- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784041066058
作品紹介・あらすじ
美しいあの方のお傍に、恥じることなくいられるだけの強さが、ほしい――
平安中期、時の帝の寵愛を受ける中宮(平安時代の皇后)定子に仕えることになったなき子(清少納言)。
当時としては「年増」と呼ばれる年齢になってから才を買われて宮中に入ったなき子だが、定子に瞬く間に魅了される。
華やかな宮廷で卑屈に縮こまっていたなき子の心をほぐしてくれた、眩いほどに美しい年下の主人。
「女が学をつけても良いことは何もない」といわれていた時代、共に息苦しさを感じていた定子と清少納言は強い絆で結ばれていくが、定子の父の死によって栄華を誇った一族は瞬く間に凋落していく……。
定子の兄・伊周との身分違いの恋に苦しむなき子、そして紫式部との因縁。
悲運の時代を描いた哀切にして美しい平安絵巻に仮託した、女性の自立の物語。
「わたくしたちがずっとその心を忘れなければ、女が役に就ける御世がきっと来る。この悔しさを、のちの世の女は味わわなくてすむようになる」
感想・レビュー・書評
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宮木あや子の書く清少納言。
紫式部がすごい嫌な女に描かれていたけど、宮木あや子の書く紫式部も見てみたい。
しかし、呪詛ってホントに効くのかな……。
物語の中ではよく出てくるし、当時は効くものと信じられていたのだろうけど。 -
いつもなら歴史小説は解明されている事実とは多少異なっていても物語だからと寧ろ楽しめるのだけど。
私の中でこの時代の人達のイメージが固まってしまっているせいか、伊周との関係性にもあれっと思ったけど、最後まで紫式部(と彰子)が悪役なのが気になった。本来はお互い面識はない筈なので違和感があった。
作中でよく雨が降っており全体的に暗さのある一冊。
言葉選びの美しさ、原子の愛らしさ、有名な「春はあけぼの~」を綴る場面、草子の一部を破る場面、好きなシーンもあるが定子の崩御は変わらず、いっそここもガラシャみたいに書いてほしかった。宮木さんも清少納言も好きなだけに残念に感じた。 -
再読。枕草子を小説に仕立てたお話。
宰相の君と少納言のコンビが最高。定子様がお可愛らしい。妹君もたくさん出てくるのは、枕草子を小説にしたものの中では珍しいのでは。
このお話では、定子様が変装して少納言と一緒にお出かけするシーンが2回。枕草子でも楽しそうに描かれている段が、素敵なお話になってる。
そして、則光もけっこう重要な役どころ。
それ以上に紫式部を思いっきり悪い女に脚色しているので、悪い女すぎて一周回って好きになりそう。この二人実際には同じ時期に内裏にいなかったらしいけど、ばっちり顔を合わせてる話になってる。紫式部日記に一方的に悪口書かれただけらしいのに、創作の中では永遠にライバルなんだな…1000年経ってそんなことになるとは思っていなかったろうな…地球があって日本が残ってて日本文学が生きてる限りたぶんずっとライバルなんだろうな……って。ちょっとどうでもいいことまで考えた。 -
この作者の平安ものを読むのは2冊目。有名な枕草子を下敷きに書かれています。
草子に描かれているきらきらしたものと、実際の様子がとても物哀しい。
最近は紫式部側の読み物を多く読んでいた為、式部の君の描かれかたに違和感。かなりな鬼になっていました。少納言側だとこうなるのですね。
実際はどうだったかなんてわからないけど、付け火や呪詛するとか陰謀は色々あったのでしょうね。物語はドラマチックなのですが割とサラッと描かれています。 -
これまでにも、何人もの作家のによる清少納言や中宮定子を読んできた。
自分の中ではやはり田辺聖子さんの『むかし・あけぼの』の存在が大きい。
そこでは歴史の流れ、政権の力関係が詳細に描かれていた。
田辺作品と比べると、こちらではぐっと登場人物を絞り込み、政争はごく簡単に迫害者道長の影を指すのみ。
行成も公任も斉信も登場しない。
敵と味方がくっきり書き分けられる。
紫式部や中宮彰子がこうもわかりやすい悪役になってしまうのには抵抗がある。
一条天皇の登場シーンも、ごくわずか。
その代わり、定子と清少納言の絆はもちろん、定子と妹の淑景舎の君、原子との仲睦まじさや、同僚の宰相の君との友情などが細やかに描かれる。
元夫、則光がなかなか格好良く登場するのも特徴的。
定子の物語は、どうしても最初に絶頂期が描かれ、どんどん寂しく、悲しくなっていく。
しかし、定子の死が「脚の間からの出血がいつまでも止まらず」と、生々しく書かれたのは他に知らない。
定子亡き後の登華殿の庭での、宰相の君とのラストシーンは悲しくも感動的だ。 -
紫式部が清少納言と同じ年齢くらいで、怖い人の設定なのに違和感。
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紫式部の話は読んだことあっても、清少納言の話は初めてで面白かった!
中宮と主上が切なかった。