君にささやかな奇蹟を (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041064276

作品紹介・あらすじ

子供の頃信じていたサンタクロースが本当にいたら? しかも日本に。でも彼はイメージと程遠く愚図で意気地なし。そんな彼も恋をします。彼女はどこにでもいる普通の女性。ですが夢を失い、今の自分に向き合えずにいました。サンタは彼女のために願いを叶えようとします。どんな辛いことでも笑顔で隠して。すると彼女の中で何かが変わり始め──。現代のおとぎ話は素敵な恋物語。大切なものをもう一度思い出させてくれます。

感想・レビュー・書評

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  • 自分に自信を無くし人前に出れなくなった聖也、小さい頃に起きた事件の罪悪感で素直に生きれない伊吹の物語
    運命の人ってこんなにも勇気をくれてこんなにも人を変えられるんだって、すごく心が温かくなる作品でした。
    桜のような僕の恋人、この恋は世界でいちばん美しい雨を読んでからこの作品を読むと少し物足りなさを感じるかもしれないけど、こういう終わり方の作品もすごくいいなと思いました。

  • 好きな誰かの為に奇蹟をおこすって素敵。
    設定があまりにも現実離れしているので、感情移入はあまりできなかったけど、童話を読んでいるような平和な気持ちになれた。

  • 自分もサンタのようなみんなを笑顔に幸せにできるようになりたいと思った。
    誰もが誰かのサンタクロースであると知った。
    お互いをリスペクトできるような人に出会いたい

  • サンタクロースといえば、クリスマスに訪れる使者だ。
    赤い服に白い髭、トナカイが引く橇に乗って、世界中の子供たちにプレゼントを届けて回る。ホーホッホッホーと容器に笑うおじいさんは幸せの象徴のような存在である。
    このサンタクロースの血統は実は4世紀のミラノに遡り、何とその末裔が日本にこっそり「サンタクロース家」として存続している、というお話。

    サンタクロース家は世界中の百貨店やおもちゃ会社、ゲームメーカーなどのクリスマスの売り上げの3%を受け取ることになっている。そうでないと商戦に「クリスマス」と銘打てなくなるのだ。古くからのしきたりで今更覆せないようだ。もちろん、そんなサンタクロース家は大富豪なわけだが、その分、世界で慈善事業などを秘密裏に行っている。
    サンタクロースの称号は世襲制である。現当主には若干問題があった。数年前に新当主となった際、張り切り過ぎて詐欺に遭い、以来、引きこもりになっているのだ。父には一人前になるために、早く結婚しろと厳命されている。
    その彼、明日真(あすま)・ニコラオス・聖也が恋をした。
    相手は百貨店のおもちゃ売り場で働く阿部伊吹。20代後半。子供の頃にあった出来事で心に大きな傷を負っている。現職に就く前に、彼女は夢を1つ諦めている。小さい時に大好きだった、けれども今は手元にない絵本をずっと探している。

    聖也は本当のところ、最初は伊吹にちょっと興味を持った程度だった。だが、ぎくしゃくした関係を続けていくうち、次第に本当に彼女に魅かれていく。
    大富豪のサンタ家。聖也には戸中井・曽利・神宮ベルというベタな名前の執事たちが付いている。俺様キャラだが実はヘタレの聖也は彼らに威張り散らすけれども、彼らなしでは何事もできない。サンタ就任時のごたごたの影響でサンタの衣装すら着られずにいる。
    何だかがちゃがちゃしたコミカルなシーンを挟みつつ、聖也と伊吹のぎくしゃくとした恋物語が展開される。

    伊吹は、子供の頃の出来事と諦めた夢のために二重に心を閉ざしている。心を開くカギになるのが思い出の絵本なのだが、さて。
    伊吹のために奔走する聖也は、やがて、逃げ続けてきた自身の過去とも向き合うことになる。

    サンタクロースは「奇蹟」を起こす存在だという。
    最後に2人に訪れる奇蹟は本当にささやかである。
    伊吹と聖也が向かう「未来」の不確かさに若干心配になるけれど、おそらく、お互いへの思いやりがあれば、先へと進んでいけるのだろう。
    身近なものの幸せを願う気持ちがサンタ伝説の神髄だとするならば、これはこれでありなのだろう。

    夏のフェアの1冊だが、ホワイトクリスマス、イルミネーションの東京タワーと王道のクリスマスストーリー。暑さ払いとしては一興か。

  • 泣けました。。無茶苦茶等身大のサンタ。というより、人としてどうなの?というレベルw最後まで立派な人ではないけど、頑張ったよね。脚本家の方の作品と知って納得。日本映画っぽいです。

  • 真心を君に

  • 絵本作家になりたかった阿部伊吹。けれど絵本作家を目指す中で精神的に疲弊し、やがてその夢を諦めた。ある時、伊吹は勤務先の社長に呼び出され、質問をされた。「サンタクロースのお嫁さんになってみないか?」

    人様の名付けに口を出すのは下品だけども言わせてくれ。「聖」って書いて「サンタ」って読ませるのは「ちょっとキラキラネーム」どころの話ではない。あと悪いけどこの絵本はちょっと……その……何この絵本は……ええ……君の恋愛事情をそのまんま書いただけやんけ……この絵本見せられた子供の気持ち……ってなってしまってちょっとこんな感じの評価になりましたね。読みにくくはないんだけど……サンタの痛さもかなりキツいので……伊吹のお父さんの台詞はすごく良かった。なので星1は回避。精一杯生きるのって、難しいけど、大事だよね。

  • 「夢は叶うかどうかが大事なんじゃない、大事なのは精一杯生きてくれること。 精一杯生きてうんと幸せになりなさい。」
    夢に「終わり」は無いと思います。
    だからこそ、常に前を向いて進んでいく気持ちが大切ですよね。
    前を向いて進んでいくことで、どんな形であれその人の夢は何等かの形で叶っていくでしょう。
    そう信じる勇気をくれる作品です。

    戸中井さんの「名言集」ナイスチョイスでした。

  • クリスマスシーズンに読んだら気分的にも
    より楽しんで読めると思います!

    韓国ドラマとかが好きな人は
    かなり好きかもしれないです!

  • フォロワーさんオススメの1冊
    宇山佳佑さんの小説を初めて読みました。
    本作品の主人公とその主人公に恋をした男性の心の葛藤や成長にすごく、自分を重ねるところが多かったです。

    特に、主人公に対する男性の純粋な思いとそれに反するぎこちない、配慮のない行動にすごく共感し悶ました笑

    本当の両思いってすごく確率の低いことなのかなって最近思う次第です。

    恋に落ちた方が何かしらのアプローチを続けていくこと、それが相手にとって迷惑を掛けることになってしまう覚悟

    相手を好きでいる想い
    相手を大切にしている気持ち
    相手が振り向いてくれない辛さ
    相手と一緒にいるだけでこの上ない幸せということ
    自分の愚かさ
    自分の自信のなさ

    歯がゆくも儚く、幸せな気持ちを
    登場人物達に重ねて読みました。

    寒い日が続いていますが、読み終えたときには心がホッと暖まるそんな気持ちになりました。

    興味がある方はぜひ読んでみてはいかがでしょうか!

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著者プロフィール

1983年生まれ。神奈川県出身。脚本家、小説家。ドラマ脚本に『信長協奏曲』『スイッチガール!!』『主に泣いてます』、映画脚本に『今夜、ロマンス劇場で』など。書き下ろし小説『桜のような僕の恋人』がヒット作となる。

「2018年 『君にささやかな奇蹟を』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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