- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041063194
作品紹介・あらすじ
とある港町、運河のほとりの古アパート「霧笛荘」。誰もが初めは不幸に追い立てられ、行き場を失ってここにたどり着く。だが、霧笛荘での暮らしの中で、住人たちはそれぞれに人生の真実に気付き始める――。
感想・レビュー・書評
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相変わらずの浅田節。
マジで号泣。ダメだなぁ。
浅田さんって、人間の良いところにもダメなところにも等しく光をあてて、「ダメなところも長所になるからね」って言ってくれてる気がして。
たぶんそこがツボなんだろうなぁ。
今の世の中、ダメなものはダメで徹底的につぶしにかかる風潮だけど、浅田作品は救いになります。
そして只のお涙頂戴ストーリーにしないところも大好き。
ハッピーエンドっぽいバッドエンドなところとか。
要はツボなんですきっと。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
きっと自分を偽り続ければ、もっと華やかさや安心感のある生活が送れたかもしれない。
けれどそれを選ばなかった。選べなかった。そんなある意味、不器用だけれど純真で真っ直ぐな、個性豊かな住人達ばかりが集まった霧笛荘。端から見れば決してハッピーエンドとは言えない最後もあった。けれどそれは本当に端から見た第三者の見解で、彼らは彼らそれぞれの譲れないものを芯に置いて懸命に生きていた。彼らが幸せだったかどうかは自分なんかには決められない。けれど彼らの物語のそこかしこに、確かに希望の灯がともっていた。それだけは感じられた。 -
2008年くらい?に文庫版で読んだ。
とても雰囲気がある。
やむにやまれぬ事情で、もしくは自ら進んで、ドロップアウトした人生を、舞台設定である霧笛荘の古いステンドグラスと港の人の多さと縁の薄さみたいなものが綺麗に装飾してくれてる。 -
最後の話がとても良い。
地上げ屋にも動かされないちょっと変わった人の住む霧笛荘の住人の話。
どれもありそうで、人生どこでどうなるか分からないと思わせる。
多分、人から500万で簡単に動くと思われていたのに、みんな誰一人として首を振らなかった。
そんな住まい、今もあったらステキだろうな。 -
住人それぞれの話は哀しくて読み始めたこと後悔したけど、良かった締めの話が明るくしてくれた。でも、明るい時期に時間が戻って終わってるんだけどね。
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港にほど近い場所に建つ霧笛荘。老婆大家が語るかつて各部屋に住んでいた住人たちの物語短編集。
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軽い浅田次郎もいいね。
胸いっぱいになったり、涙が溢れることはないが、ダメな人間たちが、本当の人間の幸せに気づいているというのは、そうなんだろうと思う。 -
読んでるうちにいつの時の話をしているのかふとわからなくなり、眉子が死んでからの話のはずなのに地上げの時はまだ生きている。物語の初めから眉子とカオルになるまでが何だか雰囲気が違い過ぎてびっくりでした。