メルカトル (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061664

作品紹介・あらすじ

生後まもなく、流木に乗って漂っていたところを拾われて以来、十七年間、親兄弟も親戚も友人もなく、
何ごとにおいても自らの感情を封じこめ、慎ましい生活を送ってきたリュス。十七歳で救済院を出て、
ネオ・バロック様式のミロナ地図収集館の受付で働きはじめた。化石のような地図に囲まれて、
静かでつつましい日々を送っていたはずなのに、ある日リュスのもとに、地図製作技師メルカトルなる人物から、
謎の地図が届き、次々と彼のまわりで不可思議な事件が起き始める――
往年の大女優エルヴィラ・モンド、少女たちのファッション・リーダーであるモデルのルゥルゥ、私立学校の意地悪なボンボン、
黒猫のガスパール…個性豊かな面々が、リュスの変わりばえのしない毎日にさざなみを起こし・・・・・・
かじかんだ心がじんわりほどける、とびきりロマンチックなボーイ・ミーツ・ガール!

感想・レビュー・書評

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  • 地図収集館で働く主人公に差し出された一通の手紙と地図から始まる、ちょっぴり不思議な物語。
    地図に導かれてどこへ行くんだろうと、つい気になって追いかけてしまう。

    地図収集館の内装や隙間なく積み上がった書棚、小さなアパートの屋根裏部屋、紅い封蝋つきの封書。素敵だなあ。
    ジブリ風のアニメーションで見てみたい。
    ふわっと温かくて、可愛らしくて、心地よい余韻を感じた。

  • 出自が不幸ゆえにどこか達観した少年とそれを振り回す少年と奔放かつわがままな女性たちという得意の構図だが、昔の作品と違い他者の生活や街の雑踏が感じられる。

  • ネオ・バロック様式のミロナ地図収集館 !!

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    かじかんだ心がじんわりほどける、ボーイ・ミーツ・ガール!
    生後まもなく、流木に乗って漂っていたところを拾われて以来、十七年間、親兄弟も親戚も友人もなく、何ごとにおいても自らの感情を封じこめ、慎ましい生活を送ってきたリュス。十七歳で救済院を出て、ネオ・バロック様式のミロナ地図収集館の受付で働きはじめた。化石のような地図に囲まれて、静かでつつましい日々を送っていたはずなのに、ある日リュスのもとに、地図製作技師メルカトルなる人物から、謎の地図が届き、次々と彼のまわりで不可思議な事件が起き始める――
    往年の大女優エルヴィラ・モンド、少女たちのファッション・リーダーであるモデルのルゥルゥ、私立学校の意地悪なボンボン、黒猫のガスパール…個性豊かな面々が、リュスの変わりばえのしない毎日にさざなみを起こし・・・・・・
    かじかんだ心がじんわりほどける、とびきりロマンチックなボーイ・ミーツ・ガール!
    https://www.kadokawa.co.jp/product/321706000486/

  • 文庫本の裏表紙のあらすじに「冒険活劇」とあるが、これは誇大すぎると思う
    一般的に思い描く冒険活劇では全然ない
    面白かったけど、主人公と同じことを私がされたら相手とは絶縁する
    絶対に今後二度と接触したくない、断固として視界に入れたくないレベル
    作中のキーアイテムである地図の、作中での使われ方がよかった
    万人向けの地図ではなく、個人的な地図ってなんかいい

  • 大学の学費を貯めるために地図収集館で働く孤児のリュス。淡々と倹しい生活をしていたけれど、ある時から様々な女性が彼に絡んできて…というお話。
    長野さんの世界なので、ミロナの街や、地図や道具、食べものなどのひとつひとつの小物はクラシカルで登場人物たちもどこか外国のような佇まいで好きです。

    リュスが女性たちに翻弄されているかと思いきや、接触にも淡々と反応を返すリュスに女性たちのほうが翻弄されている気がしました。
    全てが整えられたお芝居だったわけですが、結果的に男女関係で深まらなくて良かったね…という相手もいました。
    ダナエの正体だけびっくりしたけれど、確かに似合わないメイクしてるって描写あったもんな……そうか。
    洗濯屋にも気付くのが遅い。。ニキさんは影が薄いので驚きもあまりありませんでした。

    ミステリアスで面白かったです。こちらは白黒つけられないグレーな長野作品でした。好き。

  • 面白い話だが、読んでいて眠くなる本だった。

  • 行きつけの本屋さんにお目当ての本が置いてなかったので代わりにこの本買って帰る。

    中学校(?)で習った地図の図法。メルカトル、モルワイデ、グード、ボンヌ、ランベルト…、色々あって試験にも出たけど、今やどれがどんなとか分からないや。

    さて、この本、救済院で育ち学資を稼ぐために地図収集館で働くリュスのもとにメルカトルなる人物から一通の手紙が届いた時から、彼の周りには変わった人々が現れ、次々と変わったことが起こる。

    う~ん、読み終わってみて分かるけれど、何とも面倒くさいお話しね。
    ああいう理由でわざわざああいうことしなくてもいいんじゃないっていう気がするけど、それじゃあ、お話にならないってか。

  • 喉ごしの良い曹達水を小さなグラスでさっと飲み干したような読後感の良さ。長野まゆみさん、このようなわかりやすく受け取りやすい娯楽小説までも書く作家さんになったのかと驚き嬉しかった。
    大事なポイントは、サイダーではなく曹達水、なところ。長野まゆみさんらしさが細部に宿っていました。

  • 2021/07/05 読了。
    感想は某所のブログで書いたものの再掲です!

    ・200pもないくらいだったので、1日で読めました。少年愛以外の長野まゆみは初めて読んだんですけど、良かったです。最終、一気に物語が収束していく感じは読んでて気持ちが良かった。

    ・しかし、主人公のリュスくんがいかにも長野まゆみが好きそうだな~~~。という人物で、さすがの長野まゆみ。リュスくんは救済院育ちで、感情を表に出さない。予想外の何かが起こったとして、疑問は持てど戸惑ったりうろたえたりせず、その状況を一旦受け入れる。長野まゆみ、基本姿勢が受け身である少年(青年)が好きなんだろうな。そして、そういう少年(青年)を理不尽な目に遭わせたり不可解な状況に陥らせるのが好きなんだろうな。

  • 地図収集館で働く17歳の主人公と絡んでくる女性たち。ファンタジーのようなミステリーのような。どう展開していくかわからない面白さがある。ただ終盤の種明かしで、人情的にスッキリしないのが残念。エルヴィラの都合は理解できるが、彼女も周りもちょっと身勝手すぎないか。これでいいのか。登場人物たちの人柄(というか価値観)に、いまひとつ好感を持てない。表紙を眺めている分には素敵でワクワクするのだが。

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著者プロフィール

長野まゆみ(ながの・まゆみ)東京都生まれ。一九八八年「少年アリス」で第25回文藝賞を受賞しデビュー。二〇一五年『冥途あり』で第四三回泉鏡花文学賞、第六八回野間文芸賞を受賞。『野ばら』『天体議会』『新世界』『テレヴィジョン・シティ』『超少年』『野川』『デカルコマニア』『チマチマ記』『45°ここだけの話』『兄と弟、あるいは書物と燃える石』『フランダースの帽子』『銀河の通信所』『カムパネルラ版 銀河鉄道の夜』「左近の桜」シリーズなど著書多数。


「2022年 『ゴッホの犬と耳とひまわり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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