三年長屋

  • KADOKAWA (2020年2月29日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (368ページ) / ISBN・EAN: 9784041063514

作品紹介・あらすじ

下谷、山伏町にある裏店、通称『三年長屋』。この長屋に住むものは、なぜか三年ほどで、出世していくため『出世長屋』とも呼ばれていた──。河童の神様が奉られた長屋で起きる奇蹟の感動物語。

みんなの感想まとめ

人情と奇跡が交錯する物語が展開される舞台は、三年住めば願いが叶うという噂の長屋。元武士の差配人、左平次は、個性豊かな店子たちと共に、日々の問題に立ち向かいながら、彼らの成長を見守ります。最初はお節介な...

感想・レビュー・書評

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  • 三年ほど住むと河童様のご利益で願いが叶い出ていけるという噂の〈三年長屋〉。そこに新たに雇われた差配人の左平次は元武士で生き別れの娘を探し続けるお節介屋。
    新たに入って来た店子はいきなり面倒を持ち込み、何故か捨て子までやって来て…。

    いわゆる人情系の長屋もの。ちょっとクセはあるが気の良い店子たち。そこに加わる左平次は、曲がったことが嫌いでついつい『差し出がましいようですが』と口を挟む。それが災いして武士から町人になった。
    どん底の左平次を拾った、長屋の大家であるお梅とその付き人・捨吉は何だか不思議な存在で、左平次はおろか店子たちのこともお見通しという感じ。

    三年住むと願いが叶うということにはからくりがあったのだが、何にしろそれを活かすも殺すも本人次第。河童様にお願いすれば願いが叶うなんて、都合の良い話はない。
    …とバッサリ切り替えていたら、意外と河童様は重要な存在にもなってくる。

    店子たちそれぞれの面倒も大変なのに、町の地主やその子分格の差配人たちと同心の悪巧みも目に余る状況になってきて、左平次の差し出口がムクムクと騒ぎ出す。
    それを察知した悪人たちもまた暗躍を始める。

    色々詰め込み過ぎかなと思ったが、一つ一つ片付けていく手法でテンポ良く読めた。
    最後はちょっと駆け足だったのが残念だが、上手いこと大団円。
    最初は店子たちに煩わしく思われていたり良いようにあしらわれていた左平次が段々長屋の面々と心通わせて行くところ、大家のお梅が長屋を作った事情、店子たちの共通点、悪人たちを成敗するために結束する人々…様々な要素がごちゃ混ぜになることなく同時進行で展開する。
    店子たちの様々な職業、年齢、得意なことも活かされて、皆が自分の出来ることを懸命にやることで結果的に誰かのためになったり自分たちのためになったりするところは心地好い。
    三年長屋に住んでみれば、自分にとっての幸せが何なのか、真の願いを見つめることが出来るのかも知れない。

  • 3年も住めば、願いが叶ったり、立身出世したりして、長屋を出ることになる。
    不思議な噂のある長屋に住む、差配と店子たちの物語。

    元武士の差配に、いわくありげな大家のお梅と捨吉。
    訳アリ、癖ありの面々による、人情時代小説。

    お節介ではあるものの、武士の身分を捨ててまで不正を許さなかった、佐平次。
    そんなまっすぐな主人公だからこそ、町人になっても不正に向き合う姿が、すがすがしかった。

    店子たちも、河童のご利益に甘えようとするのではなく、それぞれ努力しているところに、好感が持てる。

    ハートウォーミングな物語。

  • 三年住めば河童のご利益(?)で願いが叶うという「三年長屋」の差配になった、元武士の左平次と個性豊かな店子たちとの人情噺です。

    「差し出がましいようだが・・」が口癖で、ついついお節介を焼いてしまう左平次。その正義感の強さで上役の不正に我慢できず脱藩し、妻とは死に別れ、娘とは生き別れているという事情を抱えています。
    店子たちの問題に、逐一首をつっこみお節介を焼く左平次は毎日大忙し。最初は店子たちから若干ウザがられていましたが徐々に馴染んでいく感じです。
    そして、長屋の店子たちが自分の道をそれぞれ見つけ、それで幸せになったり巣立っていく様が良いですね。
    さらに、嫌みな“付け髷(所謂“ヅラ”ですww)差配”・市兵衛とズブズブの癒着をしている、定町廻り同心・鬼嶋の不正を暴く為、持ち前の正義感を発揮した左平次が中心となり皆が一致団結して“一芝居”打つ場面は、胸がスカッとしました。
    左平次の生き別れになっていた娘の事などが、ラストで一気に解決していくので、ちょいと慌ただしさはあるものの、大団円で何よりでした。

