ロック・オブ・モーゼス (角川文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784041064467

作品紹介・あらすじ

わたしはこのギターから全てを教わった――

いつも俯きながら生きてきた。
音楽がわたしに光を与えてくれた。
熱情、誇り、挫折、才能――青春の全てがここにある。
心を掻き鳴らす、珠玉の青春音楽小説。

朝倉桜は京都の私立校に通う高校二年生。同級生の「モーゼ」こと百瀬は幼い頃から天才ギタリストとしてもてはやされ、今はプロで活躍中だ。学校に居場所を見いだせない桜はいつのころからか目立たぬように行動するのが習い性になっていたが、モーゼの強い勧めでギターを始めることに。すぐにギターの虜になった桜は高校を中退し、モーゼ率いるバンド「モーゼス」に加入。プロのミュージシャンになると決意するが……。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本刊行時から気になっていた作品で、文庫化を機に初読。
    著者久々の音楽小説である。私は萬月の音楽小説が好きで、『ブルース』を初めて読んだときの感動はいまも忘れられない。
    だが、これはちょっと……。

    主人公の一人・高校生の「モーゼ」こと百瀬が随所で語る音楽の薀蓄、音楽論は、面白くて傾聴に値する。
    だが、青春小説として見ると、なんとも雑。地の文なしで「」書きのセリフだけで話が進む箇所が多く、ひどい手抜きとしか思えない。『ブルース』のころの萬月はもっと丁寧に作品を書いていたのに。

    あと、モーゼの音楽嗜好が、どう見てもいまどきの高校生のそれではない。70年代英米ロックに古いブルースに……と、要は著者の花村萬月の趣味そのまんまなのである。「いまどきの高校生としてのリアリティ」を出そうなどとは、はなから考えていないのだ。
    そのことも、ある意味で手抜きだと思う。

  • 音楽をもっと深く知っていれば楽しめたんでしょうね。
    天才はそれでいてもがく。

  • 天才が天才の原石を磨く小説。
    ワクワク感よりも焦燥感でジリジリしてくる。
    何も持っていない自分にジリジリする。
    若い時に読んでいたら腿のトコロをンギー!ってガシガシしたはず。
    渇望?
    憧憬?
    磨かれてゆく原石に待ち受ける栄光と
    時折顔を覗かせる破滅に残るページは僅か。
    思わず、本当に思いもかけず涙が流れたのが
    最前列で主人公「桜」を追いかけていた「ストーカー紛い」に思われていた男の発した
    「よかったです。最高です。その、もう、最高です」
    の言葉に思わず流れた涙。
    不器用で不格好でも愚直に吐き出す言葉。
    おそらく何も持たず希望も持てない中の僅かな、でも強烈な光に吸い寄せられた言葉。
    光を進む者には見えない悲しみと喜びに反応したんだろう。

    何も持たない僕だから反応したのだろう。

    悲しみはない。
    残り僅かのページに僕の偏屈で鬱屈した琴線(全音落とし)に触れるフレーズはあるだろうか?

  • オーケンのロッキンホースバレリーナを思い出した

  • 花村萬月はこういう作品も書くのか、とちょっとビックリ。
    現代を舞台にしているのに、出てくる音楽がやたらと古い。
    (古い音楽が悪いという訳ではなく。ジミーロジャース、私も大好き!)
    いっそのこと、時代設定をもう少し前にしてしまえば良かったのになぁ、と。
    青春と音楽は本当に相性が良く、この組み合わせは大好きなのですが、どちらも上手く活かせていない印象。
    面白くなかった訳ではないが、音楽への熱さが今ひとつ伝わってこず、少し残念。

  • 花村萬月さんの作品を読むのは本書が2作品目!
    一作目の作品『永遠の島』で性と暴力の表現に辟易としてしまい、10年近く花村氏の作品から遠ざかる。

    本書を手にした理由は題名がカッコいいから!
    ロック オブ モーゼスという響きが何故かしっくりきて良い!

    10年前に花村萬月氏の作品を勧めてくれた友人と久しぶりに会いたいと思った!


    主人公の朝倉桜は天才ギタリストのモーゼと出会う!モーゼに惹かれた桜は同時に音楽にも惹かれ、モーゼの下で着々と音楽の道を進んで行く青春ストーリー!

    所々に散りばめられた音楽の薀蓄も面白い!
    音楽知識が無くても楽しめます!

  • 勢いで読みきりました。桜の成長物語としては面白かったのですが、メイン題材の音楽に関するところはかなり冷めた感覚でしか読めませんでした。

    端的に言うと"オールド・ファッション”。スマートフォンが登場するような2000年代以降の時代設定なのに、語られている音楽のほとんどが60年代、70年代のもの。バンドメンバーの言動もヒッピー的なイメージのそれ。

    書き手の好みが現れているのでしょうけれど、比較的最近のバンドが好きな自分としては(被害妄想かもですが)それを否定されている気がしてしまいますし、登場人物たちに今の若い人っぽくない非現実さを強く感じてしまいました。

    また、著者は音楽の造詣が相当深いと思われるのですが、書き連ねられた音楽理論の話などは音楽素人の自分には全く面白みがわからなかったのも、正直キツかったです。

    自分程度の読み手には、もっと単純なお話の方が合っているようです。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。89年『ゴッド・ブレイス物語』で第2回小説すばる新人賞を受賞してデビュー。98年『皆月』で第19回吉川英治文学新人賞、「ゲルマニウムの夜」で第119回芥川賞、2017年『日蝕えつきる』で第30回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『ブルース』『笑う山崎』『二進法の犬』「武蔵」シリーズ、『浄夜』『ワルツ』『裂』『弾正星』『信長私記』『太閤私記』『対になる人』など。

「2021年 『夜半獣』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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