いつかの人質 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA
3.26
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本棚登録 : 950
感想 : 80
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041063392

作品紹介・あらすじ

宮下愛子は幼いころ、ショッピングモールで母親が目を離したわずかなすきに連れ去られる。それは偶発的に起きた事件だったが、両親の元に戻ってきた愛子は失明していた。12年後、彼女は再び何者かによって誘拐される。一体誰が? 何の目的で? 一方、人気漫画家の江間礼遠は突然失踪した妻、優奈の行方を必死に探していた。優奈は12年前に起きた事件の加害者の娘だった。長い歳月を経て再び起きた、「被害者」と「加害者」の事件。偶然か、それとも二度目の誘拐に優奈は関わっているのか。急展開する圧巻のラスト35P! 文庫化に当たり、単行本から改稿されたシーンも。大注目作家のサスペンス・ミステリー。(解説:瀧井朝世)

感想・レビュー・書評

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  • 幼い頃に連れ去られ、12年後に再び誘拐事件に巻き込まれる少女と、登場人物のそれぞれの視点で展開していくミステリー。

    登場人物の独白形式の進行は多角的な視点により、物語に新たな魅力や驚きが芽生えて、どんどんと惹き込まれていくことが多いのだが、今回は進展に疑問符が増え、理不尽なオチに、残念ながら何の共感も得ることができなかった。

    好きな著者だけに、またの作品に期待しよう。

  • 2回も誘拐されるって…可哀想過ぎる(涙)愛子ちゃん。
    1回目の誘拐で、目が不自由になったけど、それを感じさせないぐらい明るく生きている。
    それが、また、誘拐とは…
    でも、一緒に行った友達は、どうしてんねん。君らも多少の罪悪感はないのか?
    全然、登場してないような。それは、当事者のせいではなくて、作者のせいか^^;
    まぁ、そんな偶然は、あんまりないから、何か必然があるとは考えるな。
    更に1回目の誘拐の関係者が、関連すると。更に失踪してるとなると。
    警察もそう考えて、探す。
    失踪だけでは、な〜んもしてくれんかったのに…

    急展開するラストというほど、回ってはおらんけど、まぁまぁ面白かった。

    自身は、自覚なくても才能が溢れてくる人の近くにいてるとツライわな。

  • 偶発的に起きた誘拐事件により失明した愛子。12年後、再び誘拐されてしまう。
    容疑者として浮上した優奈は、12年前の誘拐犯の娘だった。
    相手の夢を叶える為に、漫画家になった礼遠。傍目からみたら、借金完済してくれて浮気も許し、出来すぎた夫だが、夫婦で同じ夢を持ちどちらかが才能に溢れていたらやはり上手くいかないのかな。
    理不尽な理由での誘拐ではあったが、あんな目に合いながらあの状況で、冷静に物事を考え成長していく愛子が良かった。
    努力だけではどうにもならない事が沢山あるが、優奈が夢を諦めていたら、起こらなかった事件だったと思う。

  • 期待してたのと少し違った。「急展開する圧巻のラスト」に期待しすぎたからかな?
    新手のストーカーの犠牲者となった愛子。優奈もまた。
    我が子が事件でも事故でも被害に遭えば、愛子の両親のような葛藤は自然な事なのだと思う。
    あと少しで3.11。子どもを亡くした親御さんたちのインタビュー報道が多いのでそこに目がいくのかも。
    愛子の成長が救いでした。

  • 気鋭の作家のサスペンス・ミステリ。

    宮下愛子は子供の頃、母親とはぐれて連れ去られ、その過程で失明してしまう。
    12年後、友人と出かけたコンサート会場で、彼女は再び、何者かに連れ去られる。
    彼女が2度も「誘拐」事件に巻き込まれたのはなぜだったのか。

    実は最初の事件は、意図された誘拐ではなかった。たまたま連れ去られた形になり、失明したのも転落事故が原因だった。だが、誤って愛子を連れ帰り、大怪我をさせてしまった尾崎典子は慌てた。自分と娘の優奈に影響が及ばぬよう、誘拐事件をでっちあげ、架空の犯人のふりをして身代金を要求する。しかしそれは当然のごとく、バレた。典子は罪に問われるが、執行猶予がつけられる。
    そして12年が経った。

