのする、少女向けコミックのような小説というイメージがあります。
    今回の作品もそのような小説に見せかけていますが、ストーリーのほうはちょっとひねりが入っていて面白く読みました。

    主人公の鳥貝一弥は希望する大学に合格して下宿先を探しますが、予算に見合うアパートが見つかりません。
    大学の学友クラブに顔を出すと、大学には寮があるが入寮審査がきびしいということを聞きます。
    しかし、なぜか大学の寮へ案内された鳥貝は個性的な入居者たちに驚きます。
    一癖も二癖もある入居者たちは、しかし鳥貝に隠している秘密があったのでした。

  • 素直な鳥貝と曲者揃いの寮生たちの絡みが良い。
    百合子というトリッキーな人物がかき回すせいで、鳥貝じゃなくても騙されます。
    後半になるにつれて暖かく優しく物語が変化して行って、満足の溜息と共に読み終えられます。

  • 2度読みをおすすめしたい本のひとつ

    結末(というよりは主人公の外側の経緯)を知ってから読み返すことで言葉選びの繊細さ(例え勘違いはさせても けして嘘はないこと)に気づかされるし
    指環のエピソードは その仕掛けが紐解けたときにもう顔を覆うしか術がない……

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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