閉じ箱 (1) (角川文庫)

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  • KADOKAWA (2018年3月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (448ページ) / ISBN・EAN: 9784041062425

作品紹介・あらすじ

彼女の自殺に妻は関与していたのか、それとも? 濃密な親子関係から生じた歪を描いた(「氷雨降る林には」)。死人のように青ざめた顔をしたその歴史のある街は、その日、死装束のような濃い霧に包まれていた(「閉じ箱」)。死んだ母親と名付け親の作家との関係に潜む名前の真実とは?(「美樹、自らを捜したまえ」)等。著者初の短編から異色作まで美学に基づき築かれた独特のレトリックで集成された傑作ホラー・ミステリー短篇集。

みんなの感想まとめ

多様なタイプの短編が織りなす独特の世界観が魅力の作品で、ホラーとミステリー、さらにはファンタジーの要素が巧みに融合しています。各短編は、結末に一捻り加えたものから予想しやすいものまで幅広く、バリエーシ...

感想・レビュー・書評

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  • 竹本健治さんは、初読でした。
    この作品は、まずノベルズ、角川ホラー文庫として発刊され、そのあと角川文庫として再発刊。読んでみて、ホラー文庫の範疇では収まらないことに納得しました。
    作風は、表現しにくいと思います。読んだ事がある中では、江戸川乱歩、夢野久作氏らの系統ではないかと思います。いわゆる、わからない奇書的な幻想譚。

    短編集で、トランプの四つの絵札の記分けされています。中井秀夫のトランプ譚を意識してるのですかね。読むにあたり、多少の読者への助力でしょうか。

    ♣️5編 ミステリーゾーンのようです

    「氷雨降る林には」
    不倫相手の死を自死とされ、疑問を抱く男。
    彼が辿るのは、自らのねじれた家族関係の記憶であり、そこに事件の影が重なる。

    「陥穽(かんせい/おとしあな)」
    雪に閉ざされた山荘で、殺人が発生。
    閉鎖状況下での「推理合戦」が展開される、正統派クローズド・サークル風の一編。

    「けむりは血の色」
    中学生で喫煙者という、今では考えにくい設定から始まる。
    心臓病を抱えた年下の少年の殺害は、夢と現実のあわいで描かれ、推理と幻想が交錯する。

    「美樹、自らを探したまえ」
    自らの出自を探ろうとする女性・美樹。
    幾つもの殺人と自死に巻き込まれるなかで、彼女を取り巻く人間関係は不可思議な縁によって結びついていく。

    「緑のいざない」
    「緑」という色彩と、香料のイメージが手がかりとなって事件の真相が明らかになる。
    感覚的モチーフを推理の中核に据える作風は、どこか江戸川乱歩を思わせる。

    ◆の章――黒科学からの黒ファンタジー

    「夜は訪れぬうちに闇」
    中学生らしき少年たちが「黒樹祭」に招待される。
    しかし祭りの終盤、一人の少年が闇に呑まれるように姿を消し、不可解さだけが残される。

    「月の下の鏡のような犯罪」
    江戸川乱歩『目羅博士』を思わせるリスペクト的な一編。
    幻想と犯罪のあわいに、鏡のような奇怪な論理が広がる。

    「閉じ箱」
    タイトル作にして難解作。数式が次々と現れるが、読み進めるうちに「論理を理解すること」よりも「論理に呑まれる体験」そのものが核心であるかのように感じられる。

    ❤︎子供の世界の異形
    「恐怖」
    医師である父親の、隠された所業。
    子どもの目に映るその姿は、尊敬から恐怖へと変わっていく。
    「七色の犯罪のための絵本」
    ⚪︎赤い塔の上で
    虹の全景を見たいという男を、少年は赤い塔の上から投下する。
    夢想と殺意が無邪気に重なり合う、子どもの残酷な寓話。
    ⚪︎黒の集会
    少年が夜ごと目にする黒い集会。
    彼の反抗は正しかったのか、それとも闇に抗えぬままだったのか。
    ⚪︎銀の風が吹き抜けるとき
    草原を吹き抜ける銀の風――それは自然の光景か、ナイフの閃きか。
    幻想と暴力が交錯する瞬間
    ⚪︎白の凝視
    ピアノにのめり込む少女。
    遂には首を吊り、その揺れる身体はメトロノームのように。
    ⚪︎ラピスラズリ
    血も涙も濃紺の少年。
    彼は、果たして本当に“少年”という存在だったのか?
    ⚪︎緑の沼の底には
    記憶の混乱は、やがて幻想の深みへと沈んでいく。
    ⚪︎紫は冬の先ぶれ
    森は紫に染まり、空は雪を告げる。
    そして少年は、地底へと沈んでいく。

    ♠︎佐伯千尋を物語として
    「実験」
    真の実験体は誰なのか――混乱と幻惑の果てに。
    「闇に用いる力学」
    夢見る能力がもたらす夢
    「跫(あしおと)」――彼女が聞いたその真実とは
    音が澤村伊智さんと似ていて驚きがあった
    「仮面たち、踊れ」
    そのクラスメートは、私しか知らない。
    そしてそれを知った時、私は自分の罪を思い出した。

