- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041062272
作品紹介・あらすじ
「私、火星人なの」
――必死なまなざしでそう語り続ける佐伯さんに、僕は恋をした。
夏休みの数学の補修を一緒に受けながら
毎日彼女のいる火星の白昼夢を見るほど、気持ちはつのるばかり。
誰もいない校舎で、夜のグラウンドで、ゲームセンターで、
佐伯さんとの距離はだんだん近づいていったが、
彼女は自分の家のことを決して話そうとしないまま、別れの時が迫っていた。
行き場のない想いを抱えた高校生たちの青春小説。(単行本『火星の話』改題)
感想・レビュー・書評
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自分を火星人だと言い張る佐伯さんと、彼女は火星人だと信じる国吉くん、火星人なんかじゃないと言い張る高見さん、佐伯って誰と言い放つ水野くん、そして担任の山口先生と、数学の谷先生。みんなとても魅力的です。
何もやりたいことがなく、佐伯さんの付き人になると決めたら張り切る国吉くんは、いずれやってくる「佐伯さんが火星にもどる日」のために準備を怠りません。でもそれは、何者かになりたくて、でもなれないと思ったからではないでしょうか。校舎を出て砂利道を歩くとき、どんなに気をつけても音が出てしまうのに、佐伯さんは特に気をつけてる風でもないのに音を立てずに歩くから、特別な佐伯さんの特別になりたかったのかもしれません。
変わらない日常を送ることが至上命題になっているような高校生活と、高校生の寄る辺なさ、彼らに寄り添う大人たちがよく描かれていると思います。今という、一度しかない瞬間を精いっぱい生きることの大切さをしみじみと感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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公園に男が頭だけ出して埋まっている話を書く人の作品なので、火星人の話はすんなり受け入れられた。佐伯さんは火星人なんだよな…。火星人である佐伯さんの結末はとても悲しいというか寂しいものがあった。主人公と佐伯さんもかわいいけど、周りの人達もかわいい。