カラヴィンカ (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
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  • レビュー :18
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041061688

作品紹介・あらすじ

売れないギタリストの多聞は、音楽誌に穴埋めコラムを書いて生計を立てている。最近、離婚して、妻のつくった借金を抱えて困窮していた。ある日、彼のもとに仕事の依頼が入る。カリスマ的な人気歌手、実菓子のロングインタビューだった。義理と借金のためやむなく引き受けたものの、二人は幼い頃同じ家で育ち、しかも、多聞の亡父と亡兄はともに実菓子の夫であった。二人はかつて共に住んでいた田舎の家で再会し、インタビューを開始する。実菓子への憎悪と愛情という相反する二つの感情を抱えていた多聞だったが、実菓子は多聞の知らなかった過去を語りはじめた。かつて多聞の家とともに村の二大勢力と言われた実菓子の実家の忌まわしい過去。二人の母が突然姿を消した謎。実菓子が10歳の時に起こした冤罪事件と、二度の結婚の秘密。数々の出来事の裏に隠されていた凄惨な真実が解き明かされたとき、あらたな事件が起こる――。

感想・レビュー・書評

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  • 遠田潤子『カラヴィンカ』角川文庫。

    『鳴いて血を吐く』を加筆修正、改題、文庫化。

    遠田潤子は『アンチェルの蝶』を読んで以来のお気に入り作家である。やはり本作も期待に違わず物凄い作品であった。閉鎖的な村の旧家という十字架を背負った人間たちの業が、まるで川の堤防が決壊したかの如く汚泥となって溢れ出す…そんなおどろおどろしい物語なのだ。

    多聞と実菓子の男女のただならぬ状況から幕を開けた物語は少しずつ状況が説明され、知らぬ間に異常な物語の世界へと引きずり込まれていく。登場人物の誰ひとりとしてまともな人間は居らず、唯一、主人公の多聞が自らをまともだと主張する声さえ怪しく聞こえる。そして余りにも凄惨で、哀しい物語はいつ終わるのかという時、ラストの驚愕の一声で…

    やはり遠田潤子は凄い作家だ。

  • ここ最近お気に入りの作家さん。

    本書の解説で書かれていた通り、『読まされてしまう』のです。
    今回も何と言っていいか、遠田作品独特の雰囲気で、読み始めてすぐさま引き込まれる。
    田舎の旧家で育った男女の罪と罰と言った様な内容。

    遠田作品を読んで毎回思う。どうしてこんなにえげつない内容なのに読むのが止まらないのだろう。

    これからも追いかけていきたい作家さんです。

  • 本屋さんで見かけて手に取った本です。
    内容がとてもダークで不愉快なんだけれど、読むのをやめることができない!ああもう!すごく不愉快!いやなことばっかり起こる!でも先が知りたい!ああああああ!
    ・・っていう感じでした。
    すごく不愉快な内容なのに、読むのをほっぽり出せないというのは、すごいですよ。なんて読ませる本なんだろう・・・と呆れながらも読み終えて、この著者は、他にはどんな小説があるんだろうかと思ってしまいました。

  • 重い、やはり。
    最も身近で最も濃密なコミュニティーである家族というユニットだからこそ渦巻き、振り払うことが難しい厄介な感情の数々。
    村という閉鎖空間を舞台に、その陰鬱さと対照的に今作も著者の筆は冴え渡っている。
    個人的には、最後のドンパチの部分はちょっと作品の格を損なっている気がして蛇足かなと思ったし、嘘の応酬こそが核とは分かりながらもその繰り返しがややくどいかな、とも感じた。

    「ごんぎつね」があのような形でラストに活きてくるところはまさに遠田潤子氏の真骨頂であり、さすがの腕力だ。

  • 彼女の本を読むのは2冊め。

    1冊目の「雪の鉄樹」では、思わず涙があふれましたが、

    今回は、読み終えた後に、ほぅ~。。。というため息に似た感動が。。。



    歌詞のない旋律を母音のみで歌う人気歌手、実菓子。

    彼女の自伝インタビューをすることになった、ギタリストの青島多聞。

    2人は幼い頃、同じ家で育ち、

    さらに、実菓子の夫は、多聞の亡兄だった。。。



    読み初めて、多聞が彼女を避けているのがわかり、

    過去に、何か複雑な問題があったことがわかってくる。

    それでも、断れないインタビューの仕事をこなそうとするのだが、

    そこで語られる、おぞましく悲しい出来事に、驚愕する。。。





    現代の物語なのに、昭和初期のような、

    家と家の対立や、村のしきたりみたいなものに翻弄されて、

    まるで横溝正史の世界みたいに、暗く、おどろおどろしい物語で、

    私好みで、どんどんのめり込めた。



    そして、これで終わりか。。。と思うところで、意外な人物が登場し、

    これでもかというくらい、てんこ盛りで、



    すごい物語だった。。。

  • あまりに凄絶な、愛憎渦巻く家族の物語。いわくありげな人間関係が少しずつ小出しに語られるので、それに引っ張られて読む手は止まらず。どろどろしてひどい物語なのに、それでもぐいぐい惹きつけられて一気読みでした。そして実はミステリ……だったのだけれど。凄まじいまでの物語に引き込まれるあまり、どのあたりが事件であり謎であったのか全然気づかなかった! 愕然としてしまいました。
    登場人物にどうも醜悪な人間が多くて、えげつない物語ではあったのだけれど。読後感はそう悪くないし、印象としては美しい物語という気がしました。しかし実菓子の願いがそういうものだったとは……それもまた、あまりに凄絶。「幸せ」という言葉の重みを感じさせられました。

  • 遠田潤子はクセになる。困ったもんだ。

  • なるほど、カリョウビンガから取られたタイトルなんですね。それにしても相変わらず凄い筆力で、読み始めた途端、求心力が半端ないす。そして今度も、やっぱり根底にあるのは贖罪。でもマンネリ感はなくて、新鮮な気持ちで楽しめます。同時期に発売になった単行本の方も気になる~。文庫化を待たずに買っちゃうか。

  • ドロドロした濃ゆい家族関係を描いた救いのない物語。
    家族というのは、ほんの僅かな人数の集まりに過ぎないのに、1人の人間を簡単に殺してしまえる恐ろしい装置です。

  • 不幸な人生を書かせたら、この作者の右に出る物はいないというレベル。
    因習にとらわれたド田舎の名家で繰り広げられるドロドロの愛憎劇(回想だが)。
    直前に読んだ遠田作品が「アンチェルの蝶」だったので、それと比べればまだ救いは残っている。

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