    この作家さんの作品は、もう少し読み込むと
    面白さが深まりそうなんですけど
    今はここまで
    私なりの覚書なので、ネタバレになる部分があるかもですが、古い作品は今更あっても良いじゃんとも思うし
    それでも嫌な方もいるかもだし
    あんまり考えると、楽しくないなと思うこの頃
    一応 

    • おびのりさん
      ともちん
      9月になったからって 予定を入れ始めてたのよ
      あんまり暑いとバテちゃうから
      我慢してたのにね
      ともちん
      9月になったからって 予定を入れ始めてたのよ
      あんまり暑いとバテちゃうから
      我慢してたのにね
      2025/09/08
    • おびのりさん
      ultraさんの本棚は 角川ホラー文庫のイメージ
      と言う私も 角川ホラー文庫でカテゴリー作ってます笑
      ultraさんの本棚は 角川ホラー文庫のイメージ
      と言う私も 角川ホラー文庫でカテゴリー作ってます笑
      2025/09/08
    • ultraman719さん
      内藤了さん、角川ホラー文庫多いですしね。
      内藤了さん、角川ホラー文庫多いですしね。
      2025/09/08
  • いろんな引き出しがあるのは分かったが、あまりハマらず。

  • タイプの違う短編が詰め込まれていて、閉じ箱ではなくおもちゃ箱だろうと言いたくなる。それでもニューロテック系の雰囲気はほぼ前作に共通していて、公式通りにやりきったような話も多い(「実験」、「氷雨降る林には」とか)。この辺はオチを楽しむようなものではないから、それだけにこだわる向きには、向いてないかも知れない。個人的ベストは「けむりは血の色」。

  • 短編集だから玉石混合…というよりは、こちらの好みの問題か。「ホラー」メインで読み始めたので、幻想的なミステリーの冒頭から違和感がつきまとい、どうにものめり込めなかった。
    そんな中なので、『恐怖』のようにすとんと落とす納得のホラーが有難い。

  • オチが読める、もしくは拍子抜け。
    なんか思ってたのと違った。

  • 短編集。この作者の短編集の中では一番好きかもしれない。この作品は第一短編集であり再文庫化らしい。結末が予想しやすい話もあれば一捻りも二捻りもある話もあってバリエーションに富んでてどれも楽しく読めた。好みの話は「けむりは血の色」「夜は訪れぬうちに闇」「仮面たち、踊れ」かな。

  • 「氷雨降る林には」★★★
    「陥穽」★★
    「けむりは血の色」★★
    「美樹、自らを捜したまえ」★★
    「緑の誘ない」
    「夜は訪れぬうちに闇」
    「月の下の鏡のような犯罪」
    「閉じ箱」★★
    「恐怖」
    「七色の犯罪のための絵本」
    「実験」
    「闇に用いる力学」
    「跫音」
    「仮面たち、踊れ」

  • 確か絶版になっていた本の復刊本。作者さんの多彩な短編が楽しめる本作。読み味が異なる作品ばかりですが、気付けば幻想的で異常な世界にいたような不条理さや恐怖が楽しめました。中でも『恐怖』はコンパクトにまとまっていながら大きな衝撃と恐怖があり、鳥肌が止まりませんでした。

  • 氷雨降る林には★★
    陥穽★★★★★
    けむりは血の色★★★★
    美樹、自らを捜したまえ★★★
    緑の誘ない★★★
    夜は訪れぬうちに闇★
    月の下の鏡のような犯罪★★★
    閉じ箱★★★★
    恐怖★★★
    七色の犯罪のための絵本★
    実験★★★
    闇に用いる力学★★★
    足音★★★★
    仮面たち、踊れ★★★★

  • 竹本健治の第1短編が角川文庫から復刊。
    短編集としてはかなりボリュームと読み応えがあって良かった。1つ1つはどちらかというと短めなのだが、かなり濃厚だった。

    さて、この先、ミステリ系は講談社文庫から、ホラーやSF系は角川文庫から復刊が続く……と期待してもいいのだろうか。

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著者プロフィール

竹本健治:
一九五四年兵庫県生れ。佐賀県在住。中井英夫の推薦を受け、大学在学中に『匣の中の失楽』を探偵小説専門誌「幻影城」上で連載。デビュー作となった同書は三大奇書になぞらえ「第四の奇書」と呼ばれた。
ミステリ・SF・ホラーと作風は幅広く、代表作には『囲碁殺人事件』『将棋殺人事件』『トランプ殺人事件』の「ゲーム三部作」をはじめとする天才囲碁棋士・牧場智久を探偵役としたシリーズや、自身を含む実在の作家たちが登場するメタ小説「ウロボロス」シリーズなどがある。近著に大作『闇に用いる力学』。

「2022年 『竹本健治・選 変格ミステリ傑作選【戦後篇Ⅰ】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

竹本健治の作品

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