  • 2016年6月〜2018年4月にかけて学芸通信社の配信で、新聞6紙に掲載されたものに大幅加筆修正を加えて2020年2月角川書店から刊行。元武士の新米差配の佐平次を中心にした江戸人情長屋もの。次々にちょっとした事件がおこり、長屋の住人や人々の力を借りて、佐平次が解決していく。佐平次も前に進み、また周りの人も前に進むというところが楽しくて良い。

  • 武士をやめ、長屋の差配となった左平次。
    その長屋は河童を祀り、住めば三年で出世するとか。
    正義感の強さ故、融通が効かない。
    でも芯が通っている。
    そんな差配さんは長屋の面々に慕われている。
    ほっこりとする心持ちで読了。

  • 江戸の長屋ものといえばもちろん人情溢れるお話なのは当たり前.それに加えて三年のうちにカッパの御利益で希望が叶って三年のうちに長屋を出ていくという成功譚.また,大家のお梅さんの住人を選ぶ基準など謎解きがあったり,悪代官ならぬ悪差配などを懲らしめるなど面白さがてんこ盛り.これシリーズ化するのかなぁ.

  • 時代小説が大好きで、よく読むのですが、梶ようこさんの作品は初めて読みました。
    とても面白かったです。
    お祭りの最中、大切な娘と離れ離れになり、悲しみに暮れていた時に知り合った梅との縁で、「三年長屋」の差配をすることになった主人公。
    登場人物が、みんな魅力的で楽しく、悪人は、ものすごい悪人。様々なキャラクターが、しっかりそれぞれの役目をもち、涙あり笑いありの物語。最後まで楽しく読めます。
    梶さんの作品、もっと読んでみたくなりました。

  • 勧善懲悪の時代もの。長屋が舞台だから市井の人々の一喜一憂の日々がおもしろい。
    左平次が差配をしている三年長屋にいる人々はみななんらかしかの重い荷物を持っている。その重い荷物が隣近所の結びつきに助けられ、それぞれの生きざまのなかに受け止められていく。左平次の悩みも最後は大団円となった。

  • 出ると読んでしまう梶よう子さん。お節介と差し出口過ぎる、わけあり新米差配と店子のお話。軽い読み物です。

    「お茶壺道中」とか「赤い風」とかでは満足できな~~い。「よい豊」のような作品が読みたい。

  • 4.0 初めての作者さんでしたが期待以上の面白さ。他の作品も読んでいこう。

  • 三年長屋の新米差配、佐平次は元は武士である。武家言葉が抜けない世話好きで、店子達からお節介だと揶揄されながらも実は頼られているようだ。
    「水戸黄門」ほど単純ではないがやっぱり悪者がちゃんと退治されると気持ちがスッキリする。真面目に生きている者が報われないと! 

  • 初読み作家。長屋や捕物帖の人情時代小説を読みたくなって。ハピエンで読後感が良かった。権助の図々しさが私には羨ましい。金太の歓迎の宴で皆が重箱の料理に遠慮なくがっつく姿が好き。「皆で蛤を守れ」「おまえら、たんと食べとけ。明日からは目指しと納豆だからな」ってホントご馳走だったんだね。

  • 人情もの。時々ハッピーエンド読むとホッとする。

  •  梶よう子さん、初読みです。「三年長屋」(2020.2)というタイトルに魅かれました。だいたい「長屋もの」は面白いですから。3年暮らせば出世できるという噂のある長屋の物語。結構面白く読み始めましたが、テンポが悪いのと、ストーリーの内容について行けず最後まで読了できませんでした。もう一冊何か読んでみようと思います。

  • 江戸の長屋の人々の人情噺、いいですよねぇ。
    長屋の人々はこんな暮らしをしていたんだ、と思うとちょっとうらやましいです。
    そういえば、大学時代住んだ下宿の大家さんはこんな感じだったかな。懐かしい。