    事件は、大人になった優奈、その夫、愛子の父、愛子、事件を捜査する刑事、その他、いくつかの視点から語られる。
    優奈は人気漫画家の江間礼遠と結婚していたが、愛子の2回目の誘拐事件の直前に離婚を申し出て失踪していた。物語が進むにつれ、優奈の失踪より前に、礼遠と優奈がとある理由で、愛子の家を訪ねていたこともわかる。
    一方で、眼の見えない愛子の監禁シーンは、「見えない」中で誰ともわからぬ犯人に翻弄される恐怖を描いて秀逸である。映像にはない、小説ならではの描写だろう。

    実は、語り手の中には、「信頼できない語り手」がいる。語っていることの背後に、語っていないことがある。物語が進むにつれ、読者の違和感は膨らんでいく。そして終盤にすべての謎に答えが出る。

    よく練られたプロットである。
    が、ストーリーは爽快とは言えない。
    愛子の両親は愛子の失明に責任を感じ、守り寄り添い育てている。そこにあるのは確かに愛だが、同時に束縛でもある。いつまで? どこまで? 両親の庇護が及ばない未来があることを、愛子も両親も知っている。そこに事件が起こる。
    優奈は自身も漫画家を目指していた。だが、到底夫の才能にはかなわない。彼女は次第にわからなくなる。本当に自分は漫画家になりたかったのか。どこか居場所を求めていただけではないのか。夫は優しく才能にあふれ、心から優奈を愛している。傍目から見れば完璧な幸せである。だが、果たしてそうだろうか。
    誰もが誰かに囚われている。誰もが何かに固執している。
    「人質」となったのは誰なのか。事件が解決した後、事件に関わったすべての人々は「解放」されるのか。
    わずかに一人、凛と立とうとする愛子の姿が清々しい。

    なお、文庫版と単行本版では、ラストに若干の違いがあるそうである。そのあたりを読み比べてみるのもおもしろいかもしれない。

  • 記録

  • ほんのひと握りの人しか成功しない夢を持つ人にとって、夢をあきらめるタイミングってこんなにも難しいものなのかな、と思った。
    『漫画家になる夢をあきらめる』って言えていたらこんなにたくさんの人を巻き込まずに済んだのでは?と思わずにいられない。
    ラストシーンで、まだ夢を捨てきれていない優奈に、もうやめときなよーーーって言いたくなった。
    単行本の違うラストも読んでみたい。

  • プロローグから引き込まれ、続く第一章からもテンポよく話が進みあっという間に読み終わった。

    とにかく愛子ちゃんが可哀想で仕方がない。
    昔も今も彼女は何も悪くないのに。

    中学生って悪意のない残酷さがあって、読んでいて辛かった。
    でも障害のある子にあんなに無神経になれるかなぁとも思ったり。
    犯人の動機は分かったけれど、その目的で誘拐したならあんなに酷いことしなくても・・

    必要以上に愛子ちゃんが悲しい目に遭っているように思えた。


  • 幼い頃誘拐された愛子は、12年後また 
    誘拐されてしまう

    誘拐が発生する半年前に愛子の家を訪ねた
    加害者の娘と夫
    逆恨みでは無いかと容疑がかけられるが、、
    愛子を誘拐した犯人は誰?
    誘拐の動機は何? 

    犯人の元から必死で脱出しようとする
    愛子はとても中学生とは思えない程逞しい。
    娘を心配する親は、過去の誘拐に縛られ
    動けない心をもっていた

    誰もがいつかは大人にならなければならない。
    危険を自分で察知して乗り越えることや、
    自分の本心や夢にも向き合うこと。

    見つめ、受け入れて言葉に表す事の大事さを
    改めて思った物語。

  • 誘拐される少女のパートと漫画家の妻探しのパートが同時並行に描かれていくので、必然これらが最後どのように交わるのかを期待しながらの読書となる。誘拐のホワイダニットには、なるほどね、とまぁまぁ肯ける解答が用意されていた。
    でも作中の様々なモヤっとするシーンにほとんどフォローがあてがわれないまま、終盤へ。エピローグではどうも作者由来と思しき感傷的な自慰のような展開へと落とし込んでいってしまったので、読後は何だかモヤっとしたままではある。
    プロローグは本当に面白かったので、第一章それはさておき、みたいな感じで話が飛ぶところから、ちょっと浮いてる感じはあったかも。惜しい。

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著者プロフィール

芦沢央(あしざわ・よう)
1984年東京都生まれ。2012年『罪の余白』で野性時代フロンティア文学賞を受賞しデビュー。主な著書に『許されようとは思いません』『火のないところに煙は』『僕の神さま』など。最新刊は『汚れた手をそこで拭かない』が第164回直木三十五賞候補作となる。

「2021年 『非日常の謎 ミステリアンソロジー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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