  • 軽く読めます。楽しかったです。作風は宮部みゆきさんぽいけど、少し軽くて読みやすい。不安感なく読めました。

  • 3年住めば願いが叶うという長屋の差配になった元武士と、家主や店子が繰り広げるThe人情噺。やはり長屋ものはこうでなくっちゃ、という感じ。左平次さんの「差し出がましいようですが…」が良いですね。昨今はうっかり差出口を挟むと刺されたりしかねない御時世ですから…。N〇KのBS時代劇でやってそうな感じで、気軽に読めます。

  • 7章迄あるのだけど、スイスイと、読めて仕舞う。

    下谷にある「三年長屋」。
    名前の通り、三年という期限が合うのは、三年すむと願いが、叶うという不思議な長屋。

    そこに、長屋の持ち主のお梅に助けられた 元武士の佐平次が、差配として務める事に、・・・

    最初の長屋の子供達の粗相も、苦にならずに対処していき、この長屋から、易者の順斎は、迷子の猫の居場所を占い、田丸藩の相談役にと、・・・出世することになった。
    最初から、上手く行くのかな?と、思いながらも、易者の後に住む飾り職人の金太は、居酒屋にいる間に、引っ越し荷物を盗まれてしまう。
    何も無くても仕事に関わるものだけは、手元に持っていたけど、長屋にどのようにして住む???
    損料屋で、この時代は、何でも借りて生活を出来るけど、・・・生活費はあったのであろうか?

    店子が、入ったら、皆への紹介もかねて、食事を一緒にするのも、その出費は、誰が出すのだろうか?
    差配の佐平次に 預金があったのだろうか?なんて余計な心配をしながらも、赤子が、捨てられていたり、・・・
    養子にしても、やはり、手続きが居る。
    その上、乳が、必要であるから、長屋に居る和菓子屋の若旦那に頼んで 白雪糕で、代用することに。
    その実家への依頼の手紙が、・・・お涙頂戴の芝居へと、展開していくことに、・・・

    金太の荷物を盗んだ 醤油屋に奉公の秀次を番所ヘ突き出す佐平次。
    しかし、それは、この秀次に 盗みとは、どんなに、自分の周りの者へも被害が、及ぶことを知らしめる事を教えるためである。
    そして、同心の鬼嶋へ、小さな悪事は捨て置け、見て見ぬ振り、聞かぬ振りをすると、言い張った言葉に、盗難を事件とみなさなかった怠慢について、非難する所がいい。
    秀次は、詫びもして、店子も許しているので、一緒に連れ帰る、そして、この件で、目こぼし料など請求などしないことまで、釘をさすところが、良いね。

    この第5章で、鬼嶋に媚びる市兵衛が、「鈴木越後の羊羹」というのがでてくるのだが、・・・この間読んだ藤木桂氏の「千石の誇り」の小説にも、この羊羹の話が、出て来る。
    高価で、贈り物に最適な品だったのだろうなぁ~なんて思いながら、虎屋の羊羹を思い出していた。(笑)

    この長屋の息の合った者ばかり、そして、大家のお梅の過去の話と捨吉の関わり等、・・・・

    そして、賄賂を受け取り、金銭をごまかし、ぬくぬくとしている輩を、ぎゃふんと、言わせる芝居など、読んでいて爽快になってしまった。

    最後に、離れ離れてになった娘と佐平次が、会えて、欲も無く、この長屋の差配として、2人で暮らしていく事で、完結している。

    読み終わって本を閉じたら、表紙、裏表紙の人物たちは、皆店子の者ばかりだったと、その時 気が付いた。

  • 様々な職についてる気ままな長屋の人達を、左平次が纏め上げていておせっかいで暖かい話になってます。三年で出世するというのも頑張っている人たちが報われるようで嬉しい。

  • 三年住むと願いが叶うという長屋を舞台に、元は武士のお節介差配と、賑やかな店子たちが繰り広げる物語。敵役の憎らしさも味わい深い。続編読みたい!

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著者プロフィール

東京生まれ。フリーランスライターの傍ら小説執筆を開始、2005年「い草の花」で九州さが大衆文学賞を受賞。08年には『一朝の夢』で松本清張賞を受賞し、単行本デビューする。以後、時代小説の旗手として多くの読者の支持を得る。15年刊行の『ヨイ豊』で直木賞候補となり注目を集める。近著に『葵の月』『五弁の秋花』『北斎まんだら』など。

「2023年 『三年長屋』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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